モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第19話 PHASE2-8『強行突破』

シークレット・ユニットのヴァル・ヴァロを駆るケリィ・ニューロは、高槻やよいに対し、世界の平和を乱す愚行だと告げる。

その言葉に怒りを覚えたやよいは、バルバトスが好き勝手やって自分の望む世界を作っているのが悪いと反論。

しかし、ケリィ・ニューロはバルバトスに私利私欲という物は無く、そもそも戦乱を起こすのは、人々自身の悪意によるものだと発言。

この世界を知らない世間知らずなやよいの言葉その物が愚かであると否定するが、そこに喜多見柚が冷めた目で割り込んでくる。

 

彼女や工藤忍、綾瀬穂乃香、桃井あずきは、バルバトスによって世界を滅ぼされた者。

だからこそ、ケリィ・ニューロの言っている事は嘘でしか無いと柚は言い切る。

しかし今度は、ジェネレーション・ブレイクを起こせるようになった世界の人々が、他の次元の世界に侵攻するのは時間の問題だったと告げ、その存在その物が罪であったと彼は叱責。

 

その言葉を聞いた柚が叫んだのは、やよいにとって衝撃的な言葉であった。

 

「プロデューサーを………愚弄するなぁッ!!」

 

アイドルとして親しみの深いプロデューサーという発言と共に、柚は暴走し、1人オクト・エイプでヴァル・ヴァロに無謀な突撃を行ってしまう。

耐ビームコーティングがある中で彼女は苦戦させられるが、安斎都の閃きを受けた渋谷凛フルアーマー7号機の援護も有り、最終的にはビームサーベルを突き立て撃破。

しかし、最期のケリィ・ニューロの告げた言葉は、水瀬伊織からの伝言と情けであったというやよいにとっては驚きを隠せないものであった。

 

柚達4人の居た世界は、どのような存在であったのか?

そして、ケリィ・ニューロの言葉が正しければ、伊織は………。

 

 

 

「はあ………はあ………。」

「………大丈夫、柚ちゃん?」

「………ゴメン、我を見失っていた。」

 

一通り暴走をしてしまい、荒く息を吐いている柚を心配する島村卯月。

柚は自分の行為を恥じ、素直に謝罪をする。

 

「あの………柚さん、さっきの言葉………。」

「すみません………!あのシグーアサルト、逃してしまいました………。」

 

ここで、崩壊したコロニー「ヘリオポリス」から、藤原肇のヅダが戻って来て、こちらも謝罪。

結果的にやよいの言葉を遮ってしまう。

艦長である高垣楓は、片手で頭を押さえながら、ため息を付き2人に告げる。

 

「……………2人共、後で反省文を書いて貰いますよ。結果次第では独房にぶち込まれても文句は言えないのですから。」

『はい……………。』

 

流石に身勝手な独断行動であったと感じていたのか、肇も柚も落ち込む。

楓は穂乃香の方を見ると、冷静に勤めながら問う。

 

「次元圧縮プログラムは収まりましたか?」

「まだです。あ、この反応は………!?」

 

ここで穂乃香が叫ぶと同時に、空間にヒビが入る。

ジェネレーション・ブレイクが更に起こったのだ。

 

「あの機体は………?」

 

キャリー・ベースの直営隊を担っている、ハイザック・カスタムを駆る高森藍子が身構える。

遠方から赤いトサカを持ったモノアイのモビルスーツ………ティターンズの「ガルバルディβ」が3機と、その後ろからハイザックが1機急行してきたのだ。

更に、その両翼には、ジム・クゥエルを2機ずつ発艦させている母艦「サラミス改」もいる。

 

「もしかして………!?」

「うん、ティターンズがまた………!」

 

ティエレン宇宙型に乗る緒方智絵里の言葉に、藍子は頷く。

それは、彼女の宿命の敵勢力であった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「追いかけていた連合の艦がコロニーを破壊した………?そんな話は聞いてないぞ!?だが、あの連合の艦はホワイトベースのように見える。これも、次元の歪みの影響なのか?」

 

先頭のガルバルディβを駆る女性パイロット………ライラ・ミラ・ライラが、疑念の声を上げる。

彼女達が追いかけていた連合の艦隊は次元の歪みによって見失われ、代わりにアークエンジェルを発見してしまったらしい。

しかし、その後ろを追従するハイザックのパイロットであるジェリド・メサが、ハイザック・カスタムを見つけた途端、事もあろうかオープンチャンネルで叫ぶ。

 

「あのハイザック!?貴様、ドラム缶女か!!」

 

その言葉を聞いた藍子は、コンソールに思いっきり頭を打ち付ける。

彼女は頭を痛そうに押さえながら、非常に不快そうに叫んだ。

 

「ドラム缶って!?また貴方なの、ジェリド!?」

 

一方、ライラの方は至って冷静にジェリドに知り合いなのか?………と告げる。

ジェリドの方は躍起になって、彼女に言った。

 

「裏切り者だ!聞いた事があるだろ、B-AAAと呼ばれていたスナイパーを!」

「何だと!?「アサルト・アーマー・エース・ブレイカー」だと!?知っているに決まっているだろう!その優れた狙撃能力で、ティターンズに仇成す者を沈めて来た名手だ!」

 

ライラの方も驚愕している所を見ると、藍子の狙撃に関する力は相当だった模様。

実際、揶揄されていたとはいえ二つ名付きなのだから、その実力は味方からも恐れられていたのだろう。

しかし、藍子の方は非常に面倒そうにジェリドにマイクで告げる。

 

「人の黒歴史を明かさないでよ………。」

「五月蠅い!称賛されていたくせに逃げやがって!ムカつくんだよ、そんな身勝手は!!」

 

藍子の嫌そうな言葉を聞く事も無く、ジェリドは怒りに任せてビーム・ライフルを構える。

ライラの方は非常に複雑そうな表情をしながらも、あくまで冷静に言葉を紡いだ。

 

「………脱走兵というのならば、制裁は加えなければならないな。ライラ隊、これより仕掛けるぞ!ジェリド中尉は隊に続け!」

「ああ!」

 

言葉を受けたジェリドは、ようやく藍子を倒せると考え、ニヤリと笑みを浮かべる。

そして、激情に任せて叫んだ。

 

「今回はあの変な悪人面はいないんだ!俺だっていつかはこの手でティターンズを使って見せる!その為には、相手がエースだろうが木馬だろうがB-AAAだろうが何だろうが!!」

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「………あの人、何で本当に女性に気を遣えないの?………艦長、どうします?」

 

藍子の方はと言うと、頭痛を覚えながらも、迫って来る艦隊をどうするか問う。

先頭のガルバルディβ………ライラ機は、恐らく実力者であろう。

何だかんだ言った所で、ジェリドもそれなりの実力者。

敵の母艦も2隻あるのだから、連戦で消耗した状態で普通にやり合うのは若干不利であった。

何よりも、ジェネレーション・ブレイクが頻発しているこの「ヘリオポリス」宙域から早く脱出したい。

恐らく、それはアークエンジェル側もそうであろう。

ここで楓は、一計を案じた。

 

「………まず、肇、柚。反省文の代わりに協力して機体の鹵獲は出来ますか?」

『鹵獲!?』

 

確かに前回の「サイド7」の戦闘で、肇はヅダでティエレンを2機鹵獲している。

肇の技量と柚の支援があれば、隊長機の2機はともかく、他の機体は狙える可能性はあった。

 

「敵の機体性能は、良さそうですからね。それだけ元気ならば、まだまだ暴れまわって貰います。………その代わり、卯月は藍子と智絵里と共に、キャリー・ベースの直営に回って貰いますよ。」

「分かりました………。」

 

一方で卯月はジムⅢ・ディフェンサーをまだ使いこなしきれていない。

ジムⅢにGディフェンサーを合体して運用したのはいいが、訓練が足りていないのだ。

その為、キャリー・ベース上で固定砲台を担って貰う選択肢を取る。

更に、楓はアークエンジェルの通信に割り込み、冷静に告げた。

 

「右翼のサラミス改を撃破して、脱出を図りましょう。但し、モビルスーツ戦闘が主軸になります。すみませんが、そちらの艦は、忍、未央、ネネ、凛、都、芽衣子と共に、正面の艦隊を相手にして貰えますか?」

 

「ナタル………どう思う?」

「認めたくないですが………現時点では、本艦よりも指揮能力も戦闘能力も向こうの方が高いと言わざるを得ません。」

「そうね………分かったわ。楓さん………だったかしら?他に私達に出来る事はある?」

 

実力を示された事で、ナタル・バジルールですら楓の指揮下に入る事を選択。

そもそも、戦力の大半をアークエンジェルに回してくれているのだから、文句は言えないだろう。

マリュー・ラミアスは、楓に更に必要な物を問う。

 

「ストライク………でしたね。彼が使っているような大剣はありますか?先程の戦闘を鑑みると、忍に持たせておきたいです。」

「流石にシュベルトゲベールは渡せないけれど、「グランドスラム」ならどうかしら?実体剣だから、エネルギーが無くても扱えるはずよ。」

 

アークエンジェルの格納庫からカタパルトデッキに乗って、ジンの重斬刀にも似た銀色の大剣が出てくる。

どうやら、ザフトのデータを用いて作られた試験的な兵装であるらしい。

只、ストライクガンダムだと扱いにくいという事で、正式採用はまだされていないのだ。

 

「ありがとうございます!………うーん、いい感じかも。」

 

忍はその切れ味を確かめるように振ると、大剣を構える。

ジム・スナイパーⅡで大剣とは妙な恰好ではあったが、彼女だと何故か様になっていた。

更に、楓はソードストライクガンダムに乗るキラ・ヤマトに言った。

 

「最大限の支援を行いますので、キラ君は目の前の敵に集中してください。無理な突撃はしなくて大丈夫ですよ。」

「わ、分かりました。やってみます!」

 

それまでほぼ動けなかったことを考えると、キラは、才能はありそうだが実戦経験はほとんど無さそうであった。

だからこそ、身を守る事を優先させる。

ここで、ガンダムアストレイ レッドフレームを操るロウ・ギュールが楓に聞いて来た。

 

「俺はどうすればいい、艦長さん。希望としては一緒に逃げたいんだけどな。」

「全体のバックアップを頼みます。後、余裕があれば、肇達が鹵獲した機体を、こちらの艦に放り込んで下さい。私達も今、お宝は喉から手が出る程、欲しい状況ですので。」

「へへ、アンタもいい性格してるな。それじゃあ、とんずら作戦を始めますか!」

 

最後に茶目っ気のある言葉を述べた事で、ロウは笑みを浮かべて右手でOKサインを出す。

そして、最初に凛が無力化していたジンの下へ向かうと、言葉通り、キャリー・ベースへと運び始めた。

 

「舐めた真似を………しやがって!!」

 

その平然と背中を向けるロウの行為がジェリドの逆鱗に触れたのか、彼はレッドフレームにビーム・ライフルを連射する。

しかし、後ろを向いてジンを抱えていても、8のサポートがある為にヒラリと回避してしまう。

 

「でも二流だぜ!アンタ!!ガチガチに固すぎて、アンタの良さが台無しだ!」

「何だ………と!?」

 

ジェリドが更に、怒りをぶつけようとした時であった。

その頭部が、ビームによって吹き飛ぶ。

藍子がハイザック・カスタムの狙撃用ビーム・ランチャーを遠距離から撃ち、隙だらけのジェリドのハイザックに向けて狙い撃ちをしたのだ。

尚も、智絵里機の200mm×25口径長滑腔砲と、卯月機のロング・ライフルが飛来した事で、ジェリドは退かざるを得なくなる。

 

「この………ドラム缶女ァッ!!」

 

戦域から離脱する彼は、捨て台詞を残す事しか出来なかった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ジェリド!?………これが、B-AAAの実力か!」

 

ライラは遠距離から狙撃されて無力化されたジェリドを見て、せめてガンダムだけでも倒せないかと2機の僚機に指示を出す。

3機掛かりでガンダムに挑まれたら困るので、ここはグランドスラムを構えた忍の他、本田未央、栗原ネネが前に出る。

 

「今回は、まだまだ弾薬がありますよ!」

 

ネネがそう言うと、ジーライン スタンダードアーマーのガトリング・スマッシャーとショート・ライフルで弾幕を張っていく。

これで、ネネ達から見て左翼の1体が進路を塞がれる形に。

更に未央が、下に移動してネネの弾幕から逃れようとしたガルバルディβの1機に、パワード・ジムの「ブルパップ・マシンガン」を放ち、シールドで防御させる。

 

「しのむー、今!」

「アシスト感謝!!」

 

動きを止められた事で、グランドスラムを左に振りかぶった忍が高速接近。

駆け抜けるように右に薙ぎ払う形でシールドごと横に真っ二つにし、爆散させた。

 

「柚さん、こちらも行きますよ!」

「了解!今度はビームが効く相手だから………!」

 

ビームライフルを連射する柚だが、ガルバルディβのパイロットも只でやらせる気は無いらしく、回避行動取りながら、シールドの2発の「ミサイル」を発射。

しかし、柚もオクト・エイプをうまく操り回避をした。

 

「まずは………頂きます!」

 

この隙に肇がヅダを背後に回らせ、バーニア部分にシールド・ピックを突き立て無力化。

パイロットが脱出したのを見て、ロウのレッドフレームが再び機体の回収に向かう。

 

「ガンダム!頂くよ!」

 

一方でライラは、「ビーム・サーベル」を右手に掴み、接近して一気に決める算段を取っていた。

ソードストライクは接近戦仕様だが、近づけば他の機体の援護が出来ないというのもある。

 

「くっ………こうなったら!」

 

しかし、キラはソードストライクの左腕の小型シールドをかざすと、そこからロケットアンカーである「パンツァーアイゼン」を放った。

そのアンカーはガルバルディβのサーベルを持った右腕に組みつき、動きを阻害してしまう。

 

「何っ!?くっ………!」

「下がってくれぇっ!!」

 

ライラがビーム・サーベルを左手に持ち替えようとしている間に、キラはシュベルトゲベールを振りかぶる。

何とかライラは持ち替えたビーム・サーベルで防御が間に合い、鍔迫り合いで上手く力を加え押し返す。

そのまま、シールドのミサイルをシュベルトゲベールとパンツァーアイゼンのワイヤー部分に1発ずつ撃ち、破壊して拘束から逃れる事に成功。

 

「甘いね!」

「だったらぁっ!!」

 

キラは残された武装であるビームブーメランである「マイダスメッサー」を投げ飛ばす。

回転するブーメランを回避したライラであったが、このブーメランは宇宙でも反転して戻って来る。

しかし、その意表を突いた攻撃でも、彼女は上に機体をのけぞらせる事で刃を回避してみせた。

 

「見た所、これでもう、真面な武器は………!」

「まだだぁっ!!」

「!?」

 

だが、ライラは驚く。

キラは突撃をしてくると、何と左手甲の小型シールドで払う形で、モノアイの頭部を殴りつけたのだ。

 

「何て滅茶苦茶な!?」

「うわあぁっ!!」

 

これは流石に予想外だった為、怯むライラ機。

更にキラは、その勢いで右に回転しながら回し蹴りを放ち、トサカ状の頭部に脚部をめり込ませる。

 

「メインカメラが!?………ここまでか!退かせて貰う!」

 

「ビーム・ライフル」を右手で掴み、適当に乱射しながら下がっていく事で、キラの追撃を許さないライラ機。

キラは脱力しながら、荒い息をコックピット内で吐いていた。

 

 

ティターンズの敵大将機達は、これで撤退をする。

しかし、まだサラミス改の母艦が残っている中、どうやってこの宙域から脱出するのか?




まさかの連続でのティターンズの登場。

藍子の黒歴史であるB-AAAは、ニコ動では「バスター・トリプルエース」と名乗っていました。
でも、しっかりとした意味があまり感じられなかったので、小説では今回のような言葉にしています。

ライラ・ミラ・ライラをキラ・ヤマトが回し蹴りで撤退させてますが、この技?は、カミーユ・ビダンのガンダムMk-Ⅱのオマージュとなっています。
偶然見た時、カッコいいと思ったんですよね、あの蹴り。
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