ヒロアカ世界に転生したは良いけど主人公不在らしいです。どうしろと!?   作:サブレ.

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第二話

ハローやあやあ、字真墨だ。一年A組に緑谷出久の代わりに入学したぜ。

ちなみに緑谷出久は失踪した数日後に増水した川に投げ込まれる様子が監視カメラに映っていたのを最後に捜索が打ち切られている。今の所死亡認定はしていないが失踪から七年以上が経過した以上、実質死んでるような扱いだ。

確認したヒーローのうちの一人は叔母だし、その辺は信用してる。

緑谷出久の母引子は、心労で通院しながら未だ息子の生存を信じているらしい、とは。かっちゃんのお母さんから聞いた話だ。

 

OFAどうすんだ後継者どうすんだ問題は、御当主様がオールマイトと直接話し合ってるから追って連絡すると雄英合格の報告をしたときに聞いた。志波烈堂の直系の系譜だから、後々関わらせられるな、こりゃ。

俺に例の戦隊でも使われた封印の文字を習得させ、AFOを封印する路線で行くことになるだろう、とは思う。

まだ使っていい許可出てないけど、封印の文字そのものはあるし。

 

つーかオールマイト呼びつけるとは流石だぜ御当主様。まああの人90超えてるからオールマイトから出向くのはある意味当然かもしれない。

90超えても当主続けなきゃいけないって、お家騒動ってめんどくさいね。

 

[newpage]

 

「いやー、すげえな雄英高校」

 

体育祭で何回か行ったことあるから、雄英高校のデカさとかバリアフリーとかはそれなりの感動で終わる。が、早めに行って校舎探検したら、学校の歴史コーナー的な場所で初代志波烈堂の肖像画があった。御当主様はこの人の息子に当たるので、どことなく面影がある。

 

御当主様はすでに卒寿を迎えているが、初代志波烈堂は黎明期の混乱の最前線に立っていた方なので、奥方と出会うのも子を成したのも少し遅かったらしい。もし生きてたら120は普通に超えてるよな。

歴史の流れと初代志波烈堂の存在を感じつつ引き戸をガラガラと開けたらかっちゃんと飯田天哉が騒いでた。

やー、なんかこんな光景が原作にあった気がする。

 

「かっちゃんおはよー」

「遅えぞ何してたんだ」

「歴史に浸ってた」

「あー……」

 

志波烈堂は一応ヒーロー名的なアレなので、一見では初代志波烈堂と字真墨の関係性は分からない。調べたらすぐわかるけど。

席順を確認したら、青山と芦戸の間の、出席番号が2番だった。すげえや、20人しかいないのに「あ」から始まる生徒が4人もいる。

青山君に関しては注意して見ておけという御当主様からのお達しなのでちょうどいいや。

 

「初めまして、青山君。字真墨、よろしくな」

「ノン!君と僕は同じ会場だったのさ。よろしくね」

「おっと、そうだったのか。まあ、“困ったこと”があったらなんでも言ってくれ」

 

握手の際に意図的に目を細めてやれば、青山君はちょっとびっくりしたように背筋を逸らして距離を取ろうとした。

うーん、御当主様の御威光さまさまだ。

と、そんなやり取りをしてたらいじめてるように見えたのか、ちょいちょいと肩を叩かれた。素直に手を解いて後ろを向く。

 

「芦戸三奈、よろしくね!」

「字真墨だ、よろしく芦戸君」

 

まあそんな感じで当たり障りなく挨拶してる横では爆豪vs飯田がヒートアップしてた。朝っぱら初日から楽しそうだなかっちゃん。

その後は麗日もやってきたりと、クラスメイト20人が揃っていく中で、騒がしい空間を沈めるような鶴の一声が響いた。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。ここは……ヒーロー科だぞ」

 

わ、地面に寝っ転がってる。イモムシみたいだな。いいのか担任、それでいいのか。

合理性に欠くね、と言いながら寝袋から出てきたのはイレイザーヘッドというプロヒーロー。入学式すっぽかして個性把握テストとやらをやることになってちょっと頭抱えた。ごめんな父さん母さん爺ちゃん婆ちゃん、そして妹よ。

叔母は爆笑してる気がする。あの人も元雄英生たからな。

 

 

 

個性把握テストはつつがなく終わった。最下位は除籍な、からの合理的虚偽ィ!の流れはめっちゃ盛り上がったけど。

個性把握テストは個性使っていいから体力テストしてね、だったのでモヂカラ使って風を巻き起こしたり、道具出して走ったりしたら八百万君と個性の方向性がまあまあ被ってて笑った。

 

 

「二人とも物を出す個性なんだねー」

「いや、だいぶ違うぞ。何年か前に引退した志波雨流とか、他にも何人かモヂカラ使うヒーローいただろ?俺の個性のモヂカラって、本質的な部分だと“言霊”に近いんだ。純粋な物質創造に関しちゃ八百万君に負ける」

「字家の方にお褒めいただき光栄ですわ」

「ま、今の俺はみんなと同じ有精卵。あまり家のことは無しで頼む」

「そんなにすごい家なの?」

「いや、そこそこ。親が医者だから金持ち寄りではあるかも」

 

黎明期から積み上げた家格はあるが、めんどくささもひとしお。それが字家である。

ヒーローも結構排出しておきながら、初代のヒーロー名の志波烈堂の名前を継いだのが息子たる御当主様だけなのがその証拠だ。

叔母は雨流だし、三代目候補の大叔母は結局継承せずに嫁入りした。

そんな思考をしてれば、同じくヒーロー家系の飯田君が隣に来ていた。やっぱ、知ってる人は知ってるよなあ字家。

 

「やはり字家の方ともなれば、ヒーローを望まれたりしたのだろうか」

「いや、ヒーローを望むかは本人の意向に任されてるよ。少なくとも俺の周りはそうだった。字の名字を持つ従兄がいるけど、二人ともヒーロー目指してないしせっつかれてもいなかったよ。俺の父親と伯父も医者だし」

 

ヒーローを目指した者に厳しいだけで、ヒーローを目指すかどうかは結構自由裁量だな。多分これは祖父の意向も強いんだと思うけど。

まあ字家に生まれたならヒーローなんて目指さない方がいいと思う。プレッシャーすげえし。

 

「真墨、帰るぞ」

「はぁい。じゃ、みんな。また明日な〜」

 

かっちゃんに声をかけられて、荷物をまとめて教室を後にした。二人で並んで歩いてしばらく、我慢しきれないようにかっちゃんが手のひらを爆発させながら叫ぶ。

 

「何が“そこそこ”だ、字家がそこそこな訳ねえだろうが!」

「いや、“俺の家”は普通なんだよマジで。かっちゃんも遊びに来たことあるじゃん。ちょっと庭が大きいだけの普通の家だっただろ?」

「テメェの家はな!?字家行ったけど時代錯誤にも程があんだろうが!」

「いやー、そこは同意だわ。でも美味しい思いもしてるからさあ」

 

中学時代、滲み出る俺の時代錯誤にかっちゃんにしばかれた、突っ込まれたことは数えきれないほどある。

でもかっちゃんのおかげでだいぶ矯正できた、はず。そう主張したら鼻で笑われた。

えー、マジかよ。

 

+++++

 

「ただいまー。あ、母さん帰ってたんだ。父さんは?」

「お帰りなさい。父さんはまっすぐ仕事に行ったよ。雄英高校って入学式にも出ずにテストなんだね、母さんびっくりしちゃった」

「御当主様は?」

「ほら、御当主様は関係者席に毎年招かれてるでしょ?今年もさすが雄英高校って笑ってたわよ」

「じゃあ叔母さんの時も似たようなことなってたな多分」

 

俺の自宅は父さんの通勤時間を考慮したそこそこ広い一戸建てだ。俺の部屋はごく普通の東向きの六畳一間にクローゼットが一つついただけの簡素なよくある洋室である。そこに荷物を置いて制服から部屋着のジャージに着替える。軽く運動をしてから、妹が帰ってくる前に風呂を終わらせた。

妹が習い事から帰ってくるのを待って、夕食は三人で取る。父さんがいる日に改めてお祝いをするので今日のご飯は母さんお手製のビーフシチュー、その後バラエティ番組一つだけ三人で見て、中学校の復習のため部屋に戻って勉強、就寝した。

 

いや、普通だよな。

雄英高校のカリキュラムの方が普通じゃないと思います。

 

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