ヒロアカ世界に転生したは良いけど主人公不在らしいです。どうしろと!?   作:サブレ.

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緑谷出久の存在と今後の出番が確定しましたが、緑谷不在タグって詐欺になるのかちょっと不安です。
一応A組不在ではあるんですが。


第十二話

バスで揺られることしばし。盛り上がってる車内を俯瞰しつつ、俺とかっちゃんは静かに思考を巡らせていた。どうせ合宿始まったら、そんなこと考えていられなくなるんだし。

 

「あのマスコット、差出人から割れないのか」

「夫の名前で送られてきたから受け取ったってババアが」

「おー、そりゃ無理だな。のど飴食う?」

「食う」

 

パソコンか何かで宛先印字してたら筆跡すら辿れないしな。引子さんの夫ってことは、つまり緑谷出久にとっては父親だし。

二人でもきゅもきゅのど飴食べながらそんな感じで、周囲に聴かれないよう小声で会話してたらとある場所で停止した。

ここから合宿開始か〜お話し合いもここで一旦ストップだ。

相澤先生の指示で全員バスから降りた。そこに待っていた、二人組のヒーローと一人の子供。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

『ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!』

 

猫っぽいコスチュームに身を包んだ二人組のヒーローが決めポーズを取る。

そうそう、原作でもこの人たちだった。ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツが四人組のヒーローなのは合宿前に確認済みなので、残りの二人は多分B組扱きに行ってる。

 

「ここら一帯は私らの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」

「遠っ」

「えっ……なんでこんな中途半端なところに」

「…………」

 

いや、御当主様の無茶苦茶が受け入れられる土壌の学校だから覚悟はしてましたよ?でもさ。

Puls ultraにも程がありませんかね!!!

ピクシーボブの能力で立っていた地面が盛大に波打ち、森の中へと投げ出された。

叔母が言ってたのこれかあ……。

 

「一筆奏上!」

 

とりあえずコスチュームになって刀を出す。距離と消耗を考えると烈火大斬刀は無理だ。

土塊の魔獣をとりあえず粉砕して、獅子折神のエージがちゃんと肩に乗ってて逸れていないのを確認した。

土でできた魔獣を粉砕して、切って、倒して……それをひたすら繰り返して前に進んで。

到着したのは日暮前。日常的に刀身を肩に乗せて消耗を抑えているものの、それでも腕の筋肉が震えている。

全員が全員、満身創痍だった。俺も例外なく。

実家の訓練がいかに配慮されていたかのかわかったよ……。

 

「やっときたにゃん」

「とりあえずお昼は抜くまでも無かったねえ」

「っはー……」

 

とりあえずコスチューム解除して制服姿に戻った。一人だけ制服綺麗だから浮くな。

従甥の洸汰君の紹介をしてもらい、相澤先生の指示のもと荷物を運んで夕食、入浴を済ませるために歩き出した。

かっちゃんがマセガキ呼びして、轟君にお前に似てねえか?と突っ込まれてた。そこは思ってても口に出しちゃダメな部分だと思いまーす。

 

+++++

 

大浴場に体を沈めると、じわじわと温度が染み渡るような気がする。湯の中で獅子折神のエージと戯れていると、隣に座っていた轟君や障子君もエージを突き始めた。気になってたんだな。

 

「録画機能とか付けてるのか?」

「いや、全く。探知用なんだよね」

「なるほどな」

 

あ、峰田が女風呂覗こうとして落とされてる。念のため持ち込んでた筆でサクッと網を張って助けたら、追加で洸汰君も落ちてきた。なんでさ。

 

「……えー、俺が代表で休ませてくるよ。このまま上がるからよろしく。エージは寝る時に返して」

 

洸汰君をサクッとソファに寝かせてマンダレイに預けて、俺は一旦着替える。

そのまま様子を見に戻ったが、まだ失神してるようだった。

 

「失神だけで済んで良かったです」

「君がネット張ってくれたんでしょ?モヂカラってすごいね」

「万能性はそれなりにありますから」

 

確かこの子は、両親がヒーローだけど殉職してしまい、今はマンダレイに引き取られているはず。

それにどうこう言える身分ではない。俺は時と場合によっては、ヒーローに対して「死んでくれ」と懇願する立場だから。

 

 

 

二日目。

今日より本格的に強化合宿だ。俺はひたすらモヂカラの強化。この合宿でスーパー化を会得してこいというのが御当主様と朱里様からのご命令なので、全力で挑む。

獅子折神は洸汰君に預けてみた。アニマルセラピー的な意味で。

俺の癒し……。

 

 

くったくたになって体力、というか生体エネルギーが枯渇しかけて寝そうになりながら、どうにか料理をする。普段刀扱ってるからかは知らないが、包丁捌きはあのかっちゃんが褒めるレベルだ。

すごいだろう。

なんとか料理作り終わって、疲れもあいまっておいしくカレーをいただいた。

さて、と。

なんだっけ。ヒーローは余計なお節介をするのが今のトレンドなんだっけ。時代錯誤ヒーローの自覚はあるとはいえ、流石にトレンド追っかけてないのはまずい。

 

 

「洸汰君。こーたくーん」

「テメェ!なぜここが……!」

「獅子折神は俺のモヂカラで動いてるから場所くらい分かる。はい、ご飯。あとエージも一回返して」

「いらねえよ。あとエージって誰だよ」

「その折神の名前だよ。エージだって飯食わねえと動かなくなるんだよ」

「ちゃんと返せよ」

「もともと俺のだわ」

 

渋々、と言った様子で獅子折神を差し出してきた洸汰君の頭を撫でて、モヂカラを充填する。これでもう一日、余裕で動くだろう。

本当は一回フル充填したら五日動けるのだが、名目って大事だよね。

エージを返すと、ぎゅっと腕の中に抱き込んだ。そんなに好きか、エージ。

その様子を眺めてると、洸汰君が睨んできた。

 

「個性を伸ばすとか張り切っちゃってさ、気味悪い。そんなにひけらかしたいかよ力を」

「まあ、ヒーロー免許取得のためだからな。頑張りどころだよな。でも気味悪いのはまあ同意」

「……なんでそう思うんだよ。気味悪いって思いながらヒーロー目指してるのかよ」

「俺の生まれた家がさ、まあ今の感覚からすれば時代錯誤なんだ。ヒーローはお家のため、一族のための歯車。そしてお家はこの世を守るために存在している。まあ、ヒーローさえ目指さなければかなり自由ではあるから、まだ救いはあるのかもな」

「……」

「好きに生きるといいよ。ヒーローが嫌いでも良いと思うぜ。ま、生きづらいとは思うが」

「お前にとってヒーローってなんだよ」

「貧乏籤」

 

ほんと、どうにかならないのかね。オールマイト改めヒーローを信奉せずば人にあらず、みたいな風潮。

時代錯誤だとは思うが、俺みたいにヒーローとはすなわち貧乏籤みたいな人が糾弾されすぎるのもどうだと思うがなあ。

 

+++++

 

三日目終了、レクリエーションこと肝試しの時間。二人一組で一本道を進むだけだが、補修組を除くと奇数になるので一人余る。

俺は洸汰君に預けてる獅子折神のモヂカラを充填したかったこともあり、自分から一人を所望した。最後に回る時間までには帰ってくるから、とマンダレイに伝えたらその事情ならと了承。

かっちゃんと轟の組み合わせは笑った。原作でもあったけど、その二人はウケるわ。

 

「じゃあ、俺は洸汰君のとこ行ってきます。すぐ戻ります」

「気をつけて!」

 

子供の足でも簡単に往復できる距離なので、一応雄英高校生の俺ならそんなに遠くない距離だ。

そういえば、この日に襲撃あるんだっけ。

 

「足跡あるし機能と同じ場所だと思うんだけどなあ、洸汰君……」

『皆!』

 

マンダレイのテレパス。来たか。

しかしながら、USJといい今回といい、青山の内通ルート潰してるはずなのに妙に襲撃が起こる。探り直しが必要か。

思考を巡らせつつ指示を聞く。この指示次第で俺の動きが決まる。

 

『最後に字君!洸汰をお願い、交戦せず一緒にすぐ合宿所まで戻って!』

 

それができたらな。

でも、この指示のおかげで洸汰君と合流する大義名分が立った。

 

「っし!」

 

まずは、ここを切り抜ける!

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