暗黒錬金術師伝説10 暗黒!ライザのアトリエ2 作:dwwyakata@2024
そこでクリフォードは。
己の求めていた夢と、現実と向き合います。
クリフォードは、今まで組んだ誰よりも強いメンバーと、今冒険をしている。冒険というべきだろう。
事情については聞いている。
フィルフサという超ド級危険生物がいる異世界への門。封じられたそれを、どうにかしなければならない。
もし失敗すれば、この世界は滅ぶ。
だが、今すぐにではない。
これぞロマンだ。
そう思っても、安宿では、どうにもひりひりする緊張感の方が強く。最近は眠れない日も多かった。
少し前に。
森の遺跡で、毒竜とやりあった。
本当に凄まじい化け物だった。今まで遺跡で見てきたどんな魔物よりも強かった。あんなものが守っているのなら。
ライザがいう門の危険性も、確かに納得出来る。
クリフォードはミーティングを終えて、安宿に戻ると。
自分のメモ帳を開く。
入口などにセーフティは仕込んである。
これは恨みを散々買っているからだ。
殆どの恨みは逆恨みなのだが。
それはそれとして、身は守らなければならないのである。そのまま、集中して解読を続ける。
師匠と呼べる存在から貰った本。
古い本だ。
びっしり書き込みがしてある。しおりもたくさんはさんである。
この宝は。
世界を変える。
そうとまで書かれている。
実は、今までそれなりに金になる宝は、クリフォードは何度か見つけている。だが、金になるものに、あまり興味は無い。
金は荒事で稼げば良い。
実際問題、傭兵としても、賞金稼ぎとしても、クリフォードじゃ食いっぱぐれたことがない。
考えて見れば、あの希代の豪傑であるライザとともに冒険が出来ているくらいなのである。あまり実感はなかったものの、クリフォードは相当に戦士としては上澄みにいたのだと思う。
メモを確認していく。何百回と読んだメモだ。忘れる筈がない。
あの特徴的な地形、間違いなく宝がある場所だ。それについては、どう客観的に見てもただしい。
宝を隠した人間は、二重の暗号を使って。
宝の場所を隠蔽した。
まるで、探す人間を試すように。
それを解読するのに師匠が随分掛かって。それをクリフォードが引き継いだ。今は、もう師匠は。
それは、いい。
ともかく、明日。やっと、目標の一つにたどり着ける。そう思うだけで。中々寝付けなかった。
それでも戦士として訓練は続けている。
眠れるようにする自己鍛錬も。
だから、無理にでも眠り。翌日に備える事が出来ていた。
翌朝。
軽く体を動かしてから、ライザの所に。朝に毎度ミーティングをするライザは、本人が思っているよりもずっとこまめな性格だと思う。がさつだという周囲の声も聞くが、多分ライザは興味が無い事には徹底的に興味を持たないタイプだ。それががさつに見えるのだろう。
ライザは平凡な顔は兎も角体の方はしっかり色気があるので、男を釣ろうと思えば幾らでも出来る筈。
それをやらないのは、本当に興味がないのだと分かる。
天才の中には、欲求が偏っている者がいると、クリフォードは聞いた事があったが。
ライザはその典型だろう。
軽くミーティングをする。
ミーティングの内容は随分と丁寧で、殆ど口を出すこともない。フィーが周りに愛嬌を振りまいているくらいだ。
此奴もな。
今までの情報を総合する限り、今回の案件には此奴の同族か先祖かが関わっていた可能性が高い。
だから何度か誘ってみたのだが。
フィーはライザにぞっこんだ。
クリフォードも気付いている。ライザが時々、ぞっとするほど冷たい目でフィーを見ている事には。
ライザは農家の娘で、畜産業も経験している。
どんな動物でも、幼い頃は可愛い事は知っているし。必要に応じてしめるような事だってしてきたのだろう。
だからフィーも同じように見ている。
ましてやフィーは、ドラゴンと骨格が似ている事が分かっており。
今は可愛くても。
その内、人に害を為す何かになる可能性だってある。
その時の事をライザは考えている筈で。
それで時々、殺処分も辞さないと思っているのだろう。
それに、人の手を経た生き物は、野外で生きていく事は出来なくなる。
狐とか等は顕著で、一度人間が気まぐれでエサをやったりすると。それを期待して人間にすりより、地力で餌を採れなくなったりする。そうなると待っているのは餓死だ。人間と動物は距離を取らなければいけない。それをライザが一番分かっているのは、クリフォードにも理解出来ていた。
ミーティングが終わる。
今日、いよいよクリフォードの積年の願いがかなうかも知れない。
だというのに。
どうしてか、それはあまりロマンを呼び起こさない。
アトリエを出て、街道に。今日もクリフォードが荷車を引く。荷車には、かなり大きな遮熱のための道具が積まれていて。それが荷車の積載量を圧迫しているのが一目で分かるのだが。
しかしながらコレ無しでは、砂漠に出向くのは自殺行為だ。
積み込んでいる水もかなり重い。
砂漠の川の水は多分飲んでも大丈夫とライザは結論しているようだが、それでも砂漠の中で迷う可能性が高い。
幾つも、入念な準備をしている。
だからこそ、クリフォードはミーティングでああだこうだ言わなくてもいい。
街道を移動し、やがて獣道から荒野に出る。荒野に出ると、遠くに自分達で架けた橋が見えてくる。
当然斜度は相応にあるので、レントが後ろから押してくれる。
この橋も、自分達以外は当面使わないだろうな。
そう思って、斜面を乗り越える。
崖上に出ると、ここからが本番だ。
ライザが跳躍して、周囲を確認。続いてクリフォードも、同じ事をやっておく。
「此方を警戒しているワイバーンはいるけれど、仕掛けて来る様子は今の所無し」
「妙だね。 今まで見たワイバーンのどの個体よりも大きいのに」
「とにかく、警戒して行こう。 いつ仕掛けて来るか分からないからね」
「……」
クリフォードは帽子を下げる。
口を覆っているマスクは、こういう暑いところでは命取りになりかねないのだけれども。
それでも外すつもりはない。
セリが魔術で出した大きな葉っぱを傘に、砂漠に踏み込む。
どうにも嫌な予感がした。
「気を付けろ、何か来る!」
「! 地面の下だよ! こっちに向かってる!」
「俺が前に出て囮になる! 荷車を下げてくれ!」
レントが飛び出す。
クリフォードはそのままさがると叫んで、バック。荷車が邪魔にならない地点まで下げるのと、同時に。
レントを狙って、地面の下から巨大な何かが飛び出してきた。
レントは食いつかれそうになるのを、どうにか見切って必死に大剣で防ぐ。それは、巨大な蚯蚓か。
地面を喰い破って姿を見せたそれは、あまりにも巨大だった。
「デスワームだ……」
極めて珍しい魔物である。直に遭遇するのは初めてだ。
砂漠地帯に住み、人間を襲うと言う事しか分からなかったが。いずれにしてもこんなばかげた大きさでは無い筈だ。
今地面から出している首の部分だけでも、クリフォードの背丈の五倍、いや七倍はある。
それがレントを振り回して、放り投げようとしていた。空中に放り出されれば、レントは次の瞬間には食いつかれておしまいだ。
即座にライザが熱槍を叩き込み、クラウディアも矢を放つ。
クリフォードもブーメランを投擲。
だが、残像を作りながら、デスワームは器用に首を動かして全て回避する。
クラウディアとタオが仕掛ける。
デスワームは、ひっきりなしに飛んでくる飛び道具に、更に接近戦も来たのを見て、面倒だと考えたのか。
ふっと、地面の下に引っ込んだ。
地面に引きずり込まれそうになったレントは、地面で踏ん張って、大剣を手放さない。デスワームは一瞬だけ抵抗したが、大剣を離して地面の下に引っ込んだようだった。
「散開! 固まらないで!」
「敵、移動中! ……狙いは……」
クラウディアが音魔術を展開しながら叫ぶ。
狙いは、セリだ。
セリが地面に手を突くのと同時に、真下からデスワームが飛び出してくる。セリが地面に張ったのは、巨大な分厚い葉。
それを丸ごと持ち上げるようにして、デスワームがセリを空中に放り出す。
まずい。
レントの大剣より、あれは脆いはず。
多分、一瞬しかもたない。
だが、その一瞬で。
タオが間を詰めていた。
双剣が凄まじい閃きを見せて、デスワームの肌を縦横に切り裂く。砂漠の下を自在に移動するような皮膚の持ち主だろうが、それでもゴルドテリオンの刃だ。一瞬で切り裂かれて、鮮血がしぶく。
デスワームが残像を残して体を大きく捻るが、其処にライザが蹴りを叩き込む。
衝撃波が、逆側に抜けたか。
とんでもない悲鳴が響き渡り、辺りの岩山がふるえてばらばらと石が落ちる。
すげえ蹴りだな。
そう思いながら、クリフォードは手に力を溜めていく。
ブーメラン操作の奥義。
此奴なら、使っても恥にはならないだろう。
デスワームが、全身を地面から引っ張り出す。
やはり巨大な蚯蚓だが、全身の彼方此方に鋭い刃みたいな突起が出ている。あれで、地面の中に引っかけて固定したり。
或いは掘り進むために使っているのだろう。
それだけじゃない。
突起がガチガチと音を立て始める。
間違いない、呪文詠唱だ。
皆が仕掛けているが、凄まじい動きでデスワームは回避し続ける。セリを放り投げると、そのまま真上からセリに襲いかかる。レントが飛び出し、大剣でセリをガードするが、地面が凄まじいパワーに拉げる。
「長くはもたないぞ!」
「分かってる! だけどこいつ、早すぎる!」
「このっ!」
パティが居合いと言われる抜き打ちを叩き込むが、なんとデスワームはそれを回避して見せる。
勿論本命の二太刀目も。
だが、それで大きく体を撓ませたデスワームに。
クリフォードは接近。
ため込んだ力を、連続して叩き込む。
九回、ブーメランでの打撃をぶち込む。
デスワームが、全身を揺らすほどの一撃を、九回。
それに加えて、とどめだ。
跳躍しつつ、全力を込めたブーメランでの一撃を、クリフォードは打ち込んでいた。
「くらい、やがれっ!」
体を柔軟に動かして回避し続けていたデスワームだが、ライザが叩き込んだ蹴りのダメージもあるし、今の無理な機動もある。それに何より、牽制技の今の九回の打撃で体が痺れている所に、渾身のブーメランが飛ぶ。
ついに、直撃が入る。
一度からだが硬直し。
全身から血が噴き出すデスワーム。
更に、其処にライザが爆弾を投擲。それを見て、全員がさっと散る。しかし、これだけのダメージを受けても、流石だ。デスワームが、詠唱を完了。
まるまって蜷局を作ると、その姿が歪む。
これは、斥力か。
だが、ライザの方が更に上。
炸裂した爆弾は、二つ同時。
二段重ねにした上は、氷の爆弾、下のが本命の炎爆弾。
氷爆弾が炸裂して、破壊力の逃げ場がなくなった爆圧が、全て下にいるデスワームに叩き付けられる。
悲鳴を上げるデスワーム。
斥力を貫通した爆圧が、その全身を蹂躙し尽くしていた。
どうと倒れるデスワーム。
ひゅうと口笛を吹くクリフォード。すぐに荷車から薬を取りだす。皆の手当てをする。
とんでもない速度で動き続けた化け物だ。
その過程で、皆に被害は出ていた。
「パティ、傷を見せろ。 何回か石が直撃していただろ」
「すみません。 それにしても、凄い技ですね」
「まだ未完成だが、アブソリュートケージって技だ。 流石に技名を叫ぶような気にはまだなれなくてな」
「何となく分かります」
傷の手当て終わり。
セリが一番傷が酷いが、真っ先にライザが向かったから大丈夫。
レントの手当てもする。
最初の攻撃をいなしてくれなければ、何人か食われていた可能性が高い。それくらい、危険極まりない相手だった。
ライザが丸焦げになったデスワームの死体を調べ始める。フィーが、ここだと言わんばかりに飛び回り。
其処を剥ぎ取ってみると、巨大な魔力を秘めた球体が出てくる。
これが、あの速さの根元になっていた臓器か。
ライザが大事そうにしまう。
周囲に、いつの間にか魔物がたくさん。
残念ながらデスワームは、皮も肉も活用出来そうにないようだった。
ライザが頷くと、皆がその場を離れる。
わっと魔物がデスワームの死体に群がって、がつがつと食い始める。この砂漠のルールとはいえ、何ともおぞましい。
死体になった魔物が、スカベンジャーに荒らされるのはどこでも同じだが。
この砂漠は、全ての生物がスカベンジャーだ。
それもまた、徹底していると言えた。
戦闘の被害を受けていない地点まで行く。この面子ですら、そろそろ通じなくなりはじめている。
魔物がそれだけ強いと言う事だ。
それでもライザがあわてている様子がないという事は。
フィルフサというのは、更に恐ろしい相手と言う事で間違いないのだろう。流石に怖い物知らずのクリフォードでもぞっとしない。
ともかく、まずは特徴的な地形を目指す。
岩山が連なって、とぐろを巻く蛇みたいになっている。その辺りに来ると、不意に涼しくなっていた。
「過ごしやすいですね、此処」
「……パティ、此処は長居しない方が良いかも知れない」
「!」
「同感だ。 此処はちょっと、尋常じゃねえな」
人の手が入っている。
それも、多分まともな人間の手じゃない。
タオが真っ先に動く。クリフォードも、辺りの地面や、岩山を調べて見る。
そうすると、すぐに異常が分かってきた。
岩山の砂埃を落として見ると、其処には醜悪に歪んだ人間の顔が描かれていた。うえっと声を上げるレント。
パティは黙り込んで、視線を逸らす。
その狂気的な表情は、ある意味芸術的とも言えるけれど。
それ以上に、何かに対する異常な執着が感じられた。
間違いない。
此処には何かがある。
「クリフォードさん!」
「どうした」
タオが呼んでくるので、すぐにクリフォードは行く。
見て、即座に分かった。
これは、骨か。
それも多分人骨だ。此処で、何があったのかはあまり考えたくない。この辺りは砂漠ではもうない。
魔物避けの強烈な結界が作動していて。
それが、魔物を遠ざけ。
更には悪寒すら生じさせている。
この技術、近年のものじゃない。
古代クリント王国時代か、更に古いだろう。人骨は、何かの儀式か何かのエジキにされた人のもののようで、朽ちる寸前だった。
辺りを見回す。
頭がクラクラしそうだ。
「パティ、辛いようだったら外に出ていた方が良いぜ」
「い、いえ。 外よりまだ此方の方が安全だと思いますから」
「そうか。 だったら気を強く持つんだな。 この奧は多分もっとやべえ……」
クリフォード自身も、口数が減るほどだ。
奧に行くと、陽の光が完全に遮られていた。
この辺りは、悪意で作られた工房だ。
だが、古代クリント王国時代に、こんなものが作られたとは思えない。この辺りは危険すぎて、近寄る奴もいなかったはず。
そうなると、その前。
そういえばライザがどんな残留思念を見たかで言っていたっけ。
あの「深森」の五感を狂わせる仕組み。それを持ち出した奴がいたって。
だが、それが使われた形跡がない。
まさか。
階段を見つける。地下に行けるようになっている。
多分だけれど、神代のテクノロジーを用いて、此処を工房として使っていた奴がいるのだろう。
階段をレントが固定したので、タオとクリフォードで地下に潜る。
壁に、びっしりと目が描かれている。
やれやれ。これは。
「此処の作り主は、もう正気を失っていたようですね」
「そうだな。 完全に自分の世界を作り出していたようだ」
「……奧ですね」
「ああ」
これが、宝か。
そう思うと、悲しくなってくる。
最深部は、恐らくヒカリゴケの類だろう。それで灯りが確保されていた。砂漠の地下だというのに。
水もある。
水が浸り浸りと音を立てている其処は。
ドーム状の空間で。
びっしりと壁にも天井にも目が描かれていて。
骨が一人分。
地面で朽ちていた。
服を着ていた形跡が残っている。それを見て、タオが頷く。多分白衣だ。これを作り出して、それで力尽きた。
やれやれ。そうため息をつきたくなる。
中央部に台座みたいなのがあって。
其所に箱が置かれていた。
腕輪を取りだすと、一応つける。
あの「深森」で使ったものだ。
今後も使う可能性があるから、絶対に手放すな。そうライザが、厳しい口調で言っていたっけ。
もしもフィルフサを封じるなら、魔術の防壁では無理で。
幻惑による防壁も必須だから、というのが理由だったか。要するに、封印の本丸には、あの「深森」と同じ仕掛けがしてあるというのが、ライザの主張だった。
ともかく、腕輪を作動させて、箱を手にとる。
箱を丁寧に調べて行くと、タオが聞いてくる。
「どうですか」
「……間違いない。 これに詰まっているのは、あの土だ。 そして恐らくは、生産の具体的な方法も」
箱を開けてみる。
やはり紙と土が入っていた。
紙に書かれた文字を、タオと一緒に解読してみる。
暗号はない。
ただ、其処に刻まれていたのは、怨念だった。
「これこそ、恨み重なるクリント王国を滅ぼすための神の怒りだ。 これを用いて、クリント王国の人間は、一人残らず根絶やしにする。 錬金術師は当たり前だが全員殺す。 女も子供も狂わせて殺す。 男も老人もみんな狂って死ぬのを笑う。 俺の怒りと恨みが全て此処に詰まっている」
殴り書きされた紙。
そして、淡々と描かれた製法。
クリフォードは、こんなものを探し求めていたのかと思って、悲しくなる。
更に言えば、なんとなくこれが見つからなかった理由も分かった。
或いは、この砂漠まで来て。此処までたどり着けた奴は他にもいたのかも知れない。
だけれども。この工房の有様を見て、此処がどういう場所か理解しただろうし。
とてもではないけれど、まっとうな宝が無い事は、すぐに分かったのだろう。
箱を閉じる。
クリフォードは、目を閉じて、外で生け贄にされていた人に黙祷した。
此奴は此奴で、自分なりの苦しみと哀しみがあったのだろう。
古代クリント王国が、どれだけ残虐で悪辣だったかは、クリフォードも理解しているつもりだ。
そのエジキになったのだとしたら、恨み事を並べる資格はあると思う。
だが、その憎悪を現在まで持ち込んで。現在生きている人に向けるのは、筋近いというものだ。
階段を出る。
ライザだけが待っていた。他の人は、この狂った工房の外で、見張りをして貰っているようだった。
「どうだった、クリフォードさん」
「ロマンとは程遠い。 内容は後でまとめておく。 処分は任せる」
「分かりました」
ライザは隠し階段に熱槍を叩き込むと、崩落させてしまう。
ちょっともったいないかと思ったが、あれでいいだろう。
更に、工房を離れると。
クラウディアと一緒に熱槍と魔術矢を叩き込んで、工房を完全に粉砕する。そういえば、贄にされていたらしい人の亡骸は、既に荼毘に葬ったらしい。
それでいいだろう。
崩壊していく遺跡を見て、クリフォードは。あばよとだけ呟いていた。
ロマンは一つなくなった。
だが、ライザ達と冒険をすれば、また幾つでもロマンが見つかる。
今までの人生で、もっともロマンに満ちた時間を今過ごしている。
それだけで。
クリフォードは、充分満足していた。
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