暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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最後の遺跡についに到達することに成功するライザ達。

しかしこの遺跡も守りが堅く、特に人間を警戒している故に入口からして徹底的に隠蔽されています。

時間が限られています。今まで無事だったことの方がおかしいのです。

封印されているものが十中八九フィルフサと門である以上。

ライザは、この遺跡を突破して、封印の位置を知らなければならないのです。


竜の廃墟
序、砂漠渡り


全員で、砂漠の一角。岩山にしか見えない、擬態している「数多の目」の元を訪れる。

 

タオが呼びかけると、すぐに「数多の目」は姿を見せていた。

 

しばらく、タオが会話する。

 

そうすると、「数多の目」の触手は、リラさんとアンペルさんをじっと見た。どうやら記憶しているらしかった。

 

「二人のことも話しました。 今、記憶しているそうです。 ただこれ以上の人数は、渡さないという話もされました」

 

「厄介だが、仕方がないな」

 

「ともかく、これで遺跡には行けそうだが……」

 

砂から盛り上がるようにして。

 

たくさん目がついている、肉塊がせり出してくる。それが平らな板のように形状を変えるが。

 

その際も、いちいち肉が蠢いて形を変えるので。

 

パティは口を押さえて真っ青になっていた。

 

どうも苦手らしい。

 

だけれども、苦手だからと言っていきなり斬り付けたり、排除したりしないのはそれで立派。

 

自分の主観しか世界にないと思っているような輩と。

 

パティは違うと言う事だ。

 

それだけで充分である。

 

「乗って。 里まで送ってくれるって」

 

「目の上に乗ってしまっても大丈夫なのかしら?」

 

「大丈夫だそうだよ。 目は閉じるって」

 

「……」

 

セリさんが呆れ気味。

 

ともかく、荷車ごと、肉の台に乗る。

 

全員が乗ったのを確認すると、たくさん目がついている肉の台は、一気に砂漠を移動し始める。

 

魔物がそれを見送る。

 

基本的に、仕掛けて来るつもりはないらしい。

 

この砂漠の王だ。

 

しかけるのは、何を意味するか。

 

少なくとも此処で生きている魔物は、知っているのだろう。

 

凄い速度で流砂を超える。

 

あたしは、皆に注意を促しておいた。

 

「とにかく振り落とされないように気を付けて!」

 

「なんだかこの肉、感触が生々しいです……!」

 

「我慢しろ。 殆どの動物にとっても、人間がやってくる愛情表現は、実の所鬱陶しいだけなんだ」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

砂がとにかく飛んでくる。

 

流砂を無理矢理乗り越えるのだから、当たり前だ。台は何度か途中で大きさや形を変えたが。

 

これはアンペルさんが言うように。

 

粘菌だのが構成要素だから、なのかも知れなかった。

 

いずれにしても、流砂をびゅんと飛び越える。

 

方角はある程度わかるが、それでも正直な話、今砂漠のどの辺りにいるのかは分からない。

 

辺りも蜃気楼だらけ。

 

荷車から冷気を発していないと、とても耐えられないかも知れない。

 

セリさんが出してくれた、直射を防ぐ葉っぱもいつまでもつか。

 

しばし不安が過ぎた時。

 

不意に肉の台が止まっていた。

 

「……、…………」

 

「……」

 

「………、…」

 

タオと、にゅっと伸びてきた触手が会話する。

 

タオが最敬礼をしたのが分かった。

 

「ついたって。 降りよう」

 

「帰り道はどうするの?」

 

「ここに来れば、また乗せてくれるって」

 

「はあ。 生きた心地がしなかったぜ……」

 

レントがぼやく。

 

まあ、気持ちはわからないでもなかった。

 

此処は。

 

砂漠から少し離れたようだ。少なくとも、少し草が生えている。水たまりはあるにはあるが。

 

それだけで、周囲の砂漠と違う環境が作れているというのは、どうにも妙だなとあたしは感じた。

 

無言で周囲を見回す。

 

蜃気楼に包まれていて。この辺りそのものが、幻の中にあるのでは無いかと思ってしまうが。

 

いや、違うな。

 

この蜃気楼も、此処を守るための仕組みの一つなのだろう。

 

多数のワイバーンを番犬同様に使い。

 

更には蜃気楼。流砂。熱砂の砂漠。強力な魔物。

 

これらを使って、やっと古代クリント王国から、この場所は身を守ったのだ。

 

タオが、看板を地面に突き立てる。

 

そして、あたしも頷くと、建築用接着剤で、それを固めてしまった。

 

「よし、これで退路は確保、と」

 

「それで、この辺りが……その。 「北の里」なんですか」

 

「のっぱらにしか見えないねえ」

 

「遺跡ってのはえてしてそういうもんだ。 ましてや欺瞞化工作をしているなら、なおさらだろうよ」

 

ロマンでも感じているのだろう。

 

クリフォードさんが嬉しそうに、さっそく周囲を調べ始める。

 

とりあえず、手を叩いて、皆でツーマンセルとスリーマンセルになるようにして貰う。それだけで、事故の可能性は大きく減るのだ。

 

あたしはパティと組む。

 

それで、彼方此方を調べて行く。

 

「ライザさん、やっぱり総当たり、で行くんですか?」

 

「よく見てご覧」

 

「ええと……」

 

クラウディアは、セリさんとクリフォードさんと組んでいるが。

 

早速音魔術を展開している。

 

セリさんは、手を地面について、周囲の確認。クリフォードさんは、二人の様子を見ながら、地面をチェックしているようだ。

 

つまり。皆それぞれのやり方で調査をしていると言う事である。

 

「総当たりは総当たりだけれど、全員得意分野を使う。 パティ、警戒に当たって。 魔物は、多分いるからね」

 

「分かりました!」

 

素直だパティは。

 

ずっとそうあって欲しい。

 

今後、パティも立場が変われば考え方も変わってくるのだろうか。だが、根本的なこの性格だけは変わって欲しく無い。

 

あたしも皆に交じって、調査を始める。

 

のっぱらなだけの筈がない。

 

流砂と蜃気楼でこれだけ守られた場所だ。確定で何かある。

 

まずは、安全地帯の見極めからだ。

 

パティは剣に手を掛けたまま、周囲を見張ってくれている。あたしは時々皆に声を掛けながら、流砂の位置を見極めながら、歩いて回る。

 

なるほどね。

 

やはり、この遺跡は地下遺跡なのだとみて良い。

 

そもそも神代には、空に都市を浮かべる技術があった。それについては、既に三年前に知っている。

 

そしてこの遺跡は、古代クリント王国に対する策は練っていただろうし。

 

古代クリント王国が都市を空中に浮かべる事は出来なくても。

 

なんらかの方法で、空から此処を見る事が出来た可能性はある。

 

その時に備えていた事は、可能性として充分にある。

 

ワイバーンだけでは対空戦力は足りないだろう。

 

だとすると、遺跡そのものを何らかの方法で隠してしまう。それが一番正しい筈である。

 

一応、流砂の位置を確認。危険地帯を確認後、タオを呼んで、地図に記してしまう。タオもレントと組んで彼方此方調べているが、まだ成果は上がっていない。

 

「遺跡そのものだけでなくて、遺物もない?」

 

「今の所は。 野原にしても、この辺りは少し草も少ないね。 多分だけれども、生態系もろくに成立していないと思う」

 

「野生化した家畜もいないか……」

 

「それもあるけれども、これしか草がないと、ある程度の大きさの草食獣は生きていけないのだと思う」

 

ヤギなどで顕著だが。

 

草食獣は、想像以上の草を食べる。

 

ヤギは数頭放っておくだけで、のっぱらからあっと言う間に雑草が消えてなくなってしまう程だ。

 

人間よりだいぶちいさなヤギでそれである。

 

草食の大型の魔物が、ここに住み着くとは思えない。

 

更に言うと、一応見て回ったが、エレメンタルなどの魔物も見当たらない。

 

強いていうなら、今後は流砂の中からの奇襲を警戒するべきか。

 

「幸い、この辺りは砂漠の中程暑くはないね」

 

「そういえば……」

 

「もっとへとへとになるくらい暑いのを覚悟していました。 或いは遺跡の中は涼しかったりするかもしれないですね」

 

「可能性はあるぜ。 高度テクノロジーは俺たちの想像を超えているからな」

 

頷きあうと、タオとレントと別れて。それぞれの方法で調査に戻る。

 

あたしも地面を調べながら、少しずつ進んでいく。

 

セリさんを一瞥。

 

どうやら植物の配布を調べて、不審なところがないか調べている様子だ。

 

あの辺りは、流石は専門家である。

 

そういえば、暑くない理由は直射がやわらいでいるからか。

 

どうしてだろう。

 

いや、むしろあの砂漠での直射がきつすぎたのか。

 

何かしらの仕掛けがあったのかも知れない。

 

しばらく調査をした後、一度休憩。荷車の所に戻って、皆で水を飲む。水はそこまで消耗しなかった。

 

砂漠の中を調査している時は、水をけちると死につながるから。本当に水の消耗が早かったのだが。

 

「露骨過ぎるくらい水の減りが少ないね」

 

「ただ。 この別に広大でもない野原に、遺跡が見つからないな……」

 

リラさんがぼやく。

 

確かにその通りだ。何か、根本的な勘違いをしている可能性もある。

 

「数多の目」は、流石に遺跡の入り方までは教えてくれなかった。

 

誠実に行動していたあのガーディアンが、嘘をついたとも思えない。

 

オーレン族を認識していたと言う事は、特に悪意があって此処に案内したとも考えにくい。

 

だとすると、物理的な調査ではダメなのかも知れない。

 

だけれども、乱暴に穴をブチ抜いて地下に行くようなのは最終手段。

 

空を今もワイバーンが多数舞っている。

 

あれらは、此方を監視しているとみて良い。

 

ワイバーンはついにはっきりしたが、ドラゴンの幼生体だ。

 

そうなってくると。ある程度の知能はあるし。

 

この「北の里」の親に等しいエンシェントドラゴンの血を引いているのだとすれば。

 

不埒な侵入者を防ぐために、今でも空を舞っているのだろうから。

 

「遺物の一つも見つからないと言う事は、綺麗に掃除までして引き払ったのかもしれねえな」

 

「そうだな。 ただ、どうにも引っ掛かる……」

 

「とにかく、調査を続行しよう。 古代クリント王国に対抗して、隠蔽を行ったとすれば。

 

 簡単に見つからないのは当たり前だよ」

 

皆にそう言って、あたしは率先して立ち上がる。

 

午後も同じ組み合わせで調査を続行。

 

クラウディアも音魔術を展開しているようだけれども。

 

やはり、おかしな地形的な異変は見つけられない様子だ。

 

つまり結構な深さまで、土が詰まっていると言う事で。もし遺跡が地下にあるなら、更にその下にあると言う事だ。

 

しかし、それだとすると。

 

遺跡には、どうやって出入りした。

 

偉ぶった人間が模範解答と称して、自分らだけで正解だと考えているようなものを用意しているのとは違う。

 

此処では人が生活していたはず。

 

だとすると、やはり暗号と鍵か。

 

考え込みながら、辺りを調べて回る。

 

フィーが、懐から顔を出す。

 

「フィー!」

 

「うん、どうしたの」

 

「フィーフィー!」

 

「……この辺りかな」

 

足を止める。

 

のっぱらの真ん中だ。この辺りに何かあるとすると。

 

考え込んでいても仕方がない。

 

周囲を見張ってとパティに告げると、あたしは足に魔力を集中。跳躍していた。

 

上空から見回す。

 

やっぱり、のっぱらだ。

 

だけれども、どうにも変な違和感がある。

 

着地して、周囲をもう一度見回す。

 

まて。

 

今、跳躍したとき。

 

最上部が、ちょっと暑かったような気がする。

 

「パティ、詠唱するから、ちょっと護衛よろしく」

 

「は、はい!」

 

あたしは全力で詠唱を開始する。

 

あたしのために作った杖を使って、魔力を全力で増幅する。基本的にあたしの杖は今では打撃用ではなくて魔術の増幅用だ。

 

昔は両方の用途で使っていたが。

 

今では、打撃はあくまでおまけ。

 

基本的な近接戦闘は、足技でいける。

 

アガーテ姉さんに、足技は大きく動く分隙も大きいから、余程自信がない限りとどめ以外では使うなと言われていたが。

 

それは経験が浅かったから。

 

今では、適宜足技を相手に叩き込む事が出来る。

 

あたしだって、三年間寝ていたわけじゃない。

 

フィルフサの大軍を退けてから、彼方此方の集落を救援する過程で、相応に戦闘経験は積んで。

 

腕そのものは磨いたのだ。

 

そして、魔術の腕も。

 

詠唱完了。

 

あたしの全身から迸る魔力。

 

やはり量そのものはもうこれ以上飛躍的に増えそうにもないか。

 

だとすると、今後は質を上げていくしかない。

 

魔力を周囲に展開。

 

触手のように伸びた魔力で、温度を計測。

 

あたしの得意なのは熱魔術。

 

それは、熱とそもそも相性が良いことを意味している。こうやって、時間を掛けての応用技で。

 

周囲の熱をある程度測ることも出来る。あまり実用的ではないから、そこまで磨いていない。

 

だからこそ、詠唱でじっくり調整しなければならないのだが。

 

「……なるほど。 そういうことか」

 

「何か分かったんですか、ライザさん」

 

「……タオ、呼んで」

 

「はい!」

 

パティが即座にダッシュ。

 

あたしはゆっくり詠唱を続行して、丁寧に周囲を探り。そして、タオが来たのを見計らって、魔術の展開を解いた。

 

攻撃魔術よりも魔力消耗が激しいが。

 

その分フィーには臨時のごはんになったか。

 

タオが来たので、軽く説明しておく。

 

「タオ、多分魔術で冷気のドームが作られてる。 こののっぱら全域を覆う規模」

 

「流石だねライザ。 今の大魔術で分かったの?」

 

「クーケン島で、過ごしやすい場所とか探すために開発した魔術でさ。 大魔術っていうよりも、使い慣れていないだけだよ」

 

ドームは、流砂にまで拡がっていて、中心部は恐らく此処からかなり下の方にあるとみて良いだろう。

 

冷気がいきなり強くなるのではなく。

 

内部に人が入ると、じわじわと温度を下げていくような仕組みになっている。

 

だから、気付けなかったのだ。

 

いきなり温度を冷やすと、砂漠の熱に苦しんでいた人間が、体調を崩すからなのかも知れない。

 

そこまで想定していたのだとすれば、相当な技術である。

 

しかも魔術だろうけれども、或いは何かしらのテクノロジーの可能性もある。

 

テクノロジーだとすると、正直あたしの今の頭では理解不可能だ。

 

「よし、此処が中心だね。 此処を中心に、色々と調べて見よう」

 

「そうなる。 ともかく、一日二日では地下には入れるとは思えない。 腰を据えてやっていくしかなさそうだね」

 

「戻れるかも確認しないとな」

 

「……」

 

レントはこのガタイで見かけだから、最初無鉄砲にパティには見えたのかも知れない。

 

だけれども、リラさんの教えを受けているのだ。

 

今ではすっかり、一人で旅が出来る知識と経験を備えた戦士だ。

 

それはミスをしても、地力でリカバーできることを意味している。

 

今も、しっかり退路を想定して動いている。

 

パティからして見れば、完全に格上で。

 

劣等感を刺激されるのかも知れなかった。

 

夕方近くまで、色々なアプローチを試してみるが、結局はダメ。或いはだけれども、何かしらの装置があるのではないのかも知れない。

 

だけれども、そもそも遺跡の住人が戻って来た場合の対策はしているはずだ。

 

何か、簡単に入れるための仕掛けがある筈。

 

空を見る。

 

そろそろ時間だ。

 

皆に声を掛けて、撤退を開始。

 

きっちり「数多の目」は。呼びかけると出て来てくれて。

 

そして、帰路を送ってくれた。

 

どうやら、本当に誠実な奴らしい。

 

仕事をしっかり果たしている以上。

 

「数多の目」に、これ以上は求められなかった。




比較的「幾多の目」さんは友好的なガーディアンです。

とはいっても比較的、の話。

話をしっかり最初からしようとしなければ、戦闘になり。

流砂を渡る手段をライザが見つけられなければ、探索は詰み。渡る手段を見つけていても、探索は大いに遅れていたでしょうね……

本作の次に連載する作品はどれが良いですか?

  • 暗黒!アトリエシリーズのまだ未掲載の作品
  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
  • 流行り神二次創作
  • その他二次創作
  • オリジナルの長編
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