この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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このすばのより道、早く購入して読みたい。

遅くなりましたが、ゆんゆん誕生日おめでとう


錬太郎と謎の少女

 早朝、まだ朝日が東からひょっこりと顔を出したばかりであるにも関わらず、王都のギルドではクエストの受注が始まっていた。

 ここに集まる冒険者パーティは、アクセルのギルドと比べて実力のある組が大多数を占め、日々高難易度クエストに精を出しており、既にこの時間帯にもクエストボードにて掲示された依頼を吟味する冒険者達が何人かいた。

 そしてそのギルドにカズマ達も集まっており、王城にて話し合い中のダクネスとアイリス、外出中の錬太郎やケミー達を除く4人で窓際の円卓の席を取っていた。

 というのも、ミツルギからの依頼をこなすと同時にアイリスを王城に送り届けた後、アイリスの勧めでカズマ達は暫く王都に滞在することとなっていた。宿泊場所として王城の空いている部屋が提供され、その豪華さにカズマ達は子供のように大はしゃぎしたのだとか。

 話を戻し、カズマによって早暁(そうぎょう)からギルドに連れてこられたことが余程不満なのか、めぐみんは若干声を荒げながら口火を切った。

 

「で、何ですかカズマ。早朝早々ギルドに私達を呼び出して…」

 

「そうよ、元ヒキニートの癖して早起きなんて。らしくないじゃない。ま、朝イチのシュワシュワが飲めるからそこは感謝しておくわ」

 

「駄女神なんぞに渡すシュワシュワなどなぁい!!金が勿体なぁい!!」

 

「はぁ⁉︎いいじゃないケチ!!お金なら腐るほどあるのに⁉︎減るもんじゃないでしょ⁉︎」

 

「そういう問題じゃねぇんだよ!!お前一昨日王城のよりもギルドのシュワシュワが飲みたいって言って俺が引率したよな?その帰りでお前飲みすぎてリバースしたろ?何回目だよ介抱してるお前からリバース喰らうの?俺もう散々なんだよ!!」

 

「大丈夫だもん!!今度はちゃんと量調整できるもん!!」

 

「お前の言うことなんか信じられるか!!」

 

「女神の言うことが信じられないっていうの?この不敬者、ロリ好きパンツマニア!!」

 

「おまっ⁉︎ロリコンじゃねぇし、それに何だよパンツマニアって!!」

 

「いっつもスティール使った後はその右手にパンツがあるじゃない!!だからパンツマニアは妥当よ!!」

 

 ずびし、とアクアがカズマを指差し勝ち誇ったように口元を歪める。カズマは唸りつつも事実であるために中々言い返せない。さらに不幸なことにアクアの声はかなり大きいため、話が耳に入った一部の冒険者やギルドの職員から鋭く冷めた視線が向けられる。

 ただでさえアクセルの街で不本意な悪評を広められ、男性冒険者から鬼畜のカズマと笑われ、女性冒険者からの信用は地に落ちてしまっているというのに王都でも同じような目に遭わされるなどたまったものではない。下手すれば、アクセルよりも緊張感のある王都ではお縄頂戴され、冒険者生命と人間としての信頼を同時にドブに捨てかねない。それだけは何としてでも避けなければならない。

 

「あれは事故だっつってんだろ⁉︎お前過去の失敗を何度も掘り返しやがって!!そんなだからお前は駄女神で一生信者が増えないんだよ!!」

 

「何ですって⁉︎」

 

 カズマのうちなら防衛本能は、何とか言葉を絞り出して、アクアの言い分に反論してみせた。カズマの主張にアクアも喰ってかかるが、カズマの口は止まることを知らない。

 

「事実だろうがアル中クソビッチ!!最近はパーティ内で一番活躍薄くなってる癖に偉そうにしやがって!!信者増やしたきゃその鼻につく態度から何とかしやがれ!!」

 

「わぁぁぁぁぁん!!私ビッチじゃないもん!!アル中はまだしもビッチじゃないもぉぉぉん!!」

 

 カズマの容赦ない暴言の嵐に、遂にアクアは涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら喚き散らす。口がヒートアップしてしまったが故に、カズマは王都内での信用の失墜を防ぐという当初の目的を完全に忘れてしまい、いつものようにアクアを泣かせてしまった。最終的に王都の冒険者達からは白い目で見られてしまったため、これでは本末転倒である。

 聡いめぐみんとゆんゆんは、針のように鋭利に向けられる視線の数々に瞬時に気づき、何とかして誤魔化そうと居心地の悪い空間を破るように本題を切り出した。

 

「と、取り敢えず!!今はカズマの評判なんかどうでもいいじゃないですか!!」

 

「私達を呼んだ理由についてお願いします」

 

「あ、そうだった。元々アクアをいびり倒すのが主題じゃなかったんだった。あれはそう、一昨日の夜だっけか……」

 

 

 

 

「う〜〜〜……崇めたて祀って〜、わたしゃ女神よ〜〜」

 

「コイツ…また見境もなく酒飲みまくりやがって……」

 

 ギルドの宴会での帰り道、カズマは酔い潰れたアクアの介抱をしながら帰路についていた。後ろから香る酒臭い吐息にカズマは度々顔を顰めながらも、王城を目指し薄暗い夜道の中で歩を進める。時々背中で五月蝿い寝言といびきをする青髪(アクア)を背負い投げして酔いを覚ましてやろうかとも思ったが、思うだけで辞めた。

 そんなこんなで道中の一人葛藤がありながらも、無事王城の前までやってきた。

 

「やった…‥遠かった……」

 

 尚、実際にギルドと王城までの距離は遠いというほど離れてはいない。それなのに大層疲れてしまったのはひとえにカズマの体力不足か、あるいはアクアと一緒にいる精神的負担か。

 取り敢えず、帰ったらまっすぐにベッドに向かおう、そして寝てしまおう、そう心に決めてカズマは残りの力を振り絞り、城の門へと向かう。

 

「ん?あれは…」

 

 カズマよりも速く、門をそそくさと通っていった者が1人。顔は確認出来なかったが、空色の服の上に黒いローブを羽織った黒髪という容姿から恐らくであるがその人物はカズマの徒党の一員である百瀬錬太郎に違いない。

 しかし同時に1つの疑問が湧き上がる。こんな夜遅くまで錬太郎はどこに行っていたのか。基本王都に滞在中は余程なことがない限りパーティメンバーは各自自由行動をとっているのだが、アクアのように宴会に赴いていた訳でもないし、めぐみんとゆんゆんの爆裂散歩に同行している訳でもない。ケミー達と行動しているにしても、時間帯があまりにも遅すぎる。

 以前、錬太郎には王都に叔父がいたと聞いていたが、その人物は既に故人。ロード及びネガマスク関連も考えてみたが、それならば皆にケミーライザーを通じて連絡をする筈である。

 

「アイツ…こんな時間まで一体どこに…」

 

 

 

 

「ということがあってだな…」

 

「成程、確かに妙といえば妙ですね。レンタロウは帰りが遅くなる時は基本どこに行くか伝えてから外出しますし、それもなしとなると…かなり怪しいですね!!」

 

 カズマからの話に、めぐみんは顎に手を当てて頭を捻る。ゆんゆんもめぐみんと同じく思考を巡らす中、1つだけ思い当たる節があることに気づいた。

 

「(もしかして、えみりんさんと話し合いしてるのかな…)」

 

 ゆんゆんの中で可能性として挙がったのは、カズマとめぐみんの未来の娘であるえみりんとの関係。彼女は錬太郎と師弟関係であったそうで、話をしている時もどこか錬太郎には心を許しているようにも見えた。

 

「(それだと、私にも連絡来る筈だし……でも、もし錬太郎さんとえみりんさんが2人きりで話し合いなんてあったら…)」

 

 ゆんゆんの胸の内に小さく、されど濃い陰のようなものがこびりつく。やがてそれは心の内だけに留まることは出来ず、ゆんゆんは無意識のうちにスカートの布地を強く握りしめていた。

 

「どうしましたかゆんゆん、なんだか物憂そうな顔して」

 

「ふぇ⁉︎い、いやぁ、なんでもないわよめぐみん!!」

 

 ゆんゆんの変化にいち早く気づき、声をかけるめぐみん。長い付き合いの親友の尋ねにはっとしたのか、ゆんゆんは取り繕うようにしてその場を収めた。

 

「てゆーか、それ錬太郎本人に聞けばいいんじゃないの?」

 

 またも話が脱線しかけそうになった中、本題に終止符を打つかの如く、アクアが至極真っ当な提案を述べる。しかし話はそう簡単ではないのだと、カズマは額に手を当てながら首を左右に振った。

 

「それも考えたんだが、アイツに聞こうと思っても俺が起きた頃にはもうどっかに行ってるんだよ。ちなみに今日も出し抜かれた」

 

「それは出し抜かれたとは言いませんよ」

 

「爆裂ロリはシャラップ!!兎に角、錬太郎が俺達に隠し事なんて、気になるだろう?」

 

「おい爆裂ロリとはどういうことだ!!」

 

「まぁ確かに気になるわね。また背負いこんでた時みたくさせるのも面倒だし…」

 

「皆んなで調べましょう!!」

 

「無視すんなおらーー!!」

 

 怒るめぐみんを他所に、カズマの意見にアクアも賛同を示し、かくして錬太郎の隠し事についての調査が決定した。

 

「とはいえ、先ずレンタロウさんの行き先はどうやって掴むんですか?」

 

「ゆんゆん、そこはご心配なく。錬太郎の行き先を把握してそうな奴に1人当てがいる」

 

 

 

 

『で、僕のところに来たと……』

 

 一度王城に戻った一同は、王城の図書室にて読書に耽っているクロスウィザードことクロっちの下を訪れていた。クロっちは古びた本をパンと音を立てて閉じると、面倒くさそうにカズマ達の方へと視線を向けた。

 

「おう、クロっち。錬太郎の居場所を教えてくれ、もしくは前に見せた残留思念とかから居場所を探る的な魔法で……」

 

『嫌』

 

 カズマの頼みを食い気味に遮るクロっち。彼らしくない反応に動揺つつも引き下がるわけにはいかず、カズマは縋りつき再度懇願を始める。

 

「なんでだよ⁉︎いいだろ別に⁉︎俺達の仲だろ⁉︎錬太郎に隠し事があるのは同じ徒党としてもどうかと思うんだ!!」

 

『あのねぇ、君達。錬太郎は王都で舞との束の間の再会を楽しんでるんだ。そこにわざわざ水を差すというのはナンセンスだとは思わないかい?』

 

 

 

「「「「マイ?」」」」

 

 クロっちの出した舞という名前を、皆驚いた口調で復唱する。そして各々がその舞なる人物の考察を始めた。

 

「マイって誰だ?名前からして女性だよな?でもどっかで聞いたような……」

 

『舞は錬太郎のお母……』

 

「妹なんじゃないかしら?ほら妹が実はいました、とかよくある展開じゃない」

 

『いやアクア、舞は…』

 

「もしくは、錬太郎のお姉さんの可能性もあり得るか……まぁこっちもベタな展開っちゃ展開だけど……」

 

『いやカズマ、だから…』

 

「ふっふっふっ…カズマもアクアも甘いですね。一番肝心な可能性が抜けてますよ」

 

 アクア、カズマと続いて意見が飛び交う中、めぐみんはトンガリ帽子を深々と被りながらちっちっちっと人差し指を左右に揺らす。帽子の隙間から見え隠れしている紅い瞳を輝かせ、めぐみんは自信満々に自身の憶測を語った。

 

「ズバリ、そのマイという人物は……

 

 

 

レンタロウの婚約者ですよ!!」

 

 めぐみんの憶測に、クロっちを除くその場の一同は全身を雷に打たれたかのような衝撃を受ける。その反応は予想通りとばかりにめぐみんはニヤリと笑い、話を続けた。

 

「婚約者との関係なんていくらレンタロウといえども我々に打ち明かすにはデリケートな内容!!故に、ひっそりと会いに行くのは必然といえないでしょうか?」

 

「そうだわ、その可能性があったわ!!」

 

「これこそ王道のやつじゃねぇか…将来を誓い合った婚約者…前世でラノベ沢山呼んでたのに全然思いつかなかった……」

 

『(もういいや…)』

 

 めぐみんの推察にカズマとアクアが舞い上がる中、真実を知るクロっちは最早呆れてものも言わず、再び読書へと戻った。

 

「……むぅ」

 

 そんな中、ゆんゆんは1人何か不満そうにしていたが、彼女の変化に気づく者は誰もおらず、皆舞についてしか頭の中になかった。

 

「そうと決まれば!!早速確認しに行くぞ!!」

 

「とはいってもどうすんのよ?行き先わからないんでしょ?」

 

「そこが問題なんだよなぁ…ケミー達も基本錬太郎かアイリスの元にいるし…アイリスの近くでケミー達に頼るところを見せるのもなんというかちょっと情けなく映りそうで…」

 

「全く…変なところでヘタレですね。ていうか、ケミーライザーで各々の位置を共有できるんじゃないですか?」

 

「あっ」

 

 めぐみんの指摘に、カズマはケミーライザーの機能を思い出す。殆ど連絡機能としてしか使ってこなかったが故に、他の機能についてすっかり忘れかけていたようだ。

 

「なんだったんですかこの時間…」

 

 

 

 

 ケミーライザーを通じて錬太郎の居場所を割り出したカズマ達はとある場所へと向かった。その場所とは、

 

「病院か…。前のアルバさんのいたところとはまた別にもあったのか……」

 

「レンタロウがいるのは…‥3回の部屋ですね」

 

 王都の中にある病院。この病院はエリス教の支援もあって、王都の中で数ある病院の中でもかなり大きな部類に入る。そのため必然的に階段も多く、怠け癖のあるアクアはすぐに息を切らしていた。

 

「ハァハァ……階段登るのって意外とキツいのね……」

 

「おいおい、これくらいでバテるなよ。カエルから逃げてる時の体力はどうしたんだよ」

 

「あれは火事場の馬鹿力ってやつよ。人間も女神も、死の淵に追いやられると物凄い力が発揮できるってあれよ」

 

「アクアの言うことはよくわかりませんが、着きましたよ」

 

 目的の3階へと到着し、ケミーライザーを頼りに錬太郎のある病室へと向かう。そしてこっそりと病室の前まで辿り着くと、カズマがこっそりと病室の扉を開けて、中を覗き見した。

 

「う〜ん、レンタロウと話している人は……」

 

 部屋の中は白い壁で覆われており、小さな机と椅子、そしてベッドがあった。机の上には数冊の本と赤い色の花が咲いた花瓶があり、錬太郎は椅子の上に座っていた。

 ベッドには入院着を着ている幼い顔立ちをした長い黒髪の女性がおり、錬太郎と楽しそうに会話を弾ませていた。恐らくこの女性がクロスウィザードの言っていた舞なのだろう。そして舞は、話をする中でボディタッチを何度かしており、錬太郎もまんざらではなさそうだった。

 

 

「姉さんという割には幼い顔立ち……」

 

「妹にしてはベタベタしすぎ……ということは……」

 

 病室から覗き見た光景からカズマ達は舞と錬太郎の関係について1つの答えを導き出す。

 

「「「やっぱり婚約者⁉︎⁉︎⁉︎」」」

 

 めぐみんの考えがやはり正しかったのではと、3人は一緒に舞い上がる。ゆんゆんは相変わらずどこか不服そうにしながら錬太郎と舞のやり取りを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ?外が騒がしいなぁ……」

 

 病室の外から聞こえるカズマ達の声に、何も知らない錬太郎は思わず顔を向けた。

 

「あら?親子水入らずの場なのに外が気になっちゃう?」

 

「いや…そういうわけじゃ……」

 

「ふふ、冗談よ。それにしても、なんか変わったわね…」

 

 口元に手を当ててクスクスと笑う母に、錬太郎は困ったように笑う。

 

「そうかな?服装とかあまり気にしたりしてないけど……」

 

「身なりのことじゃないの。なんというか雰囲気というか、憑き物がとれた感じというか」

 

「まぁ、最近手紙書けてないけどその間に色々あって……僕、アクセルの街でパーティ組んでさ!!皆いい人達で、毎日がそれなりに楽しくて…」

 

 夢中になって自分のことを饒舌に語り始める錬太郎に、舞は思わず目を丸くする。しかし、自分の子供が生き生きしていることが余程嬉しいのか、顔を優しく破顔させると、穏やかな口調で話を再開した。

 

「楽しいなんて…貴方の口から聞くなんて久しぶりだわ。良かった、本当に……」

 

 か細くなっていく声には、後悔の念が滲んでいた。もしも自分が今も元気なままだったら、少しでも息子の負担を減らせていたのでは、そう思って仕方なかった。

 舞はそっと錬太郎の方へ寄ると、優しく腕の中へと招き入れた。錬太郎も懐かしい母の腕の中で自身の身を委ねた。

 

「ごめんねぇ…私が弱かったから、貴方に背負わせるような形になっちゃって……」

 

「気にしてないよ、僕が選んだ道だから…僕が折れずにここまで来れたのは、母さんみたいに信じてくれる人や仲間達がいてくれるから……」

 

「強くなって…しまったのね……」

 

 息子の成長に舞は一筋の涙を溢し、同時に頬を綻ばせる。そして抱擁を終えて錬太郎の肩を力一杯叩き、これからまた激戦へと足を踏み入れるであろう我が子を激励した。

 

「でも、辛くなったらいつでも来なさい。来れない時は、貴方の仲間やケミー達にも相談して。1人で抱え込まないように」

 

「うん」

 

「私は、いつだって貴方の味方だからね……」

 

 

 

 

 

「じゃあ、また来るね」

 

 束の間の親子の時間を過ごし、錬太郎は病室を後にする。舞は錬太郎がいなくなったことを確認すると、溜息を1つ溢しながら招かれざる者達へと声をかけた。

 

「今日は、お客さんが多い日ね」

 

 舞の声に、潜伏スキルで身を隠していたカズマ達は思わず身震いをする。まさか、自分達がいることに勘付いているのかと。

 

「潜伏スキルでしょ?わかってるわよ。ずっと錬太郎との会話も聞いてたのでしょう?」

 

 スキルまで言い当てられてしまい、最早隠れていても意味がないと悟ったカズマ達は潜伏を解除し、いそいそと病室の中へと入っていく。

 

「え、ええっとぉ、お邪魔します……」

 

「全く、盗み聞きとは関心しないわねぇ…」

 

 ベッドの上で腕を組みながら、舞は睨むようにしてカズマ達を見据える。舞から漂う気迫と威圧感に、思わずカズマ達は怖気を抱いた。まるで蛇を睨む蛙を彷彿させるような鋭い眼光に、観念して一同は頭を下げた。

 

「す、すみません!!で、でもその、あの…れ、錬太郎はうちのパーティメンバーでして……最近連絡もなしにどっかふらっと消えちゃってたので気になって……

その、錬太郎と恋人である貴方の仲を覗いてしまって大変申し訳ございません!!」

 

 端から見ても見苦しい言い訳を並べるカズマ。しかし舞からの返事はない。怒っているのか呆れているのか、恐る恐るカズマが面を上げて舞の顔色を伺うと。

 

「あ、あの……」

 

 舞の顔は怒りでも呆れでもない、完全に理解をしていない間抜けな表情をしていた。数秒程してカズマの言ったことを把握出来たようで、

 

「ぷっ、あはっ、あっはっはっはっは!!」

 

 白く綺麗に並んだ歯が良く見える程の大笑いを始めた。何がそんなに可笑しいのかわからず今度はカズマ達が呆けた表情になってしまう。

 やがてひとしきり笑い終えた舞は、思わず込み上げてしまった涙を拭いながらようやっと口を開いた。

 

「恋人……そっかそっか、いやでも私37よ?そんな童顔かしら?あはは、息子の恋人と思われてたなんて……」

 

「え……?息子…?」

 

「あら、錬太郎から聞いてないの?あの子ったら、身内関係は話してないのかしら?まぁ、錬太郎は率先して話すような性格じゃないからね……」

 

 こほんと咳払いを挟み、舞はベッドの正座をしてカズマ達の方へと向き直る。そして静かに頭を下げると丁寧に自己紹介を始めた。

 

 

「どうもこんにちは、錬太郎の親友さん達。私の名前は百瀬舞。錬太郎の母親です」

 

 舞からの挨拶に皆は完全に固まる。暫くして漸く全て飲み込めた一同は、驚きのあまり病院の中だというのに大声を上げてしまうのだった。

 

「「「「ええええええええ⁉︎⁉︎⁉︎」」」」




この世界での22歳で子供が産まれるってまぁまぁ遅い部類に入るんですかね?
結婚が大体14から可能みたいなことを原作でゆいゆいさんが言っていた気もしますが…
因みに舞の名前自体はズキュンパイアが錬太郎の過去を話した際に一瞬だけ出されていますが、カズマ達は完全に忘れています。ゆんゆんはその場にいなかったので知りません。
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