ファイアーエムブレム風花雪月-"2度目の自分" 作:ガイアプロローグ
自分達は今、ガルグ=マク大修道院に向けて歩いている。その間に自分とベレトはエル達に好きな国を聞かされていた。自分はアドラステア帝国が好きだと答えたが、ベレトは未だに帝国、王国、同盟の事をよくわからないでいた。
「ベレス」
「え?何?」
「どうしてお前は帝国が好きなんだ?」
まぁこの時点でアドラステア帝国が一番好きだと言うと何も聴いていないベレトからしたらそう聞くのは当然か…自分は答えた。
「…一目惚れかな〜」
「理由になってないな」
呆れるベレトに対してエルは少し顔が赤くなっている。早い気がするが私とエルの親密度が上がっているのか?その様子を見てクロードは…
「これはこれは皇女様…早くも百合の花が咲き始めましたかな〜」
「ふんっ!」
エルはクロードのつま先を勢いよく踏みつけた。
「いでぇぇっ!」
「あいつ大丈夫か?」
ベレトがクロードを見ながら言う。ディミトリは頭抱えながら…
「気にするな、いつもこんな感じだ」
「…そうか」
自分達が出発して数分後、日が差してきたと同時にロリス及びソティスが母さんに抱かれた状態で目を開ける。
「ふぁ〜」
ソティスは母さんの胸の中に顔を埋めながらもごもごと何か言うと母さんは微笑みながらソティスを撫でる。何て言っているのかは分からなかったが…
「…完全に成り切ってるじゃん」
自分はソティスにそっと言う。すると母さんが自分に言う。
「この子を見ていると…貴方達が小さかった頃を思い出すわ」
「…」
笑顔で話をするが自分からしたら、そもそも存在しない記憶だ。元のフォドラでは、自分の母さんはいない…でも今ここに母さんがいる…
「そうかな?昔すぎて覚えてないよ…」
自分は震えた声でそう返した。こうでも言わないと存在しない過去が広がりそうなので勝手ながら話を逸らす。
「それにしてもセイロス騎士団か…ジェラルトはどうしてあんなに嫌がるの?」
「ううん嫌がってる訳では無いのよ…ただ彼自身が"俺の性分には合わない"とか言って私達を連れて出て行ったのよ〜」
本当にそうだろうか?…でも並行世界だから少しの違いが出てもおかしくはないか…現に母さんが生きていて、ソティスが実体化しているし…ジェラルトなら言いそうだなと何処か納得してしまう自分がいる。
「見えてきたよベレス、あれがガルグ=マク大修道院よ〜」
明るく振る舞うが母さんは何処か寂しそうな眼差しで言う。自分も母さんと同じ方を見る。相変わらず大きいし見た目も全く変わっていないな…
「ベレス〜」
ソティスが甘〜い声で自分を呼ぶ。急にどうした?お菓子ならもってないよ?
「…抱っこしてくれる?」
「…」
君、母さんに抱きついてるじゃん…可愛い寝言かな?うんきっとそうだ。
「ふふ…よしよ〜し」
母さんがソティスを撫でるとソティスが自分の方に向かって抱きついてきた。無邪気すぎる…
「ベレス」
「何?」
小声でのやり取りが始まる。
「これから儂達はレアに会いに行くのか?」
「そうだね、でもその前にその髪色を変えた方がいいと思うよ」
「何故じゃ⁉︎」
「何故って…そのまま行ったら速攻で女神ソティスだとバレるよ!」
「じゃが周りを見よ!今の所御主以外の者達には儂が女神ソティスだと言う事はバレていない!」
「確かにそうかもしれないけど…レア相手にそう簡単に貫き通せるとは流石に思えない!」
多分、ベレトにはバレてる可能性はあるけれど…
「じゃあせめて髪型だけでも変えよ?」
「髪型?」
「あっそうだ、これもあげるから」
自分は母さんから貰った棒付き飴をソティスに渡した。
「御主、儂を揶揄っておるな?」
「違う違う、お菓子は好きでしょ?」
「絶対に揶揄っておるな」
そう言いながらソティスは棒付き飴を受け取る。
「ありがとう」
するとエルが自分達に近づいて来た。
「どうしたのかしら?」
「っ⁉︎」
まさか今の会話を聞かれたのか⁉︎
「ベレス、さっきから少し慌てている様に見えるのだけれど大丈夫?」
「いや何でもない、ただこの子が髪留めが欲しいとか急に言いだして…」
「そんな事?なら私が一つあげるわ」
「え?」
エルはソティスに髪留めをあげた。
「お…御主」
「大事にしてくれる?」
「…わかった」
するとガルグ=マク大修道院の出入り口から見知った人物が駆けつけてくる。
「殿下!」
それを見たディミトリが…
「ドゥドゥー、わざわざここまで来なくても俺は大丈夫だ」
「しかし、殿下の身に何かあっては俺は俺を許せません!」
「全く、お前は心配性過ぎる…俺も自分の身くらい守る事は出来るぞ」
この世界でもドゥドゥーのディミトリに対する忠誠心は高いみたいだ。
「では団長!我々は級長達と一足先に戻りますが、団長と貴殿らはレア様がお呼びですので向かってください!」
アロイスがそう言うと…
「ベレス…またね」
「うん、またね」
「御主達も達者でな〜」
エルは小さく手を振って、ディミトリとドゥドゥーは共に自分達を見ながら、クロードは自分とエルの両方を見てニヤニヤしながら一旦別れる事になった。
数分後、自分達はガルグ=マク大修道院の中庭まで歩くとジェラルトが突然立ち止まり見上げる。
「レア様…」
自分とベレトも同時に見上げ、ソティスも棒付き飴を舐めながら見上げる。母さんは何故かレアから視線を外しジェラルトの方を見ていた。
_____________________
レア視点
ジェラルトとシトリーが私の元に戻って来てくれた。そしてその子供…双子でしょうか?最後に見た時から随分と成長しましたね。一番小さい子は…まさか…いいえ、私の勘違いでしょうか?
_____________________
ベレス視点
自分達はジェラルトに着いて行き、謁見の間に入っていた。
「ここに来るのは何年振りだろな、今更あの人と顔をあわせた所で…」
「あの人?」
ベレトがジェラルトに聞いてくる。
「お前らも中庭で見ただろ、大司教レア様だ」
レアの名前を言う度に母さんが少し震えてるのが分かる。この世界のレアは母さんとの間にどんな関係にあったのだろうか?
「母さん、大丈夫?」
「大丈夫よ〜少し寒気を感じてるだけだから」
「…」
自分はジェラルトに問う。
「ジェラルト」
「何だベレス」
「…何か隠してる?」
「…」
ジェラルトはしばらく頭を抱え、ゆっくりと口を開ける。
「…昔、約束していたんだ…シトリーと必ず修道院には二度戻らないとな」
「…」
「もうあんな思いをさせないと誓った…だが俺は今日その約束を破っちまった」
約束の内容はわからないけれど、母さんはレアを恐れているのか?母さんの方に視線を移すと心配を悟られない様に笑顔を作る。
「大丈夫、きっと何とかなるわ」
「母さん、お願いだから話して…ガルグ=マク大修道院でレアと何があったの?」
「…」
自分が母さんのレアとの関係性を聞くとソティスが自分の裾を軽く引っ張り首を横に振る。自分はソティスの行動の意味を悟って問い詰めるのをやめた。
「…ごめん、母さん達の気も知らずに…」
すると謁見の間の横の扉が開き、レアとセテスが自分達の前に来た。
「お待たせしましたジェラルトさん、それとシトリーさん…大司教の補佐を務めているセテスと申します」
「あぁこいつはどうも…(セテス?誰だこいつ)」
「久しいですねジェラルト…それと…?」
レアが口を開くと母さんは深々と頭を下げた。
「申し訳ございませんレア様!私が勝手な行動を起こしたせいでジェラルトやセイロス正教会の皆さんに多大なるご迷惑をおかけした事をこの場で謝罪させて下さい!」
「シトリー…お前は悪くない」
「母さん…」
必死に謝る母さんの姿を見て自分とベレトはなんて言葉を掛ければ良いのか分からなかった。
「シトリー、頭を上げてください」
「レア様?」
「謝るのは私の方です…貴女に無理な願いを押し付けていてそれに気づけなかった私の責任です」
「「…」」
その後も母さんとレアが色々と話している間、ジェラルトとセテスは険しい表情になっている。自分はベレトの方に目を向ける。もしかしたらこの世界でもレアは禁忌を犯している可能性は高いな。
「おぬしおぬし」
「?」
ソティスが自分に小声で言う。
「御主はもう知っているかもしれぬが、もう一人の御主、ベレトの中にも儂がいるやもしれぬ」
「それは私も勘づいているよ…何か不味い?」
「不味いかは分からぬがベレトを見ているとモヤモヤするのじゃ!」
「同一人物だもんね」
「ベレス、彼奴から儂を取り除いてくれぬか?」
「それは無理というか出来るわけないよ、ベレトが死んじゃう」
「それともう一つ言いたい事があるのじゃ!」
「…何?」
「トイレは何処じゃ?」
「え?ソティスもトイレ行くんだ」
「当たり前じゃ!今の儂は実体があるのじゃぞ⁉︎」
自分は小さく手を挙げる。
「どうかしましたか?」
「あの…この子が用を足したいみたいなんだけど何処にありますか?」
「あ…それでしたら私が案内を」
「大司教」
セテスが割り込む。
「それに関してはわたしが案内をしますので大司教は引き続き話を進めてください」
「…」
何故かレアはショボくれて少し涙目になる。
「ではこちらに来てくれたまえ」
セテスがソティスに手を差し伸べるがソティスは睨みつける。そして何故か自分を見つめ始める。もしかして母さんより自分の方について行って欲しいの?
「ベレスと一緒がいいのじゃ!」
「はいはい、分かったからあまりセテス叔父さんを睨まないでね」
「おじっ…」
セテスは一瞬言葉が詰まるがすぐに立ち直る。
「もう良いか?こちらに来てくれ」
自分とソティスはセテスに連れられて謁見の間から出てトイレに向かう。ソティスがトイレに入っている間、自分とセテスは待機していた。
_____________________
ベレト視点
俺はベレス達がいない間、レアから士官学校の事について説明を受けていた。帝国出身が集まる
「ジェラルト、私が言いたい事は分かっていますね?」
「セイロス騎士団に戻れ…でしょ?俺は構いません…けどシトリーとこいつ達は…」
「ジェラルト、アロイスから聞いている筈です」
俺はジェラルト達の会話に割り込む。
「ジェラルト、まだ何か隠してるのか?これ以上は流石の俺も黙れないぞ」
「…」
「ベレト、あのね」
「母さん?」
「私達、大修道院に向かう途中でアロイスさんに言われたの…私とジェラルトはセイロス騎士団に戻ってほしいって」
「母さんはそれで良いのか?」
「…うん、私も大丈夫よ、ジェラルトがいるから」
「そうか…」
アロイスとか言う爺さん、俺が知らない間にそんな事を言っていたのか。あの三人の生徒達と話していたから気づかなかったな。
「そうなるとベレスとソ…ロリスはどうするんだ?」
するとレアが微笑みながら意外な事を告げた。
「貴方達は…士官学校の教師として働いてもらいます」
「…教師?」
「はい…教師です」
すると入り口の方からベレス達が戻って来るのが見えてきた。
_____________________
ベレス視点
ソティスの腹痛が治り自分達が謁見の間へ戻ると、ベレトがレアを見ながら固まっている。
「ベレト?」
「ベレス、俺達は士官学校で教師として働かされる事になった」
「それはいいんだけど、ロリスも教師として働かされるの?」
するとレアが割り込む。
「いいえ、その子は私の方で面倒を見ます」
「…今何て?」
まさか…レアはもう気付いているのか⁉︎幾ら何でも早過ぎない⁉︎いや気のせいだ。そうであって欲しい。
「あ…申し訳ございません、シトリー」
「はい?」
「この子は…」
「儂の名はソ〜じゃなくて…ロリスじゃ!」
「可愛らしい名前ですね…ロリスは私と一緒に」
するとソティスはレアを睨みながら言った。
「何様じゃ!おぬしの様な小物よりシトリーの傍にいた方が儂も心地よいわ!身の程を弁えよ小さき者!」
「ちょっ⁉︎言い過ぎじゃないロリス⁉︎(ついでに口調を子供っぽくして!)」
自分はそう言いレアに対して頭を深々と下げる。レアは再びしょぼくれて小さな声で…
「今日は…下がります…」
そう言ってレアは先に執務室へと行ってしまった。
「今日は大修道院を見て回るといい…私も大司教と共に下がらせてもらう」
セテスはレアを追う様に執務室へと向かって行った。その後、自分達は遂に士官学校へと足を運んでいくのであった。
因みにこの時点でレアとジェラルト、シトリーはソティスの存在に勘づいている。まぁ髪型変えただけだから(汗)