ヒロアカ世界に転生したは良いけど主人公不在らしいです。どうしろと!? 作:サブレ.
というわけでヒロアカにおける志波は波です。特に理由はないです
試合敗退後は体力ごりっと削れたので体が回復を求めていて、眠気との戦いすぎた。腕つねりまくったり激辛の飴食べたりしながらなんとか眠気と戦ってたけど、他の試合内容ほぼ覚えてない。勿体無い。
一族のヒーローで個性使わなかった人、途中でダウンするのが嫌だったんだな…….。
かっちゃんが表彰台の中央でなんかやってたのは覚えてるけど。
そして、帰宅して玄関で靴も脱がずにダウン、合計で15時間くらい爆睡した。途中で叔母が様子見に来て布団に入れて食べ物とか用意してくれたみたいだけど記憶にない。
髪の毛でモヂカラ、次使うとしたら本当に命と引き換えの時だな……来年は絶対に使わん。
「おはよー」
「真墨テメェ筆無くても“個性”使えるんじゃねえか!」
「かっちゃん元気だな。あとアレは最後の手段だから。消耗が最低三倍、多い時は十倍で下手すりゃ生命エネルギーがモヂカラとして枯渇して死ぬ諸刃の剣だから」
「思ったより凄かった!」
体育祭の興奮冷めやらぬ世間の中、俺は自分の肩書きに字家次期当主と三代目志波烈堂という仰々しいにも程があるものを背負って登校した。
父親には「いつかこうなると思った。父さんはずっとお前の味方だ」、母親には「どんな肩書きを背負っても貴方は私の大事な子供よ」、妹には「当主になったらホークスのサイン貰ってきて」と言われた。
おい、最後。
「やはり次期当主に……」
「予想通りゴタゴタ発生しててめんどくさいけどな」
「予想通りなんだ……」
「ゴタゴタ出来てなければ、御当主様はとっくにご隠居されてるし、朱里様は嫁入りじゃなくて婿取りしてたよ」
ほんっとーに、朱里様が三代目志波烈堂を継承して当主になれなかったのが痛い。まあ今更ごちゃごちゃ言ってても仕方ないし、俺が三代目志波烈堂なのは確定しちゃったんだけどな。
全部含めて飲み込み背負う覚悟をしたから、体育祭なんて巨大なステージで名乗ったんだ。
そんな感じで体育祭についてわちゃわちゃしてたら相澤先生が入ってきた。
「今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ。コードネーム、ヒーロー名の考案だ」
「胸膨らむヤツきたああああ!」
凄え盛り上がりだが、俺はヒーロー名は志波烈堂で確定している。なので盛り上がりは最低限に相澤先生の話に耳を傾けた。
まず、この体育祭の結果を見てプロからのドラフト指名が入る。ドラフト結果は今年はかなり偏りが大きくて、約7500の指名を俺、かっちゃん、轟君が横並びで独占。一番多いのは俺だけど、多くは「三代目志波烈堂」の名前ありきだろうな。
「これを踏まえ……指名の有無関係なく、いわゆる職場体験に行ってもらう。お前らはひと足先に体験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようってこった」
「なるほど……」
そして、ヒーロー名の査定は相澤先生はとても苦手なのでミッドナイト先生がするということだった。
十五分後、出来た人から発表してねとのことなので、もはや授業前から確定していた俺は普通に志波烈堂で発表、終了。
「その名前を背負うのは大変よ。頑張ってね!」
「ありがとうございます」
青山君が短文だったり、かっちゃんがひたすら物騒だったり。面白いなヒーロー名で色々考えるのって。
ちょっと羨ましいかもしれない。
「字は職場体験どうすんだ?よりどりみどりだろ」
「グラントリノで御当主様に申請する予定。多分却下は喰らわないと思うけど」
「いちいち申請するの!?」
「もちろん。だって三代目志波烈堂だぞ俺」
「理由あるの?」
「爺ちゃんの現役時代の友達」
表向きの理由も、嘘ではない。
生半可な所に行って下手なヒーローと縁結んだらヤバいんだよ。なにせ字家本家、公安にすらめちゃくちゃ発言力あるんだからな。
グラントリノならオールマイトの師匠筋だし問題ないとは思うが。
あと、原作の流れをある程度追いかけるならグラントリノの所に行ったほうがいいってのもある。
ちなみに有名どころだとベストジーニストとエンデヴァーからも来てたかな。
志波烈堂の名前は重たい。
何か思い悩む飯田君に一声かけてから、コスチュームと、御当主様に扱かれながら作った追加のサポートアイテム(仮)を持って新幹線で45分。
グラントリノの事務所は年季が入っていた。端的にいうとボロかった。気にせず、ドアを開けて挨拶する。
「お邪魔します。雄英高校より参りました、一年A組字真墨です!」
部屋の中央で小さいお爺ちゃんがケチャップまみれで転んでた。ビビるわ、と思いつつ助け起こす。
「誰だ?」
「字真墨です!」
耳が遠い。でも普通ご老人ってこんな感じだよな?うちの御当主様がおかしなだけな気がしてきた。あの人めちゃくちゃ矍鑠としてるからな。
「字……お前あいつの孫か!」
「そうです、孫です」
「じゃあお前が、志波烈堂か。じゃ、ちょっとコス着てかかってきて。変身はしなくていいから」
「わかりました」
コスチュームの入っているスーツケースを開けると、ぴょい、と小さなオモチャのような、獅子を模した物体が飛び出してきた。そうだ、紹介しなければ。
グラントリノの元に行くのならば紹介しておけ、との御当主様からの言伝もあるし。
「なんだそれは!」
「御当主様のご指導の元作りました、火のモヂカラを核として動く折神です。機能はただ一つ、OFAの気配探知」
俺自身のサポートにはならないけど、ヒーロー社会、ひいてはヒーロー陣営そのものへのサポートがこの折神の役割だ。火の属性のモヂカラをエネルギー源として動くので、俺から極端に遠くへ離れられないのが弱点と言えば弱点か。
「字の当主も考えたぁな。折神を他に持ってるのは?」
「御当主様、朱里様、俺です」
「歴代の志波烈堂だけか」
「やはり、OFAは誰かに奪われたのですか?」
「可能性はあるってだけだ」
確定した、オールマイトは誰にもOFAを継承させていない。にもかかわらず、力は残り火となり始めている。これは大変な問題だ、大問題だ。
俺に情報が開示されたのも、三代目の志波烈堂継承者だからだろう。ただ消えているだけなのか、それとも未知の手段で奪われたのか。
それを判別するために、そして奪われた場合の場所を突き止めるために、この折神は作られた。
この後グラントリノと軽くやり合って掃除して、爺ちゃんの武勇伝を教えてもらって、一日目は終了した。
爺ちゃんのヒーロー時代、だいぶ暴れまくってたんだなあ。
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二日目と三日目、淡々と俺の癖を指摘してもらったり、軽めの戦闘訓練とモヂカラの訓練をしたりして過ごした。
「将来的には例の継承の文字も使うのか?」
「はい。ただ、練習を始めるにはスーパー化を会得してからとは言われていますが」
一筆奏上がコスチュームを着る動作なら、スーパー化はコスチュームに変化を持たせ身体能力そのものを底上げするモヂカラによる変化だ。
例えるなら、そのままの姿がヒトカゲ、コスチューム着た状態がリザード、スーパー化がリザードン。
リザードンにしか覚えられない技を覚えるため三日目の訓練を終えた後、夕方ではあるがグラントリノと共に人口の多い渋谷に向かうことになった。
渋谷みたいな人口の多い場所での実戦はなんだかんだ初めてだから、緊張するなあ。
新幹線で友達と連絡を取ってみたら、かっちゃんがキレてるみたいだった。そりゃベストジーニスト選んだらそうなるよ。
スマホを弄りつつ獅子折神と戯れてたら、急ブレーキがかかった。慣性の法則によって前傾姿勢となった次の瞬間、ヒーローが窓をぶち抜いて新幹線の中へと突っ込んでくる。
「ヒーロー……!に、脳無!」
「小僧座ってろ!」
「グラントリノ!」
グラントリノが脳無を掴むと新幹線の中から外へと押し出した。慌てて外を覗き込めば、そこは保洲市。あちこちで戦端が開かれている。
原作知識を思い出す。確かここで、飯田君と轟君と緑谷出久がステインと戦ったのだ。
その通りにしようと身を乗り出して、キュイと肩に乗った獅子折神がいずこかを向いて鳴いているのに気がついた。この折神の役割を思い出して、血の気が引く。
俺の体は一つ、選択肢は二つ。どちらかを選びどちらかを捨てなければならない。
「……、は」
悩んだのは一瞬。
選択肢を選び取り、俺は新幹線から抜け出すと、まずはグラントリノに合流するために走り出した。