ヒロアカ世界に転生したは良いけど主人公不在らしいです。どうしろと!?   作:サブレ.

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なんとか一話書き上げることに成功
明日以降の投稿は期待しないでください


第十九話

翌日。

ミリオ先輩と組んで指定敵団体の死穢八斎會について教えてもらいつつ街中のパトロールを行う。オーバーホールと戦うのがこのあたりだっけな。

御当主様に未来視というかその辺の話をしたら、とりあえずサー・ナイトアイの質問書を受けてから対応でいいよと言ってもらった。これまで都度ホウレンソウを怠らなかったからある程度信頼と裁量を貰ってる感じだ。

ただ、AFO陣営にはバレてないことは間違いない。だって倒れるまでの過程が頭に入ってるのに律儀に原作と同じことやってる時点でな。この辺は御当主様とも協議済みだ。

 

 

「おっと」

「きゃっ」

 

どん、と小さな体が脚にぶつかった。原作でもこんな始まりだったよなあ、と思いながらそっとしゃがみ込む。

 

「こんにちは。君は大丈夫?」

 

うわ、手足ボロボロだし裸足だし栄養状態もあんまり良くなさそうだ。とりあえず獅子折神のエージを動かしてそっちに意識を向けさせる。 

ん、視線がそっち向いた。手に取らせるように誘導する。

この子がエリちゃんか。原作の緑谷出久が身を挺して助けようとしたのがよく分かる怯えっぷりだな。

さて、治崎にどう対応するのが正解か……いや難易度高えな。フード付きなのでとりあえず顔隠すけど、コスチュームが統一されすぎてて一発で志波のヒーローって看破されるのも良し悪しだ。

 

「お二人とも初めて見るヒーローだ、新人ですか?随分お若い」

 

嘘つけ俺もルミリオンも雄英高校体育祭で馬鹿目立ちした人間だぞ、ヤクザ者がチェックしてないはずないだろ。特に俺志波だぞ。

 

「どこの事務所所属なんです?」

「学生ですよ。職場体験中なので、具体的な所属はないです」

 

ほらあ探ってきた。この質問が本命だよなぁ!

なので適当に誤魔化した。

エリちゃんは宥めるように背中を撫でつつ、獅子折神を手放さないようにそっと握り込ませた。

 

「エリ、ヒーローからおもちゃをねだったらダメだろう。返しなさい」

「いえ、いえ。おっしゃる通りただのおもちゃです。通信機能も無いですし、エネルギーが切れたら使い物にならなくなる。娘さんに気に入って貰えたようですし、差し上げますよ」

 

にっこり、有無を言わせぬ、しかし側から見れば人好きのする笑顔に、治崎も折れたようだ。エリちゃんがエージを手にして治崎の元に戻るその背中を見送った。そのまま去っていくのを確認してから、思考を切り替える。

はー、やれやれ。ここからが大変だ、なにせ一回きりのチャンスなんだから……わっ。

 

「うわっ!?」

「どうしたんだ!」

「……おお、直った。これエネルギーも再構築できんのか……」

 

獅子折神が本当に安全かどうか一回分解して再構築したらしい。意識を向けてたからビビったが、相手の手の内を一つしれたとも捉えられるな。

たしかエリちゃん宥めるためにプリユアのオモチャ買わせたのがアジト特定の手掛かりの一つだったしな。エリちゃんが大人しくなるならプリユアも獅子折神も変わらないってところだろうか。

だが残念だったなオーバーホール。獅子折神の場所追跡に必要なのはモヂカラというエネルギーそのものなんだよ。

 

獅子折神の移動ルートを脳内でマッピングしておく。集中モードなのでルミリオンの声かけも耳に届いていない。しばらく歩いて、動きが止まったあたりで、俺の現在地から見た獅子折神の座標をスマホに打ち込む。

この座標と移動ルートを組み合わせれば、死穢八斎會についてある程度見えてくるはず。

 

「志波烈堂!」

「はい、すみません今戻りました」

 

思考の渦から浮上した。とりあえずしばらくはマッピングを忘れることはない。

 

「とりあえず今はサーの指示を仰ごう」

「了解」

 

+++++

 

サー・ナイトアイに治崎と接触した際にエリちゃんに獅子折神を持たせたこと、それを元にした移動経路のマッピングを渡したら良くやったと褒められた。そしてサー・ナイトアイがやにわに忙しくなった。

そっちが落ち着くまで俺自身はしばらくインターンお休み。なので本邸に連絡とって、初代当主の日記の中から死穢八斎會の前身である団体の記述範囲について調べてもらい、データに取って送ってもらった。

死穢八斎會の発祥は超常黎明期にまで遡る。当時大小様々な自警団が治安を維持していた面は確かにあり、そのうちの一つが発展したのが死穢八斎會だ。

原初の自警団としてのあり方を忘れずに、時代錯誤なことを踏まえた上で、敢えて古いやり方を踏襲しているという意味では字家と大して変わらんな。

 

「通形先輩ーミリオ先輩ールミリオンさーん!」

「三段活用かな!?」

「これ実家から送ってもらった死穢八斎會の前身の団体にについての記述データです。あくまで私的文書なんで参考までにって伝えておいてください」

 

ま、あくまで参考程度だ。サー・ナイトアイなら調べ終わってる可能性も高いと思うが。

 

「なんでそんな簡単にヤクザ団体の情報出てくるんだよ……」

「わーすごい。さすが字家」

 

一緒にいたビッグ3の天喰先輩と波動先輩も寄ってきて興味津々に覗き込んでるけど、ここにあるのただのUSBだから。

とりあえずはいっとUSB渡して、俺ができる範囲はこれまでかな。

あとは、このUSBと一緒に御当主様から送られてきた情報を頭に入れて軽く精査しないと……いや忙しすぎるだろ俺。

 

+++++

 

御当主様から送られてきたレポート的なデータの内容は、サー・ナイトアイとオールマイトの間に起こった確執……というか仲違いについてだった。レポート起こしてたのかいと思わなくもないが、当時のオールマイトはまさしくこの国の支柱にして切り札。そして引退につながるほど大きく傷ついた時期でもある。

そりゃヒーローの大家としてレポートの一つでも残すわな……俺でもそうするもん。

 

 

「おはよー」

「おはよう字」

「真墨、なんか元気なさそうじゃねえか」

「ん?ああ、エージの反応がもうすぐ切れるからな」

「ああ、あの、あげちゃったっていう」

「モヂカラ5日くらいしか保たないからな」

「エージ、いないと結構寂しいよな」

 

寮でそんな話をしつつ、今日は俺、切島君、あと蛙吹君と麗日君の四人で同じ会議に出席することになった。

そこには、それぞれお世話になってるヒーローの他に相澤先生とグラントリノもいた。確か敵連合に繋がりうる組織だからな、大捕物にもなるか。

椅子に座って、会議が始まるまでの間意識を集中させる。死穢八斎會の敷地の地下に反応があった。

洸汰君のこともあって、獅子折神の感知を練習しておいてよかったな。

 

「順を追って話します」

 

会議が始まったので、意識をこちら側に戻した。俺の獅子折神の追跡マップを元にサー・ナイトアイが死穢八斎會の構成員を追跡、そして大阪で使用された個性を破壊する薬について。

 

「個性が使えなくなる、か……」

 

字の人間として思い至るのがAFOの能力だが、敵連合と接触している時点で別団体だ、今回は除外していいだろう。

相澤先生曰く、抹消とも少し違うらしい。個性因子そのものを傷つけるその薬は、人間の細胞によって作られているのだ、とファットガムが説明した。

なるほどなあ。胸糞悪い話はいつの世の中も転がっているものだ。

字以外にも。

 

 

会議が終わって、完全通夜モードに入ってしまったルミリオンを眺めつつ獅子折神の感知を行う。とりあえずまだ分解されても捨てられてもいないらしい。

 

「字は、結構落ち着いてんな」

「似たようなことを一族の誰かやらかしてるみたいだからな……要するに、嫌な慣れだわ」

 

慣れたくなかったですねえ、しかも身内の件で。御当主様それで今俺を含めた全員の身辺洗い直してる最中だし。

朱里様関連を俺に一任してるのも、俺の教育の一環のほかに、単純に忙しすぎるから、という事情もある。

暗い雰囲気の中、引き戸を開けて相澤先生が入ってきた。インターンの中止を提言したかったんだが……と言いつつ、俺に視線が向く。

あ、なんかすいません。

 

「もしかして俺指定でチームアップ要請入りましたか」

「その通りだ。正直、俺としちゃお前も含めてインターンを中止させたかったんだが」

「獅子折神の居場所を感知できるのは俺だけですからね」

 

俺一人だけ向かわせて他のメンバーだけ中止するのも筋が通らないといったところか。

 

「折神はまだ保つのか?」

「スリープモードに設定しました。“本来の動き”はしませんが、モヂカラを探知することはもうしばらく可能です」

「そんなことも出来たのか!」

「優秀すぎる……一年生とは思えない」

 

そんな訳で、令状だ警察との作戦会議だなんだを経て数日中に作戦が実行されることとなった。

もっとも、敵連合出てきたらそこまでとは言われているが、それは仕方ないと思う。

 

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