その夢は道半ばで崩れ去り、彼は警察へと成った。
家族を守りたいという輝かしい正義は血に濡れた。
ただ一つの目的を果たすために男は邁進する。
それが地獄への片道切符と知っていても。
コツコツと靴がアスファルトにぶつかる音が鳴る。
薄暗い路地裏。走りやすいスニーカーを履いたフードの男は息を切らしながら走っていた。肩からは大きなショルダーバッグを掛け大事そうに両手で抱きしめながら走っている。時々、背後を確認し光の見えない闇の中を突き進む。男は地面に生えた草花など気にも止めずに走り続ける。
コツコツと歩く音が聞こえる。
男は立ち往生している。道をわかっていなかったためか道の先は行き止まり。10mはあろう建物で乗り越えて逃げることもできない。
男は焦っていた。成功したと思っていた銀行強盗、異形の〝個性〟で職を見つけられず行き着いた最終手段。これでいつもより美味しいものが食べられると思っていた。運が良かったのか他に危険な事件があり男はヒーローに捕捉されることなく逃走することができた。しかし、それも束の間。『悪魔』と呼ばれる警察に見つかってしまった。それからは逃走の繰り返し。咄嗟に路地に入ったのはいいものの男は道をあまり知らなかった。このままでは捕まってしまう。それだけは避けたかった。
コツコツと音が聞こえる。
どれだけ走っても男の耳にはこの音が聞こえる。振り切ったと思うことができなかった。行き止まりで思考を巡らせていると段々と音が近づいてくる。後は行き止まり、前は『悪魔』。男はここで終わりなのだろう。唯一背後の壁には蔦が生い茂っておりこれを辿れば逃げれるかもしれない。だが、覚悟を決めようにも『悪魔』の所業のせいでなかなか決めれない。曰く、
とうとう路地裏の闇の中から1人の男が現れる。黒いロングコートに白いシャツ、藍色のネクタイを締めている。長髪を後ろで結び前に流した髪型。無精髭もなく清潔感を漂わせた顔だが対照的に目の下に隈が染みつきその目は光を映さない。その手にはデザートイーグルを持っている。男はゴミを見る様な目で銀行強盗の男を見ていた。
「あ、『悪魔』っ!?」
「あ?人の顔をみた第一声か?それ」
「た、助けてくれ…!!自首する!!お金が必要だったんだ!!」
異形の男はその場に蹲って懇願する。大切に持っていたバッグすらも投げ捨てて震えている。投げた拍子にチャックが開きその中から大量の札束が溢れ出す。『悪魔』はデザートイーグルをホルスターに仕舞うとしゃがんで異形の男の肩をポンと叩く。両手を頭に乗せて下を向いていた異形の男は恐る恐る顔を上げる。
「自首したら許してくれるとでも思ったか?はぁ、クズはクズだ。死ね」
『悪魔』はスッと立ち上がり異形の男の顔目掛けて蹴りを入れる。革靴の爪先が異形の男の顔面にめり込み異形の男は何が起こったのか理解できずに顔を抑える。
「てめぇらクズは。性根の腐り切ったゴミだ。自首する?てめぇの自首になんの価値がある。目の前に警察がいるんだぞ。自首する前に捕まるだろ」
「ぎゃっ、やめっ、、いだぃ」
「ちっ、うざいなぁ。黙れよ」
『悪魔』は異形の男の頭を中心の蹴りや踏み付けを行う。異形の男がどれだけ泣き喚いても「黙れ」と一蹴して蹴り続ける。蹴り始めてから幾分か経った頃、異形の男から悲鳴すら聞こえなくなった頃、『悪魔』は足を止める。
「何寝てんだ」
横っ腹に思い切り蹴りを入れると異形の男からくぐもった呻き声が聞こえる。生きていることを確認すると『悪魔』は異形の男の襟首を右手で掴む。左手では証拠品である金の入ったバッグを持っている。『悪魔』は異形の男を引き摺りながら来た道を戻っていくのであった。
警察署。自動ドアが開き『悪魔』はその中に入っていく。エレベーターへと乗り目的の階へと向かう。廊下ですれ違う人は「またか」と呆れた様な表情で『悪魔』を見ている。
「ほれ、銀行強盗だ」
「またですか!?何度言ったらわかるんですか。例え
「うるさい。クズは一度酷い目に遭わせないといけないんだよ」
「でも…」
男はドカッと自身のデスクの椅子に座る。デスクの上から新聞を取り記事を一つ一つ読んでいく。
未だに残っていた警察官が伸びている銀行強盗犯を留置場へと連れていく。
「やぁ、元気かい?…あちゃ〜、またやってるの?」
それと入れ違いに男の居るところに1人のヒーローが入ってくる。真っ赤な剛翼を携えたヒーロー、ホークスである。ヒーロー以外に公安という肩書きもある彼は簡単に警察署に出入りすることができる。暇な時はよくここにやってきてはおしゃべりをしている。しかし、現在時刻は夜10時。帰宅する者もちらほら居る時間帯。
「誰だ?」
「覚えてないんですか!?」
「人の顔と名前は覚えないタチでな」
「それ暮らしててキツくないすか?」
「案外生きれるさ」
「はぁ〜、ホークスっすよ、ホークス!!」
「あぁ。それで、なんのようだ?」
「ここまで来たので気になったんですよ。『警視庁の悪魔、糸杉 躑躅』さんにね」
「あっそう。用事が済んだなら帰れ。俺は帰る」
「待ってくださいよ。帰るなら飯でも食いに行きません?」
「行かない。……あと、一つ忠告だ。俺に関わるな」
躑躅はそういうと椅子から立ち上がり警察署を後にする。時刻は夜10時半。多くのサラリーマンや夜職、夕食を食べたのであろう人々が行き交っている。躑躅は人混みの中をスイスイと進み歩いていく。30分ほど歩いたのか躑躅は自身のマンションへと到着する。オートロック式のエントランスを抜け30階へエレベーターで上がる。エレベーターが何事もなく30階に着くと躑躅は向かって左へと歩いていく。
角部屋、そこが彼の住処であった。
鍵を差し込み回すとガチャリと軽い音と共に部屋の扉が開く。中は薄暗く一人暮らしということが容易にわかる。間取りは3LDKであり1人で暮らすには少し広い。躑躅は靴を脱ぎ壁についている照明のスイッチを押す。室内は灯りを取り戻し廊下を照らし出す。少し歩くとリビングに繋がる扉がありキィと音を立てて開く。ソファやテレビ、ダイニングテーブルが完備されている部屋。明るい色が基調でどこか女性らしさを感じる。
躑躅は持っていた鞄をダイニングテーブルの椅子に置き、自身はもう一つの椅子に座る。無造作にネクタイを緩めて椅子の背もたれにしなだれる。
躑躅の鼻腔を甘い匂いが擽る。それはこの部屋中に漂っているアロマオイル。見た目に見合わないものだがそれが唯一男の心を癒すものであった。
────飯にするか。
椅子から立ち上がり躑躅は冷蔵庫を開ける。中にはびっしりと詰まった栄養ゼリー。そのうちの一つを取り出すと冷蔵庫を閉める。今度は冷蔵庫横にある引き出しを開く。中には袋分けされてた数十粒のカプセル、錠剤が入っておりそれぞれに日付が書かれている。そのうち今日の日付が書かれているものだけを出す。台所に向かい戸棚からコップを一つ取り出す。戸棚にはおしゃれな皿や茶碗などがある。茶碗は一人暮らしのはずだが2つある。その殆どが長い間使われていないのか色褪せている。一応掃除をしているらしく埃は一つも見つからない。
コップに水を注ぎダイニングテーブルに置く。カタンというガラスと木がぶつかる音が響く。男は再度椅子に座ると栄養ゼリーの食べ口を口に含むと一息で吸い込む。一瞬で空っぽの容器になった栄養ゼリーをゴミ箱に投げ入れ、もう一つの夕食である錠剤に手をつける。袋から自らの手に出し口に入れる。バリボリと錠剤を噛み砕くと水で喉に流し込む。これで夕食は終わりなのか男は椅子から立ち上がる。コップを水道で洗い流し、布巾で水気を取り除く。また同じ様に元あった場所に戻すとリビングを後にする。
廊下についている1つの扉を開くとそこにはベッドがある。躑躅はベッドに腰掛けるとカーテンの空いた窓から外を眺める。満月が男を照らす。真っ暗な寝室を照らす光。しかし、男の心はもう2度と照らされることはない。光を失い全てに絶望している瞳。躑躅はベッドの横の小さなデスクの上の瓶を取る。蓋を開け瓶を斜めにして少し振ると中からいくつかの錠剤が出てくる男はその錠剤を手で受け止めるとそのまま口に押し込んだ。本来水を使って飲むであろうものだが男は何食わぬ顔で噛み砕く。この錠剤は睡眠薬。男はあの日から一度もまともに眠れた試しがない。どれだけ強い薬を使っても数ヶ月経てば効果がなくなる。その都度薬を強くしているがもう限界だろう。
────月が綺麗ですね。姉さん…
躑躅はベッドに横になり目を瞑った。数刻経てば薬の効果も効き始め次第に意識を手放していく。
辺りが燃えている。
本来存在する建物は全て惨たらしく倒壊している。炎は勢いを増し夜であるはずの空を輝かしく照らす。星々が陰るほど炎は真っ赤に燃えていた。
近くの瓦礫からガタリと音がする。音が気になり視線がそちらに向く。
家族が死んでいる。
瓦礫に下半身を潰されて死んている。頭を潰されて死んでいる。炎よりも真っ赤な血が辺りに散らばっている。
友達が死んでいる。
炎で全身黒焦げの死体。体格から誰かわかってしまう。
先生が死んでいる。
いつも向けてくれた綺麗な瞳の位置には真っ暗な眼窩だけが存在する。
姉さんが死んでいる。
全身バラバラで今にも動き出しそうな死体。くっ付ければ動くんじゃないかと錯覚してしまう。
死体は動き出し男の元へと歩く。腕の力でズルズルと下半身の無くなった死体。首から上がない死体。全身黒焦げの死体。バラバラ死体。
男を取り囲む様に動くと喋り出す。いつも聞いた声で喋る。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
「ち、ちがっ……」
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
────お前のせいだ。
死体の腕が男の首を掴む。死体が男に纏わり付く。腕を掴み、服を破るかのような力で引っ張り、足に縋り付く。首に掛かった腕はギリギリとあり得ない膂力で首を絞める。痣が出来るほどギリギリと全身を掴む。男の喉からはヒューヒューと空気が漏れるだけ。
やがて、延焼してきた炎は男ごと包み込む。全身が焼け爛れる様な痛みが広がって行く。
「……っ!!」
躑躅は目を覚ます。時計の針のカチカチという音に重なり男の荒い息が聞こえる。冷や汗でベタベタの額に目もくれず時計を見る。時刻は3:00、精々2時間半の睡眠時間。男は再度眠ることなくベッドから立ち上がる。
「くそっ…」
ベタついた服を洗濯機に入れ新しい新品の服を手に取る。
頭を冷やすために洗面所に赴き顔を洗う。薄暗い洗面所に水の流れる音だけが響く。躑躅はキュッと蛇口を捻り水を止める。近くに置いていたこれまた新品のタオルで顔を拭く。顔を正面に向けると鏡に自分の顔が映る。今にも死にそうな表情。そしていつまでも許すことのできない顔。
────お前のせいだ。
鏡に映った自分の顔が躑躅を非難するように呟く。
────お前のせいでみんなが死んだ。
────お前は生きていちゃいけない。
────死でしか贖えない。
────決して、犯罪者を痛めつけても意味がない。
────わかっているだろ?
「っ!!!」
バギッと鏡に躑躅の拳がめり込む。鏡は割れ破片が洗面台に降る。
割れた鏡は躑躅の壊れた表情をただただ映していた。
「糸杉先輩!!仕事行きますよ!!」
警察署に出勤すると以前半ば強引にバディを組まされた後輩が近づいてくる。
明るく元気な彼女は配属されてからすぐさま署内のアイドル的立ち位置に躍り出ていた。
「……ん、あぁ」
「なんですか、その気の抜けた返事は。やる気ないんですか!?」
「はいはい」
「も〜、はいは一回。ってか、なんですか?その右手の包帯」
後輩はそう尋ねる。後輩の記憶では昨日の退勤の時にはそんなものをしていなかったはずだ。
躑躅はそれを見て「あぁ」と今思い出したかのように話す。
「昨日の帰りに怪我したんだ。一応、今も巻いているが」
「そうなんすか。じゃ、行きますよ!!」
後輩は躑躅の腕を掴むと元気よく部署を飛び出していく。
躑躅は抵抗する暇もなくズルズルと引き摺られていくのであった。
警察署の駐車場。
そこに数台の捜査車両やパトカーが置かれている。躑躅はその中の一つの車両の鍵をポケットから取り出す。
慣れた手つきで鍵を開け、エンジンをかける。そして流れるようにタバコの箱を取り出す。そこから1本取り出して早速吸おうとした時、助手席に後輩が乗り込んでくる。後輩は躑躅の手に握られているタバコを発見すると大きな声をあげて指差す。
「あ〜!!また吸ってる!!タバコって体に悪いんですよ?ほらほら火つけてないですし早く仕舞ってください!!」
「………………」
躑躅がこう言われるのは何回目だろうか。出来るだけ後輩の前で吸わないようにしていたのだが、今日はその考えが抜けていた。何時もは颯爽と移動しては躑躅よりも先に車の助手席に乗り込んでいたのだが、今日ばかりは何故か躑躅の方が速く車に辿り着いたのだ。それも理由の一つだろう。
渋々取り出したタバコを箱に戻しポケットに押し込む。
「よし!それじゃあ、しゅっぱ〜つ!!」
助手席で後輩が意気揚々と手を挙げる。
躑躅は無言で車のギアを入れ替えアクセルを踏んだ。
パトロール開始から早10分。手持ち無沙汰になったのか後輩は躑躅に質問をする。
「そういえば、先輩の〝個性〟ってなんですか!?噂によると雄英に通っていたんですよね!?」
「んなもんねぇよ。雄英の噂も本当じゃない」
躑躅は左手でハンドルを握りながら右手で頭を掻く。
本来はパトロールのはずだが最早一方的なお喋りの時間のようになっている。
躑躅が運転をして後輩が話す。ほぼ毎日の光景だが躑躅はこれを止める気はない。
「フッフッフ、嘘ですね先輩!」
「はぁ?」
「私は嘘を見抜けるんですよ!!〝個性〟でね!!」
後輩はキメ顔でそう言った。彼女の背後では無駄にキラキラと光が散っている。躑躅は一瞬だけ後輩を見るがすぐに前を向く。
そしてぶっきらぼうに言い返す。
「それが嘘だろ。お前、前に散々水を操る〝個性〟だって言ってただろ」
「うえぇ!?なんで覚えてるんですか!?」
「1週間ずっと朝から晩まで仕事中聞かされてれば覚えるわ」
「先輩の記憶の一部になれて光栄ですよ!!あ、それで嘘ってのは……先輩って嘘つく時必ず右手で頭を掻きますよね?いつも見てたので覚えました!!」
────躑躅ってさ嘘つく時、頭掻く癖あるよね
────ふっ、お姉さんには全てお見通しさ
「──────っ」
「先輩?」
「なんでもない。それより携帯なってるぞ」
「本当です!!」
後輩はすぐさまポケットから携帯電話を取り出して耳に当てる。躑躅はそれを横目に歩道を見て事件が起きてないかなどを確認する。
人々が行き交う歩道。今は学校などは夏休みの初め辺りの為か子供連れが殆どだ。
「もしもし…」
『お前ら!今何処居るんだ!?朝っぱらにお前ら2人に伝えることがあるって言っただろ!?』
「うえ〜!?すみません!!今戻ります」
電話が切れると後輩は恐る恐る躑躅を見る。
「せんぱ〜い……署長が今すぐ戻って来いって」
「はぁ、戻るか」
躑躅はパトカーをUターンさせて警察署へと走らせる。その帰り道も後輩は五月蝿く話していた。
「それで話ってなんですか!?」
「早くしてくれ」
「君たちさぁ……少しは敬いってのを覚えないかい?」
「!?尊敬してますけど!?」
「もう少し尊敬されるような態度を取ればいいんじゃないか?」
2人がいるのは警察署内の署長室。最近頭の毛が少なくなり始めている署長が仕事用机に座って2人を見ている。その正面に後輩と躑躅は立っている。
署長はそう言っても何も変えることはない。署長は諦めたのか机の引き出しから2枚の書類を取り出す。
「なんですか?これ」
「君たち2人には例年ある雄英高校の林間合宿へ行ってもらいたい」
署長が言うには今年度初期に起きた雄英高校襲撃事件。例年では絶対に起きることのない事件のため雄英高校側も警察側も危機感を抱いていた。雄英体育祭は大勢のプロヒーローが警備に当たって安全だったが林間合宿はそうとはいえない。プロヒーローを導入すると
「プロヒーロー:マニュアルの妹である水島時雨くんと。まぁ、なんだ……絶対に
「へ〜〜」
「で、いつから始まるんだ?」
「せっかちだな。始まるのは明日からだ。だから君たちには今日中に準備を整えて明日、雄英高校に行ってもらいたい」
「はいっ!!」
「………」
舐め腐ったような期日。明日からだから今日中に準備しろなんて普通の人なら無理だろう。躑躅は署長の前で堂々とため息をつく。隣ではワクワクしている時雨が立っている。
「よし、じゃあ頑張ってくれ!!襲撃とかが起きないことが一番いいんだが、なんかあったらその都度対処してくれ。なんせ、署長の命令で〝個性〟も銃火器も使用可能だからな」
「はい!!先輩、頑張りましょう!!」
署長の髪の毛を燃やしてやりたい衝動に駆られるも我慢して署長室を出る。
明日から出発らしいので今日は昼で退勤することができた。躑躅は帰り際、警察署の武器庫に訪れた。普段から携帯しているデザートイーグルの手入れや銃弾を補充するためである。薄暗い室内に灯りを灯すと躑躅はデザートイーグルを分解して手入れしていく。1月に一度は必ず行う手入れ、何年もやっており考え事をしながらでもやることができる。
────私たちでチームを組もうよ!!
────そうだよ!私の土流と相性いいしやろう!
────はぁ!?先輩は俺らと一緒にヒーローやるんですけどォ!?
────そうだそうだ!!先輩は俺たちのだ!!
────山田、白雲、五月蝿いぞ
────消太だって一緒にやりたいだろ!?
────何やってんの!?躑躅が困ってるでしょ!!
────いつ見ても元気だね、屋上組はさ
いつかの屋上での出来事。この時はまさかこんなふうにまで落魄れるとは思いもしなかった。みんなで楽しく笑い合って、ヒーローやって、姉さんの待つ家に変える。そんなものだと、ずっと思っていた。それが今はどうだ。死にそうな顔をしてただ無気力に仕事に勤しむ。1人きりの家でまともにご飯も食べずに睡眠薬で無理矢理眠りにつく。
みんなが見たら笑うだろうか、怒るだろうか。姉さんはなんと言ってくれるだろうか。
「ははっ」
不意に笑いが込み上げてきた。何も言うわけないじゃないか。いないんだもの。
クトゥルフのシナリオのために作ったキャラの供養作品です。
設定に3000字くらい費やしてドチャクソ重くしたのにシナリオ回りきれずにロストしたので。
この設定のキャラを殺したままにするのもなぁ…と言うわけです。
下書きでは1万字超えていましたが分割しました。1万字一気に投稿したらすぐに続きが書けなくなるので。
ヒロアカの世界の方が世界観的に書きやすく二次創作になってますが、一次創作でも設定を練っている最中なので世界観は違うがキャラの設定は同じようなのが出ると思います。
キャラは同じでも進む道が違うので全くの別物になると思いますが。