暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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4、蓋は砕けた

今日は体調がいい。

 

だから、アインは走り回って良いと言われた。

 

嬉しい。

 

アインは体を動かすのがすきだ。でも、体の方がアインの意思に反してとても弱い。少しずつ、思い出してきている。

 

どうして体が弱いのか。

 

どうして体を動かすのが好きだったのか。

 

姿が全く見えないお母さんが、どうしてアインのことをこんなに大事にしてくれているのかも。

 

恐ろしい記憶も。

 

髪を掴んで、引っ張られた。

 

首が折れると思う程、何度も殴られた。

 

歯が折れて。

 

血もたくさんでた。

 

凄まじい形相のそれは、「錬金術師」という存在だった。

 

やっぱり汚れた血はダメだな。

 

偉大なる錬金術師の血統を維持するために、どうしても近親婚は必要だ。

 

遺伝的な形質の劣化は我慢するしかない。

 

そうしないと、こういう出来損ないがどうしても出てくる。

 

そうわめき散らしながら、何かをミスすると、いつもいつも「錬金術師」はアインを殴りつけた。

 

謝ろうと関係無い。

 

そして、薬を乱暴にぶっかけて、死なないようにだけして。

 

何度でも気が済むまで何かの作業をさせて。

 

その作業の内容は思い出せないが。

 

その作業の回数をさせた分だけ、アインを殴って。髪を掴んで引っ張って。地面を引きずって。

 

意味もよく分からない罵倒をして。

 

周りにいる同じ「錬金術師」という存在は、ずっとにやにやとその様子を見ていた。

 

今でも怖い。

 

「錬金術」というものについては、あまり恐怖感はない。

 

自分の血統上の父親であるらしいあの「錬金術師」は今でも恐怖の対象でしかない。

 

だけれども、今はお母さんが優しいから。

 

それでいい。

 

形がなくても、大好きだ。

 

走り回っていると、それだけで息が切れてくる。

 

それだけじゃない。

 

体中が痛くなってくる。

 

「体の細胞」というのが、あまり外にはいられないらしい。すぐに痛んできてしまうらしかった。

 

転びかけた所を、誰かに受け止められる。

 

同胞と呼ばれる。

 

アインの事に良くしてくれる人達だった。みんな同じ顔をしているけれど、最近は見分けがつくようになって来た。

 

「アイン様、大丈夫ですか」

 

「うん、大丈夫。 それより、お母さんが今日はずっとだんまりだね」

 

「仕方がありません。 想定外のイレギュラーが発生しています」

 

「事故が起きたの?」

 

首を横に振る同胞の長。名前はエインティア。

 

一族の中でももっとも長生きしているらしく、現在人間社会に子孫が五十人もいるのだとか。

 

だけれども、その全てが同胞というわけでもなく。

 

色々と状況は複雑であるらしい。

 

培養槽につれて行って貰う。

 

培養槽の中では、アインはうつらうつらと眠りながら、少しずつ記憶を取り戻していく事しかできない。

 

体を動かすのが大好きだから。

 

それはとても悲しかった。

 

服をリネンに着替えて、培養槽に入ると。体を調整する液がすぐに培養槽に満たされていく。

 

その中に浮かんで、ぼんやりと話を聞く。

 

「例の錬金術師、ライザリン=シュタウトが……」

 

「なんだって。 そんなに早く。 それでコマンダーは」

 

「今の時点では様子見だと」

 

「今なら、同胞が総掛かりであれば勝てる。 これ以上成長するようだと、古代クリント王国どころか、神代以上の脅威になりかねない。 それでもどうして仕掛けないというのか」

 

議論しているみんな。

 

喧嘩しないで。

 

みんなが仲良しがいいな。

 

そう思っていると、お母さんの声がした。

 

「皆、盟友たるパミラの判断を伝えます」

 

「はっ」

 

「パミラによると、ライザはセーフティを地力で打ち破った今も、悪に落ちる気配はないようだと言う事です」

 

「そうなると、危険性を承知で緩やかな協力体制をこのまま維持しろというのですか」

 

フロディアという同胞が、危険だと言う。

 

だけれども、お母さんの声はあくまで穏やかだった。

 

「今もライザは、門の一つと、それから世界間を渡って侵攻を開始しようとしているフィルフサに対応しようとしています。 少なくとも、フィルフサの王種を仕留めるまでは、此方は静観という判断で私も同意です」

 

「あまりにも判断が甘すぎます。 錬金術師どもが何をしてきたか、お母様もご存じの筈です!」

 

「アイン様の記憶は見ました。 あのような蛮行を平気で行うのが、精神の箍が外れた人間です。 そして全能感を刺激される錬金術師は、幾らでもああなる! 私は、奴らを今からでも滅ぼすべきだと具申いたします!」

 

同胞としては珍しい男の声。

 

お母様は、それでもずっと穏やかな声だった。

 

「勿論、件の錬金術師……ライザリンが、邪悪に落ちると判断したら。 私の総力と、同胞の総力を挙げて仕留めます。 しかしながら、どうも盟友パミラの言葉によると、ライザリンは人間の現在までの歴史を軽蔑し、根本から変えることを目論んでいるようなのです」

 

「……」

 

「人間こそが至高であり、霊長であり、その行動の全てが肯定されると考えていた神代の存在とは違うと判断して良いでしょう。 少なくとも今は、です。 恐らく、例の力が一年程度で発動すると判断して良いでしょう。 その時に、もしもライザリンが此処まで来られるようなら……」

 

その時は、連携して。

 

この世界に神代が残した呪いの全てを排除することを考えたい。

 

そうお母さんは言う。

 

アインはそれを聞いて。

 

喧嘩にならないなら、それが一番良いなと、思うのだった。

 

 

 

(続)




竜をもした遺跡の起動を成功させるライザ。

ライザにセーフティを施していた一派の動きが加速。

ずっと時が止まり。

徐々に衰退を続けるばかりだった人間の世界に。

一気に、時間の流れが戻り始めます。

本作の次に連載する作品はどれが良いですか?

  • 暗黒!アトリエシリーズのまだ未掲載の作品
  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
  • 流行り神二次創作
  • その他二次創作
  • オリジナルの長編
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