暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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4、童心二人

そこは、ロマンの塊みたいな場所だった。

 

おおと、声が上がるクリフォード。

 

同じく隣で、眼鏡を曇らせてタオがおおっとか声を上げている。

 

「遺跡だ! カンテラが必要ないくらい明るい場所も多い!」

 

「すげえぞ。 この建築様式……かなり古い!」

 

「古代クリント王国以前のものですね。 これはひょっとすると、星の都よりは新しいものの、例の封印に関連する、リアルタイムで動いていた遺跡かも知れないですよクリフォードさん!」

 

「だが、それでも多少様式が違うな!」

 

スイッチが完全に入ったクリフォード。

 

これでも色々な遺跡でトレジャーハントしているのだ。

 

タオほどの専門知識はないが、遺跡にロマンが溢れていることだけは分かる。

 

ただ、危険な臭いがプンプンした。

 

彼方此方に彷徨いている幽霊鎧。現役のようで、巡回をしている。

 

それがちゃんと動いているものだったら大丈夫だったのだろうが。

 

恐らく、あれは機能が壊れて。

 

ただ盲目的にこの遺跡を守るガーディアンとなっているのが実情だろう。

 

ライザが何かの道具を彼方此方に配置し始める。

 

それは灯りを発生させる装置なのだと分かった。

 

更に周辺が明るくなり、見えてくる。

 

流石に遺跡の中に飛び出すほど、クリフォードも命知らずじゃあない。トレジャーハントをする過程で、散々危険な目にもあったからだ。

 

此処までに三体の大型ゴーレムを倒した。

 

時間的にも、そろそろ夕方になる頃だ。撤退しないとかなり危ないと判断して良いだろう。

 

帰路にルートを示すための印を入れていく必要もある。

 

撤退の時分だ。

 

だが、それでも少しでも此処にいたい。

 

うずうずする。

 

「タオ、此処から見える範囲のマッピングをよろしく。 なんだろうあの植物……」

 

ライザが呟く。

 

巨大な地下空間にある遺跡。

 

それは石造建築ではあるのだが、彼方此方に変な色の川みたいなのがある。

 

地下水脈は普通もっと澄んでいるものなのだが。

 

あれは明らかに、変な色に濁っていた。

 

それだけじゃあない。

 

ライザが呟いたように、こんな地下なのに、奇怪な植物が蔓延り。木みたいなのまで生えている。

 

オブジェだとは思えない。

 

魔物の一種である事も、想定しなければならないだろう。

 

手をかざして、今まで見てきた魔物のデータと照合する。遺跡探索の過程で、レアな魔物と遭遇する事も多かった。

 

遭遇した後は調べた。

 

殆ど記録にない魔物と遭遇したと後で分かった事も多い。

 

あれが魔物だとしたら。

 

トレントか。

 

いや、違う。

 

植物の王ともいわれる魔物だが、あれは深い森に生息するものだ。

 

マンドラゴラか。

 

いや、それも違っている。それもどちらかというと、潤沢な光を必要とする。エサとして動物を襲う種類もいるが。あくまで補助であって、エサの基本は光と水だ。

 

他にも何種類かの植物の魔物を想定するが、どうにもぴんと来ない。

 

あるとしたら、魔食草。

 

魔力を喰らって際限なく大きくなり、その成長スピードから嫌われる植物だが。しかし、地下で育っていること。これだけの巨大遺跡を覆い尽くすほどいる事。これがよく分からない。

 

魔食草も、結局は光を必要としているのだ。

 

この繁殖ぶりは異常である。

 

「よし、道は確保できた。 一度撤退。 この遺跡、嫌な予感がビリビリする。 レントが撤退するわけだよ」

 

「こんな恐ろしい場所に一人で来て、生還出来ただけでも凄すぎてめまいがします……」

 

「パティ、ライザと一緒にいると、この程度では怖がらなくなれるよ」

 

「それはそれで、人間を捨てているみたいでちょっと……」

 

タオの慰めも、パティに必ず効くわけでもないのか。

 

微笑ましいな。

 

そう思いつつ、クリフォードは見解をライザに話しておく。

 

帰路で幾つかの見解を述べたが。

 

ルートを確定させるために、用意してきた光を放つ塗料を岸壁に塗りながら、ライザは小首を傾げる。

 

「確かにどれも条件と一致していないですね。 マンドラゴラはあたしも素材として錬金術で使うので、なんとなく分かるんですが……」

 

「俺は魔食草が一番近いと思うが、それにしてもあれはおかしい。 繁殖ぶりが、まるで遺跡を丸ごと喰らっているようだ」

 

「亜種の可能性はないですか?」

 

クラウディアが言う。

 

ライザとツーカーの動きをしている。

 

ライザにぞっこんだな。

 

これでどちらかの性別が違ったら、どっちも幸せだっただろうに。そう思って、クリフォードは世の中上手く行かないものだなと内心で呟いていた。

 

「とにかく調べて見ないとわからねえ。 一応サンプルは少しだけくすねてきた」

 

「流石ですね。 僕にも少しください」

 

「分かった、渡しておく」

 

「セリさんはどう思います?」

 

ライザの言葉に、セリは首を横に振っていた。

 

分からないと言う。

 

「私は一万五千種類ほどの植物を知っているけれども、どれとも該当しないわ。 光が届かないこの場所で、此処まで大きくなれる植物は限られるほどしかないし、そのどれともあれは該当しない」

 

「一万五千……」

 

「植物学者になると、千種類知っている程度では話にならないんだよ、パティ。 でも一万五千種類となると、並みの学者では歯が立たないだろうね」

 

「つ、ついていけない世界です」

 

想像以上に凄いな、セリは。

 

そう思いながら、クリフォードは確信する。

 

あの遺跡との融和ぶり。

 

恐らくだが、あの植物は人工的に作られた変種だ。

 

タオに、小声で警告しておく。

 

「危険なサンプルの可能性がある。 いざという時には即時で焼却処分した方がいいだろうと思う」

 

「はい、分かっています」

 

頷く。

 

そして、帰路を急ぐ。

 

収穫は多く、童心に帰れる素晴らしいロマンを満たしてくれる遺跡を見つけた。

 

だが、同時に。

 

其処は全身の危機意識を喚起する、極めて命が簡単に吹き飛ぶ場所でもあるのだった。

 

 

 

(続)




鉱山の奧にはやはり遺跡がありました。

どうにか到達はできましたが……

原作をやっていると分かりますが、この遺跡、とにかく面倒な場所です。原作で一番面倒な遺跡かも知れません。

本作でも、原作とは違う方向で面倒な場所として描写していきますので、お楽しみに。

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