暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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アンペルさんリラさん登場。

元々アンペルさんは原作でも此処で……100年前の王都で殺されかけた過去があります。裏路地から出たがらないのも、まあ気持ちはわかりますね。


4、師二人

錬金術師アンペル=フォリマーは久しぶりに訪れた王都を見て、目を細めていた。

 

ライザの手紙は読んではいたのだが。

 

やはりここに来るのには抵抗があった。

 

暗殺者が差し向けられなくなってから、もうだいぶ時間も経過している。だが、此処でされた事は忘れていない。

 

年を取りにくい体質だと知られて、それからは実験動物としか思われていなかった節がある。

 

王都出身者では無いと言う時点で動物のように見られたし。

 

錬金術の技量で周囲を見返したら、生意気だと認識されて更に陰湿な虐めが加速していった。

 

一人だけ、アンペルを差別しなかった者がいたが。

 

そのものが、アンペルを裏切って、調合が出来ないような怪我をさせる要因となった。

 

そもそも、身の程知らずにも、ロテスヴァッサは錬金術師を集めてオーリムへの侵攻と、資源の収奪を目論んでおり。

 

門を開ける研究と、「植民地」を如何に「蛮族」から奪取するかで、皮算用までしていた。

 

そんな連中に愛想が尽きたアンペルは。

 

王都の錬金術達の研究所を爆破。

 

後は、一世代暗殺者に狙われながら逃げ続け。暗殺者は全て返り討ちにしてきた。

 

対人戦に習熟しているのはそれが原因だ。

 

側にいるのはリラ=ディザイアス。

 

オーリムの住人、オーレン族の一人で。

 

ライザ達の戦闘の師である。

 

元々生物としての性能が此方の世界の人間より高いオーレン族の中でも、戦闘に優れた白牙氏族の出身者で。

 

サバイバルの技術にも長け。

 

ロテスヴァッサの前に存在していた古代クリント王国が、世界中にオーリム侵略のため無作為に開けまくった「門」を封印するため。

 

アンペルとともに旅をしている。

 

その過程で、超世の英傑ともいえるライザと出会えた。

 

ライザには、アンペルも大きな影響を受けた。

 

だから、手紙をこまめに返してやりたかったのだが。

 

門を探して封印することで手一杯だった。

 

時々バレンツ商会に足を運んで、手紙を確認だけはしていたが。門の関係ではない場合は、手助けは出来なかった。

 

そういうわけで、門があるかも知れないと言う話を受けて、今足を運んでいる。

 

口実が出来たから、という理由もあったかも知れない。

 

ライザがどうにもスランプらしいことは、アンペルも分かっている。

 

理由がわかるのなら、どうにかしてやりたかった。

 

ライザはアンペルが見た所、二十歳過ぎればただの人、というタイプではない。

 

ここで潰れられるのは、あまりにも惜しかった。

 

フードを被ったリラと一緒に、王都の門を潜る。

 

このフード、此方の世界だけではなく、オーリムでオーレン族が被っているのを以前何回か見ている。

 

要するに本来の正装である。

 

しかも、此方の世界では、容姿が目立つオーレン族の姿を隠すことにもつながる。

 

手指の違い……鳥に似ている造りなどを隠すことまでは出来ないし。

 

女性であっても獣のように手足に体毛が多く、換毛までする生態の違いもまた隠せないのだが。

 

それはもう、仕方がないだろう。

 

それにしても、だ。

 

王都に久々に来てみて思ったが、此処まで衰退しているとは。

 

此処を離れたのは百年ほど前だ。

 

ある理由で人より長生きなアンペルは、既に百数十年ほど生きているのだが。百年ほど前に此処を離れた時には、もう少し戦士の質も護りもマシだった。

 

今では街道もロクに守れておらず。

 

騎士階級も、派閥だの何だので、戦士としてのあり方を忘れている。

 

百数十年前もはっきり言って腐敗はしていた。

 

そうでなければ、身の程知らずの異世界侵攻など思いつかなかっただろうし。

 

あれだけ特権意識を拗らせ散らかせてもいなかっただろう。

 

本当に井戸の中の蛙が、ガアガア鳴いている場所。

 

其処に成り下がったのだなと、呆れ果てる。

 

ライザは、それでも普通に暮らしている人々の事を考えて、動いているのだろうが。

 

暗殺者を何度も何度も送りつけられたアンペルとしては、ロテスヴァッサなんてさっさと滅びろとしか言葉が出てこなかったし。

 

この国には、何一つ期待も出来なかった。

 

まずはバレンツに足を運ぶ。

 

随分と大人っぽくなったクラウディアがいたので、驚いた。

 

クラウディアは、アンペルとリラを随分と歓待してくれたが。ライザについて聞くと、眉をひそめた。

 

「やはり、心配で見に来てくれたんですか?」

 

「しばらく手紙を返せもしていなかったからな。 それに門がある可能性があるとなれば、我等も黙ってはいられない」

 

「そうですね。 お二人の目的から言えばそうですよね」

 

「ああ。 それでライザは、やはり衰えているのか?」

 

少し考えてから。

 

クラウディアは頷いていた。

 

「技術は更に向上しているようですし、太陽のようなあり方は変わっていません。 でも、なんというか、少し鈍っているように見えるんです」

 

「……鈍っている?」

 

「戦闘力は確実に前より上がっています。 錬金術でも、ここ三年納品される品の質が落ちたことは一度もありません。 新しい技術も開発しているようです。 それなのに……前の輝くような閃きが、どうにも感じられなくて」

 

「ふむ」

 

リラが腕組みして考え込む。

 

また重要な客か。どうなっているんだと顔に書いているバレンツの商人が茶を淹れに来たが。

 

いずれにしても、どうでもいい。

 

「とりあえず、夜にでもライザには会いに行く。 宿は既に取ってあるから、気にしなくていい」

 

「バレンツで良い宿を用意できますよ」

 

「いや、下町の出来れば静かに過ごせる宿が良い。 王都の人間が私を覚えているとは思えないが、それでも念の為だ。 目立つ行動は避けたい」

 

「今の王都の戦力で、アンペルさんとリラさんを捕らえるのは至難だと思いますが……分かりました。 ただ、宿の場所は教えてください。 連絡要員を、側に派遣しておきます」

 

それは有り難い。

 

ライザとは緊密に連絡を取って動きたいし。

 

門の存在が確定したら、また一緒に冒険したいところだからだ。

 

リラが手を上げて、行こうとしたアンペルを制止。

 

「それで、ライザ以上にレントがスランプのようだが」

 

「はい。 レント君の様子が一番おかしかったです」

 

「何かおかしくなっている理由に思い当たる節は」

 

「分かりません。 私もあまり調子が良かった方ではないので……」

 

そうかと、リラは嘆息する。

 

自分に一番厳しいリラだが、他人にも当然厳しい。

 

この様子では、レントがどうして駄目になっているのか、ある程度分かっているのかも知れない。

 

バレンツを後にすると、下町に。

 

以前、嫌がらせのように宛がわれた宿も、この辺りだったな。

 

王立錬金術師と言っても、大半は貴族出身者。

 

殆どはまともに錬金術もこなせなかった。

 

随分後になって、関係者が皆殺しにされたらしいというのは知ったが。

 

それをやったのはアンペルではない。

 

何かしらの政治的な闘争の末なのか。

 

或いは何か別の事が起きたのか。

 

それは分からない。

 

いずれにしても、ド素人が門に手を出せば、待っているのは破滅である。

 

それで良かったのだろう。

 

宿を二部屋取る。

 

男女ではあるが、元々利害だけで一緒に行動しているアンペルとリラだ。

 

いわゆる男女の関係になった事は一度も無いし。

 

今後もないと思う。

 

一人の部屋に泊まると、義手の調整を行う。

 

ライザが直してくれた義手は、今までにない精度でしっかり動いてくれていて。既に錬金術も出来るが。

 

流石にライザの技術にはもう及ばない。

 

嘆息する。

 

自分に出来る範囲の行動をしていくしかない。

 

いずれ経験という観点でもライザに追い越されることは覚悟していて。

 

もしそうなれば、むしろ師匠としては誇らしいとまで考えていたのに。

 

本当にライザが足踏みしているらしい事を知って。

 

アンペルは、とても複雑な気分だった。

 

 

 

(続)




封印と言えば門……つまりオーリムへの入口の可能性が高い。

それもアンペルさんとリラさんが動いてくれた理由です。

一気に危険性が増してきた遺跡調査。元々王都周辺でも遺跡はほったらかしなのです。魔物の巣窟という事もあり、危険度は高いのですが。門がもしあれば、そしてフリーにしてしまえばフィルフサがわんさか湧いて来る=人類滅亡と言う事です。

人数を増やし、多方面から危険に対処していかなければなりません……

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