暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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3、キビスビス

一つ分かってきた事がある。

 

あたしが、シャーレに乗せた問題を起こしているものを、少し遠巻きにして考え込む。

 

どうもあの森は、何重かのシールドともいえるもので守られている。それは明らかに自然に発生したものではない。

 

そして今度の遺跡の中枢には、多分龍脈がある。

 

龍脈を用いて、何かしらの試験を、古代クリント王国に滅ぼされた、今では名前もわからないこの土地にあった国はしていたということだ。

 

その試験が、最初から何かしらを封じるためのものだったのかは分からない。

 

古代クリント王国がたまたま勝ち残っただけ。

 

それはあたしも理解している。

 

最初はアーミー同士が行う大規模な殺し合いとか、そういうのに使うためのものだった可能性も高い。

 

こんな凶悪なシールドシステム、まっとうな目的で使う物とも思えないからだ。

 

ただ、分かる事は幾つかある。

 

例えばだが。

 

防ぐ方法がある。

 

そうでなければ、研究中の人間が生きて出られなかったはず。

 

恐らくは、最終的には古代クリント王国の人間の侵入を防ぐために、遺跡をそのまま封じたとしても。

 

その前は出入りをしていた筈で。

 

何かしらの手段で、キビスビスをはじめとする毒物を無力化中和する手段があったのだろう。

 

セリさんに確認した所によると。

 

キビスビスは、本来は地面の中にあって、掘り出したときに危険性を発揮するものなのだそうである。

 

仮に、此方の世界のキビスビスが全く別のものだったとしても。

 

植物が、身を守るために作り出した物だろう事は確実だろうとも。

 

つまるところ、対魔術防御が必要なのではなく。

 

そもそもキビスビスに魔力を流さないことが重要なのではないだろうか。

 

キビスビス一つを無力化出来るだけで、だいぶ違ってくる。

 

しばし考えてから、あたしは調合を始める。

 

別に難しいものでもない。

 

魔力を中和する。

 

それだけのものだ。

 

今の時代、空気中に幾らでも魔力は溢れている。古い時代はどうもそうではなかったらしいのだが。

 

少なくとも今はそうだ。

 

人間も魔物も魔術が使えるのも、それが理由で。

 

魔力はどこにでも、当たり前に存在しているのである。

 

ならば、その当たり前を覆せばどうか。

 

それはそれで難しい。

 

フィーだって、魔力を吸収した後、どうも排泄と同じようにして。変質した魔力を外に吐き出しているようなのだ。

 

魔力の中にある栄養部分だけを取って、それ以外を捨てていると言う事なのだろう。

 

別に生物の生理的反応なのだから、それはどうでもいい。

 

魔力を消し去る事は、今は難しい。

 

一時的に消す事は出来ても、すぐに大気中から魔力は補填される。

 

世界中のどこにでも魔石があるように。

 

魔力はそれだけ、どこにでも、幾らでもあるものなのだ。

 

黙々と調合を続けて、やがて出来る。

 

霧状のものだが。

 

これは魔力を吸収し続ける液体だ。

 

仕組みとしては簡単で、魔石になる前のものだと言えば分かりやすい。大気中に幾らでもあるもので。

 

これを濃縮することで、やがて魔石の元となり。

 

時間を掛けて、魔石が出来ていく。

 

何処にでもあるものを、圧縮しただけだ。

 

さて、実験だ。

 

シャーレに入れているキビスビスに、これを霧吹きして見る。これで、どうだ。危険性を抑えられないか。

 

魔力を吸わなくなれば、キビスビスはその機能を停止する。

 

しばし時間が経過してから、シャーレを手に取ってみる。

 

感覚が狂うことはないようだ。

 

なるほど、こんな手があるなんてな。

 

いずれにしても、これでキビスビス攻略の目処は立った。この液体の量産も、はっきり言って難しく無い。

 

ただし、まだもう一つ。

 

金属でないと、影響を防げないものがある。

 

これもどうにかしたい。

 

金属を吹き付けてメッキみたいにするのは。

 

いや、ダメだ。

 

タオから聞いているが、金属は直接体に入れると害になると言う。もしも周囲にばらまいたりしたら、それこそ猛毒。

 

ただでさえ人間は、今世界から排斥されようとしている。

 

それを加速してしまっては、それこそ意味がないのだ。

 

「金属を薄くシートにして、それを敷き詰めてみるとか。 うーん、でもそれだと持ち運びが厳しいなあ」

 

腕組みしながら、歩き回る。

 

そうして独り言を呟きながら、思考を巡らせる。

 

金属であれば防げる。

 

それはいい。

 

エアドロップに乗った状態だったら、どうにか出来ると見た。

 

実は底部には、装甲をつけていない。陸上型エアドロップがこれ以上重くなるのを防ぐためだったのだが。

 

金属で影響を防げるなら、これで多分いけるはずだ。ただし機動力が更に落ちてしまうから、対策が必要になるが。

 

さて、どうするか。

 

まずは、やれることからだ。

 

エアドロップを、強化する。

 

そして。

 

エアドロップのアームに手を入れて。周囲の地面にキビスビスの無力化をするスプレーを撒けるようにする。

 

これで、更に奧へ進む事が出来るはず。

 

他の幾つかの対策は、とりあえず対魔術装甲でどうにかする。

 

ともかく対処療法だが。

 

今は、これでやっていくしかない。

 

 

 

徹夜はしない。

 

翌朝に残りを調整して、それで終わり。

 

皆が来る頃には、エアドロップ陸上型の調整は終わっていた。これで恐らくは、何とかなるはずだ。

 

「更にエアドロップがなんというか……」

 

「ごつくなった?」

 

「は、はい」

 

「これ以上ごつくなると、ちょっと折りたたみは厳しくなるね」

 

あたしも苦笑い。

 

今の時点で、かなり重くなっていて。持ち運びが大変になっている。これ以上の重量化は避けたいのだが。

 

しかし、これくらいはしないと、森の奧には入れないのだ。

 

現地に移動。

 

その途中で、キビスビスの話はしておく。

 

そんなものがあるのかと、タオはメモを取っていて。それでとても目を輝かせていた。

 

「やっぱり世の中には知らない事がたくさんある。 もっともっと色々知っていきたいな」

 

「タオはきっと世界一の学者になれるな」

 

「今の衰退した時代で一番になっても、それが凄い事かは分からないけれどね。 今の何十倍も人間がいた時代には、きっとそれでも大した存在ではなかったよ」

 

「そうかもな。 ともかく、今はできることをできる範囲でやっていくしかねえ」

 

レントの言葉も真理だ。

 

現地まで急いで行く。そして、エアドロップを拡げる。

 

やっぱりかなり重くなっている。

 

もうちょっとこれをどうにか出来ないか。だが、それは後回し。まずは、動くものを使って。

 

行ける所までいってみる。

 

それだけだ。

 

エアドロップを起動。

 

アームの機動、正常。

 

確認した後、今までいったことがない地点から、順番に攻めて行く。エアドロップの足回りが鈍重になっているが。

 

それは許容するしかない。

 

黙々と進んでいく。

 

途中で、クラウディアの声が聞こえた。

 

「ライザ、そろそろ七百歩だよ」

 

「うん、分かってる。 よし……」

 

「前進も後退も重くなってるんでしょ。 無理だけはしないで」

 

「分かってる!」

 

よし、今の時点では大丈夫。冷や汗を拭いながら、確実に進んでいく。

 

懐に入れているフィーが、じっと黙っているところからして、そこまで不安感はないのだろう。

 

ほどなくして、嫌な感じが来る。

 

同時に、変な植物が見えてきた。

 

かなり大きな、紫色の植物だ。傘のような形状をしている。

 

それが、辺りに霧のようなものを放出している。

 

何だか知らないが、これはちょっとサンプルを取るべきだろう。それに、少しずつ異常が出始めている。

 

多分間違いない。

 

此奴が。

 

キビスビスを撒いている張本人だ。

 

少し距離を取り、さがる。

 

近付きすぎると、かなり危ないとみた。エアドロップから顔を出すなんて論外だ。多分秒で五感が終わる。

 

「なんか変な植物が見える。 霧みたいなの撒いてる!」

 

「……ライザ。 私を同行させて貰えるかしら」

 

「問題ないですよセリさん」

 

「近くでそれを見てみたい」

 

セリさんの植物操作とのコンビネーションなら、回収は出来るかもしれない。いずれにしてもあの植物のサンプルが必要だ。

 

即座にバックして戻る。

 

後になって、頭が痛くなってきた。

 

かなり強烈だが、それでもやっと遺跡の入口にまで来られたような気がする。あれがたくさん生えているなら。

 

対策は必至。

 

少なくとも、エアドロップから出られるようにならないと、話にもならないだろう。

 

安全圏に出る。

 

アームに入っている対キビスビスのスプレーはまだ容量が足りている。増やすのは、アトリエに戻ればすぐに出来る。

 

一応持ち込んでいる予備分を、アームに注入。

 

これでもう一度往復するくらいは余裕だ。

 

「ライザ。 調査してみて分かったよ」

 

「うん。 聞かせて」

 

「この辺りの土壌、キビスビスと呼ばれる物質がふんだんに含まれてる。 腐葉土に混じって、地面に溶け込んでいるんだ」

 

恐らく原因は、霧だろうとタオは言う。

 

今の時期は霧は出ていないが、この地域は時期によっては霧が出るという。幾つかある川が霧の出所だ。

 

この霧にとって、キビスビスが彼方此方にある植物にまき散らされ。

 

その葉に吸着する。

 

キビスビスは植物には悪影響を与えず、葉についても特に悪影響は与えないが。

 

葉はやがて落ちて、地面にまき散らされる。

 

そして腐葉土になってもキビスビスは普通に存在するどころか。

 

むしろ濃度を増し。

 

土に居着くのだ。

 

「それはまずいね」

 

「うん。 非常に危険だよ。 他にも幾つもの仕掛けがあるみたいだけれど、余程奧に通したくないんだろうね」

 

「古代クリント王国の事を考えると当然だろうな。 こんな技術が手に渡ったら、どんな風に使われたか……」

 

レントがぼやく。

 

ともかく、セリさんを乗せて第二次遠征。

 

奧にまで行く。

 

途中で、クラウディアが声を掛けて来た。

 

「ライザ、距離的にはどれくらい奧に入れている?」

 

「現時点で恐らく1100歩くらいだと思う」

 

「そうなると、遺跡がある場合その外郭までいけているはずだよ。 場所によっては、もう外郭に入れている筈だ」

 

「……だとすれば、後一歩だね」

 

舌なめずり。

 

もう少しと言う事だ。

 

「止まって」

 

セリさんが制止を掛けてくる。

 

じっと遠くを見るセリさん。目を細めている様子からして、何かの魔術を展開している可能性もある。

 

「この位置、更にこの装甲の内側からだと、魔術干渉はかなり限定的になってくるわね」

 

「ごめんなさい。 でも装甲をこれだけ貼って、やっと此処まで入れるくらいなので」

 

「分かってる。 植物の性質は把握。 これは恐らくだけれども、キビスビスを生成してばらまくためだけに作られた植物ね。 案の定、繁殖している気配がない。 特定条件がない限り、育つ事ができないと見たわ」

 

そうか。そうだとすると、農作物と同じだな。

 

ともかく、専門家のセリさんが魔術を展開しているのを見つめる。

 

「魔術の増幅が掛かるように装備品を作りますか?」

 

「現時点では問題は出力じゃないの。 貴方の装飾品は充分過ぎる程私の魔力倍率を上げている。 問題はコントロールでね。 今の状態だと、外部への介入は殆ど無理に等しい」

 

それもそうだ。

 

そもそも内部から外部へ介入するのは大変だというのは分かりきっている。

 

無言でセリさんの作業を待つ。

 

普段クールというか、クールを通り越して何も喋らないセリさんが、冷や汗まで掻いて集中している。

 

集中を乱すのもまずいだろう。

 

栄養剤を先に飲んでおく。

 

セリさんもほしいと言うなら渡すけれど、今は必要ないだろう。

 

しばし様子を見ていると。

 

セリさんが、だいたい解析を終えたようだった。

 

「把握。 あの植物を眠らせる」

 

「眠らせる」

 

「そう。 一度枯らすと、恐らくもう機能が復活しない。 ああ見えてあれは多年草よ。 植物によって寿命は違うけれど、あの植物の寿命は千数百年はあると見て良い。 一度枯らすと、恐らくもう彼処に根付くことはないわ」

 

「そうなると、機能を一時的に停止させるしかないんですね」

 

頷くセリさん。

 

そして、しばらく詠唱を続けて。やがて、その後長い長い時間を掛けて、ゆっくりと呪文を発動。

 

傘みたいな形状の植物は。

 

停止した、と言う事だった。

 

一度戻る。

 

停止させたとしても、キビスビスが大量にばらまかれ。それも五百……もっと長い年月この辺りに散らばっていたことは確定と見て良いだろう。

 

それを一気に無くすのは不可能だ。

 

そうなってくると、これ以上キビスビスがばらまかれないようにして。

 

その後で、次の対処をどうするか考えなければならない。

 

「後はこの傘みたいな植物がどれくらいあるかだけれども」

 

「それだったら問題ないよ。 数については見当がついてる」

 

タオが、糸電話越しに連絡を入れてくる。

 

なるほどそれはありがたい。

 

話によると、タオの計算では5ないし6程度しかない、ということだ。

 

まあ特殊条件が揃わないとそもそも根付かないような植物だ。

 

この程度の範囲にそれほど多くがあるわけでもない、ということなのだろう。

 

では、此処からは簡単だ。

 

一度安全圏まで出て、恐らく等間隔に植えられている植物の無力化に向かう。一つずつ潰して行く。

 

あくまである程度の時間眠らせるだけだ。その間に、同時に周囲の調査もして、地図を作っていく。

 

これで、遺跡の外郭をひょっとすると視認できるかも知れないが。

 

まだやっぱり例の植物がある地点辺りから、向こう側の視界が不安定だ。

 

「遺跡の内部は、キビスビスや五感を狂わせる仕掛けがないとか、そんなのは楽観だなあ……」

 

「恐らく遺跡の形状からして、一番それらが濃い場所だと思う。 それに遺跡そのものは、ごくちいさな規模だと思うよ」

 

「まあ、そうだろうね……」

 

現在の状況からして。

 

遺跡と呼べるのは、せいぜい数百歩四方だろう。

 

王都にある貴族の邸宅くらいの大きさだ。

 

だが、それが戦略的に極めて強大な意味を有している。もしもこのシステムでフィルフサを動けないようにしているとしたら。

 

此処こそ封印の生命線と言える。

 

勿論封印そのものも此処に置くのが定石だろう。

 

こんな所誰にも入れない。

 

古代クリント王国の錬金術師達でも。

 

古代クリント王国が、この辺りの国家を滅ぼした時でも、戦略的に価値が無いと判断して足を運ばなければ良い。

 

そういう意味では、現地民ですら入るのを嫌がる密林というのは、絶好の場所で。

 

しかもそこに下手に入ると生きて帰れないとなればなおさらだ。

 

二つ目を発見。

 

セリさんに無力化して貰う。

 

傘のような形状をした植物は、それほど大きくもない。つまるところ、この植物がキビスビスを撒くのには、相当な時間が掛かったのだろう。

 

昔は此処まで危険な森ではなかったのかも知れない。

 

そう思うと、色々複雑な気分になる。

 

いっそ刈り取ってしまうべきか。

 

いや、それをする前に、調査をしないと。

 

それにキビスビスをはじめとした、五感を狂わせるシステムを、解析しないとそもそも中に入れない。

 

中に入れなければ、封印の状態も確認できないし。

 

更には羅針盤で、残留思念を拾う事だって出来ないだろう。

 

そうなると、とんでもない事を見落とすかも知れない。

 

フィルフサ以上の脅威という可能性だって、低確率ながらある。

 

それを見逃す訳にはいかないのだ。

 

三つ目を沈黙させる。位置からして、どうやら六つに間違いないらしい。そのまま、タオが指示する方角に移動。

 

セリさんに、栄養剤を渡す。

 

セリさんは、これを美味しくないといって嫌そうな顔をしたことがあったのだけれども。それでも、セリさんの消耗が小さくない。

 

時間は出来るだけ、有効に活用したい。

 

そのまま、順番に植物を黙らせていく。

 

最後の六つ目を黙らせて、安全圏に抜けた後。

 

既に夕方近くになっていた。

 

レントが手を振っている。周囲には魔物。この近所の集落を襲っていた、カラフルな連中だ。

 

それが多数。死体になって転がっていた。

 

「魔物に襲撃を受けたんだ」

 

「この程度なら問題は無いぜ。 一部の奴は危険地帯に入って、そのままくるくる回って倒れちまった」

 

「恐ろしいですね。 立ち回りを間違えたら、ああなっていたのは私達です」

 

「とにかく、今日はここまでだね。 早めに戻ろう」

 

今回は、今までと比較にならない程遺跡の探索危険度が高い。もしも危険ラインを今の状態で踏み越えたら、その時点で多分救出が出来なくなる。それくらいに危ない。

 

だから、時間通りに切り上げる。

 

キビスビスがこれ以上散布されるのは防げそうだが、問題はその先だ。全員でエアドロップに乗り込むとして、その先はどうすればいい。

 

今噴霧しているものだって、恐らくは万能じゃない。

 

地面を一斉にどうにかするには、大規模魔術と、錬金術の合わせ技が必要になってくる。

 

パワーはあたしが担保すれば良い。

 

上昇気流も、クラウディアがフルパワーで上空に攻撃をぶっ放せば作り出す事が出来るだろう。

 

局所的な雨は、以前も降らせたことがある。

 

似たような事は出来るが、今回は地面を爆散させずにそれをなんとかやりたい。ましてやこの辺りは、異常乾燥している訳でもないし、水分を急に用意することだって出来ないだろう。

 

帰路、雲が出てくる。

 

そういえば、この辺りも今の季節は雨が若干少ないらしい。今年は特に少ないのだとか。

 

幸い水路があるから王都は平気だが、他の場所だとそうでもないだろう。

 

異常気象は、簡単に多数の命を奪い去る。

 

農家の出であるあたしは、それを知っている。

 

「これは降るね」

 

「うん。 まとまって降りそうだ」

 

あたしの言葉に、タオが雲の形状などからそれを裏付ける発言をする。

 

雨か。

 

或いは、これが好機かも知れない。

 

とりあえず、今日はここまでだ。切り上げて、ミーティングをする。

 

封印は二つがほぼ全損。一つが半壊状態。

 

もしも封印がまだ生きているとしても、いつまでもつか分からないと判断して良いだろう。

 

王都に辿り着いて、アトリエに入る。

 

あたしが熱風を起こして服を乾かす。というか、あたしが支給している服類は、基本的に乾燥機能がついているので、あくまで気分の問題だが。

 

むしろ後から来たボオスの方が濡れていたくらいだった。

 

「無事に戻ったみたいだな。 探索は順調か」

 

「どうにも。 一応ある程度は進めたけれども、進めただけかな。 まだ遺跡らしいものには触れていないよ」

 

「厄介だという話は聞いていたが、本当に大変そうだな……」

 

ボオスが、手紙をくれる。

 

中身は、以前話をした女子生徒。カリナさんのものだった。

 

論文をどうやら書けそうであること。

 

あたしが用意した植物の世話が楽しくて仕方が無い事。

 

タオがあんまりいないけれどどうしているのか聞く内容。それぞれだった。

 

あたしは頭を掻くと、手紙をしたためる。失礼がないように、クラウディアに見てもらうが、字が独特すぎると言われて苦笑い。

 

まあ読めない字では無いし、これでいいだろう。カリナさんとは会う時間をとれないので、ボオスに渡しておく。

 

「まとまった雨だが、明日も出るのか?」

 

「そのつもりだよ」

 

「そうか……」

 

ボオスは濡れても平気な様子のあたしを見て、口の端を少しだけつり上げたが、それだけだった。

 

今更。

 

此奴があたしの婚約者候補だったと知ったら、多分パティはひっくり返るのでは無いかなと、あたしは思った。




本作のライザは大雨に縁があったりします。色々な意味で……

本作の次に連載する作品はどれが良いですか?

  • 暗黒!アトリエシリーズのまだ未掲載の作品
  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
  • 流行り神二次創作
  • その他二次創作
  • オリジナルの長編
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