この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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お久しぶりです


入れ替わり⁉︎

 王城から暫く離れた古びた闘技場。取り囲むような大きな石壁に全体が囲まれたこの場所は、ベルゼルグ王国の所有地であり近衛兵達や上級冒険者達が戦闘訓練に用いる場所である。

 そして現在、この場所にはベルゼルグ王国の王女アイリスとその側近であるクレアとレイン、アイリスの模擬戦相手として百瀬錬太郎とその仲間であるケミー達が集まっていた。

 

「では、錬金戦士の状態でお願いします」

 

「了解、変身!!」

 

 アイリスの要望に優しく頷くと、錬太郎は腰に装着されたガッチャードライバーのレバーを操作して多重錬成を開始する。刹那、ベルトにて出力された2体のケミーの力が錬金術によって混ざり合い、それによって生成された鎧が錬太郎の全身を覆い尽くしていく。

 

『ガッチャーーンコ!!アッパレスケボー!!』

 

 武者鎧を彷彿とさせる紅蓮の装甲に身を包み、右手に弓兼斬撃武器であるガッチャートルネード、左手に十字を模した外見に鋭利な刀身を備えたエクスガッチャリバーを携える。

 

仮面ライダーガッチャード アッパレスケボー である。

 

「失礼します」

 

「遠慮なくどうぞ」

 

 戦闘態勢に移るガッチャードを前に、アイリスも王家に伝わる剣『なんとかカリバー』を構える。いまかいまかと、クレアとレインが試合の開始を固唾を飲んで見守る中、遂に両者の戦闘の火蓋は切って落とされた。

 

「ハァ!!」

 

 地を蹴って一瞬の内にアイリスがガッチャードへと肉薄、流石の身体能力。日本よりアクアから招かれた転生者の血を引いているだけのことはある。加えて得物を扱う速度も凄まじく、華奢な身体から繰り出される剣の側面はガッチャードの顔面へと迫っていた。

 

「……やはり止めますか……」

 

 寸前のところでガッチャードは左腕に収まっていたエクスガッチャリバーの刃で、アイリスのなんとかカリバーの一撃を受け止めていた。しかしそれでも尚威力は凄まじかったのか、ガッチャードの左腕は痺れ震えていた。

 

「ヒヤヒヤしたよ……でも今の剣はどのみちぎりぎりで止めるつもりだったでしょう?」

 

 ガッチャードの指摘は的確だった。アイリスの心臓が一瞬勢いよく脈打ち、額より流れる一筋の汗がシミひとつない白皙(はくせき)の頬を伝った。

 

「ど、どうしてわかったのですか?」

 

「なんとなく……場数を踏んできた勘というか……まぁとっさに防衛本能で弾いちゃったけど……」

 

 アイリスの問いにガッチャードは穏やかな口調で答えた。質問が終わり、ほんの少しの間が空く。その間にガッチャードは痺れの残る左手首を軽く振り、アイリスもなんとかカリバーの柄を小さな両手で握り直した。

 

「では、次は本気で行きます!!」

 

 発声と同時に、アイリスは力強く踏み込む。次の瞬間、銀色の刀身が放物線を描きながらガッチャードへと迫る。鋭い一閃、そして迷いのない軌道。王族としてではなく、一人の剣士として磨き上げた技。

 しかし、

 

「ぐっ……重いね」

 

 ガッチャードはアイリスの一撃を押し返した。右腕に携えしガッチャートルネードで。弾かれた反動にてアイリスは空中へと吹き飛ばされるも、即座に体勢を立て直して着地、その後間髪入れずに再度ガッチャードの懐へと迫る。

 

「ハァ、ヤァ!!」

 

 小さな体躯からは想像も出来ない激しい連撃。横薙ぎ、突き、斬り上げ、次々と繰り出される攻撃を、ガッチャードは最小限の動作でなんとか相殺し続けるが、猛撃に次ぐ猛撃に否応にも隙は生まれてしまう。

 痺れの取れないでいた左手の握力が尽き、エクスガッチャリバーがガッチャードの手元からこぼれ落ちる。その一瞬の隙をアイリスは見逃さず、勝負に出た。

 

「そこです!!」

 

 アイリスは勢いよくなんとかカリバーを振るい、ガッチャートルネードもガッチャードの手元から吹き飛ばす。完全に丸裸同然となったガッチャード目掛け、アイリスの真っ向斬りが襲いかかる。

 

「『万物はこれなる一者の改造として生まれうく』」

 

 万事休すと思われたその時、ガッチャードは両手を前に出して錬金術の呪文を詠唱した。刹那、地面に転がっていた無数の石ころが液状に変化して収束、やがては大きな盾を形造り、アイリスの目の前へ立ち塞がった。

 

「錬金術ですか…ですが!!」

 

 アイリスは己の剣に強大な魔力を込める。銀色の刃が青白く輝き、同時に強大な力が解放され、大盾に向かって振り下ろされる。元々の威力に、王族の絶大な魔力も加わった一太刀は盾に亀裂を刻み、粉々に粉砕してしまった。行手を阻む障害がなくなり、今度こそ自身に軍杯が上がる。

 そう確信したアイリスだったが、

 

「なっ⁉︎」

 

 なんとかカリバーの刃はガッチャードの両手の平で挟まれ、受け止められていた。盾を錬成しその盾が壊されるまでほんの数秒もなかった。だというのにガッチャードはアイリスの剣を防御してみせた。

 なんという動体視力。なんという反射神経。手応えのあった今の一撃を止められてしまったことに、アイリスは驚きを隠さなかった。

 

 

 

 

 

「「ありがとうございました」」

 

 錬太郎が変身解除した後に互いに一礼し、模擬戦が終わる。組み手といえど相当な激戦であったことに変わりはなく、錬太郎は額の汗を拭い、アイリスも見るからに脱力していた。

 

「錬太郎殿は2年前に数多の錬金術師達を退けた噂に違わぬ実力だった。それにしても、アイリス様のあの一撃をよく止めましたね……」

 

「あれは私もアイリス様が決めたと思ったのですが……」

 

 アイリスの側近であるクレアとレインも最後のガッチャードの防御の仕方には舌を巻いた様子。

 

「とはいえあれは危なかったですよ。今回は上手くいっただけで、普通なら多分食らってると思いますから……」

 

「そこも、経験があったからでしょうか?」

 

「そうですね……、でもアイリスの剣捌きも見事だったよ」

 

「れ、錬太郎殿⁉︎アイリス様に対して呼び捨てなど……」

 

「いいのですよクレア、私が許可しておりますから」

 

 王女に対して呼び捨てをする錬太郎に、事情を知らなかったクレアは一瞬咎めようとするも、アイリス本人からの許しにより、それでも思うところはあるものの、一応は納得してくれた。

 

「では、そろそろ王城に戻りましてお昼にしましょうか。テレポートを使用するので私の近くまでお越し下さい」

 

「それでしたら、僕も厨房のコックさん達のお手伝いをしましょうか?料理好きなので勉強もしたいです」

 

「ええ、あそこの人達は優しいのできっと許可してくださると思いますよ。では、『テレポート』!!」

 

 レインの指示により一皆が一箇所に集まり、彼女が魔法を唱える。レインを中心に、足下に大きな魔法陣が出現し、闘技場から王城へと一同を移動させたのだった。

 

 

 

「はぁ〜あ、王城に1人……。いやグータラ出来るのは最高なんだけど……最高なんだけどもよぉぉぉぉ………」

 

 時間と場所を遡り錬太郎とアイリスが手合わせをしている頃、王城では1人残されたカズマが口を溢しながら自室でゴロゴロとしていた。

 独り言を垂れ流しながらやる気がなさそうにグダグダとするその様は、アクアが常々罵倒に使うヒキニート其の者だが、カズマにその自覚はなかった。

 

「王城のメイドさんが言うにはアクアはダクネスと一緒に王都の市街地に出かけてるみたいだし、めぐみんはゆんゆんと一緒に爆裂散歩に向かったらしいし……なんで起こしてくれなかったんだよ…ったく。……別に寂しいとかじゃねぇーし?」

 

 この世界にやってきたからというもの、引きこもり時代とは打って変わり、様々な人達との交流を持って来たカズマ。転生前は何処か鬱陶しいと感じていた人間関係にも、今になっては時に寂しさを少し持つくらいには楽しみを見出しているようである。

 

「暇だしなんか適当にスキル使ってみるか……」

 

 カズマは1人の際、冒険者として覚えたスキルを試して時間をよく潰す。今回も軽い気持ちで発動したのだが、スキルを用いたその瞬間、カズマの表情が一変した。

 

「ん?敵感知に反応が……⁉︎」

 

 だらけきっていた己の身体を跳ね起こし、周囲へと鋭く視線を走らせる。今の反応は気のせいではない。王城の中に、明らかに“部外者”の気配がある。

 カズマが急いで外を出ると、王都の見回りから帰って来たであろう2体のケミーと運良く遭遇した。

 

「サスケマルにジャングルジャン!!丁度いい、城に侵入者が現れたっぽいんだ。悪いけど力貸してくれないか?」

 

 カズマからの話に一瞬驚いた素振りを見せるサスケマルとジャングルジャン。しかしすぐさま状況を理解すると、彼等はケミーカードへと姿を変え、カズマが携えているケミーライザーへ身を預ける。

 

『ケミーライズ!サスケマル!』

 

 ケミーライザーに装填されたサスケマルの力が解放され、カズマの身体に変化が走る。次の瞬間、彼の姿は一気に加速した。

 

「おお〜、速い速い!!身体がとっても軽いぜ!!」

 

 慣れない力に戸惑いながらも、一瞬に適応してみせるカズマ。その機動力は確かだった。王城の木々や草間を駆け抜け、気配を追う。そして到着したのは城門の手前。

 

「え〜っと敵感知が反応したのはここら辺……」

 

 刹那、近くの物陰から動く者の気配を感じ取るカズマ。そこからは一瞬だった。

 

「そこか!!」

 

『ケミーライズ!ジャングルジャン!』

 

「絶対逃さねぇぞ、『バインド』!!」

 

 ケミーライザーに再びカードを装填し、力を解き放つ。地面から深緑の蔦が無数に出現して気配の主の拘束を始める。念には念を入れて、盗賊スキルの1つである「バインド」まで発動し、侵入者の身動きを完全に封じてみせた。

 

「ひぇ⁉︎ちょ、ちょっとぉぉぉ⁉︎」

 

「観念しやがれい!!目的は何だ?魔王軍のスパイか?…って」

 

 拘束した者に問い詰めようとした瞬間、カズマの言葉が詰まった。捕えた人物は、カズマにとって見覚えのある顔。短い銀髪に頬には特徴的な刀傷。

 カズマに盗賊スキルのことを教えてくれたダクネスの親友、クリスだった。

 

「クリス⁉︎お前なんでここに⁉︎」

 

「カズマくん⁉︎いやぁ、そのぉ……」

 

 何か理由があるのか、クリスはしどろもどろとしながらカズマへの返答に迷っている。

 まさかクリスが、幾分か常識があると思っていた彼女がこんな汚れ仕事に手を出すなどと、失望からか呆れからなのか、カズマは冷やかな視線を向けていた。

 

「そそそ、そんな目しないでよ⁉︎これにはちゃんと理由が……」

 

「人の目掻い潜って王城に侵入することに正当な理由があんのかよ」

 

「うっ……それ言われちゃおしまいだよ……じゃなくて、エリス様からの天啓を受けたんだ!!」

 

「え、エリス様って、あのエリス様?」

 

「うん。エリス教徒の中には天啓を授かる信仰者が何人かいてね。あたしはエリス様から神器の回収を命じられているの」

 

「神器?」

 

 クリスの口から立て続けに綴られる情報の数々に、カズマは頭の上で疑問符を浮かべる。そんなカズマにクリスは、わかりやすいように1つ1つ丁寧に説明を開始した。

 

「エリス様曰く、カズマくんみたいに日本から転生してきた人達がこの世界で一生を終えた後も、神器はこの世界に残り続ける。そしてそれは時として悪用されることもあるんだ。だから、今回もその神器のある王城へやってきたんだよ」

 

 話を聞いて成程とカズマは首を縦に何度か振る。因みにクリスの話した内容は殆ど事実だが、一部偽りがある。

 それはクリス自身がエリスの天啓を受けた信者ではなく、クリス自身が神器を回収するために現世に降り立ったエリス本人であるということだ。

 

「(まぁ、本当はその仕事はアポロス先輩のだったんですけどね……。上司から別の仕事を任されちゃったから私が行く羽目に……)」

 

「そうかそうか……ん?でも何でクリス、俺が日本人なんて知ってるんだ?お前に俺そのこと話したっけ?」

 

「あっ⁉︎」

 

 カズマの指摘に、クリスの顔面は一瞬にして青白い色に変わる。カズマが日本人という情報は彼女がエリスとしての立場で得た情報。うっかりしていたばかりに思わぬところで足下を掬われてしまった。

 

「(や、やってしまった〜。こういう時のカズマくんは鋭いから…)」

 

「もしかして

 

 

 

 

 

それもエリス様に聞いたのか?」

 

「そ、そうだよ⁉︎流石カズマくん、賢くて助かっちゃうなぁ〜⁉︎」

 

「いやぁそれほどでも」

 

 自身がエリスであるということを突き止められなかったことに、クリスは胸の内でひどく安堵した。そして話題を逸らすべく、クリスはカズマに話を続ける。

 

「で、なんだけどさ。君がここにいるということは、恐らくだけどせんぱ……アクアさん達、ひいては錬太郎くんもいるわけだよね?」

 

「え?お、おう」

 

「成程、そうだとしたら神器を盗むのがかなり面倒だなぁ。あ!!」

 

 何を思いついたのか、クリスは口元を歪め、鋭い眼光でカズマを捕らえる。いつも穏やかな笑みしか浮かべないクリスとのギャップに、カズマは蛇に睨まれた蛙の如く固まってしまった。

 

「な、なんだお前⁉︎急に悪い顔して」

 

「ふっふっふっ……カズマくん、あたしのやることを君は全部聞いてしまったよね?」

 

「……?そうだけど」

 

「つまり、君はもう共犯者ということだ。というわけで、あたしと神器盗むのに協力してくれないかな?」

 

 クリスからの提案にカズマは完全に固まり、黙り込む。そして漸く理解が追いつくと、勢いよく声を荒げた。

 

「はぁ⁉︎おいおい、暴論がすぎるだろ⁉︎だいたい、俺なんかより錬太郎を誘った方が……」

 

「いやぁ、彼はどんな理由であれ盗みに手を染めることは絶対にしてくれないだろうし、後仮に引き受けてくれたとしてもケミー達とかにバレそうだし……」

 

「ああ、確かに……。あいつ意外と隠し通すの下手だもんなぁ」

 

「というわけで、カズマくんお願い!!あたしの知ってる伝手で頼れるのは君しかいないんだ」

 

 クリスは乞うように上擦らせた声でカズマに頼む。瞳を潤ませた上目遣いも加わり、案外優しいカズマは心の中で1人葛藤する。もう一押しと、クリスはカズマに揺さぶりをかけた。

 

「もし協力してくれたら、エリス様から何かご褒美貰えるかもよ?」

 

「マジで⁉︎」

 

「マジです」

 

 カズマの瞳が爛々と輝く。完全にこれは協力してもらえるだろうと、クリスは心の中でガッツポーズを浮かべた。

 しかし希望が見えて来た矢先、

 

「おい、そこで何をしている!!」

 

 逞しい声と共に、王城を巡回していた兵士達が現れた。彼等はカズマと拘束されたクリスを見て、どよめき始めた。

 

「カズマ殿⁉︎これは一体……?まさか、女性冒険者に手を出そうと……」

 

 端から見れば誤解を招きかねない状況。そしてここは王都。アクセルのように誤解が笑い話で済まされず、下手すれば冒険者及び人生終了になりかねない。

 そんな最悪な事態を回避すべく、カズマは自身にとって最善の策に出た。

 

「違います!!この人盗人です!!王城に許可なく侵入した不届者です!!」

 

「ちょっとぉぉぉぉ⁉︎⁉︎」

 

「俺が見つけて取り押さえた限りです!!」

 

「な、なんと?疑って申し訳ない。さぁ盗賊をこちらに……」

 

 何とこの男、クリスを引き渡し己の保身を選択したのだ。しかも一言一句嘘は言っていない。言われるがまま、クリスは兵達に渡され牢屋のある所へと連行されてしまった。

 

「(クリス悪い……。でも、俺はクリスがなんとか逃げ出せると信じてるぜ……)」

 

 振り向き様に睨んでくるクリスに、カズマは幸運を祈るという意味でサムズアップを送る。しかしクリスにその意図は伝わらず、返って神経を逆撫でしてしまい、クリスは額に青筋を浮かべたのだった。

 

 

「(カズマさん、ついでにアポロス先輩。私は貴方達を恨みます……)」

 

「へくち、誰か私の噂してるのかしら?まぁいいや」

 

 その頃、天界にて仕事をしていたアポロスがくしゃみをしたそうだとか。

 

 

 

 

 

「カズマ、ただいま」

 

「おう錬太郎、おかえり。アイリスも」

 

 クリスを引き渡した後、戻って来た錬太郎達をカズマは出迎えた。

 

「ただいま戻りました、お兄様」

 

「訓練は終わったのか」

 

「うん、アイリスはとっても強かったよ」

 

「いえいえ、錬太郎様にはまだまだ及びませんよ。そういえば、さっきお兄様も城に侵入した泥棒をとっ捕まえたのでしょう?流石です」

 

「え、ああ。そう、そうだな……」

 

 アイリスからの賛辞に、カズマは笑みを形作るも素直には喜べない。幾ら鬼畜と言われる彼でもクリスの身は案じている。罪悪感から逃れるべく、カズマはアイリスに話題を振ることにした。

 

「そういえばアイリス、前から思ってたけどそのネックレス随分高価そうだな……」

 

「はい、これは私の本当のお兄様から預かったものです。何やら不可思議な文字が彫られているのですが、何と読むのかまではわからなくて……」

 

「何何?『お前のものは俺のもの。俺のものはお前のもの。お前になーれ』ってあるぞ?」

 

 ネックレスの文字を詠唱したその瞬間、辺りが眩い光に包まれカズマとアイリスの視界が歪む。光が収まると同時、両者はお互いの身体に違和感を覚えた。

 

「う、う〜ん。何だったんだ……えっ、俺が目の前にいる?それに何か視界が狭くなっているような……」

 

「えっ、私?」

 

 アイリスの一人称が俺、カズマの一人称が私になり、口調も両者のものが反対になっている。困惑する2人の状況に錬太郎は違和感の正体を理解し、口元に手を当てながら指摘した。

 

「もしかして2人、入れ替わっちゃったの⁉︎」

 

 

 

 

所変わって、薄暗い何処かの研究室。しばらく動きを見せていなかったロード達だが、ロードは勝手な行動をした挙句、ガッチャードに敗北したネガマスクの1人、フィーラーに数日間拷問を行っていた。

 

「あ〜あ、フィーラー姐さんかわいそ〜。もうずっと手足縛られてマスターから電撃喰らわされてんじゃん。そろそろ限界みたいだけど……」

 

 他人事のように語りながらアナザー錬太郎は、仕留めたモンスターの手足の肉を頬張り、遠くへ視線を向ける。アナザー錬太郎の瞳の先では、立腹した様子のロードと、磔にされて、眼光と生気を完全に失っていたフィーラーがいた。

 

「あ…あ…」

 

「これで少しは反省したか?いや、二度と勝手な行動をさせぬよう、じっくりと身体に刻み込んでおかねばならんなぁ」

 

 ロードは懐からオカルトケミーのレベルナンバー8、ジャマタノオロチの封印されたケミーカードを取り出し、フィーラーの目の前に掲げた。

 

「『暗黒に、染まれ』」

 

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 ロードが詠唱を開始すると同時に、禍々しい漆黒がフィーラーとジャマタノオロチを取り込み、悪意の化身マルガムを形造り始めた。

 

『ド、ドラゴ……』

 

 マルガム誕生の瞬間を前に、動揺して固唾を飲む存在が一つ。ロードによって監獄に捕えられ、自由を奪われたレベルナンバー10にして原初のケミーの一体、「ドラゴナロス」。




久々の投稿になってしまい申し訳ございません。
ロードサイド久々に描写しましたので、忘れられてないか心配です。一応ドラゴナロスの捕獲に関しては、79話にて言及されております。

次話は1週間以内に投稿できるよう頑張ります。
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