暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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原作でもこの工房での羅針盤の記録を見ると、極めて危険な植物を扱っていたことが明らかになっています。

本作ではせっかくなので、危険な植物には危険な植物らしく振る舞って貰います。


1、火と木の跡地

いつ襲ってくるかも知れない植物の木の根を薙ぎ払いながら、少しずつ進む。本当に、少しずつしか進めない。

 

クラウディアの警告。

 

真横から、植物の根が串刺しにしようと飛んでくる。

 

あたしが蹴りをたたき込み、弾き返したところを、パティが気合を込めて根を斬り伏せる。

 

更に其処に、セリさんが植物操作。

 

地面から生えてきた鋭い植物が、根をみじん切りにした。

 

根を焼く。

 

びちびちと動いていた根は燃えづらく。

 

魔力を喰らっているからだろうか。熱魔術で起こした火では厳しい。フラムを使うか。そうあたしが思う程だ。

 

「これで何度目だ。 本当に好き放題に襲って来やがるな……」

 

「この辺りは、見て。 集落跡地になってる。 敵の排除はもう少しだ。 根を排除し切れれば、色々と分かる事があるかも知れない」

 

「奇襲ばかりでしんどいです……」

 

「そう。 今度は奇襲じゃないみたいだよ」

 

ええとパティが顔を上げる。

 

あたしが笑顔で指さした先には、数体の幽霊鎧。

 

明らかに敵認定されている。

 

それぞれ手にしているのは、見た事がない金属の武器だ。例のクリミネアと同等の金属だろうか。

 

襲いかかってくる。

 

乱戦になるなか、あたしは指揮官個体らしい大きいのを狙う。手にしているのは鎖つきの刃物で、それを巨体で振り回しているものだから、危険極まりない。

 

見ると、鎧も相当分厚い。

 

あれはタックルなどを浴びるだけでも危険だろう。

 

小型は周囲に任せる。

 

あたしは振り回される鎖武器をかいくぐりながら、連続して熱槍を叩き込む。パティが、長柄持ちと渡り合っているのを横目に。振るわれたえぐい刃を低い体勢でかわし、一気に接近。

 

その瞬間、相手はぐんと得物を手元に引き寄せてきた。

 

腕に鎖が接続されていて。

 

それを体内に収納したり、伸ばしたり出来るのか。

 

不自然な挙動で戻ってくる刃が、肌を掠める。

 

ぞっとする。

 

こんな所に長期間放置されていた危険極まりない代物だ。

 

触っただけで病気になりかねないし。

 

傷でもつけられたら、即時に処置しないとどうなることか。

 

がっと手元に刃を取ると。

 

そのまま振り下ろしに来る幽霊鎧。

 

見た感じ、その刃の形状は、パティが使っている大太刀に似ている。

 

再度ステップしてかわすが、踏み込みつつ逆袈裟に切り上げてくる幽霊鎧。凄い手練れだ。

 

中に人間が入っているかのような武術の冴え。

 

舌なめずりしながら、バク転。しつつ、切り上げられた刃を、蹴り跳ね上げる。

 

体勢を崩した幽霊鎧だが、不意に体勢を戻す。

 

人間離れした動きだが。

 

それは人間では無いのだから、それくらいやってきてもおかしくない。

 

突貫。

 

横殴りに刃を振るってくる幽霊鎧。

 

あたしはその刃に残像を抉らせ。

 

飛び膝を幽霊鎧の顔面に叩き込んでいた。

 

地面を踏み砕きながら跳躍しての一撃だ。

 

幽霊鎧の顔面が、文字通り微塵に砕けて。流石の巨体も体勢を崩す。

 

む。

 

顔面を砕かれることで、幽霊鎧の動きが鈍ったか。

 

それでも体勢を立て直し。着地狩りを狙って来る幽霊鎧だが。

 

あたしは熱槍を放って空中機動して、刃の間合いの外に着地。だが、あわてて跳躍する。

 

また鎖を使って、間合いを無理矢理伸ばしてきたのだ。

 

再び距離を取る。

 

じりじりと、間合いを計る。

 

クラウディアも、相当に手強いのと、後ろでやりあっている。

 

レントがいたら、こいつと戦うの喜んだだろうな。

 

そう思いながら、あたしは手元に熱を集める。

 

ただし、冷やす方。

 

幽霊鎧は腰を落とすと、渾身の一撃の体勢に入る。

 

なるほど、これは受けてやるべきか。

 

踏み込んでくる。

 

大上段からの、渾身の一撃だ。

 

如何にあたしでも、これは避けられないと判断したのか。幽霊鎧の動きは完璧に近く、太刀筋も完璧。

 

だが、あたしはそれを。

 

受け止めていた。

 

周囲が凍り付きかねない、超低温の分厚い氷。それが、刃に左右から超高速でぶつかり、とめていた。

 

動きを止める幽霊鎧。

 

全身に霜が降りている。

 

負けを悟ったから、だろうか。

 

むしろ、あがくこともなく。

 

満足げに、立ち尽くしていた。

 

あたしは、幽霊鎧の中枢。頭の部分に、巨大な熱槍を叩き込む。そのまま、倒れ臥す巨大な幽霊鎧。

 

一瞬で楽に出来ただろうか。

 

そう思いながら、あたしは冷気魔術を解除。

 

熱を操作できると言う事は、冷やせるという事でもある。ただ消耗が熱くするよりも多いので。

 

出来ればやりたくはないのだが。

 

後ろを見ると、皆勝っていた。

 

パティが大太刀を杖に、肩で息をついている。

 

なんとか勝てた、という感じだ。

 

すぐに手当てを始める。

 

「此処の幽霊鎧、どいつも強いよ。 短時間で凄く強くなってるね」

 

「ありがとう……ござ……います」

 

顔を上げる元気もないらしい。

 

あたしが渡したお冷やをぐっと飲み干したパティ。あたしが横になるように指示すると、素直にパティは従った。治療するのを知っているからだ。

 

男衆と女衆で別れて手当て開始。

 

やはりかなり深い手傷を受けているパティ。そもそもあれほどの重厚な鎧を着込んだ相手である。

 

しかも人間と違って、人体急所にあたるものが何処にあるか分からないのである。

 

苦戦は、仕方が無い事だった。

 

勝てるだけで、パティは立派だ。

 

傷の手当てを終える。

 

向こうに、今のと同格くらいの幽霊鎧が一団になって歩いているのが見える。例の植物を時々間引いているようだが。

 

植物が反撃する様子もない。

 

何か秘密があるのかも知れない。

 

とにかく、幽霊鎧の残骸をある程度持ち帰る事にする。持ち帰った先で暴れたら大変だから。それぞれの一部ずつだけ。

 

あたしと戦った巨大な奴からは、武器だけを貰う。

 

やはり大太刀に似ている。

 

じっと見て。あたしは決める。

 

「パティ、後でその大太刀預けてくれる?」

 

「かまいませんが、それ……そんな巨大なの、私使えませんよ」

 

「分かってる。 コレを持ってたあの大きな幽霊鎧、凄い戦士だったんだ。 勿論中身は空っぽで、多分魔術によって指定された命令に沿って動いていたんだと思う。 それでも、凄い武人だった。 パティのために、その強さを少しでも取り入れたくて、武器を調整したいんだ」

 

「ちょっとよく分からない世界ですが、腕を上げられるのなら……私もそれに異存はありません」

 

皆の手当て終わり。

 

クラウディアも少し貰っていた。

 

此処の遺跡の幽霊鎧。

 

もしも敵対しなければ、或いはフィルフサとの戦いで、味方になってくれたかもしれないなとあたしは思う。

 

ちょっとばかり、それが悲しかった。

 

懐からフィーが顔を出す。

 

周囲が安全だと判断したのだろう。

 

そして、その辺に散らばっている。切り刻まれた木の根や、幽霊鎧の残骸から、魔力を吸い上げ始める。

 

あたしの魔力だけでは足りないのかなと思っていたが。

 

やはりそうらしい。

 

魔力を吸い上げていく。底無しだ。

 

「随分と大食いだね、フィー」

 

「フィー!」

 

クラウディアの言葉に、フィーは嬉しそうに応える。

 

コレは多分、あたしの負担を減らせると喜んでいるのだろう。結構あたしの魔力を吸い上げている。

 

あたしだけだとちょっと足りないかなと思っていたし。クラウディアの魔力をあげてもまだ不足な様子だったので。

 

本人も、こういう所で少しでも補給したいのだろう。

 

小休止を挟んで、更に掃討戦を続行。

 

一度小型のゴーレムに襲われたが、それだけ。

 

後は、安全を一区画確保できた。

 

一区画、だけだったが。

 

それから、一度調査に入る。

 

タオが周囲の建物を順番に調べて行き。

 

クリフォードさんが、床を主に調べて行く。

 

何しろ鉱山の内部だ。

 

壁に当たる部分がこの遺跡にはない。

 

建物も小ぶりなものが多くて、それらの建物を調べて行くしかない。

 

中央部にはそれなりに大きなものがあるようだが。

 

例の植物の根が非常に大量に絡みついていて。

 

それと戦わないと、内部に入ることすらできそうになかった。

 

「ライザ、荷車いい?」

 

「お、何か見つけた?」

 

タオが手を振っている。

 

近付くと、どうやら本棚があるようだ。

 

雑多ながらくたの山の中に、本棚が埋もれている。多分、倉庫だったのを、根が崩してしまったのだろう。

 

がらくたの中には、刃がついているようなものもある。

 

危険なので、武器を使ってどかしていく。

 

あたしも杖を使って、それを手伝う。

 

程なくして、本棚を発掘できる。

 

本棚は何とか倒れていなかったので、そのまま本を引っ張り出すことが出来た。

 

本棚を丸ごと回収して、一度戻る事にする。

 

アトリエに到着すると、夕方だ。これは腰を入れて探索して行かないと危ないだろう。

 

解散後、あたしはあの巨大な幽霊鎧の刃を解析に入る。パティにも、大太刀を一旦渡して貰ってある。

 

解析をしていると、後ろでタオとクリフォードさんが、ああでもないこうでもないと話しているのが聞こえた。

 

「これは技術書だ。 見ろ、魔法の武器についてとかある。 ただ……今の技術とは比較にならない高度な魔術を使っているようだ。 現在の技術で再現出来るのは。ライザくらいじゃないのか」

 

「アンペルさんって凄い人がいますので、その人が出来る可能性は高いですね。 それと、見てください。 此方に宝がどうのとあります」

 

「マジか! ロマンだぜえ……」

 

「ただ、何を意味するかはちょっと分からないので、もう少し読み進めますね」

 

広い賃貸とはいえ、あたしのアトリエと違って、一から自分で作ったものではないので。

 

流石に、なんでもかんでもおくわけにはいかない。

 

フィーが、それを察したのか。

 

二人の上を飛び始める。

 

「フィー!」

 

「おっと。 そろそろだな」

 

「僕の方で、これらの本は引き取るよ。 古代の遺跡にあった日記の類だ。 もう内容は把握したし、王立図書館に寄付してくる」

 

「助かる。 此処にあるよりも、その方が良いだろうね」

 

場合によっては処分されてしまうそうだが。

 

流石に古代遺跡から出て来たただの日記だったら、そういう事をされる恐れはないだろう。

 

しかも日記でも、今の本よりずっとまともな装丁がされているのだ。

 

「とりあえず俺はこの本と、この本を持っていって後で解析しておく。 明日の朝には話が出来ると思うぜ」

 

「僕はこの辺りかな。 やはり、あの遺跡では多数の職人がいて、何かを作っていたようだね。 そしてそれは高確率で武器だ」

 

「あの幽霊鎧が持っていた武器か?」

 

「幽霊鎧そのものかも知れないです」

 

タオの言葉に、クリフォードさんが腕組みして考え込む。

 

そういえば、最近腕組みをするのは、相手に壁を作っている心の表れだとか言う言説を聞いたが。

 

馬鹿馬鹿しくて呆れる。

 

こういう風に、ただ癖でやっているだけの人もいる。

 

タトゥーが入っていて、太い腕だが。クリフォードさんは、それを弱者に無意味に振るったりはしない。

 

「よし、なんにしても解析だな。 遅くなって済まなかった。 俺たちは戻る」

 

「タオ、明日は問題ない?」

 

「単位は足りてるから平気だよ。 それにこれは、正直学業どころじゃないからね。 ただこれから、パティの家庭教師もするから、ちょっと夜は遅くなりそうだけど」

 

「そっか。 金が足りなくなったら言って頂戴。 あたしが貸すよ」

 

二人がアトリエから帰る。

 

タオも、昔は本を持ち歩くのも一苦労だったようなのに。

 

今では何の苦にもしていない。

 

さて、次だ。

 

伸びをしてから、調合に戻る。

 

巨大な刃は、時々構造を見ながら、パティの大太刀に改良を入れていく。

 

元々デニスさんが打った刃なので、ほぼ手を入れる場所がない。

 

入れる場所があるとしたら、材質だ。

 

あの遺跡にあった鉱石などを利用して、調整をしていく。しばらく無心に調整を入れて、更に刃に掛かっている魔術を強化。

 

最後に、デニスさんの所に持っていく。

 

もう閉店間近だったが、デニスさんは嫌な顔一つしなかった。

 

それどころか、あたしが持ち込んだ大太刀を見て、文字通り顔色を良い意味で変えた。

 

にこにこに微笑んで、刃を見る。

 

「すごい。 輝くような魔術強化だ。 刃の鋭さも、更に増している!」

 

「あたしもベストを尽くしましたが、パティのために再調整お願い出来ますか?」

 

「分かった、明日の朝までにやっておこう」

 

「これでお願いします」

 

ついでなので、あの遺跡にあった鉱石のインゴットも置いておく。

 

それを見て、デニスさんは喜ぶ。

 

近々なんだかのコンテストがあるらしく、こんな珍しい鉱石があるなら願ったりだというのである。

 

そんなコンテスト、どうでもいいと思うんだけれどなあ。

 

バレンツ商会で此処を紹介してくれた。

 

アーベルハイムでも。

 

ということは、デニスさんの腕が、王都随一である事を暗に示している。

 

確かに貴族受けするような細工をする店は他にあるのかも知れないが。

 

武具に関しては、少なくともデニスさんが、この腐敗した井戸の底では最高の職人と見て良いだろう。

 

猛烈な勢いでハンマーを振るい始めたので、後は任せて戻る。

 

家に戻ると、散らかっていたものをある程度片付けて。

 

それで、今日は切り上げる事とした。

 

 

 

夢を見る。

 

久々か。感応夢である。

 

ずっと見なかったが、随分と久しぶりに見るな。そうあたしは、夢だと分かっていながら、そう考えていた。

 

あたしは、人々が行き交う、不思議な空間を歩いていた。

 

王都じゃあないなこれは。

 

天井に光がある。

 

あれはなんだ。

 

太陽では無い。

 

光の上に、ドームがあるが。

 

そうか、これは。

 

あの鉱山地下の遺跡の昔の姿か。

 

歩いているのは、半裸の男女だ。特に男性は、腰周りくらいしか布をつけていない。これは此処が暑いからだろう。

 

時々、天井近くで音がして。

 

蒸気が凄い勢いで抜かれているのが分かった。

 

同時に、涼しい空気が入り込んでいる様子だ。

 

巨大なふいごのシステムのようなものがあるのか。

 

地下に都市があるとすると、空気を入れ換えないと危ないのだろう。数百年前は、それを簡単にやれていた、ということだ。

 

「魔法の武器はどうだ」

 

「魔女様の言葉通り、なんとかやれています。 決戦までにはどうにか間に合うと思うのですが……」

 

「各地から集めた戦士達が、どうにか持ち堪えているうちに、封印の秘術をどうにかせねばな……」

 

「あれは、ずっと地下に存在していたのでしょう。 それがあんな形で崩れるなんて……」

 

色々声が聞こえる。

 

魔法の武器、か。

 

確かに普通に精錬しただけでは、クリミネア級の金属は作れない。錬金術だとゴルトアイゼン級の更にその上のものが作れるのだが。

 

これにしても、既に通常の鋼鉄やらに比べると、超オーバースペックなのだ。

 

魔法の武器、という言葉も頷ける。

 

不意に光景が切り替わる。

 

人が殆どいない。

 

あの巨大な幽霊鎧が、誰かに話を聞いていた。

 

「いいか、戦いは終わった。 だが、封印が破られれば、また奴は蘇る。 お前達は、ここを守れ。 何があっても封印は守るんだ」

 

「分かりました。 私達の存在が朽ちるまで」

 

「すまないな。 擬似的な心を与えた以上、私達と一緒につれて行きたかったのだが」

 

「いえ、此処はもう人が住める場所ではありません。 あの植物が、人の存在をゆるさない以上……」

 

周囲には。

 

そう。あの蠢く魔食草の一種がもう繁殖している。

 

誰かが声を掛ける。

 

急げと。

 

誰かが、敬礼して、その場を去る。じっと、幽霊鎧は、その背中を見送っていた。

 

目が覚める。

 

あたしは無言のまま、毛布を掴んでいた。

 

きっとこれは。

 

あのあたしと激戦を繰り広げた幽霊鎧の記憶だ。持ち帰った巨大な刃を見る。刃は戦士の魂だとかいうが。

 

あの幽霊鎧にも、魂は宿っていたのだろうか。

 

無言のまま、あたしは巨大な刃を、錬金釜に放り込む。

 

そして要素を極限まで圧縮すると、ネックレスに形を変えていた。

 

凄まじい力がわき上がってくる。

 

「ごめんね。 わかり合う事は出来なかった。 だけれども、貴方の思いはあたしがついでいくよ。 貴方は作られた命だったかも知れない。 もう既に壊れて、ただ戦う事しか出来なくなっていたのかも知れない。 だけれども、あたしは側にいる。 今後は、あたしと一緒に行こう」

 

ネックレスに触れると、それが光ったような気がした。

 

気がしただけだ。

 

フィーが起きだしてきたので、早朝のうちに、デニスさんの所にパティの新しい大太刀を取りに行く。

 

デニスさんは満足げだが。

 

朝から疲れきっているように思えた。

 

礼を言って、畑も見に行く。

 

セリさんが、熱心に何かの植物を魔術で操作していた。この人も、朝がとても早いんだな。そう、あたしは思った。

 

声を掛けようかとも思ったが、もの凄く集中しているようなので、止めた方が良いだろう。

 

あたしは、無言でその場を離れる。

 

アトリエに戻ると、丁度パティが来ていた。

 

新しい刃を渡す。

 

剣を抜いてみて、パティは度肝を抜かれたようだった。

 

「これは……手に吸い付くようですね」

 

「改良版。 気に入った?」

 

「ちょ、ちょっと素振りしてみても良いですか?」

 

「どうぞどうぞ」

 

あたしの見ている前で、パティが色々な型から、素振りをしてみる。

 

多分大太刀に掛かっている魔術もあるが、今までに比べて動きが洗練されている。カウンター主体の戦術に切り替えたパティだが。まだそれに慣れきっていない印象があったが。これは。

 

少し見ただけで分かる。

 

刃が、パティにあわせているようだ。

 

文字通り流れるように、一連の剣舞をこなすパティ。

 

はっきりいって、美しい姿だ。

 

剣舞は儀式的なものも多いが、その動きが理にかなっている型で構成されているものもある。

 

パティのこれは、多分師匠に当たる例のメイドさん直伝のものだ。

 

終わった後、素直にあたしは感心していた。

 

「すごいよパティ。 一皮向けたねこれは」

 

「有難うございます。 でも、実戦ではまだまだ心を明鏡止水の域に中々保てなくて、この動きは再現出来ないですけれど」

 

「少しずつやれるようになっていけばいいよ」

 

「……本当に、迷惑掛けます」

 

迷惑なものか。

 

人材は湧いて等こないのだ。

 

だから、後続の支援をするのは当たり前。

 

それが分からん奴は、そもそも何かをする資格はないとあたしは思う。

 

アトリエに入って、皆を待つ。

 

今回の遺跡は凶悪で難敵だ。

 

すぐに攻略できる場所では無いと分かっているから。じっくり、攻略して行くしかないとあたしは判断していた。

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  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
  • 流行り神二次創作
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  • オリジナルの長編
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