「完全体になりさえすれば……!」から始まる人外転生者の追憶   作:GT(EW版)

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 もすもすもす。


追放された新天地にもふもふが待ってる奴

 この星には陰と陽、二つの世界がそれぞれ扉を隔てた先で向かい合うように存在している。

 

 陰の世界は「魔界」、陽の世界は「人間界」。

 二つの世界は現代においてそのような名前で呼ばれているが、そう呼ばれるようになったのは陰と陽の人々の間で大規模な戦争が起こってからのことだ。

 

 当時の戦争は酷いものであり、元々の開戦理由が何であったのかも、何故相手が憎いのかさえもわからなくなっていた。そんな両陣営の間で戦火は際限なく拡大し続け、どちらかがどちらかの世界を滅ぼすまで終わらない絶滅戦争にもなり果てていたと言う。

 

 

 ──そんな時、空から二柱の「神」が舞い降りた。

 

 

 白き神は、星に生きる全ての生命が絶滅の危機に瀕した時、弱きものたちを護る為に姿を現す陽の世界の守護神。

 

 黒き神は、星に生きる全ての生命が絶滅の危機に瀕した時、その元凶を排除する為に姿を現す陰の世界の破壊神である。

 

 いずれも星の環境が地上の者たちではどうにもならない状態に陥った時にのみ降臨するとされる二柱の「神」の伝説は、3000年以上も前から人々の間で語り継がれている御伽噺であった。

 

 そしてその伝説は、真実だった。

 

 この世界には確かに二柱の「神」が存在しており、魔王子が案内してくれた場所ではその内の一柱である「陽の守護神」が私たちを出迎えたのである。

 

 

「……貴女が居た世界は、あのお方が管理していた世界でしたか」

 

 

 魔王子に通されたのは、虹色に輝く繭のような結界の中。

 そこには、まだイビルセクトにも金ピカ皇女の殺虫剤にも汚染されていない緑豊かな森の姿があった。魔王子の言う通り、その結界はイビルセクトの目をも欺いていたのだ。如何なる優秀な魔法使いでも欺くことができなかった彼らの目を。

 それを張ったのがかの伝説に名高い「守護神様」だと言うのだから、説得力は十分である。

 

 何と言ってもたどり着いた先にあるピラミッドのような祠に鎮座していた──白いもふもふの姿には、有無も言えぬ神秘性を感じた。

 

 

『おまちしていました。このセカイのオウと、イセカイからマネかれしモノたちよ……』

 

 

 神は祠の上からはみ出した両羽を含めて、全長15mに及ぶ巨大なカイコガのような姿をしていた。

 そしてかの神はその複眼で一瞥するなり即座に、ナナシと私が元々この世界の民ではない召喚者と転生者の身であることを見抜いていた。まあ、だから今更なんだという話ではあるが。

 

 しかし脳に直接語りかけてくるテレパシーによって爆速での情報交換が可能な超常性の前では、実際に会うまで半信半疑だった私でさえも神の神たる所以を理解せざるを得なかったほどだ。

 

 

「でしょうね。私が知っている神の姿より少し小さいので、分体か子孫なのかもしれませんが……そのお方は本来、私などとは比べ物にもならない高位の女神様なので」

 

 

 ほー……あの神、かなり偉いお蚕様だったんだな。

 生き残りのちびっ子たちに黙ってモフられていたり、ナナシの悩みを親身に聞いてくれたり、皇女の無礼も微笑ましげに受け流していたりと穏やかでフランクな神様だったものだが。

 

 

「私だって子供には優しいし、大概の無礼も受け流せるフランクな神様ですよ? 寧ろ高位の神様ほど、穏やかで気安かったりするものです。時々「えっそこ、そんなに怒るところ?」ってぐらい、思いがけないところで突然キレることもありますが」

 

 

 それはわかるような気がする。

 金持ち喧嘩せずではないが、本当に偉い奴ほど心に余裕を持っているものだからな。そういう意味では皇女の奴も、神のことを嫌っている割に似ているところがあったな……アイツも機嫌が良い時は寛大だが、よくわからんことで突然キレたりするし。

 

 ──まあ、そんな陽の守護神であるお蚕様は後で私もモフらせてもらったが、彼女は一切嫌がることなく母親のような包容力で包み込んでくれたものだ。

 

 いや、初めは流石にガキっぽすぎるかなと躊躇っていたのだがね? 中々味わい深かったなぁ……この姿になってから痛覚ばかり働いて戸惑うばかりだったが、この時ほど自身の敏感肌を嬉しく思ったことはなかった。

 

 

「う、うらやましい……」

 

 

 もふもふを秘めた肉体……荒んだ生活の中で包み込まれた柔らかな温もりは、案外馬鹿にできたものではないと思ったよ。うん。

 

 ……だからこそその時の私は、神のもふもふな白毛に埋もれていた私の姿を微妙な顔で見つめていたナナシの手を強引に引っ張ると、「お前も道連れにしてやるー!」と後ろからアームロックを掛けるように一緒に引き摺り込んでやったものである。

 

 

「あらあら」

 

 

 今一番もふもふによる癒しが必要なのは、子供たちや私よりも奴の方ではないかと思ったからな。私にもそのぐらいの気遣いはできるのだよ。

 そうしていると思った通り神のもふもふは勇者のささくれ立った心に効いたようで、初めこそ戸惑いや困惑を浮かべていたがそれ以上抵抗することなく微睡むようにふわふわなもふもふに身を委ねていた。

 

 しかしそんな私たちの様子を見せつければ誘わずとも皇女の奴が「我も混ざる!」とか言いながら飛び込んでくると思っていたのだが……彼女は意外にもその間ずっと大人しくしており、そればかりか何故か、いつになく慈しむような眼差しをこちらに向けてきたものである。

 

 飛び込んでこなかったのは彼女が神嫌いを公言していたからだと思うが、彼女らしからぬ眼差しの理由はナナシが珍しくリラックスした表情を浮かべたからであろう。

 私自身も予想以上の効き目に内心驚いていた。もふもふってすごい、と。

 

 

「いえ、それはお蚕様のもふもふだけが理由ではなく……私が言うのも無粋ですね。忘れてください」

 

 

 ? 他に何かあったか? アイツがリラックスできるような理由。

 

 ああ、あの後私にだけ聴こえるテレパシーで、お蚕様が言っていたな。『……ときどきでもいいから、いまみたいにテをにぎってあげて。カレには、ヒトのぬくもりをおもいだすこと、ヒツヨウだとおもうから』と。

 

 実際アイツが人の手とか肌に触れるところ、ほとんど見たこと無かったからな。よくわからんがそれが必要なことだと言うのなら、私も聞いてやらなくもない頼みだった。奴には借りも残っているからなと。

 

 

「……流石です、お蚕様……」

 

 

 陽の世界の守護神であると同時に地母神としても崇められていたぐらいだからな。一目見てナナシの心に潜む闇とか歪みとか、そういうものを読み取っていたのだろう。姿は昆虫に似ていても、そのオーラにはイビルセクトや私ではどうあっても持ち得ない母性に満ち溢れていた。

 

 

「そうですかね? 今も自分の分のデザートを食べさせてあげている貴女のクーレスちゃんへの態度を見ていると、貴女にも素質がありそうに見えますが」

 

 

 変なことを言うな……私はもう満腹だからな。こう見えて、私よりコイツの方がよく食べるのだよ。

 

 ……さて、キミも知っているようだがお蚕様はそのように、偉大な神様であった。

 しかし同時に──偉大な守護神の実在が判明したことで、浮かび上がってくる疑問があった。

 不敬にもその疑問を最初に口に出したのは、元は異邦人である私やナナシではなく現地人たる皇女だった。

 

 

『貴女がかの神話に名高い陽の守護神であるならば……何故、今になって我らの前に現れたか?』

 

 

 普段から神嫌いを公言していた彼女は当初、初対面の時には不機嫌さを隠していなかったものである。

 

 彼女が神を嫌っている理由には悲しい過去があるわけでもなく、ただ単に「王よりも偉そうだから」というしょうもない理由ではあったのだが……真面目な顔をしている時の彼女がそう語っていると、一見浅い言葉の裏にも何となく深い意味があるように感じてしまうのは彼女を王たらしめるカリスマ的な才能なのだろう。

 

 

「勘違い物主人公にも備わっている素養ですね」

 

 

 だがこの時彼女が言い放った言葉は、きっと心の中では誰もが浮かべていた疑問である。もちろん、私もだ。

 

 

 ──本当にそんな偉大な守護神が居たのなら、何故イビルセクトの被害がここまで広がる前に出てこなかったのか?

 

 

 地上の全生命が絶滅の危機に瀕しているのは、今に始まったことではない。神話に遺された伝説に該当する状況には、数年前からとっくに陥っていたのだ。

 なのに何故今になって現れたのかと──皇女の眼差しには言葉ほど非難の感情は含まれていなかったが、彼女はただ素朴な疑問として神に投げかけていた。

 

 

『我は生まれてから一度も神に縋ったことは無いし、貴女がどこで何をしようと貴女の勝手だと思っている。だが、敬虔な皇国民の何人かは今際の際も貴女に救いを願い、死んでいった……奴らの死に様を想うと、貴女の事情ぐらいは聞いておきたいと思ってな』

 

 

 立場が立場だからそうしなければならない、という固定観念を皇女は嫌っている。極論になるが、彼女自身のスタンスは「偉い奴は何やっても偉いのだから好き勝手にやれば良い」という良く言えばフリーダム、悪く言えば無秩序なものだった。

 

 ……だが、そんな彼女にも今までの戦いで死んでいった者たちを憐れむ気持ちは人並みに持っていたようで、彼女は凛とした真面目な顔で神の真意を確かめていた。

 

 私? 私はその間じっと黙っていたぞ。

 

 

「えらい」

 

 

 ……子供扱いしないでもらおうか。

 

 私は元々異邦人だし、この世界の宗教のこととかさっぱりわからないからな。そこら辺は下手に突っつくとセンシティブな話にもなるので、私は申し訳なさそうに垂れ下がったお蚕様の触角を見つめて犬の尻尾みたいだな……と思いながら、ただ一人のんびりと事の顛末を見守っていた。

 

 しかしそんな私も仮に神が今まで現れなかった理由が「この数年間ずっとトロッコに乗っていたから」とかそういうものだったとしたら、確かに死んでいった連中が浮かばれない話だよなと皇女側に感情移入していた。

 

 

「あのお方はとても偉大で、とても優しい良い神様なんですよ? ただちょっと時間の感覚がルーズなだけで……」

 

 

 まあ神ほど長く生きている存在からすれば、二年や三年寝坊したとて僅かな誤差に過ぎないだろうからな。100歳ちょっとのナナシですら、戦闘時以外の時間感覚はお爺ちゃんだったし。待ち合わせの時間もよく悪意無くすっぽかされたものである。

 

 

「えっ」

 

 

 なので私としては無難な理由として、陽の守護神であるお蚕様も久しぶりすぎて予定より目覚めるのが遅れてしまったのではないかと、そのあたりの線で想像していた。

 

 

 ──しかし事の真相は、そんな私の想像を斜め上に超えていくものとなった。

 

 

 お蚕様は心底申し訳なさように触角をシュンとさせたまま、その緑色の複眼を一瞬だけキラリと点滅させる。

 

 瞬間、私たちの脳内に我々のものではない記憶のビジョンが映し出されていったのである。

 

 

 

 ──それは、空よりも高く果てしなく広がる星海の彼方で起こった出来事。

 

 無数の「白銀の群勢」を相手にたった二柱で立ち向かっていく、白の守護神と黒の破壊神の勇姿だった──。

 

 

 

 ……と、お蚕様は自分たち神が今になって地上に姿を現した理由を、懇切丁寧ながら僅か一秒で説明してくれたわけである。

 それはこう見えて他者とじっくり語り合うのが割と好きな私とは相容れない、いっそ無粋とも言える効率的で合理的な説明手段だった。

 

 

「ああ、私が貴女の記憶を読み取った時も怒りましたもんね」

 

 

 そうとも。私としてはお蚕様の記憶をダイレクトに見せつけられるよりも、お蚕様が「語らねばなるまい……」と長々語ってくれることを期待していたのである。

 テレパシーとして脳内に響く彼女の声色が、とても透き通った聴き心地の良いものだっただけにな。

 

 

「わかります! あのお方の声は神格に対してちょっと呂律が怪しいところがまたギャップがあって……まさに神ASMRなんですよ」

 

 

 ……そういう意味ではないのだが。

 

 

「貴女もとても良い声してますよ? 添い寝してる感じで録音したのを売り出せば、爆売れ待ったなしです」

 

 

 ん、まあリラの声は地声からナチュラルに、聴いていてリラックス効果のあるウィスパーボイスになっていると言われたことはあるな。声に一家言ある魔王子から。

 

 因みに戦闘形態クーレスの声は第三形態と同じ野太い男の声なのだが、前より濁音や不気味な訛りが減ってイケボになったと言われた。

 彼的には、第三形態の頃の声が一番ロックな感じで好きだったらしい。

 

 

「ああ、やっぱり姿で声も変わる感じなんですね」

 

 

 それはもちろん。いやカブトムシ怪人の頃から今のビューティフルな声だったのならそれはそれで不気味な威圧感が出ていたのかもしれないが、この声はリラ特有のものである。

 

 だからこそナナシも、私自身さえもこの姿になるまで自分の性別が男だと思っていたわけだしな。

 私をあの声とあの姿であるにも拘らず女性寄りの存在として扱っていた節があるのは、皇女と今は亡きオカマタコ魚人ぐらいなものだった。

 

 

「タコ様すごい……」

 

 

 奴も独特な世界観を持っていたからな。尤も第三形態までの私にそもそも性別の概念があったのか自体怪しいものなので、いつから私の性別がこうなっていたのかという真相は永遠に闇の中である。

 

 

「前世不明→無性→女性⇆不明という変則TSですね。それはそれで良い文明です」

 

 

 そうか……何言ってんだお前。

 

 

 ──さて、重要な情報を語ろうとしたところで何故か私の性別の話に脱線したが、そろそろ神の話をさせてもらう。髪の話ではなく、神の話である。

 

 

「どちらももふもふですね」

 

 

 そう、もふもふだけに!

 私のウェーブの掛かった髪ももふもふな質感だからとよく皇女の奴に弄り回されたものだが、もふもふな髪ではなくもふもふな神の話である。

 

 

 この時、私たちは何の味気も無く彼女の記憶を見せつけられたことで事の真相を知らされたわけだ。

 

 そしてその真相はあまりにも衝撃的な内容であったが故に、私も勇者もしばらく言葉を失っていた。

 

 

 それから一番早く立ち直ったのが皇女で、彼女は全ての事情を理解するなり「先程の非礼を詫びる……」と素直に頭を下げ、目の前の神に払うべき敬意を払ったのである。

 

 

「それほどの事情だったのですか……」

 

 

 ああ。唯我独尊が金ピカの服を着ているような彼女がそうも殊勝な態度を取ったのは、ひとえに目の前に居る神の功績がとんでもなかったからだ。

 そう……陽の世界の守護神であるお蚕様は、既にその使命を全うしていたのである。

 

 

 ──この星に押し寄せてきた白銀の蝗害……イビルセクト・アルファのオリジナルである宇宙怪獣、スペース・カブトムシの群れを迎撃するという形で。

 

 

 

 

「イビルセクトのオリジナルも、ロクでもない生き物だったんですね……」

 

 

 そういうことだ。

 その光景を見せられた時、私も度肝を抜かれたよ……

 

 科学者の前に巨大カブトムシの死骸が漂着するよりも前から、この星は宇宙から飛来してきた未知の脅威によって滅亡の危機に瀕していたのだ。

 

 イビルセクト・アルファが邪悪であるのと同じように、オリジナルも大概迷惑な存在だった。宇宙を気ままに流離って、好きな星をぶっ壊し美味い果実を喰い美味い樹液に酔う……彼らはイビルセクトほど理不尽な繁殖力は持っていないが、外界への侵略行為こそを生態とする意思疎通不可能な危険生物だったのである。

 

 そしてそれらの来訪を感知した瞬間、3000年の眠りから慌てて覚醒し、誰よりも早く立ち向かったのが陰陽二柱の「神」である。

 目覚めた二柱らは人知れず宇宙に上がると、この星に飛来してきた無数の宇宙怪獣を全力で迎撃し──壮絶な死闘の果てに、どうにか群れを太陽系の外にまで追い払うことができたそうだ。

 

 しかしその際に神が撃ち落とした宇宙怪獣の一体が運悪く魔界に落下してしまい、よりによってマッドサイエンティストと巡り合ったが故に悪夢は始まった。

 もう死んでいるからと他の個体に意識を向け、死骸を焼き払わなかったのがまさかこんなことになるとはと、そのイレギュラーにはお蚕様も心底悔やんでいたものだ。

 

 

「やはり人類は愚か……」

 

 

 ……気持ちはわかるが、あの科学者を人類の代表として扱わないでやってくれないか。

 

 人知れず星の危機を救っていた筈の二柱の神の行動が、たった一人の科学者に全てを台無しにされた。そんな真相を知ってしまうと、彼女らが今も人類を見捨てていないことがどれだけ慈悲深いか異邦人ながら泣きそうになってしまったものである。

 

 皇女もそう思ったからこそ、彼女の前ではしおらしい態度を取らざるを得なかったのだろう。

 この世界一番の危機に真っ先に対応し、神の力でできることには全て手を尽くしてくれた彼女のことを責めるわけにはいかないと。

 

 しかし皇女が謝罪と感謝を告げると、お蚕様は依然しょんぼりと触角を垂れ下げたまま『あなたはやさしいヒトだね……』と感心したような反応を返してきた。

 自分のことを「優しい」と評されたのは初めての体験だったのか、その言葉に「っうぇ!?」と、らしくなく奇声をあげて戸惑う皇女の姿は中々見物だったと言っておこう。

 いや、私もその人物評価は流石に懐が深すぎないかと思ったものだが。イビルセクトを毒ガス爆弾で殺し回りながら、嬉々として「環境破壊は楽しいZOY!」と笑ってた女だぞそいつ……

 

 

「皇女様は神のことがお嫌いなようですが……神から見ると、皇女様みたいな人は好かれやすいタイプなんですよ。そういうデンジャラスなところも含めて」

 

 

 ……よくわからん世界である。

 

 ともかく神が今まで音沙汰無かったのは、「イビルセクトのオリジナルである宇宙怪獣の討伐に忙しかったから」であることを私たちは知ったわけだ。

 

 そしてその時の戦いでお蚕様の羽が著しく損傷してしまった為、今の彼女は本物のカイコガ同様飛ぶこともままならないと言う。

 

 せめてもの努力として自身の周辺に張り巡らせた結界の中に残り少ない人々を匿っているが、今残っている力ではそれが精一杯であり……それも長くは保ちそうにないと彼女は深刻に語った。

 

 そしてそんなお蚕様の言葉を引き継ぐように、グッと拳を握りしめた魔王子が一同の前に出て告げたのである。

 自分たち人類が行うべき、これからの行動方針を。

 

 

『だからこそこうして、陽の守護神が持ち堪えている間にイビルセクトとの決着をつけなければならない。その為には──私が魔王となり、魔界へのゲートを開く必要がある』

 

 

 神による救済は人知れず始まり、既に達成していた。

 だからこそ「ここからは私の出番だ」と、記憶を取り戻したデスメタルバンドマンが宣言する。

 

 

 ──デビルセクト四天王、そしてイビルセクト・アルファへの水先案内人は、この命に替えても自分が必ず引き受けると。

 

 

 

 

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