[休載]POCU、異世界に転移する   作:最高司祭アドミニストレータ

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初めまして、アカデミーと申します。上手く書けているか分かりませんが、お楽しみ下さい。
誤字脱字があったら教えて頂けると幸いです。


プロローグ

 純愛。

 

 純愛とは邪心のそれが一切無い、ひたむきな愛だ。肉体のみの関係でもない、見返りをも求めない──純粋なる愛情。

 

『あの頃の恋愛は美しかったわぁぁ!』

 

 そのようなものに出会った時、このようなリアクションを必ず取るだろう。 ほぼ100%の確立でだ。

 誰しもが、憧憬の念を抱くのだ。

 

 無条件に。

 無意識的に。

 そして、反射的に憧れを抱いてしまう──純愛。

 

 

 だが、この世には、純愛を汚す輩共が存在する。それは──間男。奴らは女性を脅し、ベッドへ強制連行する。強制連行された女性に、多大なる精神的ショックや屈辱感を伴う。

 夫婦であるならば、夫も精神的なショックが伴うと共に、間男に対し怒りが湧き上がる。

 

 間男とは、何か。

 それは、純愛を汚す──害ある存在。同時に、消毒対象でもある。

 

「き、貴様らッ、いったい幾らで雇われた……!? か、金なら幾らでも! そ、そうだ……?! ば、倍の金を出そうじゃないか……ッ! わ、悪い話ではない筈だ!!」

 

『クラッシャー1に告げる。目標──クソで外道な代表を排除せよ』

 

「こちらクラッシャー1、了解。これより、対象を消毒する」

 

「ひ……」

 

「金だと? そんなものは必要ない。地位や、名誉もだ」

 

「や、やめr……」

 

 我々は、純愛保護機構部隊──《POCU》。

 純愛を護り、保護する理念を掲げる軍事組織。

 

「クラッシャー1より本部──」

 

 純愛を保護する事こそが、我々の使命にして──生きがいなのだから。

 

 今日もまた、一つの純愛が護られた……。

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

『ありがとう、本当にありがとう! おかげで、わたしの孫娘が帰ってきました。救出だけでなく、自宅まで送ってくださるとは。しかし、その、本当によろしいのでしょうか? これだけの《POCU》人員を動かしたのですよ? お代は請求なさらないのですか?」

 

「ふふっ、なに、ご安心を。請求は致しません。我々《POCU》はあくまでも、理念と信念に基づいて活動しているに過ぎません。見返りは、既にいただいておりますので。──あなたと孫娘の笑顔、ですよ」

 

『!?!?』

 

 戸惑いを隠せない様子の初老の男に、司令官は静かに言葉を告げると、受話器を元の位置に戻した。

 

 ここは《POCU》本部、司令官室。広大な空間に、漆黒のデスクと一脚の背もたれ付きの椅子がぽつんと置かれているだけの、簡素にして威厳を感じさせる部屋だ。

 

 唯一の光源は、彼方の壁に設けられた巨大な窓。日が沈めば照明が灯るものの、それでも部屋が明るくなることはない。視界を確保するための最低限の光が、柔らかく闇を押し返している。今は夜、司令官室は仄かな光に包まれていた。

 

「……」

 

 受話器を置いたまま、司令官はじっとそれを見つめていた。だが、ただの無機質な視線ではない。先ほどの男に向けたのと同じ、穏やかな微笑みをたたえながら──まるで聖女のように。

 

 数秒間、そのまま沈黙が続いた後、彼女はふっと息をつき、微笑をさらに深めた。

 

「──こんな筈ではなかったァァァアア!!」

 

 突如として響き渡る悲鳴。司令官は叫びながらデスクに突っ伏した。その声は、間違いなく若い女性のものだった。いや、女性そのものである。

 

「なんでこうなった。なんでだ、なんでだァァァアア!!」

 

 がばりと顔を上げると、黒のサングラスをかけた女司令官が姿を現した。紺色の背広に包まれた、長い黒髪の美女──その顔には絶望が滲んでいた。

 

 これは、彼女が望んだ未来ではない。司令官は頭を抱え、過去を必死に思い返していた。

 

 彼女は転生者だった。前世ではよくある「トラックドーン、キキーィィィ!」といった事故に遭い、そして──気がつけば神の前にいた。「間違って殺しちゃったけど許して♪」という、にこやかな言葉と共に。

 

 ……冗談ではない。

 

 だが、転生先は赤ん坊からのやり直し。幸い、現代的な文明が存在する世界だったため、特に不自由はなかった。

 

 ──いや、唯一の不自由があるとすれば、この肩書きだ。

 

 本来、こんな軍事組織を率いるつもりはなかった。むしろ、想定すらしていなかった。どうしてこうなったのか。元々、《POCU》は彼女がヒモを探すために創設した組織だったのに。

 

 前世でも、今世でも、彼女は異性からも同性からもモテまくった。文武両道、容姿端麗。それが彼女だった。

 

 しかし、それだけでは満足できなかった。彼女は、働かずとも裕福な生活を送れるような相手──つまりヒモ、あるいは理想の夫を探していた。

 

《POCU》の理念──「純愛の保護と支援」など、ただの建前である。本気にする者などいないはずだった。

 

「──それを真に受けるなんて、誰が予想できた!?」

 

 現実は非情だった。《POCU》は組織の理念を掲げたまま、躊躇なく人を始末するまでに成長していた。もはや誰にも止められない。

 

「……今さら、真実なんて言えるはずがない。……殺されてしまう」

 

 墓まで持っていくしかない。

 

 司令官は静かに椅子を立ち、デスクの後ろにある窓へと歩み寄る。そして、ポケットに手を突っ込みながら、低く呟いた。

 

「私は、世界一の不幸な女だ……」

 

 赤い瞳がかすかに揺らめき、一筋の涙が頬を伝った。




Q.POCUは、何の略称?
A.Pure Love Protection Organization Combat Unit(純愛保護機構戦闘部隊)


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