モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第16話 PHASE2-5『強運のジャンク屋』

トリオで行動するジンの花見隊相手に、渋谷凛は1人で対峙するが、ガンダムの力を使いこなした事で難なく退かせる事に成功する。

 

一方で、ソードストライクガンダムを駆るキラ・ヤマトと、イージスガンダムを駆るアスラン・ザラは、会話が噛み合わない状態であった。

応戦が出来ないキラを前に、何故かアスランに対して苛立ちを見せた藤原肇が、自分達だけで倒すと宣言。

だが、フェイズシフト装甲と呼ばれる特殊装甲を持つガンダムにシンデレラガールズの面々は苦戦させられてしまう。

 

最終的には工藤忍の奇策によって、辛くも迎撃をする事が出来たものの、彼女達はガンダムの恐ろしさを色々な意味で知る事になった。

 

そして、発生するジェネレーション・ブレイク。

一体、何が起こるのか………?

 

 

 

時は少し遡る。

凛のフルアーマー7号機にやられたジンの花見隊は、撤収時に同じ部隊の仲間とすれ違った。

 

「随分、酷くやられたわね………。」

「無念………。今の状況では、最後のGよりも、あの次元の歪みで乱入してきた機体の方が驚異だ。」

 

部隊を率いる女性に対し、ランタ・ロウが冷静に状況を伝える。

送られた戦闘映像を見た女性は、少しだけ眉をひそめると、配下として率いる事になったジンのパイロット達にも共有していった。

そんな中、キリ・マールとシンベエは、現在前線にいるアスランの状況に付いて説明する。

 

「今はアスランが1人で応戦していると思うけれど、何か動きが鈍いのよねぇ………。」

「心ここに在らずって感じだ。」

「………色々と事情があるのでしょう。とにかく、貴方達のデータを元に、第二波は背後から襲わせるわ。特にGの母艦さえ潰せば、降伏せざるを得ないでしょうし。」

 

彼女はそう言うと、配下のジンに作戦を伝えていく。

そんな女性パイロットに敬礼をしながら、ランタ・ロウ達は引き上げていった。

 

「健闘を祈る………。黒白の騎士(こくはくのきし)よ。」

 

女性が持つ二つ名をしっかりと口にしながら。

 

 

ジェネレーション・ブレイクが起こった事で、当然ながらシンデレラガールズの面々は、増援に警戒をする。

アークエンジェルも、実際に機体が出現する現象を体感する事になった。

慌ただしくなるクルーの中で、アーノルド・ノイマンがマイクを使い、宙域にいる全ての味方パイロット達に伝達をする。

 

「熱量感知!モビルスーツ展開!」

「まだ来るっ!?」

「敵はザフトのクルーゼ隊なんだ!アイツはしつこいぞ!」

「対モビルスーツ戦闘!目標データ入力、急げッ!!」

 

身構えるマリュー・ラミアスに対し、ムウ・ラ・フラガが油断しないように釘を刺す。

一方でナタル・バジルールは、やらないよりはマシだと、非正規クルー達に指示を飛ばしていた。

そこで、ノイマンの声が響く。

 

「ザフトのジンの増援です!後方から6機展開!前方から3機………いや、1機は「シグー」です!」

「シグーだと!?白いクルーゼ機か!?」

「モニターに映します!」

 

食い入るようにモニターを見つめるムウであったが、映し出されたシグーは白では無く、ノーマルカラーのシルバーである。

だが、ここで別の違いにムウは思わず呟く。

 

「何だ!?あの増加装甲は………?」

 

シグーというのは、ジンの発展機であり、指揮官機として乗りこなされる事の多い機体であった。

見た目の兵装はバルルス改特火重粒子砲が使えない分、ジンよりは破壊力に劣るが、その分高性能であり、スマートな外見が印象的であるのだ。

ところが、目の前に迫って来ているシグーは、胸部・肩部・前腕部に増加装甲が施されており、ゴテゴテしさがある。

それでも機動性が追従するジンと比べて段違いである所を見ると、スラスターが増設されているのだろう。

 

「機体識別完了………。中央の1機は「シグーアサルト」です。」

「分かるのか!?というか、どうやって回線に割り込んで来た!?」

「アプロディアさんの力です。それより、あの機体ですが………。」

 

モニターにヘッドギアを被った綾瀬穂乃香が映し出された事で、思わずナタルが正論とも言えるツッコミを入れる事になるが、彼女は気にせず機体の特徴を説明していく。

シグーの機動力を更に高めたのがシグーアサルトであるらしく、大気圏内での飛行性能が飛躍的に増大しているらしい。

あまりに滅茶苦茶な説明に、驚愕するアークエンジェルのクルー達であったが、実際それだけのスペックを持っていそうな機体であるのは、見た目で分かった。

ここで高垣楓が素早く指示を出す。

 

「3つに部隊を分けてザフトに対処するしかありません。藤原隊は、前方のシグーアサルト達の相手を!工藤隊は、アークエンジェルの直営を!後方の部隊の相手は凛に………申し訳ありませんが、都さんと芽衣子さんも戦闘を頼めないでしょうか?」

「了解です。後、遠慮なく呼び捨てして貰って構いませんよ。」

「そうそう!私達も一時的とはいえ、部隊の仲間ですから!」

 

安斎都が真面目に、並木芽衣子が元気に答えてくれた事で、楓は内心ホッとする。

ところが、ここで更にノイマンが警告を出す。

 

「「へリオポリス」内部より熱量感知!何かが来ます!」

「また!?」

「イレギュラーが多すぎだ!索敵急げ!!」

 

もう匙を投げたくなったナタルであったが、辛抱強く指示を飛ばしマリューをサポートする。

しかし、爆発と共に現れた機体は………何と赤と白で出来た「ガンダム」の姿をしていた。

そして、その機体からであろうか、マイクによる嬉しそうな声が聞こえてくる。

 

「まったく、俺は宇宙一運がいいぜ。「ヘリオポリス」の残骸の中に、こんなモビルスーツを見つけるとは………!コイツは新型のモビルスーツだ!!8!システムチェック頼む!」

 

その声を聞いた途端、渋谷凛と島村卯月、そして本田未央の3人は、目を見開く。

彼女達にとっては、聞きなれた声。

そして、映し出されたモニターに男が写り、更にやたら人間臭い機械の音声が響いて来る。

 

「了解!システムチェック開始!」

 

その機械………8(ハチ)は、素早くモビルスーツを解析していく。

もはや確証を得たオーブの3人の娘は、マイクで男に叫ぶ。

 

「そ、その声、もしかして………!」

「ロウさん!?」

「それに8も!?」

 

「おお!卯月に凛に未央じゃないか!久しぶりだな!どうだ、このレッドフレームってやつ!装備に「ビームライフル」もあるんだぜ!スゲエお宝だろ!!」

 

声が届いた瞬間、男………ロウ・ギュールは満面の笑みを浮かべて卯月達に挨拶。

アークエンジェルやザフトは更なる機体の出現に動揺し、たたらを踏んでいたが、ロウは気にする様子も無い。

昔、オーブで作業用モビルアーマーに乗せていた彼女達3人と、再会した喜びを隠す事無く、呑気に手を振っていた。

 

「ボディチェック開始………。凛は身長が伸びて、卯月は尻がデカくなったのか。未央も胸が大きくなったみたいだし、3人とも大人の色気が増したな。」

 

そんな中、疑似人格コンピュータである8は何を考えているのか、3人のボディを確かめる事に。

いきなり皆の前で暴露された秘密を前に、未央がガクッと思わず固定シートから転げ落ちそうになり、凛は顔を真っ赤にして叫ぶ。

 

「8!アンタはオヤジかッ!!………じゃなくて今、戦闘の真っ最中なんだよ!お宝どころの騒ぎじゃないって!」

「そ、そうだよ!早く逃げて!相手は命を狙っているんだよ!?」

 

卯月もまた赤面し、狼狽えながらもロウ達に安全確保を呼び掛ける。

だが、ロウはジリジリと距離を詰めるジン達を確認しながらも、強気の姿勢を崩さない。

 

「何言ってるんだ!せっかく見つけたお宝をみすみす捨ててたまるかよ!それに、困っているのはお互い様だろ?協力し合えばどうにかなるって!」

 

この状況下において、楽観的にも捉えられるロウの姿に、恥ずかしい秘密を暴露されたためか、未央が冷めた目をして告げる。

 

「………それ、多分ガンダムだよね?高性能そうだけど、ロウさんの体、追いつくの?」

「確かに………ロウさん、一応区分としてはナチュラルだよね?にわかで戦闘のプロに勝てるほど、戦場は甘くは無いよ?」

 

あまりの呑気さに頭痛が発生したのか、凛が頭に片手を当てながら更に告げる。

この頃には穂乃香による解析が終わっており、ロウの搭乗している機体が「ガンダムアストレイ レッドフレーム」だという事が分かった。

つまり、キラ・ヤマトが搭乗しているソードストライクガンダムとほぼ一緒の性能というわけだ。

 

「フェイズシフト装甲はありませんが、確かに高性能機体です。未央ちゃん達の言っている通り、体に追いつくかですが………。」

 

穂乃香はそう告げる事で、ロウに危険意識を持たせようとするが、彼はドンと胸を叩くと、自信満々に告げる。

 

「その為の相棒、8だ!それに、俺はメカ専門のジャンク屋だぜ?だから、メカに関する事なら、この俺に不可能は無いぜ!」

「でも………。」

「相手が戦闘のプロなら、こっちはジャンクはのプロ!一味違う戦い方っての、見せてやるぜッ!!」

 

もう完全にやる気………いや、生き残る気満々のロウは、ビームライフルを構える。

初めて乗る人型モビルスーツの動きに、本来ならば対応は難しいと思われたが、8のサポートは想像以上にいいのか、ロウはかなり快適に動かしていた。

その為、先頭にいるジンが2機がかりで放ったバルルス改特火重粒子砲のビームも、簡単に回避してしまう。

 

「流石、8!………じゃ、まずは、コイツからだ!」

 

レッドフレームから連射されたビームライフルは、正直、あまり精度は良く無かった。

しかし、ザフトの一般兵も初見でビームを避けられる程の訓練は受けていないらしく、8によって変則的な動きを見せられる事もあり、1機に掠って爆発を起こす。

 

「いいな、これ!じゃあ、「ビームサーベル」も!」

 

そのまま上機嫌でビームの刃を抜き放つと、武器を持ち換えようとするジンに肉薄し、一気に袈裟斬りにする。

ロウは元々の才能からか、射撃戦よりも格闘戦の方が得意であるらしく、こちらの方が、一連の動きがスムーズであった。

 

「スゲエな、本当に!機関砲である「イーゲルシュテルン」もあるのか!?こりゃ、色々と手を加えやすそうだぜ!」

「ロウさん………早速色々と改造手段を考えてるの………?」

 

昔から魔改造とも言えるような事をやっていたロウの姿を思い出し、更に呆れる凛。

そんな彼女もフルアーマー7号機を操り、「ビーム・ライフル」による連射と、背部長距離ビーム・キャノンによる長距離射撃で、キャリー・ベースを狙う2機のジンを撃ち落としている。

 

「中々、面白い人と見ました。………と、こちらはこちらで集中しないと。」

 

また、その反対側では、都のザクフリッパーが、離れながら「ザク・バズーカ」で牽制。

当然、ジン2機はバルルス改特火重粒子砲で実弾を撃ち落としながら逆にビーム砲で都機を狙う。

 

「予想通り大技で来たね!さてさて………躱せるかな!」

 

隙が出来るのを狙っていたのか、芽衣子のハイブースト・ジムが、背中のブースターを吹かして一気にジンの1機に急速で接近。

左手の「マシン・ピストル」によるビーム射撃を連射してコックピットに穴を開けると、もう1機を狙う。

しかし、そのジンは牽制をしようと慌てて76mm重突撃機銃に持ち替えようとした。

 

「やらせませんよ。」

 

だが、芽衣子機に向けられた重突撃機銃は、突如爆発を起こす。

都機がザク・バズーカで器用に破壊したのだ。

ジンのパイロットは更に別の武装に持ち替えようとするが、時すでに遅く、芽衣子機の右手のマシン・ピストルがコックピットに突き付けられ連射されて撃沈。

後方の部隊は、全機無力化される事になる。

 

「やっぱり俺は、宇宙一運がいいぜ!こういうピンチも、乗り切れるんだからよ!」

「ロウさん………調子に乗り過ぎだって。8も何か言ったら?」

「凛は、胸はまだそこまで成長は………。」

「それはもういいっ!!」

 

漫才みたいなやり取りをした後で、深く溜息を付いた凛はアークエンジェルの前方の方を確認する。

隊長機を含め、3機のザフト機を相手にしていた面々が、どうなっているのかが気になったからだ。

 

「これは………!?」

 

彼女は驚愕する。

追従していたジン2機は早々に撃破されていたが、隊長機のシグーアサルトが無傷で縦横無尽に立ち回っていたのだ。

しかも、機動力の高い藤原肇のヅダが何とか追従している形であるので、下手に手出しが出せない状態になっている。

一応、イージスガンダムの時と同じく卯月がジムⅢ・ディフェンサーのロング・ライフルで牽制射撃を行ってはいたが、相手には、それを完全に無視するだけの余裕があった。

 

「一体、アイツは何者なの………?」

 

思わず身構えた凛の呟きが、宙域に響く。

彼女は明らかに、1人でジンの花見隊3人分以上の力を持っていた。

 

 

肇のヅダに匹敵する力を持つ、ザフトの隊長機。

果たして、そのパイロットは何者なのか?

そして、一騎打ちに近い形になっているこの戦いの結末は?




小説だと、ゲームや動画では表現できないようなオリジナル展開を作り出す事も出来ます。
その一部が、今回のシグーアサルトの登場ですね。
gジェネだとクロスレイズでしか見られないその雄姿に惹かれ、登場させてみました。

ちなみに、搭乗しているパイロットが誰か、予想出来る方はいるでしょうか?
答え合わせは2日後の次話をお待ちください。

…ロウ・ギュールの楽観さと根性論を語るコンピュータである8は、名コンビだと思うんです。
日常生活にいると、退屈しない毎日を送れそうですよね。
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