暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2   作:dwwyakata@2024

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ライザは原作でも本作でも間違いなく天才の域に入る錬金術師です。

しかしながらこの作品世界では錬金術があまりにも失われすぎていて、ライザという存在であってもその喪失を埋めるためには膨大な試行錯誤を必要とします。

人の生物的な長所と言えるものは知識の蓄積なのですが。

この世界では、その長所がごっそり失われてしまっているのです。


1、試行錯誤を重ねて

機械を修復する。今回のは、この間の巨大な保存食用のものじゃない。

 

どうやら薄くのばした金属を加工するものらしくて。それほど巨大ではないけれど、危険なほど鋭い刃物が多い機械だった。

 

これは危ないな。

 

そう思いながら、あたしはパティに手伝って貰って修復を進める。

 

刃物が多くて、あたしも手を切りそうでひやひやしたが。事故は起きず。どうにか翌日の朝までの作業で、修復する事が出来た。

 

薄い金属板を作るのがそもそも手間。

 

これも今は、職人がやらなければならないし。

 

そもそも均一な金属の板を作るのが非常に手間である。

 

それで何を作ったのかがよく分からない。

 

どうも作った後、何かを詰めるのに使っていたようだけれども。

 

金属次第では、当然毒が漏れだして危ない。

 

なんでこんな機械を直したのだろうとあたしは思ったのだけれども。

 

恐らくだけれども。

 

ロストテクノロジー化した挙げ句。

 

使い路が分からなくなっている機械だったから、なのだろうと思う。

 

貴族が今、裏で激しく火花を散らしているからこそ。

 

こういう機械を優先したのだろう。

 

それだったら、先に直すべき機械は幾らでもあるだろうに。

 

馬鹿馬鹿しい話だ。

 

「ごめんねライザ。 無駄な手間を取らせて」

 

「いいんだよ。 それよりも、なんとか遺跡の奧へ入らないと」

 

「アンペルさんに意見は聞けないの?」

 

「もう聞いたよ。 それでも苦労してる状態」

 

工場からアトリエに戻りながら、そんな話をする。

 

パティは疲れている様子はなくて、むしろあたしの方をずっと興味深そうに見ていた。

 

「ライザさん、それで今日の調査は……」

 

「雨が降ってるから好都合だね。 それにキビスビスがもう充分に中和されたと思うし」

 

あの後、もう二発同じような爆弾を放り込んでおいた。

 

これで、キビスビスによる異常は考えなくて良いはずだ。

 

だけれども、まだまだ危険な事に代わりは無い。

 

今まで一番上手く行っているのが複合装甲なのだが。この複合装甲、とにかく重くて仕方が無い。

 

エアドロップ陸上型が遅くなるのは当然なのだが。

 

荷車が非常に重くなるので、色々と考えてしまう。

 

「とりあえず今、装甲の軽量化を調整してる。 全部の複合装甲を、どうにか今日中に仕上げたい」

 

「そうなると、今日の調査は早めに切り上げる感じですか」

 

「そうなるかな」

 

アトリエに戻ると、皆でミーティングをする。

 

今まで効果があった装甲を、全部複合する。それで、様子を見る。

 

もしもそれで上手く行くようなら軽量化してみる。

 

軽量化については、効果がないものは外し。それで主に薄くする事で対応する事になるが。

 

果たして上手く行くかどうか。

 

ともかく、やってみるしかない。

 

現地に急ぐ。

 

工場から戻ったばかりだが、疲れはない。

 

タオが走りながら、さっきの機械について話を振ってくる。

 

「ライザ、あの機械だけど」

 

「うん」

 

「どうやら缶詰というものらしくてね」

 

「缶詰」

 

内部に食糧を入れて煮込むなどし、それを密封することで、何年、下手をすると何十年も保存出来る食糧を作るものだったらしい。

 

なるほど、それは便利だが。

 

逆に言うと、湯水のように金属を使い。

 

金属から漏出する毒が食べ物に混ざらないようにする技術がいて。

 

それで始めて成立するものだ。

 

それを作れるのは、今の技術では無理で。

 

完全に死に技術となる。

 

「それは、無駄なものを直したね」

 

「そうでもないよ。 缶詰を作れるだけのテクノロジーはある。 それに意味があるんだ。 今後人類が盛り返したときに、この機械が存在している事に大きな意味がある。 今、僕達も散々試行錯誤して、時間を使っているだろ。 その時間を、すごく短縮できるんだ」

 

「確かに、この時間をもう少し短縮はしたいわね」

 

セリさんがそんな事を言うが。

 

こういう会話に積極的に加わってくれるのは有り難い。

 

前はもっと警戒していて。

 

明らかに会話に加わろうともしなかったから。

 

「未来の為だよ。 いずれ、未来の人が、ライザに感謝すると思う」

 

「その時あたしは生きていないかもね」

 

「なんともそれは言えない。 だけれども、五百年間ずっと魔物に押されていた人類だけれども。 もしも盛り返すとしたら、ライザみたいな豪傑が中心となって、だと思うよ」

 

苦笑い。

 

豪傑と言われるのは何度かぶりだけれども。

 

タオにまでそう言われると、ちょっとなんというか複雑だ。

 

現地に到着。

 

すぐにエアドロップをと思うが。かなり重くて、レントとパティに手伝って貰って膨らませる。

 

パティもずっしり来たのだろう。持ち上げるときに顔色を変えていた。

 

「これだと、折りたたむ機能をなくしたほうがよいのではありませんか?」

 

「そうもいかないんだよ」

 

そうなると、一から組み立てをし直さなければならないし。

 

何より現地までエアドロップで行く事になる。

 

移動中のエアドロップが無力であることを考えると。

 

それは悪手の極みだ。

 

とにかくエアドロップに乗り込む。

 

さて、複合装甲の性能はどうだ。乗り込んで、奧へ。クリフォードさんは。最初は重量感がと楽しそうに言っていたけれども。

 

とにかく動きが重いので、途中から無言になっていた。

 

さて、そろそろ危険ラインか。

 

クラウディアが、残っているタオと糸電話越しに連絡をする。

 

「そろそろ危険ラインよ。 様子がおかしくなったら、予定通りの合図をして」

 

「分かっているよ。 気を付けて」

 

「うん。 ライザ、いよいよだね」

 

「……」

 

頷く。

 

そして、エアドロップが、更に速度を落とす。

 

雨の中、進んでいくエアドロップ陸上型が、危険ラインを越えた。どうやら。この複合装甲、効果はあるようだ。

 

何が要因だったのかは分からない。

 

或いは、全てが噛んでいたのかも知れない。

 

ともかく、更に危険域に踏み込む。

 

だが、あたしにも感じ取れた。

 

何かが視界の隅で動く。それも、相当にデカイ奴だ。

 

「どうやらこれ以上接近はできないらしいな。 エアドロップを降りられるなら、話は別なんだが……」

 

「此方クラウディア。 タオ君、何かしらの生物と遭遇。 ちょっと姿は分からないけれど、かなり大きいよ」

 

「分かった、撤退を最優先に動いて」

 

「了解、と」

 

進める事は分かった。

 

だけれども、進めるだけだ。

 

エアドロップに乗ったままでは、戦闘どころじゃない。

 

一度戻って、とにかく対応を考えないとまずいだろう。

 

幸い。何か大きな影は、エアドロップを追ってはこなかった。そいつが何者なのかは分からないが。

 

クラウディアが、あたしに言う。

 

「奥の方に、大きな建造物があるみたい。 逆に言うと、それ以外に建造物らしいものは見当たらないよ」

 

「ふーむ、そうなると……」

 

「きっと、封印があるのは其処だね」

 

「同感」

 

クリフォードさんがぼやく。

 

皆の所まで戻る。

 

不可解な影は。

 

追撃はしてこなかった。

 

 

 

アトリエに戻る。まだ昼少し過ぎだ。これで一旦今日は解散。恐らくだけれども、磁力をはじめとして目に見えない力が中心となって、五感を狂わせに来ていたのだ。しかもその破壊力は大きい。

 

多分だけれども、フィルフサ対策として考え出されたものだ。

 

あらゆる生物に効果があるのだろう。

 

実際問題、あの森は静かすぎた。

 

鳥もいなければ、虫もいない。

 

或いは虫が嫌いな人には良い場所かも知れないが。落ちていた魔物の死体が干涸らびていた事を考えると、スカベンジャーになるような生物もいないことになる。

 

汚いものは、それを分解する生き物がいて、迅速になくなる。

 

だから生理的に嫌悪感を覚えるような光景であっても。

 

汚いものを排除してくれる存在は、それだけで敬意を払わなければならないのだ。

 

そうアンペルさんが言っていたっけ。

 

あたしも今では納得している言葉だ。

 

見かけで相手を判断するのは、人間の最悪の病理だが。

 

静かで綺麗なように見える森が。

 

実際には生物の存在を許さない死の森だというのは、ある意味で皮肉の極みなのかも知れなかった。

 

「それでライザ、どうするの?」

 

「まずは複合装甲で、危険ラインを越えられるか確認。 その後は、複合装甲を解析して、装飾品にまで改善します」

 

セリさんに、順番にやるべき事を応える。

 

複合装甲を完成させたら、それを解析。

 

それが発している、防いでいる要素をエーテルに溶かして分析。

 

その防御、性質で、全身を守る装飾品にする。

 

本来だったら何年でもかかっただろう作業だけれども。

 

それでも、錬金術によるエーテルの解析と。

 

更にはあたしにはアンペルさんという優れた先人や。

 

タオというブレインがいる。

 

だからこそ、短時間で出来る筈だ。

 

「装飾品で防げるようになったら、全員分を作成。 後は遺跡に乗り込みます」

 

「相変わらずとんでもねえな錬金術」

 

「そうだね。 だから、古代クリント王国の錬金術師達は狂ってしまったんだと思う。 今も、あたしは万能感に足首を掴まれないようにするので、精一杯だよ」

 

「私だったら、とっくに目の前が見えなくなっていると思います」

 

パティが引き気味に言う。

 

勿論褒め言葉だと解釈して、ありがとうと応えておいた。

 

昼食だけ取って、それで今日は解散。

 

パティは午後から授業に出て、夕方からタオの家庭教師を受けるそうだ。

 

最近パティが工場で機械を直す作業のデモンストレーションをしていることは話題になっているそうだが。

 

学校に顔を出すことで、学業もしている事は示さないといけないのだろう。

 

体力的には大丈夫かちょっと不安になったが。

 

それは平気であるらしい。

 

タオはクリフォードさんと、図書館に向かうそうだ。

 

図書館にはタオが顔パスで入れるので、手分けして作業をするらしい。

 

クリフォードさんはタトゥーとか入れてるからちょっと大丈夫か心配になるが。タオが助手だと言って一緒に入るそうである。

 

他の皆も、午後はそれぞれに動く。

 

解散後、セリさんが残った。

 

話があると言う事だろう。

 

エーテルに複合装甲を溶かし、解析しながら、話を聞く。

 

「セリさん、それでどうしたんですか?」

 

「はっきりさせておこうと思ってね。 封印されているというのは、門で間違いないのね」

 

「100%確実ではないですが、恐らくはそうです」

 

「……そう」

 

セリさんがまつげを伏せる。

 

いつも鋭い刃みたいな雰囲気で寡黙なものだから。周囲に人を寄せ付けない棘みたいなものがあったのだが。

 

この人は、或いは。

 

リラさんと同様に、少しでも世界をどうにかしたいと思っているだけの人なのかも知れない。

 

「それで門を見つけたらどうするの?」

 

「古代クリント王国時代のテクノロジーに、聖堂というのがあるんです」

 

「……」

 

「簡単に言うと門の制御装置ですね。 これの仕組みは、既に解析しました」

 

アンペルさんに以前聞いた。

 

門というのは、殆どの場合古代クリント王国が、オーリムへの侵略のために開けたものらしい。

 

しかし、ごく一部。

 

それ以前から存在しているものがあるのだとか。

 

それが「自然門」。

 

此方はどうして生じたのかよく分からない代物で、記録に残っているのは知っているが。アンペルさんも遭遇した事がないそうだ。

 

ただ。アンペルさんの話によると、神代からそれ以降にかけて開けられたと思われる門を今まで数度発見しているらしく。

 

それらにも、聖堂か、それ以上に高度な制御装置がついていたらしい。

 

恐らく門を開ける技術は神代のもので。

 

古代クリント王国は、それを復興したのだろうと仮説を口にしていたっけ。

 

「残留思念の情報からして、恐らく封印されているのはこの「自然門」か。 古代クリント王国時代以前の門だと判断して良さそうです。 後者の場合は、聖堂がある筈なので、それをどうにかすればいい。 問題は「自然門」の場合で、その時はフィルフサを排除しながら、聖堂を作らないといけないでしょうね」

 

「フィルフサと戦った事もあるのね」

 

「はい。 百万を超える群れと。 雨を引き起こす事が出来たので、どうにか撃退はできましたが」

 

「……」

 

グリムドルの戦いについても話す。

 

オーリムの聖地グリムドルは、フィルフサの巣窟だった。オーレン族の人達は、笑顔で近付いて来た古代クリント王国の人間を寛容に歓迎し。結果、悪魔を招き入れてしまったのだ。

 

連中は資源確保のために水を奪い。

 

フィルフサを大繁殖させた。

 

騙される方が悪いとか口にする輩も世の中にいるらしいが。

 

あたしはそんな事を口にする奴がいたら、首を蹴り折る。

 

それだけ、騙す事が如何に邪悪かの実例が、其処にあったのだから。

 

他人なんてどうなったって知るかと口にするような奴が、金を稼げるという話もあるらしいが。

 

そんな奴はあたしが再起不能になるまで蹴り潰す。

 

そう思わされるだけのものを、あたしはグリムドルで見た。

 

「ともかく、まずは「封印」が何処にあるかを突き止めないと。 今までの情報だと、まだ具体的な場所が分かっていません。 王都の地下にでもあったら最悪です」

 

「そうね。 確かにその通りだわ」

 

「セリさんは……何が目的なんですか?」

 

「今まで貴方を見てきた。 必要だったら殺すつもりだった」

 

フィーが、不安そうに鳴く。

 

そうだろうな。

 

あたしは、最初から分かっていた。

 

セリさんは、きりきりと胃が痛くなるような殺気を時々はなっていた。場合によってはあたしを殺すつもりなのは、知っていた。

 

「だけれども、今はそのつもりはない。 貴方は錬金術師なのに、あの邪悪な古代クリント王国の錬金術師とは違う。 それが分かったから……」

 

「ありがとうございます」

 

「……私の目的はね、オーリムの浄化が出来る植物の発見よ」

 

「!」

 

そうか。

 

セリさんの方も、此方に来ている目的が当然あった訳だ。

 

咳払いすると、セリさんは話をしてくれる。

 

調合をしながらでいい。

 

そう言いながら。

 

セリさんの話も、結構大変な物だ。

 

セリさんは、古代クリント王国の前に来た連中に、オーリムを荒らされるのを見ていたという。

 

古代クリント王国以前に門があったのだ。

 

当然、それはあったのだろう。

 

そうしてフィルフサと戦い続けていた地域。

 

そこにセリさんはいたそうだ。

 

フィルフサはオーリムの在来生物だと言う事だが。要するに古代クリント王国以前にも、此方の世界の人間は、オーリムで迷惑を掛け。フィルフサを増やすような真似をしていたということか。

 

それは、怒るのも当然だろうと思う。

 

本当に、申し訳ない話だ。

 

「ごめんなさいセリさん。 恥知らずな先祖が迷惑を掛けています」

 

「いいのよ。 錬金術師は今までに何人も見てきた。 どいつもこいつも、オーリムの事を資源を奪う場所としか考えていなくて、滅茶苦茶にしたことをゲラゲラ笑っているような奴ばかりだったわ。 何人かは殺した。 殺さなければ、またフィルフサを増やされていたでしょうね」

 

それを責めるつもりは無い。

 

当然の事だ。

 

というか、その場にあたしがいても。あたしも同じ事をしていたと思う。

 

アンペルさんが、ロテスヴァッサの錬金術師達の愚かしい行動をみて袂を分かった事は知っていたが。

 

この世界では、アンペルさんのような錬金術師の方が例外だったのだ。

 

今は、錬金術師そのものがほぼ絶滅状態。

 

だったら。

 

あたしが、新しい水準を作るしかないだろう。

 

それには恐らくだけれども、人としての寿命では無理だ。

 

だから、アンチエイジングを取り入れるしかないかも知れない。

 

その結果人間を止めるとしても。

 

人間でありながら人間を止めたに等しい、古代クリント王国の錬金術師よりもマシだと思う。

 

「ともかく、オーリムは今やどこもが無茶苦茶。 古代クリント王国の愚か者達のせいで決定的になったけれども、それ以前からもうフィルフサによる汚染と、それによって枯れ果てた大地が拡がる場所になっているの。 だから私は、其処を復興するための植物を探しているのよ」

 

「なるほど……」

 

フィルフサは、フィルフサで排除しなければならないだろう。

 

だが、奴らを殺し尽くしても、残っているのは荒野だけだ。

 

それについては、グリムドルの戦いで見た。

 

フィルフサが滅びれば、都合良く緑が戻って来ると言うこともない。

 

あたしは半年に一度ほどグリムドルに様子を見に行っている。必死に復興を進めているが、それでもまだまだ全然である。

 

やっと下草が生えてきたくらいで。まだ樹木と呼べるようなものは、数えるほどしかない。

 

水が多すぎると言う事もあるが。

 

そもそも土壌がフィルフサに全滅させられていて。植物が育てる状況にはなくなっているのだ。

 

仮に、セリさんがそんな状態から大地を復興しようとしているとしたら。

 

ちょっとあたしには、考えつかない。

 

余程の強力な繁殖力と、生半可な休作用の植物ではかなわない程の、土壌を豊かにする性能が必要になる。

 

幾つか植物を思い浮かべたが。

 

セリさんほどの専門家でも無理と判断するなら。

 

それは厳しいだろうと思う。

 

「セリさん。 グリムドルへはこの一件が終わったらいけます。 そこで色々と植物の品種改良をしてみてはどうでしょうか」

 

「そうね。 グリムドルにいけるというのは疑っていない。 それは頼みたいとは思ってはいる。 だけれども、今のオーリムには、下草もまともにのこっていないの。 フィルフサに対応できる植物なんて、もってのほかよ」

 

そうだろうな。

 

激しい水害で、フィルフサに汚染された土壌を全部押し流して。グリムドルはそこからやり直し始めているのだ。

 

セリさんの言葉ももっともだ。

 

だから、遺跡を探したかったのか。

 

遺跡に、そういう植物がある可能性も否定は出来なかったから。

 

或いはだが。

 

あの魔食草もどきは、良い線を行っていたのかも知れない。

 

ちょっとあれは攻撃性が強すぎたが。

 

「分かりました。 ひょっとすると神代の人間が、フィルフサに対するカウンター装備として、そういう植物を育てていた可能性はあるし、それの生き残りが存在している可能性もあります。 もしも発見できたら、遠慮無く持って行ってください」

 

「……分かったわ。 その時は、そうさせて貰うわね」

 

「ただ、まずはフィルフサを駆逐しないといけないですね」

 

「ええ、それも分かってる。 ただ、それは私の仕事じゃない。 私に出来るのは、植物の知識を生かした復興よ」

 

そうか。

 

それも、考えの一つではあるな。

 

ただ、出来る事なら手伝いたい。

 

それは、あたしも告げる。

 

セリさんは、寂しそうに笑った。この人が良い方向に感情を動かすのを、初めて見たかも知れない。

 

「有難う。 どうやらこの世界に来て数百年、初めてまともな錬金術師に会えたようね」

 

「すみません本当に」

 

「良いのよ。 此方に来てから遭遇した畜生以下の錬金術師を殺さなければならなかった思い出よりも、まっとうに錬金術に向き合い世界を実際に復興している貴方に会えた事の方が価値がある。 ともかく、今は恐らくは門であろう封印されているものをどうにかしましょう」

 

セリさんは、それだけ言うとアトリエを出ていった。

 

あたしは、集中する。

 

あの人は、人間を好きなだけ恨む資格がある。

 

それなのに、あたしに今後も協力してくれることを約束してくれた。

 

それだけで、どれほどの意味があり。

 

歴史的な価値があることだろう。

 

気合いを入れる。

 

次は、試験を更に完璧にこなして。

 

最後に、装飾品にまで落ち着かせる。ともかく、いつ封印が壊れてもおかしくない状況なのだ。

 

あまりもたもたはしていられないし。

 

封印の場所すらも分からない現状。

 

とにかく、焦りを抑えながら、確実に進んでいくしかないのだった。

本作の次に連載する作品はどれが良いですか?

  • 暗黒!アトリエシリーズのまだ未掲載の作品
  • 真女神転生Ⅲの二次創作(真Ⅴ要素なし)
  • 流行り神二次創作
  • その他二次創作
  • オリジナルの長編
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