暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2 作:dwwyakata@2024
その戦力は、既に王都の全てを凌駕していました。
それでもなお、遺跡に辿りつくには手間が幾つも掛かるのですが。
翌日。
職人区に出向くと、人がかなりいた。肉や毛皮が安売りされている。あの状況で、外に出向いた馬鹿がいるのかと懸念したが。
どうやら。そうならないように、アーベルハイム卿が先に手を打って、安売りできるように物資を供出したようだった。
王にも話が届いているらしい。
此処だけでは無く、大通りのバザーにも相当に物資が流れているらしい。
魔物と言っても、家畜が大型化したような生物。例えば走鳥だが、その気になればあらゆる場所を有効活用出来る。
獣脂は料理にも使えるが。
場合によっては灯りに使う事もある。
それくらい有用な物資なのだ。
また毛皮の中でも使えるものは、そのまま身に纏ったり。加工して武具にしたりも出来る。
アーベルハイム卿が来ていた。
側にいるのは例のメイドさんか。
吃驚するほどフロディアさんに似ているが、もう少し雰囲気が大人びているか。
だが、それも化粧次第で幾らでも変わるので。
素顔については、あたしもなんとも判断できなかった。
「ライザくんか。 今日も出るのかね」
「まだ鉱山への安全路を確保できていません。 もう少し手数があると助かるんですが……」
「私は先走った者が門から出ないように見張らないといけないし、他の街道での守りもある。 協力は出来ないが、後方支援は任せて欲しい」
「助かります」
あたしを見て、ひそひそ話している声。
魔物の大軍勢を叩き潰したそうだ。
王宮魔術師が作り出した人間型の魔術の兵器らしいぞ。
そんな声が聞こえるが。
敢えてヴォルカーさんが大きく咳払いをして視線を向けると、ひっと声を上げて無責任な噂話をしていた連中は散った。
とりあえずあたしは興味がないのだが。
感謝だけはしておく。
今日もアンペルさんとリラさんは出かけていた。北の里について調べてくれているらしい。
この作戦任務については話したのだが、参戦はしてくれないということだ。
フィルフサの群れを叩き潰したあたしなら、いらないだろうと。
あの時は大雨という好条件を無理矢理作り出したから出来たことだったのだけれども。まあ、確かにフィルフサとの戦闘に比べれば格段に楽ではある。
それでも、今日中に終わるかは分からない。
他にまだ三箇所封印の状態が分からないのだ。
急ぐ必要がある。
そもそもレントが鉱山で見たと言う遺跡が、当たりとは限らないのだ。
今、タオが調べてくれてはいるが。
それでも、今まであの八角錐の封印の根本らしいものは、何処かで見つかった記録はないという。
だとすると密閉性が高い遺跡にあれがある可能性は高く。
少なくとも、遺跡の所在は「前人未踏」の場所である可能性が高かった。
「開門してください!」
「はっ!」
パティが声を掛けると、戦士達が門を開く。
外は結構綺麗に片付いている。あたしがイグナイトルミナスを全力でぶっ放した割りには、だが。
魔物の死体はほぼない。
黒焦げのものはそのまま砕いて肥料に。
そうでないものは、売るために持ち帰ったのだろう。
利用しようがない魔物は、そのまま死体を焼き払っておしまい。
それで、この辺りは思ったよりすっきりしている、というわけだ。
「パティ、大丈夫?」
「はい、なんとか」
「血の臭いが取れないって、昨日嘆いていたけれど……」
「脆弱ね」
心配するクラウディアに、セリさんがばっさり。
セリさんが、何処かの部族か何かと思っているパティは、考え方が違うのだろうと既に割切っているようだった。
パティにオーレン族の話をするのはいつになるだろう。
この子は信用できると思うのだが。
まだ、すぐにはできないか。
セリさんは、他の人間も容赦なく見ている様子だ。なお、クリフォードさんは元々知り合いだったようである。
「前もあった時もそうだったが、相変わらず舌剣人を刺す、て感じだな」
「面白い表現ね」
「知り合い?」
「賞金稼ぎをしているときにちょっとな。 一緒に賊を蹂躙した間柄だ」
セリさんは何も言わない。
いずれにしても、賞金稼ぎを副業に、トレジャーハンターをしているクリフォードさんである。
クラウディアに聞いてあたしも調べたのだが、確かに各地で賊に相当に怖れられているようである。
そうなると、衰え始めるとロクな老後を送れない可能性もある。
その時の為に、何かに備えておく方が良いのかも知れないが。
足を止める。
魔物だ。
道を少しずつ開けさせて、瓦礫も排除しているのだが。排除した分、魔物が来て縄張りにしている。
逆にそれは、前よりも小物の魔物が集まってきていることを意味する。それも頭が良くない奴が。
目端が利く奴は、危険を察知して近寄らない。
これだけの魔物が殺されたのだ。
安易に近付いて来ているのは、単純に頭が悪い奴。
だからこそ、見境なく仕掛けて来て危険な側面もあるが。
今の時点では、とにかく片付けて行けば良い。
戦闘開始。
もう少し戦線を押し上げたいが。昨日戦線を押し上げた地点のかなりが、また魔物に浸食されている。
昨日の奴らより弱いとは言え。
どれも魔術を使う危険な生物だ。
爆弾も惜しみなく使う。
突貫してくる巨大なラプトル。だが、でかいだけだな。そう判断して、あたしは充分に引きつけた所で、蹴り技で足を粉砕する。
普通だったら砕ける太さの足では無い。
あたしの練り上げた蹴り技に魔術による強化を乗せて、更に錬金術の装備で強化を上乗せして。
やっと出来る事だ。
足を砕かれたラプトルが、凄まじい絶叫を上げながら横倒しになり。
それを見たラプトルが、明らかに躊躇。
そこを、セリさんが、植物を操作して文字通り全部スライスしていた。
見た目と裏腹に、荒っぽい人だ。
リラさんは、戦士として豪快な戦いをしていたが。
戦術などでは、もの凄く緻密だった気がする。
教えられた戦闘技能などについての心得も、極めて論理的だった。非常に厳しかったが。理不尽な厳しさではなかった気がする。
思えばキロさんも戦い方はだいぶ違った。
それを思うと、オーレン族も氏族によって、更に個人によってだいぶ違ってきているのだ。
空から来る。
大型の鳥の魔物だ。
走鳥の凶悪さが知られるが、ああいう飛鳥も同じく厄介である。
クラウディアが飽和攻撃で片っ端から叩き落とすが、数羽は猛攻をかいくぐって迫る。
パティが前に出ると、腰を低くして。
紙一重の間合いで、カウンターを入れて斬り伏せる。
翼を丸ごと持って行かれた鳥が、そのまま地面に激突。
すれ違い様に、三羽までパティは仕留めたが。
四羽目に、もろに爪で抉られた。
胸当てで防げたから、致命傷は避けたが。本来のあの大きさの爪を喰らっていたら、体に深々穴が開いていただろう。
吹っ飛んだパティを内側に庇いつつ、上空に逃れようとする大鳥に、クリフォードさんがブーメランを直撃させる。
戦闘は続く。
今日も昼少し前に、一度引き上げる。
すぐに手当てをするが、パティは青ざめていた。増血剤も飲ませる。諸肌を脱いで手当てをする。
手当てが遅れていたら、ざっくり傷が残っていただろうと思う。
セリさんは、防御にも植物を使っていた。
それでもこれほどの魔物を同時に相手するのは流石に大変なのか。幾つか手傷を受けていた。
「セリさん、治療します」
「薬草の知識はあるから大丈夫よ」
「オーレン族にもあたしの薬が効くことはグリムドルで確認済みです。 心配せずに任せてください」
「……」
じっと冷たい目で見られる。
グリムドルの名前をどうして知っている。
そういう表情だが。
咳払いして、あたしは傷薬の効きを見せる。
確かに傷が溶けるように消えるのを見せておくが。
それでも、セリさんはやはり錬金術への警戒が強いのか、中々首を縦に振らなかった。
「フィー」
懐からフィーが顔を出す。
それを見て、セリさんはしばし無言だったが。
やがて嘆息した。
腕をまくって見せる。やはりかなり羽毛が生えている。それをみて、パティが目を見張ったが。
あたしは口元に指を当てて、しっとパティに言った。
あまりオーレン族であることは、知られない方が良い。
それに気付いたのか、パティも頷く。
訳ありだと判断したのだろう。
セリさんの手当てをする。痛みも傷も即座に消えたはずだ。
あたしの薬も、三年で色々と強化している。
傷を治すだけではなく、免疫力を強化し、更には全身の細胞を活性化もさせる。増血剤はそれはそれであるのだが、血液が体内で増産されるようにもし。それだけではなく、細胞の若返りや異物の排除も行えるように調整してある。
三年で、あたしも色々とやっていたのだ。
手応えがあまりなかったのも事実だが。
それでも、一応の成果は上げているのである。
不思議そうに。傷が消えた場所を見るセリさん。
ただ、それでもあたしをまだ信用してくれているようには見えなかったが。
「痛みは大丈夫ですか」
「ええ。 問題ないわ」
「セリさんのために、あたし達が使っている装備を作ります。 オーレン族のあたしの師匠のために作ったものがありますので、同じようにすれば問題なく使えるはずです」
「……」
それ以上は、セリさんも黙ってしまう。
まあすぐには受け入れてくれないよな。
そう判断して、今は諦める。
皆の手当をして、食事をする。
かなりの数の鳥を撃墜したこともある。それも、みんな人間を余裕で殺傷できる大きさのものだ。
肉が若干硬いのが難点だが。
どれもしっかり栄養を取れる。調理の技術次第だ。
カフェの店主の人も出て来て、戦士達と連携して運び込んだ魔物の調理や、保存食化をしているようだ。
ヴォルカーさんが陣頭指揮を執って、与太者の類が好き勝手をしないように見張りつつ。
更にいつも仕事がない人などを呼んで、どんどん簡単な仕事を任せているようである。
また、格安で食事を振る舞っているようで。
ヴォルカーさんは、感謝はあたし達にするようにと、皆に何度か言い聞かせていた。
ちょっと困るかも知れない。
ただでさえ変な噂がばらまかれているのだし。
いや、これで変な噂が畏敬に変わってくれれば儲けものか。
ともかく食事と排泄を済ませたあと、第二次作戦に行く。やはり戦地は血の臭いが凄まじく。
地面にも大量の血が注がれている。
フィルフサの百万に達する大軍勢とやり合った時は、これよりも更に戦線が錯綜していたけれども。
あの時は人為的に降らせた大雨もあるし。
何より内部が殆どがらんどうであるフィルフサという生物の特徴もあって。血の臭いは殆どしなかったっけ。
パティはかなりの手傷をさっき受けたが、治療もあってもう戦えると、すぐに前線に出ていた。
見ていると、どんどんカウンターの精度が上がっている。
アドバイスをみるみるモノにしていく。
やっぱりこの時期の子は一番伸びるな。
そう思って、あたしは熱槍の雨を、敵に降らせ続けた。
二日目の夕方で、鉱山の入口が見えた。
だが既に陽は傾き、稜線の向こうに消えようとしている。
レントが参戦してくれたらなあ。
そう思いながら、周囲に転がっている大岩をどける。
錬金術の装備による強化があってもパティには純粋な力仕事は厳しいので、あたしとクリフォードさんでやる。
セリさんは、植物の魔術を用いて、邪魔な岩をどけてくれるが。
それでも、流石に巨岩は無理だ。
セリさん自身も思ったよりずっと力があるようだけれども。それでも、岩のサイズ次第では首を横に振る。
そういうのはあたしが熱槍で粉砕して、クリフォードさんが腕まくりして、押して避ける。
ただやっぱり、レントがいて欲しいと思う。
「タオ、後方の人達、襲撃されたりしていない?」
「今の時点では、例のメイドの一族らしい人達が出張って見張ってくれているみたいだよ」
「じゃあ心配なさそうだね」
「改めて、あの一族の戦士達の凄まじさがよく分かります」
へばっているパティが呻く。
流石のゴルドテリオンの刃もかなり傷んでいるので、後であたしが錬金術で調整する。
クリフォードさんも、その手際を見てちょっとだけブーメランを任せても良いかなと思ったみたいだが。
この人の固有魔術は、多分自分でお気に入りにデコレーションした武具にしか発動しないと見て良い。
だとすればあたしがするべきは。
この人に頼まれたときに。
インゴットを指定の形に加工して、渡すことだろう。
ある程度周囲が片付いたところで、撤退。
荷車を急いで何往復もして、辺りの良さそうな鉱石は回収しておく。
これはかなり良い鉱石だと言えるものが、ゴロゴロ散らばっている。
鉱山から掘り出して、それっきりのものだったのだろう。
鉱山労働は過酷極まりなく、寿命を縮める酷いものだとあたしも知っているが。
確か掘り出した鉱石の中に貴重品があると、掘り出した人間にそのまま権利があるという。
しかも、鉱山労働者の中でもしも奪いあいが発覚した場合は、即座に首が飛ぶとかいう話で。
人間の精神をある程度見抜ける魔術師が確定で常駐するため、不正も出来ないらしい。
この辺りは、効率よい労働を促すために必須の事だ。
まあ最近は露天掘りを中心にやっているようで、それもあって労働者の環境もマシになって来ているようなので。
昔よりは良いのだろう。
昔は人間を使い捨てに出来るくらいいたらしいから。
さぞや鉱山は地獄だったんだろうな、という言葉しか無い。
ともかく、周囲のおおざっぱな確認を終えて、即座に撤退を開始。
物資の中でも、まだ再利用できそうなもの……トロッコやら金属製のレールやらは、可能な限り無事なままにしておく。
鉱山の中には流石にまだ入れる訳にはいかない。
もしも遺跡が存在して。
封印が存在していたら。
はっきりいって、見境なく人を入れたりしたら大変な事になる。
一旦アトリエに戻る。
職人区の扉付近で警備をしていたヴォルカーさんに、戦果については告げておく。頷いて、秘書官らしいメイドさんがメモを取っていた。
「かなり人が集まっていますね」
「かき入れ時だからな。 貧民達にも声を掛けている。 食事は出るし、金も出ると言う事でかなりの数が来ている。 後は与太者や賊が暗躍するのを防ぐべく、手の者を出している状態だ」
「抜かりがありませんね」
「そうだな。 ライザくん、感謝している。 この辺りは私だけではどうにもできなかった。 もしも鉱山が再開できたら、その時は国王陛下から感謝状と褒美の一つも用意していただこう」
それはそれで迷惑だなと思う。
この国の王がボンクラである事は分かっているし。
そんなのとコネなんて欲しくもない。
適当に礼を言って、アトリエに戻ると。すぐにパティの装備を調整する。乱戦の中にいたというよりも。
やっぱりまだ技量が根本的に足りていないのだ。
やはり彼方此方装備の痛みが激しいので、それを修復しておく。
技量がもっとついてくれば、装備の痛みも減るだろう。
それは、パティも分かっているようだった。
「ライザ、ちょっといい?」
「うん、どうしたのクラウディア」
「今、レントくんの様子を見てきたの」
「どうだった?」
一応、騒ぎを聞いて仕事はしているようだが。それはあくまで生活費の調達のためであるようだ。
力仕事はしてくれているようだが。
レント自身が歴戦の猛者であり。
あたし達と混じって戦っていた事を、忘れてしまっているかのようだった、ということだ。
酒をまだ抜いているんだな。
そう思うと、あたしはちょっとやりきれなくなる。
「そう。 ともかく、ここ三年で本当に色々と参ったんだね」
「心に傷がつくと、簡単にはなおらないの。 私も彼方此方で、心が死んでしまったような人を見て来たから……」
「そうだね。 ともかく、レントを今は信じよう。 もっと長い間、同じ目にあってきたザムエルさんよりも、傷は浅いはず。 きっとレントは、立ち直れるはずだよ」
頷くクラウディア。
そして、一度解散とする。
パティは戻って来た大太刀と胸当てを見て、目を丸くしていたが。
すぐに嬉しそうに身に付けて。それで頭を下げた。
ともかく、これで戦いの準備は問題ない。
セリさんはふらっと消えようとしたので、呼び止める。
「セリさん、これつけて見てくれますか?」
「何かしら、それは」
「魔力増幅に特化した腕輪です。 恐らくセリさんの戦力を、純粋に強化出来ると思います」
「そう……」
興味なさげに見ているセリさん。
だが、身にはつけてくれた。
それで、少しずつ信頼してくれているのだなと思って。
あたしは嬉しかった。
セリは、住居にしている貧民が集まる宿に急ぐ。
手につけた腕輪。
凄まじい魔力を放っている。
いや、魔力を放っているのはセリ自身か。
「確かにこれは凄い……」
忌々しいなとセリは感じる。
それはそうだ。ライザの事は、今でも信用していない。隙を見せたら背後から刺したいと考えている程だ。
だが、あいつがそれほど悪党には見えないのは、どうしてなのだろう。
見て来たが、やっているのは過剰繁殖した魔物の駆逐。
それ以上でも以下でもない。
何より、あいつが目的にしているのが、アンペルだとかいう錬金術師と同じだとすれば。
フィルフサ対策である可能性が高い。
宿に荷物を置いた後、リラと話に行く。
リラはセリにすぐに気付いて、宿から出て来たようだ。
人間と二人旅なんて気が知れないが。
リラは、なんとも思っていないようだった。
「ライザと連携して戦闘しているようだな。 職人区だかのほうが騒がしいが」
「ライザはグリムドルの事を知っていたわ」
「それはそうだ。 三年前、私達はグリムドルに通じる門をライザとともに制御可能な状態にした。 グリムドルに巣くっていたフィルフサの王種、「蝕みの女王」と麾下のフィルフサの軍勢を殲滅して、そして聖地を開放した」
「……にわかには信じがたい話ね」
フィルフサの撃退は、今までも何度か例があるとは聞いている。
例えばオーレン族のもっとも重要な聖地であるウィンドルでは、今でも湊波氏族が中心となって、フィルフサと苛烈な戦闘を繰り返している、と思う。
何百年も前に離れたから、今どうなっているか分からないが。
あの長老とその一族が、簡単に負けるとは思えない。
だが、あの長老と一族であっても、フィルフサの群れを真正面から蹴散らす事が可能だろうか。
セリには、なんとも信じられなかった。
「何か幻覚でもみたのではないでしょうね」
「聖地を開放した後、周辺にいた生き残りのオーレン族二十数名を集めて、今は復興が開始されている。 聖地には水も戻り、植物も少しずつ増え始めている状態だ」
「……」
「嘘などついて意味があると思うか」
確かに武名高い白牙。
それも結構最近までオーリムで戦い続けていたのなら、嘘をつく理由も無いか。
「ライザは細かい所がかなり雑ではあるが、全体的に見て英傑といって言い人物だ。 信用してもいいとおもうぞ」
「分かったわ。 其処まで言うなら、今殺すのは止めておきましょう」
「絶対に止めろ」
「錬金術師よ相手は。 見定めは……慎重にさせて貰うわ」
リラと別れる。
セリは分からなくなってきていた。
ともかく、もう少し様子を見よう。
それに、セリの目的。
フィルフサの汚染を除去し、緑を増やせる植物。
それの入手は、正直手詰まり状態だ。
今は、ライザの力を利用する。それを考えなければならないのかも知れない。
無力な自分に、セリはひたすら腹が立つ。
だが、腹が立つと言って。
周囲に殺戮と破壊をまき散らすようでは、古代クリント王国の連中と同じだと判断して。怒りを収めるのだった。
オーレン族と言う事もあって、セリさんの事情はわかるライザ。
セリさんはライザを観察している段階ですが、必要とあればいつでも背中から刺すつもりです。
緊張感のある状況ですが。
ライザはそれでも、セリさんを拒みません。
オーレン族の苦境を、三年前に見て知っているからです。
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