モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第15話 PHASE2-4『ガンダムの力』

警報と共に、再び次元圧縮プログラムがコロニーである「ヘリオポリス」で発生。

高槻やよいは恐怖に陥る中、桃井あずきに連れられてブリッジへと向かう。

そこで彼女達が見たのは、崩壊する「ヘリオポリス」の姿であった。

 

残骸から出て来たソードストライクガンダムのパイロットであるキラ・ヤマトとアークエンジェルの臨時艦長であるマリュー・ラミアスは、愕然とする。

その中で、多数のジンと共に、イージスガンダムが………キラの友であるアスラン・ザラが、襲い掛かって来た。

 

だが、ここでデブリの中から現れた渋谷凛のフルアーマーガンダム7号機が、ジンの一部を蹴散らしていく。

彼女は、護衛としてユウ・カジマという人物から派遣されてきた、安斎都と並木芽衣子にお願いし、残りのジン3機を1人で相手させて貰う事に。

 

全ては今後、ハルファスガンダムを倒す為の力を手に入れる為。

だが、ランタ・ロウ、キリ・マール、シンベエで構成されたジンの花見隊は、他のパイロットとは違う雰囲気を持っていた。

 

果たして、ガンダムに乗った凛は、撃ち勝つことが出来るのか?

 

 

 

「………キリ・マール、シンベエ、ジェット・ジントニック・アタックで行くぞ。」

 

先手はジンの花見隊。

ランタ・ロウの掛け声で、3人が一斉射を行う。

………と言っても、先程と違い、全員が同じ武装を撃ったわけでは無かった。

最後尾のシンベエがバルルス改特火重粒子砲のビーム武装を放ち、中距離のキリ・マールが実弾の「キャットゥス500mm無反動砲」を、前衛のランタ・ロウがセミオートの「76mm重突撃機銃」の機関砲を連射してくる。

 

「何それ、お酒?花見だから?………でも、戦術としては悪く無いか。」

 

珍妙なコンビネーション名だと思いながらも、凛は無難に回避を選択。

敢えて加速してローリングするようにしながら、ビーム砲と無反動砲を回避し、シールドを構えながらランタ・ロウ機へと迫る。

 

「じゃあ、次はコッチの番………!」

 

凛は背部長距離ビーム・キャノンの砲身を動かすと、ランタ・ロウに向けて巨大なビーム砲を撃ち出す。

当たれば、間違いなく消し炭になるビーム。

しかし、自分で実力者というだけあって、ランタ・ロウも難なく躱す。

 

「やっぱり、この武装で堂々と戦うのは難しいか………。」

 

マイクを使わず、凛は少しだけ愚痴る。

彼女はコックピット内で、自分の戦いを常に分析していた。

巨大なビーム砲は威力がある分、連射が利かないし、エネルギーの消耗、何より外した時のデメリットも大きい。

「今の自分の実力」では、このビーム・キャノンを完全に扱うのは、まだまだ難しそうであった。

 

「ほらほら、横っ腹が隙だらけだよ!」

 

凛の予想通り、このタイミングで76mm重突撃機銃に持ち替えたキリ・マールが、彼女のシールドを持たない右側から回り込む形で機関砲を乱射してくる。

 

「忠告ありがとう。」

 

今度は親切にマイクで応えながら、敢えて左にローリングして加速する事で、機関砲の射程内から逃れる凛。

その「フルアーマー」と銘打っているとは思えない動きの軽快さに、キリ・マールは驚愕する。

 

「アレを、避けるなんて………!?でも、油断したね!そっちは通行止めだよ!シンベエ!」

「もらったあああ!!」

 

回避行動を終えた凛の正面に、いつの間にか右手に持った近接用武装である「重斬刀」を左に振りかぶるシンベエ機がいた。

実体剣とはいえ、当たれば必殺の一撃になる強力な刃。

しかし………。

 

「なるほどね。」

『!?』

 

凛は姿勢制御バーニアを吹かして左側に1機分だけ動き、右に払われたその切っ先から逃れる。

しかも、その状態で右手に持っていたビーム・サーベルを横に突き出した為、逆にシンベエ機は、真っ二つに斬られた。

咄嗟に身を捻った為にコックピットは避けていたが、下半身が持っていかれる事に。

 

「し、しまっ………!?」

「キリ・マール………シンベエを回収しろ。撤退するぞ!」

 

姿勢制御が出来なくなったシンベエ機を守るように、ランタ・ロウ機がバルルス改特火重粒子砲を放って時間を稼ぎ、キリ・マール機がシンベエ機の上半身を回収していく。

相手が戦う意志を示さなくなった為、凛は深追いをしなかった。

 

「まず、ファーストステップはクリアかな。………でも、トドメを刺せなかったのは、反省点だね。それにしても、「マグネットコーティング」って凄いな。」

 

凛は、自分の乗機を触りながら、少しだけ感慨深げに呟く。

マグネットコーティングは、ガンダム系列に施されている処置であるらしい。

この装備を持つ機体は、反応が敏感になって操作がしにくい代わりに、先程の重斬刀を躱した時のように、急なパイロットの姿勢制御にも付いて行ってくれる。

凛は、マグネットコーティングに慣れる為に、多数の時間を訓練に費やしたと言っても良かった。

 

「忍がよく言っていたけど、ひたすら努力し続ける事で開ける道もある………。まだまだ私にも伸びしろ………ありそうだね。」

 

彼女は少しだけの間、軽く笑みを浮かべて愛機を撫でていた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「す、凄い………凛ちゃん、1人で3機のジンを相手にしちゃったよ………!?」

「アレが、しまむーの………ガンダムなの?」

 

一方、ガンダムによる次元の違う戦いを見せつけられた事で、キャリー・ベースから出撃した島村卯月や本田未央は唖然としていた。

フルアーマーである7号機は武装の威力もそうだが、機動性が他の機体とは段違いである。

一騎当千とも言えるような活躍ぶりに、皆が心を奪われていた。

 

「決戦兵器ガンダム………。対ハルファスガンダムにおける切り札。成程、確かにこれならば、そう呼ばれても不思議ではないですね。」

 

これは、ブリッジで指揮を執る高垣楓も納得の表情であった。

凛自身のパイロットとしての実力は、ファントムスイープ隊に所属していただけあり、実戦経験の豊富な藤原肇や高森藍子に匹敵する。

その操縦技術に、ガンダムというマシンが加わったのだ。

ある意味、その強さは当然と言える物だったのかもしれない。

 

「まるで、戦闘機がそのまま人型になったみたいですね。その強力なGに耐えられる凛ちゃんも、余程鍛えられた事が分かります。」

 

副長である千川ちひろも、元アナハイムの経歴を活かし、冷静に今の戦闘履歴を確認していた。

しかし、ここでオープンチャンネルによって通信が入る。

 

「………失礼ながら、貴殿達は何者だ?助力は感謝したいが………。」

 

アークエンジェルの副長であるナタル・バジルールが、訝しんだ表情で聞いてくる。

確かに、いきなり戦闘宙域で暴れて、ジンをあっという間に迎撃すれば、このような顔をするのも無理は無いだろう。

 

「補給に訪れたら間が悪く、戦闘に巻き込まれた哀れな乙女達です。………共闘しませんか?」

 

割と身も蓋も無い事実を述べた楓に対し、ナタルは考え込むような顔をするが、それよりも早く臨時艦長であるマリューが通信を送る。

 

「それならば、ストライク………!巨大な剣を構えたトリコロールのモビルスーツの援護をして貰えませんか!?正規クルーが欠如している為に、民間人の彼が出ざるを得ないんです!」

「分かりました。」

 

その懇願にも聞こえる言葉を受け、楓は藤原隊と工藤隊に援護要請をする。

今回は、神谷奈緒が前回の戦闘の怪我の影響で出撃を控えている為、人数の少ない高森隊はキャリー・ベースの直営に回っていた。

只、ここで工藤忍の、困惑した声が聞こえて来る。

 

「うーん、艦長………それはいいんですけど………何かそのストライクという機体の様子が………。」

 

忍の言葉にソードストライクのパイロットであるキラを見てみると、何と彼はイージスのパイロットであるアスランとオープンチャンネルで叫びあっていた。

 

「キラ・ヤマト………やはり君なのか!?」

「アスラン………なぜ………なぜ君が!?」

 

戦場のど真ん中であるにも関わらず、完全に動揺してしまっている2人。

会話は尚も続く。

 

「お前こそ何でそんな物に乗っている!?」

「「ヘリオポリス」は中立コロニーだ!なのにどうして!?」

 

だが、どうも噛み合っていない。

お互いがお互いの事情を鑑みず、只、この状況が信じられない感じであった。

 

「状況も分からないナチュラル共が、こんな物を作るから………!」

「そんな………僕は………友達は………!!」

「止めろ!キラ!僕達は敵じゃない!そうだろ?君はこっち側の人間だ!!」

 

やがて、キラの方が言い淀み始め、アスランの方が強気に出てくる。

彼はモビルスーツを変形させ、巨大なクローが特徴的なモビルアーマー形態に変化する。

 

「もしもその機体に乗り続けるなら………壊してでも、奪い取る!」

 

最終的には、その一方的な宣告と共に、イージスはソードストライクに向けて加速する。

キラは寸での所で回避するが、動揺は収まっていなかった。

 

「不味い!?クローでストライクを鹵獲するつもりだ!応戦しろ!!」

「待って下さい、僕は!!」

「馬鹿野郎!捕虜になりたいのか!?お前が捕まったら、全員お陀仏なんだぞ!?」

 

ナタルの命令を受けても、動けないキラ。

そこに、ムウ・ラ・フラガが正論をぶつけて叱りつける。

マリューは、思わず楓達に叫んだ。

 

「友軍部隊の方々、援護をお願いします!この船には、逃げ遅れた民間人も収容されているんです!」

「くっ、僕は………っ!!」

 

それでもキラはアスランに攻撃を仕掛けられないでいたが、そこに冷たい声が響く。

何者かと一瞬やよいを含め皆が思ったが、それは肇であった。

 

「………深い事情があるようですが、守る術を持たない方々を放るわけにはいきませんよ。柚さん、卯月さん、忍さん、未央さん、ネネさん!最悪、私達だけであの機体を落とします!」

「くっそおおおおおお!!」

 

肇にしては、やたら強引な宣言のような気がすると、やよいはブリッジで思った。

しかし、それ以上にキラはやり切れないと感じたのか、叫びながらコンソールを叩き大剣………「シュベルトゲベール」を構える。

この反応を見て、イージスを駆るアスランは、怒りの感情を露わにした。

 

「邪魔をするな!」

 

そう言いながら放ったのは、四肢のクローの内側の本体中心部に備えられた、巨大なエネルギー砲である「スキュラ」。

7号機のビーム・キャノンに匹敵する威力を持っており、当たれば並のモビルスーツは吹き飛んでしまう程の威力だ。

だが、狙われた肇のヅダは、土星エンジンを吹かす事で、ギリギリの所ではあるが回避に成功する。

 

「義の為なら破壊も虐殺も許されると………っ!」

 

何か心の内に激情を抱えているような肇であったが、彼女はモビルスーツ形態に変形を行うイージスに、ヅダのザク・マシンガンをばら撒く。

射撃が下手な肇でも、流石に変形の際の隙ならば狙い撃ちが出来た。

だが………。

 

「無駄だ!」

「アレ?効いてないよ!?」

 

当てたのがマシンガンとはいえ、全く回避をせず無傷でいるイージスの姿を見て、喜多見柚が驚きの声を上げる。

どういうわけか、この敵機には実弾が効いていない。

すぐさま、マリューが慌てて声を上げる。

 

「ストライクもですが、あのイージスには「フェイズシフト装甲」があるんです!電力がある限り、物理的な衝撃をほぼ無効化します!」

「そういう重要な事は、先に言って下さいっ!」

 

明らかに苛立ちを隠さないでいる肇の姿に、やよいは何事かとブリッジで恐怖すら覚えたが、楓がすかさず叫ぶ。

 

「肇、落ち着きなさい!小隊長が、冷静さを失ってどうするんです!」

「ぐっ………すみません………ですが………!」

「ですがも何もありません!………要はビーム兵器ならば、問題は無いはずです。上手く対応してください!」

「………分かりました。卯月さん!」

 

楓によって頭を冷やされた肇は、新たにジムⅢ・ディフェンサーに乗る事になった島村卯月に応援を求める。

幸い、イージスは肇のヅダを「60mm高エネルギービームライフル」で狙っていたので、卯月は遠距離から撃ち放題であった。

だが、動きながら射撃を行うアスラン機はモビルスーツ形態でも動きが速く、「ロング・ライフル」の的を絞れない。

 

「ど、どうしよう………!?狙いが………!?」

「卯月ちゃん、とりあえず肇ちゃんに当てないように撃って!」

 

卯月に指示を送ったのは忍。

しかし、それではイージスに当てるのは不可能だし、何より今度は彼女を危険対象と認識して狙ってくるだろう。

肇ほどの操縦技術を持っていない彼女にとって、ガンダムの攻撃を躱すのは難しい。

だが、柚も未央も栗原ネネも長射程のビーム砲を持たないし、肝心の忍はジム・スナイパーⅡのロングレンジ・ビーム・ライフルを仕舞った状態である。

 

「やっぱり、凛ちゃんとの合流を待った方が………!」

「そんな弱気じゃ、この先、凛ちゃんにおんぶに抱っこだし、肇ちゃんが持たないって!大丈夫、アタシにいい考えがあるから!」

 

何やら策を閃いているような忍の言葉に、卯月は決断する。

このままでは確かに肇でも危なかったし、彼女は思い切ってロング・ライフルを放った。

 

「行けーーーっ!!」

「無駄な事を!」

 

だが、予想通りアスランのイージスは回避。

両腕両足から「ビームサーベル」を出現させ、卯月へと狙いを変えて高速で迫って来る。

勿論、卯月もジムⅢ・ディフェンサーの「ビーム・サーベル」を慌てて握るが、それよりもイージスの突き立てようとする挙動が速い。

やられる!?………と、彼女が思った時であった。

 

「この瞬間を待っていた!!」

 

そう横合いから声が聞こえた事で、卯月も柚も未央もネネも肇も、アスランでさえもギョっとする。

何と彼女は巨大なレーザーの刃を発した大剣を………構えた状態で棒立ちになっていたキラのソードストライクのシュベルトゲベールを奪い取り、鋭く振りかぶって来ていたのだ。

 

「何!?」

「当たれええええええ!!」

 

横合いから繰り出される上段から振りかぶられた斬撃は、忍の近接戦闘への適性も合わせて絶大な威力を誇った。

その刃は、卯月機にビームサーベルを突き立てようとしたイージスの両腕と両足を根こそぎ斬り落としたのだ。

 

「クッ………!キラ………!」

 

流石に戦闘続行は不可能だと判断したのか、アスランは破損したイージスを反転させ、戦場を離脱していく。

唖然としたキラにシュベルトゲベールを返すと、忍は卯月に謝った。

 

「ゴメンね、卯月ちゃん。囮にするような真似をして。」

「う、ううん………大丈夫だけれど………よくそんな破天荒な戦い方、思い付いたね………。」

「え?そりゃ………シミュレーターとはいえ、空いた時間に連邦やジオンなどの色んな機体を試運転してたから………。」

「空いた時間って………。」

 

卯月は思わず呆れてしまう。

………というのも、忍は体に無茶を施してでも鍛える癖があり、時間を忘れてトレーニングやシミュレーターに没頭する事も多いのだ。

故に、空いた時間というよりは、無理やり時間を作って………と言った方が彼女には相応しかった。

そもそも、一番無難に扱えたのが大振りの大剣という時点で、やっぱり狙撃機よりも近接機体向けなのでは?………と思った卯月を始めとした一同である。

 

「とにかく、これでこの宙域の戦闘は………終わらないか。」

 

忍が無理やり纏めようとした時であった。

空間にヒビが入り異変が起こる。

「ヘリオポリス」宙域でも、ジェネレーション・ブレイクが発生したのだ。

 

 

渋谷凛の駆るガンダムの力。

アスラン・ザラの駆るガンダムの力。

味方になっても敵になっても強力な力になり得るマシンに、シンデレラガールズはどうやって対処していくのか。




ガンダムって、一般的に名前に見合った性能を持つ為、味方ならば頼もしいですが、敵だと厄介ですよね。
PHASE1でも、ガトー・ニューロの試作2号機の強さが光ったと思います。
マグネットコーティングやフェイズシフト装甲など、厄介な特殊装備が付いている事があるのも、それに拍車を掛けているのかもしれませんね。

今回、アスラン・ザラをキラ・ヤマトがいきなり斬れるはずも無かったので、工藤忍さんにビーム付き大剣を拝借して貰っています。
彼女って多分、いざという時は射撃よりも格闘の方が得意なタイプだと思うんですよね。
皆様は、どう思います?
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