この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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投稿遅くなりました。


もしかしたら頻度がちょっと上がるかもです

ゆんゆんの母親の設定はマサオンさんの提案したものを使用しております。

※カズマさんのクズ具合のシーンを原作寄りの描写に変更しました。


この落ち着かない夜に一大事を!

 まともな灯り一つ無く、薄気味悪い雰囲気漂う研究所のような場所。そこに在るのは2つの人影。

 1つは咀嚼音を響かせながら左手の肉と、右手の芋を交互に頬張る少年。その容姿は百瀬錬太郎と瓜二つでありながらも、血が染み付いた青い色のローブを纏っている。もう1つは、そんな食欲旺盛な少年をジロジロと眺めながら下衆じみた笑みを浮かべる黒いスーツに身を包んだ丸渕メガネを掛けた男。

 少年は男の視線に気がつくと、食事中の手を止めて自身を見つめる男に話しかけた。

 

「そういえばマスター、俺の中の複製賢者の石はどのくらい覚醒してる?もうオリジナルと同じで黒い炎までは到達出来てるんだけど…」

 

「そうだねぇ…もう現時点の百瀬錬太郎と遜色ないくらいだよノワール…後はそのまま君の中の賢者の石が完全に覚醒し、私が破壊神を復活してその力を取り込めば…完全なる賢者の石を我が手に…」

 

 少年の問いに答えつつ、己の計略を口にしながらうっとりとした表情を浮かべる男、ロード。その顔には表情だけからは読み取れない狂気が滲んでいた。対する少年、アナザー錬太郎はロードの様子など気にも留めず、続け様に質問をした。

 

「破壊神と俺の中の賢者の石を手に入れる目的はわかるけど、オリジナルの細胞の記憶からするに、破壊神復活には、かつて始まりの錬金術師達と共に破壊神を封印した100体のケミー達が必要不可欠なのだろう?ならば、マルガムにしてオリジナル達に仕向けるのは少々不都合なのでは?」

 

「それがそうとも言えないのだよ…マルガムの破壊活動で恐怖し、慄く人々の悲鳴は感情エネルギーとなり、百瀬錬太郎達との戦いは戦闘エネルギーになる。これらのエネルギーは錬成に用いるだけで無く、暗黒の窯であるドレッドライバーを碁盤に調整することで、破壊神復活の儀式の役割を果たせる…その為にはより多くの錬成エネルギーが必要なのだ…ケミー共は彼らが揃えた後に横取りしてしまえばいい…」

 

 ロードの説明を受け、納得したように首を縦にコクコクと振るアナザー錬太郎。生まれてまだ1ヶ月も経たないが、自分の成長速度は並の生物の数倍もあると自負しているアナザー錬太郎も、百数年生きて場数を経験してきたロードには敵わない。

 この男は自分が思っているよりもはるか先の大局を見据えている。そう感じると同時に、頭が上がらなかった。

 

「さて、ノワールよ。紅魔の里へ向かえ。百瀬錬太郎だけでなく、魔法に特化した紅魔族共との戦闘は上質な錬成エネルギーになるだろうしね…」

 

「了解…マスター…」

 

 ロードの命を受け、口周りの食べ残しを舌で舐めとると、瞬き1つ挟む間にアナザー錬太郎は姿を消した。ロード1人となって閑散とする研究室に、入れ替わるようにして紫ローブに悲しみの表情を模した仮面をつけた女性が現れる。

 

「ロード様ったら〜、あの模造品に肩入れしすぎちゃって〜!ちょっとは我々ネガマスクのことを気遣ってもいいんじゃないですか?」

 

「いやいやすまない…彼はまだ赤ん坊も同然だから色々見てやらないといけないのさ…物覚えのいい君たちと違ってね…しかし、最近はガッチャードも力をつけて、マルガムとして仕向けたネガマスク達を悉く撃破してしまっている…貴重な戦力を減らすわけにもいかないからね…」

 

「ふ〜ん、なら私の出番、楽しみにしてますね…キャハハハハ!!」

 

 ロードの返答に満足したのか、ネガマスクは高笑いを上げる。魔王軍の脅威が蔓延る紅魔の里に、また更なる脅威が降りかかろうとしていた。

 

 

 

 

 所変わって紅魔の里。ゆんゆんを追ってあるえと別れた錬太郎は、再び彼女の家まで戻ってきたのだが、ゆんゆん曰くひろぽんの説得の為に少し時間がかかるとのことで、また紅魔の里をふらふらと散歩していた。

 

「寝泊まりはゆんゆんの家か…なんか友達の家に泊まるのって緊張するな…」

 

『ホパァ…』

 

 落ち着かない様子の錬太郎に、ホッパー1は溜息をして視線をじろっと向ける。どういう感情から来る視線なのか、錬太郎は訳もわからずおどおどとしてしてしまう。そんな時、錬太郎の腰のケミーライザーが音を立ててメールの伝達を知らせた。

 

「あっ、ダクネスからだ…めぐみんのお父さんが荒れ狂った、至急来て欲しい…急ごう、ホッパー1!」

 

『ホッパー!』

 

 錬太郎の報告にホッパー1も力強く応答し、共にケミーライザーの示すめぐみんの家へと向かう。両者が地図の通りにゴツゴツとした岩の道を乗り越ると、やがて一軒のぼろ家が見えてきた。

 

「え…ここ?」

 

『ホパ?』

 

 ケミーライザーの表示する場所は間違いなく目の前にあるぼろ家である。かつてカズマ達が利用していた馬小屋よりも見るからに脆そうで、所々年季が入っているのは見て明らか。とてもではないが、人が暮らせる環境のようには思えない。故に錬太郎とホッパー1は、ぼろ家を三度見してもそこがめぐみんの実家と信じられなかった。

 2人が固まっていると、家の中からトタトタと可愛らしい足音が聞こえてくる。足音は次第に大きくなっていき、ぼろぼろの扉が開くと、錬太郎の腰の高さ程の小さな女の子が現れた。

 

「あ…どうも…」

 

 目の前の幼女に驚き、ほんのひと時だけ錬太郎は固まってしまい、その後なんとか絞り出すようにして挨拶をしてぺこりと頭を下げた。錬太郎が頭を上げて幼女をよく見てみると、どことなくめぐみんの面影があり、話に度々出る妹なのではと察した。

 対する幼女は、錬太郎を見上げるように眺め、隣にいるホッパー1に視線を移す。ホッパー1は自分に視線を向けられたことが嬉しいようで、幼女の元へと近寄った。

 

『ホッパー!!』

 

 が、

 

「ていっ!!」

 

「えっ⁉︎」

 

「おとうさんおかあさ〜ん、また姉ちゃんの男がやって来た〜!!しかも食べ物になる緑の魔獣も連れてきた〜!!」

 

 幼女は小さな両腕で、年不相応の怪力を発揮してホッパー1を拘束すると、大声を上げながら家の中へと戻っていった。

 

「あ"あ"〜⁉︎⁉︎⁉︎ホッパー1は食べちゃダメ!!!!」

 

 

 

 

 幼女を追って錬太郎が踏み入れた家の中は、どこか風情のある和室のような場所だった。縁側が備え付けられてあるものの、破られた襖に壁を無理矢理板材で塞いでいる所が目立ち、改めて人が住める環境ではないのでは、と思わずにはいられなかった。

 その後ホッパー1を捕え、美味しそうに眺めていた幼女から何とかホッパー1を解放した錬太郎。幼女『こめっこ』は新しい食料を失ったことを残念そうにしていた。聞けば彼女はめぐみんの妹で間違いなく、父親が売れない魔道具ばかり作るせいで家計は火の海、めぐみんの冒険者としての収入からの仕送りなしではかなり生活は苦しいとのこと。

 

「なんだ、そういうことなら…『偽りなき真ニテ げに真なり』」

 

 カズマ達が囲んでいる畳の上のちゃぶ台に倣うようにして腰掛けると、錬太郎は人差し指にアルケミストリングの装着された右手を翳し、錬成の呪文を唱える。刹那、目の前の空間が歪み、その中に錬太郎が手を入れると、ジャイアントトードの唐揚げサンドウィッチが出現した。

 

「一応非常食としてとっておいたものです。錬成した空間内では時間の流れが一時的に止まるので。はいどうぞ、こめっこちゃん」

 

「わーい、ありがとうお兄さん!!」

 

 満面の笑みでサンドウィッチを受け取り、勢いよく頬張るこめっこ。破顔させながら大変美味しそうにサンドウィッチにかぶりつくその姿は家の中にいる者達に大層癒しを与えてくれたそうな。

 

「ところでダクネス、めぐみんのお父さんは暴れて無くない?」

 

「いやぁ、どうやらはやとちりしていたようでな」

 

「それに今はカズマさんとめぐみんの婚姻の話になっちゃってね〜」

 

「「違う(います)から!!」」

 

 いつものように無意識に神経を逆撫でする言葉を零すアクアに、カズマとめぐみんは頬を染めながら否定する。しかしそこに無自覚のうちに火に油を注ぐ者がもう1人。

 

「そうなの?この前めぐみんがカズマに肩を寄せて寝てたから満更でもないのかと思ったけど…」

 

「ちょ、おま⁉︎はぁ?てか何でそれ知って…」

 

 錬太郎からの爆弾発言に、皆の視線が一斉にカズマとめぐみんに集中し、カズマは茹蛸のように顔を真っ赤にして声を荒げる。めぐみんは最早羞恥に耐えられずに言葉を発することすらしない。そして錬太郎も…

 

「(やっば…あの時起きてたことバレた…ごめんアクア!!もしかしたらお酒のこと知られちゃうかも⁉︎)」

 

全く違う件で冷や汗を滝のように流していた。

 

「カズマさん、今夜は泊まっていきなさい!!その歳で冒険者としても商売人としても素質がありしかもアクセルの街に屋敷を持っているとは!!うちの娘が見込む訳だ!!なぁ母さん!!」

 

「娘からの手紙やレンタロウさんの話からいい人だとは分かっていましたよ。ところで指輪は?式は?誓いのキスは?」

 

 錬太郎の話を皮切りに、学ランのような衣服に身を包んだめぐみんの父『ひょいざぶろー』と、長い黒髪が特徴的なめぐみんの母『ゆいゆい』によって、勝手に外堀が埋められていくカズマとめぐみん。

 

「(錬太郎のやつ〜、よりにもよってお前が余計なこと言うとは…)」

 

 錬太郎にギロっとした目を向けながら、恨めしそうにするカズマ。自らに非があることを認識している錬太郎は、申し訳なさそうに萎縮し、その後カズマとめぐみんに額が擦れる程の土下座をしたのだとか。

 

 

 

 

 時刻は夜になり、錬太郎はゆんゆんの家に滞在していた。ゆんゆんとその母により、ひろぽんは渋々納得させられたようで、錬太郎の宿泊は決定した。ゆんゆん曰く、ひろぽんは昔から母に頭が上がらないらしい。その母というのが

 

「我が名はゆんちゃむ!!紅魔族随一の料理の達人にして上級魔法を操る者!!そしてベルセルク王国公認のポーション職人の称号を持つ者!!」

 

「ポーション職人⁉︎ベルセルク王国の中でも取得が難しい資格を持つ者だけが名乗れるあの⁉︎」

 

 ゆんゆんの母『ゆんちゃむ』の名乗りを聞いて、錬太郎は驚愕のあまり早口になる。

 そもそもポーションは、作れる者が限られており、錬太郎の錬金術師か、ポーション職人のみ。しかも錬金術師も作れるポーションの種類は少なく、ポーション職人はベルセルク王国にとっても貴重な役職なのだ。そのポーション職人が目の前にいる、しかもパーティメンバーの母親となれば驚くのも無理はない話である。

 

「ええそうなの。いつも娘がお世話になってます。もしそういう関係になっても節度を守ってくださるなら…」

 

「いや…だから僕とゆんゆんは…」

 

「手紙にはいつも優しくしてくれたり、自分の魔法を頼ってくれたり、危機に陥った自分を助けてくれて本当に嬉しかったって書いてありましたよ。さっきあるえちゃんから話を聞いた時も、仲良さそうに見えていたようですし。あとは…これからも一緒にいたいって…」

 

 ゆんちゃむの口から語られるゆんゆんの手紙の内容に、錬太郎は戸惑いながらも、内心嬉しく感じていた。まさか自分をそんなに大事に思ってくれているとは。頬を染めながら当惑と喜びの入り混じった百面相をする錬太郎を見ながら、ゆんちゃむはクスッと笑った。

 

「まぁ、立ち話もなんですし、お風呂にでもどうですか?ゆんゆんは先に入りましたから…美少女の残り湯をじっくり堪能してきてくださいな」

 

「なっ⁉︎」

 

 悪戯っぽく言うゆんちゃむに、錬太郎は再度顔を紅くする。押しに弱い錬太郎は、グイグイと迫るゆんちゃむ相手に断ることが出来ず、結局風呂場へと向かった。

 

「あなた〜、ゆんゆん〜、ご飯の準備手伝ってくれるかしら〜」

 

 ゆんちゃむの声に、それまで自室にいたひろぽんとゆんゆんも夕飯の準備を手伝った。

 

「そういえばゆんゆん、貴方レンタロウさんのことをどう思っているの?」

 

「ふぇ⁉︎ええっと…友達で、仲間で、パーティメンバーで…でも!!隣にいると安心するみたいな?で、でもお母さん!!錬太郎さんも言ったと思うけど、す、好きとか!!そういうのじゃないから!!」

 

「ふぅ〜ん、じゃあもしレンタロウくんに好きな人とか奥さんが出来てもゆんゆんは友達(・・)として祝福してあげるってことね」

 

「へ?」

 

「そういえばあるえちゃんが狙ってるみたいな話さっきしてたのよね〜」

 

「そ、それは…なんか…嫌、かも…」

 

 自身の胸に手を当てながら、ゆんゆんは複雑そうな表情を浮かべる。そんなゆんゆんの様子に、ゆんちゃむは微笑ましそうにしていた。

 

「フフフ…」

 

 その際に、ゆんゆんのご飯にだけ、ゆんちゃむがこっそりポーションを混入していたことには誰一人として気づかなかった。

 

 

 

 

 一方めぐみんの実家では、ゆんゆんの家とはまた違った大事態が起こっていた。

 

「何でこんなことに…」

 

 事態に1人、嘆くようにして愚痴を零すのはカズマ。彼は今、欲望と理性の狭間で葛藤している。めぐみんの寝ている部屋に閉じ込められ、出ようにも部屋の襖にはゆいゆいの手によって魔法をかけられて、開くことはない。

 ゆいゆいもめぐみんに劣らず聡いようで、カズマがめぐみんの伴侶として相応しいと判断するや否や、行動に移すのは早かった。カズマが風呂に入っている間に、ゆいゆいはダクネス、アクア、そして夫のひょいざぶろーまでも『スリープ』の魔法で眠らせると、カズマをめぐみんの眠る部屋へと向かわせた。カズマも年頃の男児。それに徒党の中でも距離の近しい我が子となら既成事実を作ってくれると期待しているのだろう。

 自分の娘の意思はどうなのか、とカズマは疑いたくもなったが、この世界では14歳から大人判定となり、16歳から結婚出来ること、そしてつい最近めぐみんは思わせぶりな態度をとってきたこともあってか、深く考えることを辞めた。

 

「寒い…」

 

 肌をさすりながら、カズマは嘆息する。今はまだ春が訪れたばかり。未だ肌寒い時期が続く。このままでは凍えて風邪をひいてしまうかもしれない。仕方ないと、カズマはめぐみんの眠る布団に身を寄せた。

 

「仕方ないことだ、めぐみんなら分かってくれる筈だ…」

 

 自分の頭の中に決して邪な想いを抱いていないと言い聞かせる。掛け布団からほんのりと温かさに意識が持っていかれそうになる中、ふと、カズマの瞳にめぐみんの寝顔が映った。

 整った眉に、つむられた瞳から伸びるまつ毛、形の良い鼻に、並の長さの流麗な黒髪、上気した頬。そして間近で聞こえる規則正しい寝息とめぐみんから香るいい匂いに、カズマは何処か胸が熱くなった。改めて感じた。めぐみんは美形だと。幼さの残る顔立ちでも、爆裂魔法に狂う面倒臭い性格でありつつも、本当にこの少女は可愛いと素直に思った。

 

「(はっ、いかんいかん!!これじゃ俺がロリコンみたいじゃないか⁉︎)」

 

 頭をぶんぶんと振り、カズマは限界まで削られていた理性を引きずり戻した。まさかめぐみんでときめくとはと、半ば自嘲気味に渇いた笑いを零す。

 最近のめぐみんは、カズマからしてもよくわからない。手紙の内容から察するに、少なくとも自分は仲間として見られているのだろう。しかし放っておけない大切な仲間とも手紙にはあった。何を上から目線に、放っておけないのは俺だっつーの、もし俺が追放なんてしたらまぁたアクセルの街の主婦の方々からあらぬ誤報を流されかねないから仕方なくだ!!という言い分は飲み込みつつ、熱りの冷めた脳で改めて考え直した。

 

「(いや待て。この状況、布団に若い男女で2人きり。しかも相手方の母親からは遠回しに許可を貰っている状態…ゆいゆいさんの方もそれを望んでいるのは間違いない。都合の良すぎるこの展開、

 

 

 

 

 

俺が何もしないのならめぐみんに魅力がないと言っているようなものじゃないのか?)」

 

 訂正。歳の近い少女と同じ布団で一夜を明かさなければならない状況下では、カズマといえど思考はそういう方向へと傾いてしまう。しかもこの男、自分がこれから襲うことを半ば正当化するような考えへと至り、悪い意味で覚悟を決めてしまった。やはりゆいゆいという後ろ盾の存在がよっぽど大きいのかもしれない。

 

「(許せめぐみん。これはお前の女性としての尊厳を守るためだ…)」

 

 自分でも歯止めが効かなくなってしまったカズマは、隣で寝息を立てているめぐみんにそぉ〜っと手を伸ばした。

 

 めぐみんの触覚が異常を察知し、意識を覚醒させたのは、丁度同時だった。

 

 

 

 

「め、めぐみん⁉︎こんな時間にどうしたの?」

 

「カズマに襲われそうになりました。今夜はここで一晩過ごさせてください」

 

 夕食を終えて就寝しようとしたその時、突然家の窓を開けて現れた寝巻き姿に裸足のめぐみんに、ゆんゆんは目を丸くしていた。状況がよくわからないものの、変な気を起こしたカズマが狼になったと簡略化された説明を受け、家に泊めることを許した。

 

「足洗った?」

 

「洗ってきましたよ、ではベッド失礼しますね」

 

「ねぇめぐみん、カズマさんに襲われたってどういうこと?」

 

「母の企みですよ。知っているでしょう?うちは父が売れない魔道具ばかり作るせいで貧乏生活だと。だから母はお金のある娘婿が欲しかったので私を魔法で眠らせて、カズマと2人きりの部屋に閉じ込めました。すんでのところで目が覚めて、今にもカズマが襲わんとしようと手を伸ばしていたので一発殴って鍵のかかってない窓から逃げ出して今に至る訳です」

 

「そ、そんな…カズマさんが…」

 

「まぁ、今考え直すと別に悪い気はしないんですけどね。咄嗟の防御本能といいますか、ちょっと酷いことしちゃいましたかね…」

 

 そう言うとめぐみんは悲しそうに瞳を揺らした。学生時代から一緒にいるゆんゆんはわかる。この瞳は本当に後悔しているときにめぐみんがするものだと。だからこそ、ゆんゆんは思い切ってめぐみんに尋ねた。

 

「めぐみんはその…カズマさんのことが、好きなの?」

 

 ゆんゆんの質問に、めぐみんは頬を緩ませ優しい声色で語った。

 

「親友の貴方になら、言ってもいいかもしれませんね。最初は色んなパーティを当てもなく彷徨うのが嫌で、自分の安定した場所を繋ぎ止めるため。それだけでした。でも、爆裂散歩や色んな冒険の中で、ちょっとずつ考えは変わってきて…。今では文句ばっかり言いながらも手を差し伸べてくれる、そんなあの人に…惹かれています」

 

 カズマについて語るめぐみんの顔は真剣で、しかし何処か甘酸っぱかった。爆裂魔法一筋だっためぐみんが、ここまで異性に想いを寄せているというのは、ゆんゆんも予想外だった。

 

「でも、母の企みの一環でカズマを手に入れるのは嫌です。しっかり自分の手でカズマを落とさないと…」

 

「めぐみんって意外と真面目なのね…それよりさっき親友って…」

 

「はて、なんのことでしょうか?それより先に男を手に入れる勝負も私の勝ちみたいですね。いつまでもレンタロウに仕掛けない貴方と違って」

 

「はっ⁉︎はぁぁぁぁぁ⁉︎な、何でそうなるのよ⁉︎ち、違うから⁉︎めぐみんと違って私は錬太郎さんには…」

 

 めぐみんからの挑発に声を荒げ、反論しようとしたゆんゆんだったが、続く言葉は喉から出なかった。言うことを身体の芯から躊躇っているようだった。

 

さらに。

 

「(あ、あれ?な、なんだか頭が……ぼぉーっとして意識が…)」

 

 突如として身体に熱が生じるような違和感にゆんゆんは困惑した。額から汗を流し、息は荒く、頬は上気している。流石にめぐみんもゆんゆんの様子がおかしいことに気づき、心配するように声をかけた。

 

「あ、あの…大丈夫ですかゆんゆん?」

 

 めぐみんの問いに、ゆんゆんは答えない。何も言わぬまま、ベッドから降りると、そのまま部屋を出て行ってしまった。

 

「ま、待ってくださいよ!!」

 

 めぐみんもベッドから身を起こすと、ゆんゆんの後を追う。ゆんゆんが向かったのは隣の部屋。入り口の扉を開けると、一目散に部屋の中へと入った。

 その部屋では、今日1日で疲れが溜まっていた錬太郎がベッドでぐっすりといびきをかいて寝ていた。

 




原作の見どころのカズめぐ描写あまり出来ていない気が…

ゆんゆんは何故錬太郎の寝室に向かったのか。それはまた次回で。
因みにロードと話してたネガマスクは12話に出てきたやつです。約50話振りですね…
本当はゆんゆん家族と錬太郎の食事会話入れたかったのですが、どんな会話するか想像もつかないし、ちょっと気まずい空気だからあまり会話弾まないだろうなぁ…ということでカットしました。

オリキャラ紹介

ゆんちゃむ
誕生日:11月22日
性格:いつもニコニコしていてとても穏やか。しかし、怒ると夫(ひろぽん)も震える程怖い

※ゆんゆんが65話で出していたドスの引いた声は母譲り。

人物:紅魔族族長であるひろぽんの妻であり、ゆんゆんの母。
おっとりと大人しい雰囲気の美人であり、話し方も穏やか。
ゆんゆん曰く「怒った所はあまり見ないし、怒られるのはほぼお父さん」とのこと。
紅魔族の女性の例に漏れず、立派なモノをお持ち。
めぐみんの母「ゆいゆい」とは学生時代の同級生で、めぐみんとゆんゆんが喧嘩が絶えない仲なのに対して、此方は大親友同士で喧嘩等したことがない。
夫であるひろぽんが族長ということもあり、紅魔族女性達のリーダー的存在。
また、魔法の腕に関しては、紅魔族ということあってかなり高く、そのレベルはひろぽんも上回る程。

料理の腕前はピカイチで時々自宅で料理教室を開いている。
その腕は確かで、里の料理店の店主がアドバイスを貰う程。
ゆんゆんの事を心から大切にしており、娘の幸せを願っている。

紅魔族の中でもかなり聡明な人で、成り手の少ないベルセルク王国公認のポーション職人でもある。
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