ファイアーエムブレム風花雪月-"2度目の自分" 作:ガイアプロローグ
「…何処だ…」
見たことのある天井…自分は今ベッドで寝ている状態か?試しに自分の頬をつねってみる。
「…痛い」
生きている事はわかった。確か…ソティスと一緒に過去に戻されたんだっけ…なんか隣に違和感を感じるな…
「んん…むにゃむにゃ〜」
「…」
自分はそれを見て開いた口が塞がらない状態だった。そこには…女神ソティスその者が枕を抱いて寝ていた。しかも寝言を言いながらぐっすり眠てるし…しかも寝相悪いし…そしてそのまま自分の方に転がってきた。
「…ソティス…子供みたいに勢いよく転がるね」
「…それはお主が大きいからむにゃむにゃ〜」
つまり私がベッドに居ると邪魔って事?なんかショックだな…てか君、起きてる?試しに頬を引っ張るか。
「ん〜痛いのじゃ〜」
「起きてるでしょ?」
「寝てるぞ〜」
「返事してるじゃん…」
そんな風に戯れながら会話をしていると誰かがこちらに来た。
「どうしたの?珍しく早起きなのね〜ベレス」
私はその声に反応して振り向く。そこにいたのは…
「…母…さん」
どうして私の母ことシトリーがここに⁉︎私を産んだ時に亡くなった筈なんじゃ…駄目だ⁉︎更に混乱してきた…
「落ち着けベレス」
ソティスが小声で私に語りかける。私も小声でソティスに語る。
「ソティス…この状況は⁉︎」
「儂もわからぬ…ここがフォドラの地である事は確かじゃ…じゃがお主の母はアビスに保存されている筈…恐らくじゃがここは並行世界かも知れぬやもな…」
私達がコソコソと話していると、次は聞き覚えのある声が聞こえた。
「おい、そろそろ起きろ」
「っ!」
ジェラルト…生きてる。
「お主、心を乱すな?」
ソティスが小声で私に言う。その言葉に従って私は自信を落ち着かせる。
「あなた、ベレスはもう起きてるわよ?」
「ん?珍しいじゃねぇか…所でベレス、見ない顔のガキが隣にいるが迷子か?」
「誰が迷子じゃ!儂は女神ソティっ!」
私は慌ててソティスの口を手で塞ぐ。並行世界とは言えども軽々しくその様な名前を聞かれたら色々とまずい気がした。
「ジェラルト、それよりも外が少し騒がしい気がするのだが何かあったのか?」
私は知っている。この後、ジェラルト傭兵団の一人が直にこのルミール村に盗賊が来る事を知らせてくると…そして外から足音が聞こえてきた。
「ジェラルトさん!すまんが来てくれないか?」
「どうした?」
「あなた…」
「シトリー、お前はここで待っていてくれ…直ぐに戻る…ベレス…すまないがお前はあいつを起こしてくれねぇか?」
「あいつ?」
「ベレトの奴、まだ寝てるかもしれねぇからな…それとお前はシトリーの側にいてくれ…頼むぞ!」
ジェラルトはそう言うと装備を整えて外に出て行ってしまった。自分は念の為、母さんの側にいる様に言われるが…
「母さん…ベレトはどこに?」
「二階で寝ているかも…」
「ソティ…じゃなかった、ロリスは母さんの側にいてくれないか?」
「ロリス⁉︎儂はめがっ!」
私はソティスの耳元で囁く。
「君の本名を言っちゃったら母さん多分パニックになるかもしれない…だからお願い、暫くはロリスって事にしといて」
「…」
頬を膨らませて可愛いと言いたい所だけど暫くは偽名で頼むソティス。
「ふん!その代わり後で菓子を寄越せ!良いな!」
「ありがとう」
すっかり子供モードになってくれたソティスに感謝しよう。でも菓子って言われてもどんな菓子が好きなんだろ?まぁそれは後でいいとして今はベレトという奴の元に行こう。そして二階に辿り着いた自分は自分とそっくりな人物がベッドで寝ているのを見つけた。違うとしたら…性別くらいだな。だがどう言えばいい?兄さん?弟君?それとも…
「ベレト」
自分が名前を呟くと、ベレトは直ぐに目覚めた。
「…もう時間か?」
「ジェラルトが呼んでたよ」
「…何処にいる?」
「外へ出てったよ、早く行ってあげて」
「わかった」
言われるがままにベレトはジェラルトの元へ向かった。その後、自分は二階の窓から様子を見てみる。そこにはジェラルトが三人の級長と話しているのが見えた。今の所は自分がいた元の世界で体験したのと同じだな…するとこの後にコスタス率いる盗賊がこちらに向かってくるな…念の為だ、自分もこっそりと跡をつけるか。
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ベレト視点
ベレスに起こされた俺は、ジェラルトと合流して目の前にいる三人を見ていた。赤い服に白髪の少女、青い服に金髪の少年、黄い服に褐色肌の少年、どれも個性的だな。
「ガキはともかく、この村を見捨てる訳にはいかねぇ…行くぞベレト」
「わかった」
剣を構えて盗賊団を斬る。ジェラルトの言う通りにただ動くだけだ。今までもそうやってきた。暫く何人か斬っていくと盗賊団の頭らしき奴が出てきた。
「くそっ!なんで村に傭兵がいやがる!お前ら!一気に畳み掛けるぞ!」
数では向こうの方が多い…だが技量の差が明白だ。
「ジェラルト、俺一人で片付ける」
「わかった、だが無茶すんな」
「あぁ…」
あの学生達は誰も武器を持っていないしな…ジェラルトを着かせれば問題は無いだろう。そして盗賊団の頭との一騎打ちが始まる。
「ちっ!無表情に剣を振りやがって!このガキが!」
「何を物々と言ってる?俺が怖いか?」
「舐めんなよ小僧!」
斧を振り回してくるが、俺には掠りもしない。相手は何度も斧を振って俺に当てようとするが、一つも掠ることなく終いには勝手に疲れてた。
「くそ…さっきから避けてばかり、俺を舐めんなよ!」
「口だけは減らないな」
さっさと終わらせてジェラルトと合流するか。
「終わりだ」
俺が剣を振る瞬間に相手は斧を盾にするが、盗賊団の頭は砕けた斧ごと背後にあった木まで吹っ飛んだ。
「ごほっ!」
「兄貴ぃぃぃ!」
「力量の差が判ったら立ち去れ」
すると俺の後ろから風圧が伝わってきた。まだ残党がいたか。
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ジェラルト視点
風格から見て、こいつは他の盗賊とは異質なものを感じる。俺も長く傭兵をやって来たが…あいつも長く傭兵としての実力を備えているな…
「壊刃ジェラルト…噂に聞いていただけはあるな」
「お前…あの盗賊団の仲間って訳では無いな?」
「そんな事どうでもいい…俺の任務はあんたを殺す事…それだけだ」
そして両者は互いにぶつかり合う。実力はほぼ互角…だが少しずつ俺が押されてく。
「(こいつ!一つ一つの剣捌きが我流か⁉︎フォドラにこんなに強い奴があの人以外にいるとはな!)」
遂には俺の槍が欠ける。
「終わりだ壊刃!」
俺の喉元に刃が刺さりそうになる。
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ベレス視点
こんな所でジェラルトを失う訳にはいかないよ!ギリギリだがジェラルトに向けていた刃を偶然落ちていた剣で弾けた。やはり跡をつけて正解だ!
「ちっ!伏兵か⁉︎」
「ベレス⁉︎どうしてお前がここに⁉︎」
「ジェラルト、話は後にして…生徒達を頼む!」
それにしても、目の前にいる賊…自分がいたフォドラにはいなかった。誰なんだ?…長い黒髪に赤い服、こんな奴は初めてだ。油断禁物…
「…辞めだ」
「?」
何故なのか…急に剣を鞘に納め始める。
「何のつもり?」
「…俺は女を斬りつける剣を持っていない」
「どう言う事?」
「貴様達の顔は覚えた、それだけで十分だ」
「待て!」
賊はそのまま森の奥へと消えてしまう、早く倒さないと!追いかけようとするとジェラルトに止められる。
「ベレス…深追いするな!」
「…ごめん、少し焦ってたみたいだ」
「お前が焦るなんて珍しい、それよりシトリーから離れるなと言った筈だ…なぜ離れた⁉︎」
「その事なら大丈夫だよ、向こうにはロリスが守ってくれてるから」
「ロリス?誰だそれは?」
「私の隣に寝てた子だよ」
「大丈夫なのか?」
「ああ見えてとても強いから平気」
ソティス、母さんの事しっかり守ってくれているといいんだが…
「ジェラルト、盗賊の頭は倒した」
「よくやったベレト…ガキ達はどうした?」
「直ぐに来ると思う」
エル達…今は確か武器を持っていない筈なんじゃ…嫌な予感がする。
「私が迎えに行くからジェラルト達は待っていて」
「ベレス、俺を信用して無いのか?」
「そうじゃないよベレト、あの子達…武器を持ってないだろ、念の為に様子を見て来るだけ」
私は走り出す。暫くするとエル達の姿が見えた。やはりだ…盗賊の頭がエルに向かって斧を振りかざそうとしている。だから私はエルの前に出て剣を構える。
「どけぇぇええ!」
「邪魔」
剣を一振りして相手は遠くの木の方角へ吹っ飛んだ。見た所、エル達に傷は付いていないみたいで安心だ。…それにしてもベレト…あいつの目は節穴か?なんで盗賊にトドメを刺さずにエル達を放置するか⁉︎
「ありがとう、お陰で助かったわ」
「…」
エルに感謝された。私は…君のその微笑む顔を見ていると、心が癒されてとても嬉しい。けれど同時に…寂しい…何故なら君は…
「貴女の名前、聞いてもいい?」
この世界の君は私の事を知らないのだから…
「…ベレス、ベレス=アイスナーよ」
「ベレス…良い名前ね…私はエーデルガルトよ」
「エーデルガルト…覚えたよ、エル…あ…」
「っ⁉︎」
つい癖でエルと呼んでしまった。まだ早すぎるのではないか⁉︎やばい、序盤から親しみすぎると後でヒューベルトに消される⁉︎どうしようか…もう一度エルの顔を見る。
「ごめん、いきなりあだ名みたいな事を口にしてしまった」
「…ふふ」
「?」
あれ?微笑んでる?私は思わず首を傾げる。
「変わった雰囲気なのはわかってはいたけど、初対面を相手にあだ名で呼ばれたのは貴女が初めてよ?」
「そ、そうか」
「気にしないで、そう言う人…嫌いじゃないわよ」
「あ、ありがとう?」
よくわからないけど、好感度は悪くないかな?それに盗賊達は追い払えたから、後はセイロス騎士団を率いるアロイスがそろそろ来る頃だろう。すると後ろからジェラルト達が迎えに来た。
「ベレス、そろそろ小屋に戻るぞ」
「…」
「どうした?」
「ジェラルト、向こうから誰か来たよ?」
「…あれは…」
「セイロス騎士団、ただ今参った!生徒を脅かす盗賊ども、覚悟せええ…」
「…」
場が静かな事に気づいたアロイスは倒れている盗賊を見て状況を把握した。
「盗賊が…倒れている⁉︎と、とにかく貴殿らは残った盗賊を追うのだ!」
アロイスの横にいたセイロス騎士団二人は盗賊の残党を追って行った。気付かれる前にジェラルトが自分とベレトを引っ張る。
「行くぞ、アロイスの野郎に気付かれると色々と面倒だ」
「セイロス騎士団?」
どうやらベレトはセイロス騎士団の事を知らないみたいだ…自分は知っているのでジェラルトの言葉を聞いてソティスと母さんがいる小屋に戻ろうとするが…
「あっ!…待ってベレス」
エルが私を引き留める。もっと話したいけれど今はソティス達の所に戻らないといけない…でも自分はその場に止まってしまう。
「どうしたの?」
「いきなりこんな事を言うのもなんだけれど…」
エルの視線が熱い…まさかここで告白を⁉︎
「貴女、帝国で働く気はない?」
「…ん?」
エル達の正体は知ってはいるけどいきなりスカウトしてくるとは思わなかったな…いやよく考えたら自分はエルの目の前で盗賊の頭を難なく倒してたね…自分が固まっているとエルの近くからディミトリがやって来た。
「待てエーデルガルト、抜け駆けは無しだ!」
「(やっぱりこうなるか)」
辺りを見渡すとジェラルト達がアロイスと何か話しているのが見える。どちらにせよガルグ=マク大修道院に連行される事からは避けられないみたいだ…そして話は戻る。
「今、ファーガス神聖王国はお前の様に優秀な者を必要としている…是非、俺と共に王国へ」
すると今度はクロードが割り込んで来た。
「そこまでだ、全く二人共手が早いな〜会ったその日に口説くなんてさ」
少し違う世界とはいえ、エル達が他愛のない会話をしているのをみて自分は微笑む。でも同時に思う…この三人がこうして普通の会話をする事が無くなり、近いうちに殺し合うことになるのではないかと…不安になる。複雑だ…すると自分は背後から肩を軽く叩かれる。振り向くとそこにはベレトがいた。
「ベレス、悪いが俺たちも一緒にガルグなんとか大修道院とやらに行く事になった」
それを言うならガルグ=マク大修道院だよベレト?少し天然気味だなもう一人の自分。エル達の方を再び見ると三人共目を見開いてずっと不思議な生き物を見る様な感じで見ている。自分達の顔に何か付いてる?少しすると先にクロードの口が開く。
「あんたら…顔そっくりだよな〜兄妹か?」
「「そうだ」」
ベレトと声が被った。
「俺も気になっていた…双子か?」
ディミトリもクロードに続いて自分達に問い出した。兄妹も双子も同じだと思うが…言わないでおくか。
「あなた達…姉と弟?それとも兄と妹?」
エルが意外と興味あり気に聞いてくる。正直言ってどっちでもいいと思う。
「俺が兄でベレスは妹だ」
場が一瞬静かになる。
「…え?」
思わず自分はベレトの方を見る。ベレトも自分の方を見る。
「俺、何か変な事でも言ったか?」
「…いや別に」
意外と設定にごだわるタイプか?ベレトって。すると丁度いいタイミングでジェラルト達が母さんとロリスと一緒にこっちに来た。
「お喋りはそろそろ終わりにして、大修道院へ向け出発するぞ」
アロイスに言われて自分達はガルグ=マク大修道院に向けて足を運ぶ事にした。
1話の別サイド
ベレス達が戦っている間、ロリス(ソティス)はシトリーからお菓子を貰って食べてお昼寝していた。