ヒロアカ世界に転生したは良いけど主人公不在らしいです。どうしろと!?   作:サブレ.

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感想たくさんもらえました。ありがとうございます!


第六話

前回のあらすじ。

やべえ事を言われた。

 

+++++

 

目の前には二代目志波烈堂こと御当主様、そして“元三代目”志波烈堂こと朱里様が並んで立っている。非公式にも程がある場所だが、このお二人と三代目候補の俺が揃っているなら、これはもう確定事項だ。

嘘だろ。

 

「本気ですか御当主様!?俺はヒーローどころか仮免すら取っていない身ですよ!?」

「私とて、三代目志波烈堂を内定していた時期は学生です。ましてや貴方は雄英高校に合格している身、年齢上の問題はありません」

「未熟とはいえ烈火大斬刀を扱えるではないか、学生として志波烈堂を名乗る資格は十分にある」

 

そんな一族ならば誰もが知ってる答えしか返ってこない。

しかしお家騒動にまつわる問題は山積みになっている。

 

「第一、大叔父はそれで納得していらっしゃるのですか!?」

「あれは、納得せんだろうな」

「ならば何故!」

「納得しないからこそ、この体育祭という場において三代目志波烈堂の存在を世間に知らしめ、隙を無くさねばなりません。我々はあれの系譜に志波烈堂の名を継がせる気はない」

 

な、なるほど。普通の継承だと間違いなく横槍が入るから、体育祭という注目が集まる場を利用して無理やり三代目志波烈堂を飲み込ませてしまおうという、そういう魂胆か。

まあ確かに、爺ちゃんが志波烈堂を継ぐよりは平穏だろうけど。相対的にとはいえ。

しかし、だ。

 

「恐れながら申し上げます、御当主様。体育祭の場で無様を晒すような三代目をお認めになるとは思えませんが」

「ええ、ですから無様を晒さないでください」

「やりようはあろう」

「かしこまりました……」

 

この二人のお言葉に逆らえるはずも無く。というか次期志波烈堂に関しては、この二人が合意したならもうそれは一族の決定事項。

逆らうにはそれこそ爺ちゃんと大叔父が結託するしかない。

という訳で、こんな場所で三代目志波烈堂、さらには将来的な次期当主の内定をもらってしまった。ええ、どうしよ……。

 

「とりあえず、飯食うか……?」

 

なんとか、考えなければなるまい。

いつから決めてたんだろう。襲撃事件後に俺を呼び出した時に決めてたんなら、その時に教えてくれよ……!

 

 

 

早めにご飯を胃袋に詰め込んで、元々そこまで短くしてはなかった爪を丁寧にヤスリで磨いて整えていれば、かっちゃんが隣にやってきた。

 

「おい」

「どうしたかっちゃん」

「テメェもう二度と一般人名乗るんじゃねえ、名乗ったら殺す」

「名乗れるか!」

 

あーもう、せっかく字家にしては平穏一般的な生活だったのに!これもヒーローを目指した宿命か、ヒーローってのは貧乏籤引くためにいるようなものだしな!

で、そんなふうに貧乏籤言ってたらトーナメントの決め方もクジだった。んで、このクジの段階で俺と一緒に操られてた二人が辞退、五位のチームから二人繰り上げになった。

まあそこはそんなに重要でもない。決勝にでも行かない限りかちあわない場所だ。

そして、全員クジを引いた結果。

 

「おお、これは」

 

一回戦が心操君、二回戦が轟君じゃん。原作の緑谷出久と同じ組み合わせだ。

心操の個性の特性とトリガーは一回戦の障害物競走で目視確認、二回戦で実際に自分がかかって確認済み。

レクリエーションはパスして、いよいよトーナメント本番がやってきた。さて、俺の出番か。

 

『一回戦!個性は未だ使わず、しかし余裕の表情で駆け上がってきた!ヒーロー科、字真墨!vs、ごめん、まだ目立つ活躍なし!普通科、心操人使!』

 

両手を横に下げて、肉体は適度にリラックス。その代わりに視線を心操君に固定して、急所である喉に意識を向ける。

御当主様とか爺ちゃんがよくやってる殺気というやつだ。かっちゃんとか轟君には通じないだろうけど、心操君は軽くおののいた。

 

「なあ、字真墨。まだ個性使ってないだろう?」

 

答えない。何一つとして、今はまだ。

 

「志波のヒーローには、体育祭で個性を使った記録がある。それに、さっきも字真墨だけは辞退しなかった。もしかして落ちこぼれなのか?」

 

逆なんだよなあこれが。

 

『START!』

 

試合開始の瞬間、一気にトップスピードまで加速して心操君の懐に入った。そのままジャージを掴んで関節を押さえて床に叩きつける。そのまま、さっきヤスリで整えた爪を、殺気を込めた視線が向けていた、喉の血管の上に突き立てた。

そのまま、にっこりと微笑む。少しだけ指を動かすと、薄皮一枚分だけ、つぷりと沈み込んだ。

心操の瞳から、勝利への渇望が消えた。どうすればこの捕食者から逃げられるか教えるために、口パクで『まいった』の動きをしてやる。

 

「ま、まいった……」

『Woooo!なんと字真墨、一瞬で勝負を決めやがった!これが志波の侍の実力だぜ!』

「っし。あ、さっきの質問だけどな」

 

心操君の疑問に答えておこう。舐めププレイじゃないよっていう言い訳と、心操君のフォローのためにも。

 

「体育祭でモヂカラを使うって、イコール敗北みたいな最後の手段なんだよ。俺はまだ勝ち進みたいし、頂点に立ちたい。だから個性を使わなかった。

それに、俺は一回戦で君の個性を把握した。その上で、君の個性にかかれば二回戦を突破できると踏んだんだ。俺は結構、君の実力を買ってたつもりだぜ」

 

さて、これにて一回戦は終了。ここは順当な結果として。

轟君のでっかい氷壁を見上げながら、すげえなあと嘆息した。これをモヂカラ無しに突破は無理だし、モヂカラ使えばこの一戦は良くても次の試合ではよくて敗北、悪くて不戦敗もしくは辞退。

決勝も準決勝も行けないのが確定した。やっぱ半冷半熱は強いって。

 

 

試合開始前の選手紹介兼煽り前のターン。

ちなみに俺の髪の毛は、下の方でちっちゃく結べるくらいの、男にしてはやや長めだけどロン毛って程ではないくらいの長さだ。

これ伏線ね。

試合開始と同時に氷壁が襲ってくる。一度上に飛んで回避を試みるが、下半身が氷に埋まる。

 

「凄えな、轟君。でもちょっと甘い」

 

素直に感嘆しながら、ヤスリで鋭く整えていた爪で髪の毛のふさを切り落とす。

筆ってのは、動物の体毛を使ったものも多い。山羊や馬といった家畜から、イタチやタヌキに至るまで。

じゃあさ、人間の髪の毛を使った毛束も“筆”にカウントされてもおかしくないだろう。

まさか、と轟君が目を見張るよりも、俺が自分の切り落とした髪の毛で字を書くのが早かった。

 

「一筆奏上」

 

書くのは、『火』の文字。俺の周囲を僅かな時間火炎が包み込み。

次の瞬間、俺はヒーローとしてのコスチュームを着て、刀を持っていた。そのまま刀を烈火大斬刀へと変化させる。

 

『こいつァすげえ!字真墨、自分の髪を筆代わりに“変身”してみせた!これが志波の侍の力ァ!』

 

モヂカラにおける“必殺技”のひとつ。モヂカラを使うことで即座にコスチュームを装着し武器を装備する。この、接敵してから戦闘態勢に移るまでのタイムラグの少なさが志波ヒーローズ、志波の侍と呼ばれる一族のヒーローの特性のひとつと言っても良い。

コスチュームをもたもた着込まなくていい、というのは結構大きい。

まあ、モヂカラの節約の観点から普通にコスチューム着込むこともたくさんあるけどさ。

次の氷壁が迫るが、炎を纏った烈火大斬刀にただの氷の塊が勝てるはずもない。タイミングを合わせて大きな刀身を振えば、氷壁は真っ二つに破壊され、モーセのように俺の前にだけ道が生まれる。

 

「ああ、そうだ。さっき言ってたことだけどさ、ひとつ訂正するから」

「訂正?」

「ああ。さっき轟君が宣戦布告したとき、俺は三代目志波烈堂候補って言ったよな?ついさっき、嘘になった」

 

烈火大斬刀を肩に担ぐ。長期の連戦を見込んで、腕の負担を可能な限り軽減するための、字家特有の構えだ。別にバカにしてる訳じゃない。

プロヒーローたちが俺の挙動に注目している。可能な限り高らかに、多くの人の耳目に届くように。

 

「俺こそが字家次期当主にして三代目志波烈堂、字真墨!偉大なる初代の跡を継ぐものだ!この俺に半分の個性で勝てると思うなよ、轟焦凍!」

「三代目、志波烈堂……!」

「俺に本気で勝ちたいのなら、本気で、全力で来いよ。全力も出さない者に、志波烈堂を破れると思うな!!!」

 

志波烈堂。

俺のご先祖様、偉大なる初代当主。

正直さ、めんどくさいと思うよ。一族とか、家格とか、当主云々とか、継承とか。

でもさ、間違いなく指針なんだ。

ヒーロー社会において、転生者である俺は、オールマイト一強の歪みと弱さを客観的に見てしまった身だ。

そんな中で、字家で受け継がれたヒーローとしての在り方は、オールマイトの語る姿とは少しズレていて。

オールマイトに寄り添っても迎合しない在り方だからこそ、俺はヒーロー社会でヒーローを目指そうと思えた。

この名前を名乗る以上、無様を晒すつもりはない。

 

「君の力を全て出してみろよ、その程度で倒れるほど俺は柔じゃない。全力を出した程度で生き様に絶望するほど、君は弱くないだろう!」

「はっ……何を言い出すかと思えば、後悔しても知らねえぞ!」

「後悔するか!烈火大斬刀大筒モード・兜五輪弾!」

 

大筒モードは属性によって名前が変わる。

vs脳無に使ったのは凍結ダメージの舵木。そして今構えたのは、炎熱ダメージの兜だ。

轟君の半分が燃え上がる。

火と火が激突して、散々冷やされた空気が一気に膨張した。俺は五輪弾を立射していたので、立ったまま衝撃で場外に押し出され、壁を背にしてようやく止まった。

轟君は、氷壁を背にして場外を免れている。

まあ、無様な試合ではなかったはずだ。それにちゃんと次期当主と三代目志波烈堂の名乗りも上げられたし。

そして、学生同士の試合とはいえ、三代目志波烈堂を下した轟君の評価も跳ね上がったことだろう。

 

「あー、疲れた」

 

自分の髪の毛使ったモヂカラ発動、消耗が云倍になるからなあ。その上で五輪弾全力発射だ。今にも寝そうなレベルで体力が削られた。

どっちみち次の試合は無理だし、表彰式で寝そうだし、タイミング込みで良い敗退だったかもな。

 




大筒モード設定(読み飛ばして大丈夫)とオリ主について


属性は以下五つ
兜:炎熱
舵木:氷結
虎:打撃
烏賊:エネルギー(青山君みたいな)
海老:斬撃

威力
オリ主が現在扱えるのは五輪弾まで。相手や状況によって一〜五に調整して撃つ。ちなみに撃てる段階の上限は六輪弾だが、オリ主はまだ発展途上なので五輪弾までしか使えない。
あとプロになるなら六輪弾の反動+衝撃波受けても立ち続けるくらいじゃないとな〜って御当主様は思ってる。


要するに、オリ主はまだまだ修行中
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