この素晴らしい世界にCHEMY×STORYを!   作:山田プロキオン

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このすばの原作キャラの良さを引き出しつつ、ガッチャードの要素も絡めていくのは大変ですが、楽しく感じます。


闇夜を照らすスマホタル/アイツの戦いと俺の戦い

月夜の晩。救いを求めて彷徨う霊や人魂が集まる共同墓地にて、ニンジャマルガムとガッチャードは互いに睨み合い、火花を散らす。その様子を遠くから眺めているカズマ達は戦闘が始まるのはいつか、いつか、とソワソワとしている。

 

『ワオ〜ン!』

 

彼らの気持ちを代弁するかの如く、遠くから狼の遠吠えが響いた。遠吠えは法螺貝のように重々しく、そして低く轟く。それを合図に両者は地面を蹴って、お互いに向かって走り出した。

 

ニンジャマルガムは背中の刀を取り出して、ガッチャードに向かって、力強く振り掛かる。日本刀由来の柔軟かつ重く、鋭い一太刀。掠っただけでも受けた者の身体に大きな傷害をもたらすだろう。

 

ガッチャードはそのことを把握しているため、左腕を盾のように構えて斬撃を防御する。ニンジャマルガムも負けじと防御によって弾かれた刀を、より勢いをつけて振りかぶる。ガッチャードも咄嗟に右腕を構えてこれまた攻撃を防いだ。

そして再び刀が反発した瞬間に生まれた一瞬の隙。ガッチャードはそれを見逃さず、左足に勢いをつけてマルガムを力強く蹴り飛ばす。

吹き飛ばされ、狼狽するマルガム。体勢を立て直すべく、手裏剣とクナイを飛ばして、ガッチャードを牽制する。

ガッチャードは己に迫る手裏剣とクナイを見据えながら、新たに2枚のカードを取り出してベルトに装填する。

 

『ガッツショベル!』『ドッキリマジーン!』

 

『ガッチャーーンコ!ドッキリショベル!』

 

直後、手裏剣とクナイはガッチャードに直撃して爆発を起こし、土煙が舞った。

 

「フフフフ…我が力…思い知ったか…」

 

マルガムは爆発した方を眺めながらニヤニヤと下衆い笑い声をあげる。

しかし、

 

「ば⁉︎バカな…」

 

晴れ渡った霧から現れた存在に動揺した。そこには姿を変えながらも堂々と仁王立ちしていたガッチャードがいたのだから。

 

シルクハットとオペラグラスを想わせる頭部の装飾と、両腕に円匙の如き武装『マジカルバケット』を身に纏った紫の姿

仮面ライダーガッチャード ドッキリショベル

 

「今度はこっちの番だ!」

 

ガッチャードは腕を大きく振って、マジカルバケットで地面を大きく抉る。そして掘られた土は無数の岩石へと錬成されて、ニンジャマルガムへと向かっていく。

 

「なんの!ゆけ我が手裏剣よ!そして、火遁の術!」

 

ニンジャマルガムも対抗して手裏剣を飛ばして岩石を破壊しようと試みる。

互いに相殺される手裏剣と岩石。

追撃するように怪物の腕からは炎が放たれた。

炎は容赦無くガッチャードを襲うが、そんなことで怯むガッチャードではない。

ガッチャードの各部装甲は、特殊な素材により構成されており、並の攻撃では傷一つつかず、さらにはあらゆる環境下でも基本的には活動できるように身体を調整する。

炎の中を駆け抜けて、一気にマルガムへと接近すると、マジカルバケットによる打撃をマルガムの腹部へと炸裂させる。風を切り、勢いの乗った重い一撃はマルガムに膝をつかせるには十分な威力だった。

 

しかしマルガムもタフである。腹を抑えながらも刀の斬撃を飛ばした。雷電の如き速さで迫る三日月状の鋭い太刀筋。その斬撃を前にガッチャード

は仁王立ちのまま動かない。刹那、ガッチャードの肩部装甲『トリックムーブ』から大量の風船が出現した。

 

「「「「「「「何(だ)(ですか)それは⁉︎」」」」」」」

 

これにはマルガムはもちろん、クロっちを除く観戦していたパーティーメンバー達やウィズからも驚きの声が上がる。

 

風船は風に乗って移動し、斬撃とぶつかると、破裂して大量の煙幕が張られる。墓場は大量の煙に覆われ、その場にいる者達の視界を完全に遮る。辺りを見回しても煙だらけ。となれば、ガッチャードとマルガム、どちらが先に己の敵を捉えるかが勝負となる。

 

「くぅ…どこだ?何処に行った?」

 

「こっちだよ!」

 

後ろから声がする。マルガムが振り向くとそこには回転しながら右足を振り上げているガッチャードが。

 

「喰らえ!」

 

「ぬぁぁぁぁ!」

 

ガッチャードの回し蹴りがマルガムに炸裂し、マルガムは悲鳴をあげる。遠心力を利用した強力な一撃はその威力の高さたるや、マルガムを宙へと飛ばす。

 

「一気にいくぜ!」

 

ガッチャードはベルトを操作して必殺体勢に移る。両腕のマジカルバケットにエネルギーが集まっていき、やがて巨大なショベルを形成する。

 

『ドッキリショベル!フィーバー!』

 

そして両腕を振り下ろし、巨大なシャベルでマルガムを地面へと叩きつける。高所から繰り出された一撃により、直撃した地面には大きなクレーターが生まれ、衝撃波と土煙が舞う。

 

「う…うぅ…」

 

必殺を受けたマルガムは満身創痍である。おそらく抵抗する術は、もう残っていないだろう。ガッチャードは確実にマルガムを人間とケミーに分離するため、怪物の元へと歩み寄った。

 

 

「やりましたよカズマ!レンタロウが勝ちました!」

 

「ああ、一時はどうなるかとヒヤヒヤしたぜ…」

 

「よかった…」

 

カズマとめぐみんはガッチャードの勝利を喜び、ゆんゆんは錬太郎の無事を安堵する。しかし…

 

「やっと終わったわね!てっきり第二形態みたいなやつとかがあると思ったけどそんな感じなくて良かったわ!」

 

「お前!なんでそんなフラグみたいなこと言うんだよ!」

 

アクアが特大のフラグ発言をかましたのだ。ここで一つ添えておこう。アクアは水の女神にも関わらず、幸運値が物凄く低いのだ。

 

「ヴ…まだだ…」

 

彼女のフラグ発言に呼応するかのようにマルガムはヨロヨロと立ち上がる。一体どこにそんな力があるのか、火事場の馬鹿力か、それとも不運な女神がまいた種なのか…

 

「ふざけんな駄女神!お前のせいで怪物復活してんじゃねーかよ!」

 

「何よ!私のせいだって言うの!アイツがタフなだけでしょ!」

 

「お前がフラグ発言さえしなければあのまま錬太郎が止めさして終わったろうが!どれだけウチに不利益もたらせば気が済むんだこの厄病神が!」

 

「うわぁぁぁん!カズマが!カズマが言っちゃいけないこと言った!私女神なのに!迷える子羊を導く清らかな女神なのに!」

 

カズマの容赦ない口撃に泣きじゃくりながらも、彼の胸ぐらを掴んで怒るアクア。そんな2人を見て近くのメンバー達は慌てふためいている。

そんな状況などお構いなしに、マルガムとガッチャードの第2ラウンドが幕を開けた。

 

「いくぞ!分身の術!」

 

忍者といえばのお決まり、テンプレともいえる忍術を発動するマルガム。途端、マルガムは3人になり、鳥篭のようにガッチャードを包囲する。

 

「続けて…影渡りの術!」

 

術を唱えた瞬間、マルガム達は消える。いや、正確には溶けるように地面へ沈んだという表現が正しい。予想外の技に困惑するガッチャード。

次の瞬間、多方向からマルガム達が出現して、それぞれ刀、クナイ、鉤爪による攻撃を繰り出す。見事な連携に対応することができず、ガッチャードは攻撃をもろに受け、装甲は火花を散らす。

 

「クッ…『万物は…グハァ!」

 

錬金術を発動させようにも、詠唱する暇も与えられず、防戦一方になってしまう。解決策を考えるにも、攻撃がどこから飛んでくるのかが全く読めず、さらには相手の術がどのようなものなのか見当もつかない。

 

「(かといって、このまま押されたままでいるわけには…)」

 

「今こそ我が忍術の秘技を見せてしんぜよう!」

 

マルガム達は横一列に並んでそれぞれ氷、雷、風の術を同時に放つ。

 

「『奥義 三遁重(さんとんがさ)ね乱れ舞!』」

 

風に乗せられて迫る猛吹雪がガッチャードを氷漬けにし、その動けなくなった所を強大な雷撃が直撃。

奥義、秘技と言われるだけあり、その余波で墓地全体が揺れていた。

 

「グッ…ァァァァ!」

 

その圧倒的な攻撃力にガッチャードは吹き飛ばされて地べたに転げる。さらにスチームホッパーにフォーム解除し、ガッツショベルとドッキリマジーンのカードを地面に落としてしまった。

 

「フフフ…異世界のおっさんは強キャラだと相場が決まっているのだ…さぁ、我が宿敵よ…貴様の首、獲らせてもらおうか」

 

先程とは状況が打って変わり、途中まあまあなメタ発言を挟みながら、今度はガッチャードが追い詰められてしまった。

 

 

 

「ヤバいぞ!錬太郎が押されてる…どうすんだよ!」

 

「我が爆裂魔法…と言いたいところですが、墓地ごと吹き飛ばしてしまいますからね…」

 

「なら私がいきます!魔法もそれなりに沢山使えますし、ケミー達もいますから!」

 

『ゆんゆんだけじゃちょっと心配だからね、僕も行くよ…』

 

「あと俺も行く。スキルを使い分ければそれなりにサポートはできると思うし、この前助けられた借りをまだ返せてないからな。それに…アイツにばっかかっこいい活躍させるかってんだ」

 

ガッチャードの危機を救うべく、カズマとゆんゆん、クロっちが手助けをすることとなった。残るは3人だが…

 

「アクアは無理だろ。攻撃用魔法ないんだからここで大人しくしてろよ」

 

「私ゴッドブローっていう近接技持ってるんですけど?ていうかなんでカズマさんが私に命令してるのかしら?私は女神であって、あなたに「言うこと聞かないならこれからは酒場のツケは自分で払って貰…」ごべんなしゃいカズマしゃぁぁん!それだけは、それだけはご勘弁を!大人しくしてますのでそれだけはぁぁぁ!」

 

カズマの話術(ほぼ脅迫)によりアクアは戦力外通告。残るはダクネスとウィズ。

ウィズはリッチーのため戦闘力は申し分ないと思われるのだが…

 

「…すみません、先程の浄化魔法の影響で私はまだ…本当にごめんなさい!」

 

ウィズの謝罪で皆の視線が一斉にアクアに集まる。流石にアクアもバツが悪そうに目をそらした。

 

「では私が行こう。皆の盾にさせてくれ…」

 

「いや、ダクネスはここで待機だ。もしもの時にアクアとめぐみん、ウィズを守ってやって欲しい」

 

「カズマ…」

 

ダクネスはウィズとアクア、めぐみんの護衛を自身に頼んでくれたカズマに対して胸が少しばかり熱くなるのを感じた。しかしカズマの本音はと言うと…

 

「後、お前は戦いの中で性癖を出してきそうだからそもそも参戦して欲しくないんだよ」

 

「んぅ…容赦ないな…流石カズマだ!さぁ、もっと罵ってくれ!」

 

「だぁぁ!うるせぇ!とっとと錬太郎助けに行くぞ!」

 

作戦が決まり、カズマ達3人はガッチャードのいる戦場へと走って向かった。

 

 

「ん?何だ、俺と宿敵の一騎打ちに水を刺そうと言うのか?小童共め…」

 

自分の前に立ち塞がった3名にマルガムは辛辣な言葉を浴びせる。しかしここまでは予想済みだったのか、クロっちは前に出ると怪物に言い放つ。

 

『一騎打ち?勝手に勝負を仕掛けておいてよく言えるね?それに、君は今3人だろ?ならこっちも複数人で相手してもいいのは道理じゃないか。それとも多人数相手には怖気付いちゃったのかな?』

 

「ほう…言ってくれるな…いいだろう、我が忍法で貴様らにも引導を渡してやる!」

 

売り言葉に買い言葉とは正にこのこと。忍者おじさんは、売られた喧嘩は買うめぐみん並に短気だったようだ。そして先程のように地面に溶けるように姿を消し、瞬く間に4人の目の前に迫っていた。

 

「(嘘だろ⁉︎こんなに速いのかよ…)」

 

マルガムの速さに驚愕するカズマ。一体一体に強大な力が宿っているケミーを取り込んだモンスターなのだから、元いた世界は愚か、この世界での常識も圧倒するような存在である。わかってはいたのだが、それでもいざ対局するとなると、その掟破りっぷりに頭を抱えたくなる。しかし、こちら側にもその掟破りな存在はいる。

 

『〈オールマイティシールド〉!』

 

クロっちは自身の魔導書を開いて、魔法を発動させる。すると4人を取り囲むような全方位のバリアが展開されて、マルガムの攻撃から皆を守ったのだ。

 

「何だと⁉︎」

 

『ケミーの力を扱えるのは錬太郎や君だけじゃない、ここにもいるのさ』

 

 

 

 

「いきましょうクロっちさん、『ライトニング』!」

 

『オーケー!〈ゲイルブラスト〉!』

 

ゆんゆんとクロっちは、それぞれバリアの中から攻撃魔法を繰り出す。しかし、マルガム達は地面に溶けるように消えて魔法を躱していく。一方でマルガム側もバリアのおかげで攻めあぐねているようで、戦況は遅々として進まない様子であった。

そんな中、カズマはマルガムの様子を観察していた。

 

「カズマ、何してるの?」

 

「…アイツの地面に溶けるような能力を破る方法についてちょっとな…」

 

カズマは元いた世界ではゲームで軍師的役割をよくこなしていたため、その要領で、この状況を打開しようと考えていたのである。そのためにマルガムの一挙一動を真剣に見ていた。しかし…

 

「見えてこねぇな…なぁ錬太郎、あいつの手がかりになりそうなこと何か教えてくれないか?」

 

「そう言われても…あ、そういえば『影渡りの術』なんて言ってたような…」

 

「影渡り?…影渡り…う〜ん、………まさか!」

 

カズマは何かピンときたようだ。そしてガッチャードに向き直ると、マルガムの能力についての憶測を語り始める。

 

「恐らくだが、アイツは術で影の中に身を潜めて移動してるんだ!となると、影をどうにかするしかないが…そんなことできるかぁ…」

 

「影を無くせばいいんだね、多分いけるよ。」

 

「何⁉︎それは本当か!」

 

マルガム撃退のための一筋の光が見えてきた。それと時同じくして、

 

「こうなればもう一度… 『奥義 三遁重(さんとんがさ)ね乱れ舞!』」

 

ニンジャマルガムはバリアにむかってもう一度大技を放つ。風吹と雷撃が抉るように進撃し、バリアを襲う。

 

そしてついにバリアはピキピキと音を立ててひび割れ始めた。

 

『バリアが持つのはこの攻撃までだね、ちょっとマズいかも…』

 

「いや、なんとかいけそうかも。皆ありがとう。体力も回復したし、ここからは僕もいくよ」

 

『本当!じゃあ相手の攻撃が終わったらお願いね!』

 

「ああ、任せて!」

 

少しばかりの休憩を得て復活したガッチャードは崩壊していくバリアの中で新たに2枚のカードをベルトに装填した。

 

『ピカホタル』『スマホーン』

 

『ガッチャーーンコ!スマホタル!』

 

変身音が響き終えると同時にバリアが破壊され、その中にいたガッチャードの新たな姿が露わになる。

 

赤を基調とした装甲から漏れ出す温かな光と、頭部にと右腕に備わったスマホが特徴である新形態 

 

仮面ライダーガッチャード スマホタル

 

「影のかくれんぼはもう終わりだ!」

 

ガッチャードがベルトを操作すると、体の光が彼を包み込んでいく。

そして…

 

『スマホタル!フィーバー!』

 

全身から眩い光を解き放ち墓地を白く染め上げた。そして光が晴れると墓地全体の影は全て消えてしまっていた。

 

「何⁉︎これでは影渡りが使えぬ…」

 

「さぁ、反撃だ!」

 

ガッチャードの掛け声を合図に、各々ニンジャマルガム達に向かって駆け出していく。最終ラウンドの火蓋が切って落とされた。

 

 

 

 

ゆんゆんとクロっちのコンビは分身体のニンジャマルガムの一体と相対する。

 

「影渡りが使えずともまだまだ忍術は有り余っとるぞ!火遁の術!」

 

「『ファイアーボール』!」

 

マルガムの繰り出す火遁の術に、ゆんゆんはファイアーボールを打ち込んで相殺する。そしてその間にクロっちは背後へと回り込み…

 

『いけっ!〈グレイシャルクラッシュ〉!』

 

魔法で出現させた氷柱を弾丸のように放ってマルガムにダメージを与え、膝をつかせる。

 

「クソッ…ならば…」

 

マルガムは立ち上がり、右腕を天高く掲げる。周りの空気が張り詰め、怪物の右手の中に集うように渦巻いていく。そして大気中の空気を束ねた巨大な風玉が生成された。

 

「この究極風遁の術を持って、貴様らを木っ端微塵にしてくれるわ!」

 

マルガムの特大の術を前にゆんゆんはたじろぐ。中級魔法しかまだ使えない自分があの攻撃に対応できるのか、クロっちと協力すればなんとかなるか…そのように思考を巡らせていた時だった。

 

『ガッツ!ガーッツ!』

 

足下の方で何やら声がする。視線を移すと先程の戦闘でガッチャードが落としたガッツショベルのケミーカードだった。

 

『力を合わせてマルガムを倒そうって言ってるね…ゆんゆん、急だけど、僕とガッツショベルに合わせられる?』

 

「…はい、合わせます!」

 

ガッツショベルのカードを手に取ると、2人は横に並んで魔法を放つ体勢に入る。そしてカードから飛び出したガッツショベルは、2人に自身のエネルギーを送った。

 

『いくよ、せーの!』

 

「『〈『ファイアーボール』〉!!!』」

 

クロっちとゆんゆんは息を合わせてガッツショベルの力を纏ったファイアーボールを放つ。

迎え打つようにマルガムも風玉を放ち、炎と風、2つの大きな力がぶつかり合った。

 

「〜〜〜ッッッ!いけぇぇぇぇ!」

 

ゆんゆんの声と共に炎が風を押し始める。そして彼女の思いに答えるかのように炎の形はガッツショベルへと変化した。

 

『ガーーッツ!』

 

ガッツショベルの形を成した炎は、風を突き破ってマルガムの体を貫き、爆散させた。

そして魔力をかなり使ったゆんゆんは倒れ掛けてしまい、クロっちに支えられた。

 

『おおっと、大丈夫、ゆんゆん?』

 

「いえ、ちょっと疲れてしまって…えっと、その…私、上手に合わせられましたかね?」

 

『勿論!ガッツショベルも絶賛してたよ。ありがとう、お疲れ様』

 

「…えへへ、こちらこそありがとうございます…」

 

クロっちの腕の中で満足そうにゆんゆんは微笑んだ。ガッツショベルはカードの中からその様子を嬉しそうに眺めていた。

 

 

 

 

 

「どこに隠れた?逃げても無駄だというのに…」

 

一方こちらではニンジャマルガムの分身体とカズマが対峙していた。カズマは潜伏スキルを利用して、近くの墓に身を隠している。カズマとしてもいつまでもこのままでいるわけにはいかないため、身を隠しながら策を練っていた。

 

「(初級魔法をどう組み合わせて戦うべきだ?…クリエイト・ウォーターとフリーズ、クリエイト・アースやウインドブレスの組み合わせで牽制をして窃盗(スティール)で武器を奪うか?いや、例え武器を奪っても忍術があるから無謀だ。クソ、こんな時に限っていい考えが浮かばないし、心臓の音がバクバクうるさい…ん?足下のこれは…)」

 

カズマは足下の何かを手に取る。ガッチャードが戦闘の間に落としたドッキリマジーンのカードだった。

 

『マジーン!』

 

"サポートするから君の好きなように戦ってみなよ"

ドッキリマジーンの言葉はカズマに大きな安心感を与えると同時に、彼の緊張の糸をぷっちんと切りおとした。

暫くして、意を決したカズマは墓場から身を乗り出し、ニンジャマルガムと相対する。

 

「ほう…、少なくとも俺に抵抗するつもりはあるようだな…」

 

「抵抗どころか倒すつもりなんで」

 

「フン、口だけは達者なことだ。では、参る!」

 

地面を蹴り、猛スピードでカズマに迫るマルガム。カズマはマルガムが来るのを待ってましたとばかりに先程から握りしめていた右手を前に突き出し――

 

「『ウインドブレス』」

 

右手に握られていた土を突風とともに放つ。風に乗った土は見事にマルガムの顔面に直撃し、視界を奪った。そして

 

「続けて『クリエイト・ウォーター』、そして『フリーズ』!」

 

間髪入れずにマルガムの足下に水を生成し、凍らせる。見事にマルガムの足も巻き込んで凍り、完全に身動きを封じた。

 

「(ここからは賭けだ。でもやるしかねぇ!)」

 

カズマはマルガムの前に手を翳して最後の魔法を唱えた。

 

「『ティンダー』!」

 

刹那、ドッキリマジーンの幻影がカズマの背後に現れ、その力で魔法を強化した。そしてマルガムの体は火に包まれ始めた。

 

「ま、まじかよ…」

 

これには当のカズマも驚きを隠せなかった。よもや自分が賭けで放った着火用の初級魔法がここまで強力になるとは。

やがてマルガムの分身体は、カズマとドッキリマジーンの炎によって灰燼に帰したのだった。

 

 

 

 

ガッチャードとニンジャマルガム本体との戦いはいよいよ終盤へと迫っていた。フォームチェンジや錬金術、忍術を互いに出し切り、最後は拳と拳のぶつかり合いとなっている。互いが互いの拳を体に受けては撃ち込みを繰り返し、あまりのダメージに両者は肩で息をしている。

 

「…次で最後だ…」

 

「…そうしよう」

 

両者はともに自身の全力を足へと集中させ、お互いを見据える。そして空に飛び上がって蹴りの体勢となり――

 

『スチームホッパー!フィーバー!』

 

空中で両者のキックはぶつかり合って、同時に地面へと着地した。

 

「…クッ」

 

ガッチャードはダメージを負ってしまい、膝をついてしまう。その様子を見て勝利を確信したニンジャマルガムはほくそ笑む――が、

 

「なん…だと」

 

次の瞬間、自身の身体が鉛のように重くなり、地面へと引き寄せられた。

ガッチャードよりも、ニンジャマルガムの受けたダメージの方が大きかったのだ。

 

「フッ…無念」

 

最後にそう残すと、マルガム化は解除された。解き放たれたケミーはガッチャードの取り出したブランクカードへと吸い寄せられて『サスケマル』のカードとなった。

 

「よし、やった…ぞ…」

 

安堵したのも束の間、ガッチャードの視界が斜めになる。否、彼も地面に倒れ伏したのだ。激戦による満身創痍で強制変身解除してしまった錬太郎は静かに意識を手放すのだった。

 

 

 

 

 

ガッチャード達とマルガムの戦いを遠くから見ていた男が手に持ったフラスコへと、何やら黒い霧のようなものが流れ込んで液状に変化した。

 

「ふむ、予想以上のエネルギー量だ。これなら想定よりも早く『暗黒の釜』とレプリケミーを錬成できるやもしれないな…」

 

男はフラスコを弄りながら不敵に笑い、その場を後にした。




長くなりました。オリジナル展開はかなり難しいですね。これからも原作このすばメンバーはマルガムと対峙する際は基本的にケミーと力を合わせて戦う予定です。それではまた次回。
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