暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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遺跡周辺での地固めは完了しています。

後は実際に道を確立する必要があります。

此方の世界で大航海時代に航路を開拓するのがとても難しかったように。此処が、最大の難所だったりするのですが……


1、光届かぬ湖底

湖畔に到着。既にエアドロップの試験をしているのは、目撃されているのだろう。頭が硬そうな老人が、ひそひそと話している。

 

だけれども、魔物を駆逐して。

 

更には怪我人を救助したりしてもいる。

 

それに対する恩義もあるから、あまり強くは出られないのだろう。

 

反発はあるが、具体的な行動には出られない。

 

そういう風情だ。

 

別にどうでも良い。

 

直接向かってくるようなら、相応に対応はさせてもらうが。

 

それ以上の事をするつもりはない。

 

パティやタオに話は聞いているが、王都の周辺の集落に住んでいるような人達も、辺境の人間を馬鹿にしているそうである。

 

聞いていて呆れた。

 

要するに自分より下の存在をつくる事で安心している、と言う事だ。

 

本当にどうしようもないのだな大半の人間って。

 

そう思って、あたしはもう王都の人間には、基本的に期待しないことにした。

 

だが、それでも話せる人はいる。

 

全てがそうではないし。

 

三十万からなる人間を、フィルフサに食い荒らさせるわけにもいかない。

 

フィルフサ以上に危険な魔物がいるとも早々には思えないが。

 

封印というものの正体が分からない以上、楽観も出来ない。

 

しかも一つは既に喰い破られている。

 

それを、あまり軽く考える事も出来なかった。

 

「エアドロップの準備完了です」

 

「よし、行くよ。 みんな乗り込んで」

 

「さて、俺も色々な遺跡を歩いて来たが、水の下に行くのは初めてだな」

 

「浅い川とかだったらあたしも泳ぐんですけどね。 流石にこの湖に素潜りする自信はありませんよ」

 

エアドロップに荷車も積み込む。

 

大丈夫、積載は余裕だ。

 

二重になっている外壁の間に水を取り込む。

 

こうすることによって、潜水を簡単に行う。逆に浮上の際は、圧縮空気を用いて、この水を追い出すのだ。

 

淡々と水に沈むエアドロップ。

 

周囲の映像は、全方位クリアとまではいかないが、ある程度表示されるようになってはいる。

 

ただ薄暗いので、パティは露骨に落ち着かないようだが。

 

となりにタオがいるのも原因かも知れない。

 

深度を少しずつ下げていく。

 

どんどん深く潜って行くと言うことだ。

 

一応メーターもある。

 

それによると、既にあたしの身長の三十倍は潜っている事になる。その程度で、随分と暗くなるのだなと思う。

 

素潜りの達人は、あたしの身長の百倍くらいは潜れるらしい。

 

これはクーケン島で、白髭老に聞いた話だから、間違いはない。

 

手をかざして、クリフォードさんが周囲を見ている。

 

ずっとうんうんと頷いていた。

 

「いやー、凄い体験だ。 こうやって潜れるだけで、あんたらに情報提供した甲斐があったというもんだぜ」

 

「ライザと一緒にいると、今までの固定観念が全部壊されるんですよね……」

 

「わ、分かります」

 

「ははは、あたしが凄いんじゃなくて、錬金術が凄いんですよ」

 

笑いながら返す。

 

実際、これは本音だ。

 

今あたしは、どうにも全力が出せていない。

 

そうなると、凄いのはあたしではなくて錬金術だ。

 

これについては、間違いない話である。

 

今更飾っても、これは仕方がない事である。

 

「よし、底についた。 深度は、あたしの背丈の四十三倍というところですね。 これから少し浮上して、周囲を調べます」

 

「空気はもちそう?」

 

「問題なし。 空気がまずくなってくると、警告音が出るようにしてある」

 

「ぬかりがとことんないな」

 

クリフォードさんが感心するが。

 

これは一年がかりで開発しているのだ。

 

ぬかりがあっては困る。

 

ここ最近の試運転でやっていたのは、あくまで最終調整である。これらの機能は、事前にこつこつ開発していたものなのである。

 

黙々と湖底を行く。

 

周囲には、やはり巨大な魚がいるが。

 

興味を持つことはあっても、エサだと思う事はないようだ。

 

そうするように工夫してあるのだから、それでかまわない。それにしても、素潜りなんかしていたら、瞬く間に巨大魚の胃袋に直行だっただろうとも思う。

 

無言で移動し。

 

少しずつ、湖底のマップを作っていく。

 

マップを作るのはタオに任せる。

 

やがてある程度分かってきたらしく、タオが方向を指定してくる。あたしはその通りに移動する。

 

一刻以上、経過しただろうか。

 

一度浮上して、陸に戻る。

 

圧縮空気を補給。

 

これも事前に用意しておいたものだ。

 

エアドロップを、村人達は化け物でも見るかのようにみている。

 

タオが以前手紙で送ってきたが。

 

神代の頃には、空を飛ぶ車なんてものが存在していたらしく。

 

人間はテクノロジーを用いて、平然と空を飛んでいたらしい。

 

今では原理も失われてしまったが。

 

たったの千年で、そこまで人間は衰えたと言う事だ。

 

神代の頃にも致命的な破滅があったらしい。タオにもその話は以前手紙で聞かされた。つまり神代が人類のピークで、それ以降技術は衰退し続けている。

 

技術の破綻は古代クリント王国の破滅が決定打になったと言うことだが。

 

いずれにしても、千年前は、或いは五百年前には当たり前だった技術が、今ではもはや再現不可能となっている訳だ。魔物と誤認する人までいる。

 

馬鹿馬鹿しいなと、あたしは呆れる。

 

クーケン島でも見た光景だが。

 

どこでも人間は同じ、ということだ。

 

「軽く休憩したらまた潜るよ。 体調は問題ない?」

 

「俺は平気だ」

 

「僕も大丈夫」

 

「私は、少し休ませてください」

 

パティはちょっと未知のものを見過ぎて、頭がクラクラしているらしい。

 

それは仕方がない。少し休んで貰う。

 

その間に、クリフォードさんは周囲に魔物を狩りに出てくる。タオは地図の整理。あたしは、軽く瞑想して、魔力を整えておく。

 

フィーがあたしの周囲を飛び回っているとき。

 

あたしの魔力を食べている。

 

それは既に分かっている。

 

フィーは相当にジェスチャーが上手くて、それだけ意思伝達が出来るのだ。

 

母親が母乳を子供に与えるようなものだろう。

 

だから、抵抗や不安はない。

 

今のフィーは幼体で。

 

それが育った場合どうなるか、が不安なだけだ。

 

百年も孵らなかった卵である。

 

それが尋常な生物だとは思えないし。

 

ドラゴンの亜種だとしたら、成体になるまで何百年掛かるかもしれない。

 

そうなった場合は、あたしに面倒が見られるか分からないが。

 

いずれにしても、生まれてきたフィーが最初になついたのがあたしである以上。

 

しっかり責任は取るつもりだ。

 

魔力は、まだ伸びている。

 

前にウラノスさんに聞いたのだが。ウラノスさんも、三十路くらいまでは魔力の成長は続いたという。

 

あたしもそれくらいまでは伸び続けてもおかしくはないし。

 

アンチエイジングを見つけた以上、今後の事を考えると、それを使っても別にかまわない。

 

才能の上限まで魔力が伸びたら。

 

その時は、今の数倍の火力を展開出来る可能性もある。

 

それを暴威として用いるつもりはないが。

 

身を守るために必要なら。

 

それはそれとして、活用しなければならないだろう。

 

座禅を終えて、魔力を練り終えると。

 

丁度皆戻って来た所だった。

 

すぐに、続いての潜水を行う。

 

潜りながら、タオが説明をしてくれる。

 

「もしも、遺跡への入口があるのなら、だいたいの当たりはついたよ」

 

「へえ、流石だねタオ」

 

「で、それはどっちだ」

 

「少し右に前進。 そのまままっすぐ」

 

既に地図を把握しているらしい。本当に頭脳労働は全て任せてしまえる。中々に大した奴である。

 

無言で移動を続ける。

 

フィーが、ぱたぱたと羽ばたいて、鳴く。

 

これは何かみつけたな。

 

そう思っていると。

 

ばっと、周囲がいきなり明るくなっていた。

 

湖底が、はっきり見える。

 

周囲には、あまり大きな魚はいない。というか、この明るさだと、魚は寄って来ても小型がメインだろう。

 

餌を採るために大型が来るかも知れないが。

 

鼬が泳いでいる。

 

水中で、泳いでいる鼬を見るのは初めてだ。勿論水面から見た事はあるが。水中だとこんなにダイナミックに泳ぐのか。

 

しかも群れになっていると言う事は、やはり水中の大型捕食者から身を守るためなのだろう。

 

この辺りの何処にでもいる厄介な魔物である鼬だけれども。

 

こう言う場所では、補食される側なのだ。

 

それが分かって、驚かされる。

 

こうやって驚きで感動できるのなら。鈍っていたとしても、まだあたしはある程度新鮮な感性を持っているのだろう。

 

「よし、この辺りだ。 浮上して」

 

「おっけい!」

 

エアドロップ、浮上開始。

 

そのままどんどん浮上していく。あまりこの速度を上げると、体を壊す。これは素潜りについて、色々と知識を仕入れているので知っている。

 

多分エアドロップの中にいても同じだろうとあたしは思う。

 

故に、この辺りは徹底的に丁寧に立ち回る事にする。

 

やがて、あまりにもあっさりと。

 

エアドロップは、水面に出ていた。

 

そのまま移動して、周囲を探る。

 

明るい。

 

此処は岩盤の中の筈だが。

 

何かしらの理由で、光が届いている、と言う事だ。

 

無言で周囲を見回すが、これは遺跡だ。

 

わかり易すぎる程の。

 

タオが、眼鏡を直しながら、昂奮してまくし立てる。

 

「素晴らしい。 これは間違いない。 星の都だ」

 

「すっげえな! 俺だったら、何があっても此処にはたどり着けなかったぜ」

 

「……」

 

昂奮する男二人に、パティが呆れている。

 

だが、それはそれで別にかまわない。

 

あたしも、ちょっとわくわくする。

 

少しだけ、三年前の輝きが戻って来た気がする。

 

上陸できそうな場所を見つけたので、其処に横付けする。

 

一度降りて、周囲を確認。

 

空気よし。もんだいない。

 

足場よし。

 

前の霊墓よりも、ずっとしっかりしている。

 

周囲の建築様式は、これは全く見た事がない。以前見た聖堂に近いかも知れないが、それよりも更に古いのかこれは。

 

エレメンタルは、思ったほどいないが。

 

辺りにはかなりの数の鼬がいて、此方をじっと見て警戒していた。

 

それだけじゃあない。

 

中を飛んで回っているのは、小型のワイバーンかあれは。

 

また、のしのしと歩き回っているサメも見える。

 

これは、一筋縄ではいかないな。

 

そう、あたしは判断した。

 

「見える範囲だけでも、相当に魔物がいますね」

 

「ワイバーンはともかくとして、他は水陸両用の奴がおおい。 湖の中と、ここを行き来しているだろうから、人間の味は知っていてもおかしくは無いだろうね」

 

「ライザさん、言い方がいちいち怖いですよ」

 

「事実だよ。 エサとして此方を認識して、襲いかかってくる可能性が高いから、油断はしないようにね」

 

パティに釘を刺しておく。

 

さて、ここからが本番だ。

 

周囲をしっかり確認した後、橋頭堡となる地点として、この辺りを確定させておく。

 

そして、ここまでだ。

 

明日からは、一直線にここに来て、内部の探索を行う事にする。

 

予想よりも上手く今日は運んだが。

 

ただ、遺跡の内部構造は、想像以上に複雑だ。

 

見えている範囲だけでも、幾層にも折り重なっている。しかも魔物だらけ。安全を確保するのには、どれだけの手間が掛かるか知れた者では無い。

 

ともかく、少しずつ進んでいくしかないだろう。

 

周囲を軽く調査して、荷車に面白そうな素材を積み込むと、さっさと遺跡を一度後にする。

 

名残惜しそうにしていたクリフォードさんだが。

 

どうせ単身での調査は無理だと判断したのだろう。

 

すぐに、撤退の指示には従ってくれた。

 

後は、同じルートで戻る。

 

途中、真っ暗な水底を通るとき、パティは身をすくめたが。こればかりは、仕方がないのかもしれない。

 

しばしして、湖の湖畔に出る。

 

片付けをしてから、荷車にエアドロップを畳んでしまい。帰路につく。

 

これは、アトリエに戻る事には夕方だな。

 

そう思って、帰路は少し急いだ。

 

 

 

アトリエで解散してから、夕飯にする。

 

カフェにわざわざ出向くのは、話をするためである。

 

手紙には、今日の夜に会合を持ちたいとあった。

 

例のトーマス卿とやらからだ。

 

指定の席に既についていたメイドさん。

 

よく見なくても、あのフロディアさんとそっくりである。王室にもこの一族が潜入していると聞くと。

 

色々と影響力のすごさを感じる。

 

周囲の傭兵やら冒険者やらも、この一族の事は知っているのだろう。

 

明らかな畏怖が向けられているのが、あたしにも分かった。

 

合い言葉をかわすと、少しだけ表情を崩すメイドさん。

 

多少、表情は人間っぽいというか。

 

鉄仮面だったフロディアさんに比べると、表情があるようだった。

 

「始めましてライザリン=シュタウト様。 私はメイアと申します」

 

「始めまして。 それでは、仕事の話を」

 

「いえ、予定通り場所を移しましょう」

 

まあ、それでいいか。

 

移動を開始。

 

カフェを出て、学園区を横切り。

 

そして、別の店に入った。

 

かなりの高級店だ。ドレスコードだとか言うばかげたものがありそうだが。あたしはいきなりつまみ出されることはなかった。

 

別に出てくる食べ物だって美味しそうと言う事もない。

 

というか。

 

一目で分かった。客がどれもこれも、訳ありばかりだ。

 

やがて、恰幅の良いいかにも育ちが良さそうな男が来る。

 

トーマス様ですと、紹介を受ける。

 

あたしも丁寧に礼をすると、トーマス氏は額の汗を拭いながら破顔していた。

 

「貴殿の作る品の凄まじさは、バレンツ商会から買って知っている。 私は私で、独自の商売網を作りたいと考えていてね」

 

「それは構いませんが、バレンツ商会と私は殆ど専属ですよ。 契約の穴を突くにしても、関係が崩れませんか?」

 

「いやいや、それは問題ない。 実は宝石を貴族相手にそのまま売ろうと思っていてね」

 

周囲には遮音の魔術が掛かっている。

 

これは恐らくメイアさんが展開したものだろう。

 

それだけではない。メイアさんは同時に、認識阻害の魔術も展開しているようだ。テーブルの周囲からは、あたし達はモザイクに見えているだろう。

 

クラウディアは宝石は大好きだと言っていたが。

 

あたしには宝石は別に光る石以上でも以下でもない。

 

そういう意味で、宝石が販路に乗るなら、それはそれでかまわないのだが。

 

ともかく、順番に説明を始める。

 

「まず販路を作る為に、君に幾つか試作品を頼みたくてね」

 

「ふむ、詳しく聞きましょう」

 

「此方をどうぞ」

 

渡される。

 

それは、大きな原石だった。

 

コメート(星)と言われる宝石になる原石だ。元々加工が難しく、相当な高値がつくらしい。

 

真珠などはコーティングして宝石寿命を延ばしてやるだけでいいのだが。

 

コメートの場合は、普通に磨くだけでは駄目だそうだ。

 

あたしは手に取ってみて、理解する。

 

なるほど、これは一種の鉱物だ。

 

そうなってくると、美しく加工するのは確かに難しいだろう。

 

だが、錬金術なら。

 

エーテルに溶かして。再構築すれば良い。

 

これは鉱石があれば、比較的簡単に宝石は作れるだろう。

 

「順番としてはこうなる。 私は宝石の原石の販路を持っている。 これはある集落から直通している、私だけのものでね」

 

「なるほど、それで」

 

「その鉱石を、バレンツに流す。 バレンツから君に鉱石を流し、それを加工して貰う。 最後に私が貴族達にそれを売る。 この契約については、成立させるには条件があってね」

 

「私が相応の宝石を作れるか、ですね」

 

何度か頷くトーマス卿。

 

なんとも気弱そうだ。

 

見た感じ、となりにいるメイアさんがこの人の家を実質的に仕切っていると見て良さそうである。

 

何にしても、あたしにはあまり関係がない話ではあるが。

 

「実の所、私はあまり蓄財には興味がなくてね。 ある程度地盤と販路を作ったら、王都を出ようと思っている」

 

「それをまた、あたしに話してどうするつもりですか」

 

「王都に未来がないことは、此処に来た君なら理解しているだろう。 アーベルハイム卿は王都の民のために踏みとどまるつもりのようだが、私には武力がない。 それならば、どんどん衰退している別の都市に地盤を作り、少しでも人類の衰退を遅らせたいと考えているのだよ」

 

「トーマス様」

 

メイアさんが釘を刺す。

 

喋りすぎだというわけだ。

 

だが、それはむしろあたしには丁度良い。

 

嘘だらけの貴族社会にいないあたしだから、全うに会話をするつもりになった。そういうことなのだろう。

 

あたしは咳払いすると、胸に手を当てて、答えていた。

 

「分かりました。 宝石については、お任せを」

 

「うむ、うむ……。 頼む」

 

「メイアさん、契約書はありますか。 今のうちに書いておきましょう」

 

「分かりました」

 

手際よく契約書を出してくるメイアさん。

 

あたしは内容に目を通し、理不尽な内容がないことを確認する。

 

しばし確認した後、ゼッテルを取りだし、それに魔力を通す。このゼッテルは、色々面倒な契約がある場合に使えるように、作ってあるものだ。

 

ゼッテルを重ねると、契約内容が全て写し取られる。

 

それを見て、トーマスさんは目を見張った。

 

あたしが指先を契約書につけて、魔力を流す。トーマスさんも同じ事をする。これで契約だ。勿論魔術に寄る書類で、これを作成出来ると一生食いっぱぐれないくらいの特殊技能である。そのため、契約書作成の固有魔術持ちは、本当に重宝されるとか。

 

契約の内容については、それほど無理があるものではない。

 

単にあたしが鉱石を加工して、トーマスさんが売る。

 

加工賃としても、バレンツ商会が出している相場は覚えているから、問題ないと断言できる。

 

裏面なども確認するが、独占契約ではないし。

 

契約を裏切った場合は、いつでも解除できる。

 

魔術によるこう言う契約は、口約束よりもずっと拘束力が強く。破った場合は相応のペナルティがある。

 

あたしから破らなければ問題はないし。

 

そもそも、条件はかなり緩いので、あたしとしてもこのくらいなら問題はなかった。

 

これでも島に散々与太者が来ているのだ。

 

そういう連中を見ているから、あたしとしても、この契約書がまずいかどうかは一目で分かった。

 

「うむ、うむ、手際が良くて助かる」

 

「それでは、とりあえずこれで失礼します」

 

「ライザリン様」

 

「ライザでいいですよ」

 

メイアさんが少し考えてから。

 

少し表情を崩した。

 

「わかりました。 ライザ様、いずれ宝石だけでは無く、我が家から個人的にそれを加工したものを頼むかもしれません。 ただこのサイズの原石からつくるものではなく、ごく小粒な宝石が限定になりますが」

 

「ふむ、宝飾品ですか?」

 

「そうなります。 貴族の間では、そういうものが更に高値がつきますので」

 

まあ、その時はその時だ。

 

店を後にすると、流石にかなり夜も遅くなっていた。

 

さっさと家に戻る事にする。

 

懐から顔を出したフィーが、早く帰りたいと鳴き声を上げる。

 

まあ、退屈だっただろうな。

 

そう思って、あたしは帰路を急ぐ。

 

宝石の加工は、今日の内にやっておくつもりだ。

 

湖底の遺跡への道が確立出来。

 

更には、その規模が想定以上だったこともある。

 

あまり、無駄に時間を費やすことは。できなかった。

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  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
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  • オリジナルの長編
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