暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2 作:dwwyakata@2024
フィルフサについての情報を開示します。
それに答えてパティは、秘密を守ることを約束します。
無意味に情報を開示しても、混乱を引き起こすだけ。
それが判断できるパティは、年齢より遙かに精神が大人であると言う事です。
年齢以上に子供らしい所もありますが。
フィルフサ。
それが、封印されているかも知れないもの。正確には、それがわんさか蠢いている異世界への門。
ライザさんの攻撃すら、雑魚が防ぎ切るとんでもない魔物。
それが星の数ほど攻めてくる可能性がある。
エンシェントドラゴンでも精霊王でも、単騎の魔物ならどうにかなるとまで言っていたライザさんが。
最悪の事態にはどうにもできない可能性があるとまで言っていた存在。
現在の、魔物に押されて生存圏を圧迫される一方の人類では、文字通りどうにも出来ない相手だ。
パティは、久々に。
心底からの恐怖に、眠れぬ夜を過ごした。
朝になって、顔を洗って。
それで無理矢理起きだす。
大丈夫。
今日も何とかやれる。
朝の内に出来る事をやって、それでアトリエに向かう。
お父様は野営に出ていて、昨晩は結局戻らなかった。本当に、全力で王都のために働いている人だ。
王都も、早朝の内はそれほど五月蠅くは無い。
この静かさが。
死の静かさに変わらないと良いのだけれども。
そうとさえ感じる。
無言でアトリエに向かう足を速める。
ライザさんは、信じてくれた。パティはその信頼を裏切れない。
あの人の信頼を裏切ったりしたら、文字通り王都が滅びる。王都どころか、今回は人類が滅びるかも知れない。
その事がよく分かったので。
どうしても口も足も重くなった。
無言でアトリエに到着。
ライザさんが出てくる。
あくびをしている健康的な人。礼をして、軽く一緒に体を動かす。昨日聞いた話についてはしない。
あれは、そうそうとして良い話では無い。
そうパティも思っていた。
皆が集まってから、ミーティングが行われる。
今日から、本格的な遺跡への侵入を模索開始だ。
遺跡がある位置は、概ね分かった。
既にアーベルハイムの方で、注意喚起も行われている。
街道から外れる人間はそう多くは無いが。
それでも急いで遺跡の仕組みを解明しないと、被害が増える可能性がある。とにかく急がなければならなかった。
全員で出る。
とにかく、あの森がどういう幻惑を使っているのかすらも、現状では分かっていないのである。
急いで現地にまで行き。
其処で、ライザさん達は。さっと展開して、順番に試し始める。パティはその間、大太刀に手を掛け。
見張りの続行だ。
「この地点で、既に魔術に掛かっている可能性は!?」
「皆無。 もしそうだったら、見えるものがおかしくなる地点が一定である説明がつかないよ」
「そうだね、確かにそうだ。 とにかく、一つずつ試そう」
「まったく、随分な仕掛けだな。 本当にここに入ろうとする人間を、皆殺しにするような仕掛けだ」
レントさんがぼやくが。
タオさんがそれは違うと告げる。
「これは等しく全てに作用してる。 魔物でも例外じゃない」
「確かに、それはそうなんだろうな。 だとすると、遺跡そのものが生きていて、近付く生き物全部エサにしようとしているとか?」
「ロマンがある話だが、違うだろうな。 だとしたら、見える範囲にも死体が散らばっていたりはしないはずだ。 むしろ奧に誘導したり、或いは死体も全部食っちまってるだろうぜ」
クリフォードさんは、言う事がいちいち論理的である。
パティもそうだろうな、と感じる。
しばしああでもないこうでもないと試行錯誤を続けて行く。
ライザさんが持ち出したのは、風を起こす爆弾だ。
ただ、火力を抑えた奴のようだが。
放り投げて、炸裂させるライザさん。
音魔術で、クラウディアさんがどんな風に空気が流れているかを確認するようである。本当に、あらゆる試験をしている。
学術院の教授でも、此処まで手際よくないだろう。
どんと、爆風が吹き荒れる。
木々には感覚が狂うことなど関係無いのだろうか。
いや、そうでもないようだ。
ぐらんぐらんと、見えている森の景色が歪みに歪む。クラウディアさんが、眉をひそめていた。
「何これ……」
「クラウディア?」
「う、うん。 どうやら奥の方は、音までもおかしな事になっているみたいで……」
「厄介だな……」
空気をタオさんが革袋で採取している。
更に煙を奧に流すが。その煙が、あらぬ方向に動いている。
しばしライザさんが腕組みして考えていたが。
不意に、気付いたように顔を上げていた。
「なるほど、多分そういうことだ……」
「ライザ、何か思いついたの?」
「うん。 幾つか試験してみる。 まずは……」
ライザさんが地面に手を突く。
熱する方が冷やす方より得意と言っているライザさんだけれども。それでも一瞬で、霜柱が地面から突き出す。
それが滅茶苦茶な方向につきだしているので怖いが。
それも、森を外から見ているからだ。
内部では、或いは一方向に霜柱が突きだしている可能性が高い。
それを更にライザさんが一瞬で蒸発させる。
其処に風を起こす爆弾を投げ込んで、何か確認しているようだった。
「やっぱり……」
「ライザ、説明できる?」
「今、超低温から高温に切り替えて、一気に蒸気を作り出してみたんだ。 その結果、一瞬だけ正しい森の形が見えた」
「おう。 それは凄いな……」
魔術によるものではないとしても。
一定範囲に何かが作用して、狂わせている。
ただ、それは空気に起因しているらしい。
試験の勢いが増す。
方向性が出来た、というのだろうか。
ライザさんがタオさんとクリフォードさんに説明。
二人が色々考えて、順番に試験をしていく。
夕方近く。
どうやら、結論は出たようだった。
「よし、これでどうにか出来ると思う。 エアドロップを陸上走行用に改造して、それでこの森に乗り込む」
「やったね!」
「ただ、入れない範囲はかなり広いぞ。 それと魔物と戦うのは、どうするつもりだ」
「魔物もこの中だとまともに動けないから、エアドロップの範囲を戦闘時に拡げる工夫をするよ。 それで何かしらが襲いかかってきても、対応は出来る筈」
ちょっと言っていることが分からないが、ともかくどうにかなるらしい。
戻るよ。
そうライザさんが言うと、全員がさっと帰還に移る。
パティは凄い人達だなと思う。
そして、この人達に追いつきたいとも思ったし。
信頼されて、本当に光栄だとも思った。
絶対に裏切りたくない。
それが、本音だ。
(続)
遺跡の手がかりが見つかり、到達の目処が立ちます。
しかしながら、その遺跡の恐ろしさが牙を剥くのは、これからなのです。
本作の次に連載する作品はどれが良いですか?
-
暗黒!アトリエシリーズのまだ未掲載の作品
-
真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
-
流行り神二次創作
-
その他二次創作
-
オリジナルの長編