シークレット・ユニットに対し怒りが収まった喜多見柚と、コロニーの中から戻って来た藤原肇に嘆息しながらも、高垣楓は釘を刺す事に。
しかし、ここでティターンズの増援がジェネレーション・ブレイクにより発生し、ライラ・ミラ・ライラに率いられ、再びジェリド・メサが登場。
相変わらず高森藍子を目の敵にするジェリドと、脱走兵には制裁を加えないといけないと冷静に告げるライラ。
ここで、楓はアークエンジェルと協力し、右翼のサラミス改を破壊し、脱出を図る決断をする事に。
それぞれに役目を与える中、襲って来たジェリドやライラを追い払った事で、戦闘は佳境に入る。
果たして、彼女達は「ヘリオポリス」宙域から脱出する事は可能なのか………?
「後は右翼のサラミス改を撃破するだけですが………。」
「少しだけ隙を作って貰えないかしら?こちらに手があるわ。」
「分かりました。美穂、友紀、やりますよ!」
マリュー・ラミアスの言葉を受け、キャリー・ベースを操る楓は、砲撃士の小日向美穂と操縦士の姫川友紀に指示を出す。
敢えてサラミス改の正面に出ると、連装メガ粒子砲の射程圏内に入れる。
「狙える位置に来ました、艦長!」
「連装メガ粒子砲………撃てッ!」
楓の号令で、美穂が砲撃を放つ。
しかし、サラミス改は細長い艦をキャリー・ベースの両サイドから放たれるメガ粒子砲の間に入れる事で、上手く回避。
逆に「単装メガ粒子砲」で狙ってくる。
「あっぶないなぁっ!?」
友紀が艦を右に曲げるようにしながら回避をする事で、艦隊戦はお互い初撃が外れる事になる。
しかし、その間にキャリー・ベースの左側に位置するアークエンジェルが右に回頭をしており、サラミス改を射角に捉えていた。
両サイドの前脚部の上部がスライドしたかと思えば、それぞれ2門の砲塔が出現する。
「「ゴッドフリートMk.71」を使うぞ!砲撃後に一気に加速する!」
「ゴッドフリート………撃てーーーっ!!」
ナタル・バジルールの指示で砲塔部分にエネルギーがチャージされたかと思えば、マリューが号令を発する事で一気に砲撃が放たれる。
その強烈な一撃は、キャリー・ベースの物よりも数段火力が高く、狙ったサラミス改に極太の風穴を開けたかと思いきや、一気に爆散させた。
「とんでもない威力ですね………こちらも、加速しますよ!モビルスーツ隊は、進路妨害するジム・クウェル2機を対処してください!」
「分かりました!」
右翼のジム・クウェル2機は、ビーム・ライフルでキャリー・ベースを狙おうとするが、ここで肇が上方からヅダを高速旋回させて後ろに回る。
「ジム・クゥエルも頂戴します!」
意表を突かれたジム・クゥエルの背面から逆さまの状態で、上から下にすり抜けるようにしてヒート・ホークでバーニア部分を破壊。1機を無力化してしまう。
驚いたもう1機のジム・クゥエルは慌ててヅダを追いかけようとするが、直営隊の高森藍子のハイザックの狙撃用ビーム・ランチャーで狙い撃たれ、コックピットを貫かれて爆散した。
「なんつーか、ジャンク屋に1人は欲しいよな、ああいうヤツ。」
ガンダムアストレイ レッドフレームを駆るロウが、肇の鹵獲技術に関心をしながらパイロットが脱出したジム・クゥエルを更に回収していく。
そうしている間に、キャリー・ベースとアークエンジェルは加速し、戦域を離脱する。
左翼のサラミス改から発進しているジム・クゥエル2機が追いかけようとするが、渋谷凛がフルアーマー7号機の肩掛け式の「ハイパー・バズーカ」を放って牽制。
更に、安斎都がザクフリッパーのザク・バズーカを、並木芽衣子がハイブースト・ジムのマシン・ピストルを追加で放って近づけさせない。
2隻の艦とモビルスーツ部隊は、一気に「ヘリオポリス」宙域から脱出をした。
「ありがとうございます、友軍部隊の方々。お陰で助かりました。」
「いえ………こちらこそ、協力して貰って感謝しかありません。………そういえば、自己紹介がまだでしたね。改めまして、私は高垣楓と申します。」
「マリュー・ラミアスです。………良ければ部隊名を教えて貰えませんか?」
先頭終了後、ヘリオポリスから距離を取ったマリューと楓が、互いに挨拶を躱す。
その際に、当然ながら所属を聞かれたので、楓はこう答える。
「シンデレラガールズと言います。この次元の歪みの謎の探求が任務ですね。」
「おっ、何か俺の好みそうな部隊じゃん。時間があれば、ナンパするんだけれどねー。」
「気持ちは嬉しいですが、高確率でロリコンの称号が付きますよ?」
ここで、臨時砲撃士を担当していたムウ・ラ・フラガが軽い調子で言ってくる。
無論、場を和ませる為の発言だし、本気で言っているわけでは無い。
その為、楓も冗談?………で返すが、あまりにも心に突き刺さったのか、ムウの顔が「のワの」文字になる。
「あの、ありがとうございます。お陰でどうにかなりました。」
一方で、キラ・ヤマトもまた、シンデレラガールズのパイロットに挨拶をしていた。
こちらは代表して、肇が答える事に。
「こちらこそ、これからの旅路、気を付けて下さいね。」
「はい!」
戦闘での高揚感をそのままに答えるキラであったが、彼は肇の不殺とも取れる戦い方に、魅了されていたのは、また別の話。
ここで工藤忍は、ハッとした顔で、背中にマウントした大剣グランドスラムを取り出す。
「そうだ!これ、返さないと!」
「お礼代わりに持って行って下さい。予備はまだありますし、貴女には必要そうですから。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
マリューに許可を貰った事で喜ぶ忍は、再びグランドスラムをマウントする。
何だかんだ言って、この装備を気に入っているようであった。
そして、最後にロウが楓達に挨拶をしてくる。
「それじゃあ、俺も失礼するぜ。卯月、凛、未央、お前達も気を付けてな!」
「ロウさんは、一緒に来れないんですか?」
島村卯月が残念そうに聞くが、ロウは仲間を待たせている………と言って、近くの合流ポイントへと機体を向ける。
しかし、去り際に笑顔でレッドフレームの親指を立てて告げた。
「その代わり、何かいいお宝を見つけたら、お前らに届けてやるよ!その「ガンダム」ってヤツが欲しいんだろ?探せば見つかるかもしれないからな。」
「そう簡単に見つかる物じゃ無いと思うけれど………。でもありがとう。気持ちは貰っておくよ。」
笑顔で残酷な事を告げる凛に対し、ロウはガクッとコックピットの固定シートから滑り落ちそうになる。
8は容赦ないな………と言うが、彼は思いっきり叫んでツッコんだ。
「おいおい、物も期待しろよ!こうなったら、改造してでも作ってやる!!じゃあな!………まずはジャンク品から………。」
「ろ、ロウさん………目が本気だ………。」
憤慨しながら、どう改造してやろうかと、ブツブツと言う様子に未央が若干引きつった笑みを浮かべる。
こうなると、ロウはどんなことをするか分からないからだ。
もしかしたら、将来的には、本当にガンダムを作ってしまうのかもしれなかった。
「皆さん、お元気で!機会があったら、また会いましょう!」
結局、最後は卯月が纏める事で、皆がバラバラになって去っていく。
シンデレラガールズもまた、戦闘で疲れたパイロット達が母艦に帰還する事になった。
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約30分後、「へリオポリス」宙域から脱出したキャリー・ベースの母艦では、凛に連れられ、都と芽衣子がブリッジに入っていた。
凛は予め用意していた自分の私服を着ており、都と芽衣子はひとまず卯月の服を借りている形だ。
改めてヘルメットを取って貰うと、都は真紅の赤髪が特徴の女性。
芽衣子はウェーブの髪が特徴で、オシャレなのか、何故か常備している麦わら帽子を被っていた。
楓は副長の千川ちひろと共に3人に挨拶をすると、まずは凛に話しかける。
「まずは、お疲れ様でした、凛。決戦兵器ガンダム………無事に乗りこなせるようになったみたいですね。」
「あ、ゴメン………それなんだけれど………。」
しかし、凛は少々申し訳なさそうな顔をすると、楓に説明をする。
実は、フルアーマーガンダム7号機には、やっと体が追い付いたばかりであるらしく、まだまだ一人前には程遠いのだと。
その言葉に一騎当千の活躍を見せつけられた楓達は、流石に驚愕してしまう。
アレだけ滅茶苦茶な動きを見せていても、半人前だと言うのならば、この機体を真に引き出した時はどうなるのかと。
「あの動きでまだまだ伸びしろがあるとは………、恐ろしいものですね、白いモビルスーツは。」
「でも、これでようやく本格的に動けるんでしょ?洒落た部隊名も付いているみたいだし、いよいよハルファスガンダムを倒しに行く事が出来るね。」
「それに関してなんですが………、実は1つ新たな問題があるんです。」
自信満々の凛であったが、ここで頭を片手で抱えるちひろの姿に、思わず後ろの都や芽衣子と共に顔を見合わせる。
何があったのかと深刻な顔で聞くと、彼女は申し訳なさそうに言葉を紡いだ。
「「ヘリオポリス」では、当初物資の補給もする予定だったんですよ。ですが、到着前に崩壊してしまったので………。」
「別の場所で補給しないと持たないってこと?」
「そうなりますね。ですが、この近くで私達が補給できそうな場所と言えば………。」
言葉を引き継いだ楓を見て、もう一度都と芽衣子と顔を見合わせた凛は、納得がいったように苦笑いを浮かべる。
彼女が思い至ったのは、1か所しか無かった。
「………私が隊長の下で修業していた「シャングリラ」しかないよね。カッコよく出て来て、いきなり出戻りか………。」
勢いよく出て来てカッコ悪いなぁ………と嘆息する凛であったが、楓も苦笑しながら呟く。
「まあ、久々に隊長の顔を拝むとしましょう。もしかしたら、何か有力な情報を掴んでいるかもしれませんし。」
楓は操縦士の友紀に進路を「シャングリラ」に向けるように指示すると、隊長………ユーグ・クーロに入電をして貰うように頼んだ。
そのうえで、楓は改めて凛の後ろにいた都と芽衣子に頭を下げる。
「安斎都さんと並木芽衣子さんでしたね。この度は凛の護衛だけでなく、戦闘での支援、ありがとうございます。この場でお礼を言わせて下さい。」
「いえ、お気になさらず。こういう時の為の護衛ですし。」
「そうそう!旅は道連れ世は情けって言いますし、私達も成り行きでしたから。」
2人は気にしないでいいと手を振って応えるが、彼女達が居なければ、戦いはまた違った結果になっていたかもしれない。
そう考えると緊急事態とはいえ、参戦してくれたのは有り難かったのだ。
「しかし、ユウ・カジマ大佐ですか………。「蒼い死神」の異名を持つ、連邦でも指折りの実力者の所属であるとは………。」
ユウは蒼いモビルスーツを駆り、一年戦争を戦い抜いたエース中のエースである。
それこそ、総合的な実力では楓の上官であったユーグよりも上では無いかと言われている程だ。
楓がそのユーグに聞いた話だと、バックに強力な人物がいると聞いていたが、まさかその人物がユウであるとは思っていなかった。
「忍はマスター・P・レイヤー隊長のお世話になったと言っていましたし、あの人は一体どんな情報網を持っているのか………。」
シンデレラガールズの基盤となる部隊を結成する時、彼は色んな所属の人々と連絡を取っていた。
大尉という立場でよくそこまで出来ると楓は感心していたが、成程、バックに大佐であるユウが居るのならば、話は別である。
人格者でもあると聞くユウの支援があれば、このように最低限とはいえ、パイロット達を集める事も可能であった。
「貴女達2人が、相応の実力を持っているのも………当然なのでしょうね。」
先程の戦闘を見る限り、都も芽衣子も実力は、肇や藍子、凛に匹敵するだろう。
いや、機体性能を考えれば、下手したら3人よりも上かもしれない。
実際、都は状況判断能力に長けていたし、芽衣子はそもそも二つ名持ちなのだ。
両者共に、カジマ大佐直属の部下として優秀であるのは、納得出来た。
「しかし………都さん………。」
「呼び捨てで結構ですよ。」
「では、都………貴女のあの判断能力は、何処で培ったのですか?柚の暴走すら制御した時の冷静さを鑑みるに、それこそ相当鍛えているみたいですが………。」
「あ、艦長………その………。」
凛が慌てて制しようとする所を見て、楓は何か不味い所に触れようとしたか?………と思った。
しかし、都は落ち着いた顔で凛の前に出ると、少しだけ周りを見渡す。
「………あずきさんから、何か聞いていませんか?」
「いえ………彼女は基本、自分の過去を喋りたがらないので………。」
桃井あずきは現在、ここにはいない。
彼女は綾瀬穂乃香や忍と共に、帰還した喜多見柚の部屋へと向かっていた。
都はそんなあずきの姿を思ったのか、軽く溜息を付いて小声で語る。
「次元のズレの影響で、あずきさんとは年が開いてしまいましたが………、13歳の頃に彼女と出会いました。………燃え盛る「グローブ」の町で。」
ガタン!………と音がしたのは、楓が思わずバランスを崩しかけたからだ。
後ろのちひろに至っては、手を口に当てて驚愕している。
操縦士の友紀は野球の用語かと思い、一瞬後ろを振り向いたが、楓達の顔が強張っていたのを見て、下手に踏み入れてはいけない話題だと即座に悟る。
「ま、まさか……………!?」
「「被害」にはあっていませんよ。2人で必死に逃げましたから。ですが、「あの光景」を見せつけられれば、トラウマにはなるでしょう。」
何処か他人事のように語る26歳の都であったが、その目に光は無かった。
客観的に見る事で、己の負の側面を抑えているのかもしれない。
それだけ、その「グローブ事件」と呼ばれる物は、連邦の汚点とも言える要素であった。
「ここに来たあずきが………ずっと怯えている理由が、ようやく分かりました………。彼女はあの場に………。」
「じゃあ、ここで私の紹介に入りますね!」
顔を引きつらせて歯ぎしりをする楓に対し、敢えて芽衣子が話題を強引に切り替える。
そうでもしなければ、この負の感情に溢れた空気を祓う事が出来なかったからだ。
「ヘリオポリス」での戦闘を乗り切った、シンデレラガールズ。
しかし、「シャングリラ」に逆戻りする事になって前途多難な様子。
そんな中で語られる、都の「グローブ」と言う言葉には、何が込められているのか?
アークエンジェルのゴッドフリートは、そこらの戦艦の主砲とは威力が違うので、サラミス改も一撃でぶっ飛ばす事に。
今回、色んな人物と出会う事になりましたが、特にロウ・ギュールは今後、重要人物の1人になります。
まず、どのような形になるかは、今後のお楽しみでお願いします。
また、安斎都さんの言うグローブ事件は、非常に語りにくい程の恐ろしい事件です。
見ただけでも人々を恐怖のトラウマに陥れ、場合によっては心を壊してしまう位に凄惨な事件であった………としか今は言えませんね。
桃井あずきさんが、本来の明るさを今のところ持てないのは、その事件が関係しています。