モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第20話 PHASE2-9『連邦の汚点』

シークレット・ユニットに対し怒りが収まった喜多見柚と、コロニーの中から戻って来た藤原肇に嘆息しながらも、高垣楓は釘を刺す事に。

 

しかし、ここでティターンズの増援がジェネレーション・ブレイクにより発生し、ライラ・ミラ・ライラに率いられ、再びジェリド・メサが登場。

相変わらず高森藍子を目の敵にするジェリドと、脱走兵には制裁を加えないといけないと冷静に告げるライラ。

 

ここで、楓はアークエンジェルと協力し、右翼のサラミス改を破壊し、脱出を図る決断をする事に。

それぞれに役目を与える中、襲って来たジェリドやライラを追い払った事で、戦闘は佳境に入る。

 

果たして、彼女達は「ヘリオポリス」宙域から脱出する事は可能なのか………?

 

 

 

「後は右翼のサラミス改を撃破するだけですが………。」

「少しだけ隙を作って貰えないかしら?こちらに手があるわ。」

「分かりました。美穂、友紀、やりますよ!」

 

マリュー・ラミアスの言葉を受け、キャリー・ベースを操る楓は、砲撃士の小日向美穂と操縦士の姫川友紀に指示を出す。

敢えてサラミス改の正面に出ると、連装メガ粒子砲の射程圏内に入れる。

 

「狙える位置に来ました、艦長!」

「連装メガ粒子砲………撃てッ!」

 

楓の号令で、美穂が砲撃を放つ。

しかし、サラミス改は細長い艦をキャリー・ベースの両サイドから放たれるメガ粒子砲の間に入れる事で、上手く回避。

逆に「単装メガ粒子砲」で狙ってくる。

 

「あっぶないなぁっ!?」

 

友紀が艦を右に曲げるようにしながら回避をする事で、艦隊戦はお互い初撃が外れる事になる。

しかし、その間にキャリー・ベースの左側に位置するアークエンジェルが右に回頭をしており、サラミス改を射角に捉えていた。

両サイドの前脚部の上部がスライドしたかと思えば、それぞれ2門の砲塔が出現する。

 

「「ゴッドフリートMk.71」を使うぞ!砲撃後に一気に加速する!」

「ゴッドフリート………撃てーーーっ!!」

 

ナタル・バジルールの指示で砲塔部分にエネルギーがチャージされたかと思えば、マリューが号令を発する事で一気に砲撃が放たれる。

その強烈な一撃は、キャリー・ベースの物よりも数段火力が高く、狙ったサラミス改に極太の風穴を開けたかと思いきや、一気に爆散させた。

 

「とんでもない威力ですね………こちらも、加速しますよ!モビルスーツ隊は、進路妨害するジム・クウェル2機を対処してください!」

「分かりました!」

 

右翼のジム・クウェル2機は、ビーム・ライフルでキャリー・ベースを狙おうとするが、ここで肇が上方からヅダを高速旋回させて後ろに回る。

 

「ジム・クゥエルも頂戴します!」

 

意表を突かれたジム・クゥエルの背面から逆さまの状態で、上から下にすり抜けるようにしてヒート・ホークでバーニア部分を破壊。1機を無力化してしまう。

驚いたもう1機のジム・クゥエルは慌ててヅダを追いかけようとするが、直営隊の高森藍子のハイザックの狙撃用ビーム・ランチャーで狙い撃たれ、コックピットを貫かれて爆散した。

 

「なんつーか、ジャンク屋に1人は欲しいよな、ああいうヤツ。」

 

ガンダムアストレイ レッドフレームを駆るロウが、肇の鹵獲技術に関心をしながらパイロットが脱出したジム・クゥエルを更に回収していく。

そうしている間に、キャリー・ベースとアークエンジェルは加速し、戦域を離脱する。

 

左翼のサラミス改から発進しているジム・クゥエル2機が追いかけようとするが、渋谷凛がフルアーマー7号機の肩掛け式の「ハイパー・バズーカ」を放って牽制。

更に、安斎都がザクフリッパーのザク・バズーカを、並木芽衣子がハイブースト・ジムのマシン・ピストルを追加で放って近づけさせない。

2隻の艦とモビルスーツ部隊は、一気に「ヘリオポリス」宙域から脱出をした。

 

 

「ありがとうございます、友軍部隊の方々。お陰で助かりました。」

「いえ………こちらこそ、協力して貰って感謝しかありません。………そういえば、自己紹介がまだでしたね。改めまして、私は高垣楓と申します。」

「マリュー・ラミアスです。………良ければ部隊名を教えて貰えませんか?」

 

先頭終了後、ヘリオポリスから距離を取ったマリューと楓が、互いに挨拶を躱す。

その際に、当然ながら所属を聞かれたので、楓はこう答える。

 

「シンデレラガールズと言います。この次元の歪みの謎の探求が任務ですね。」

「おっ、何か俺の好みそうな部隊じゃん。時間があれば、ナンパするんだけれどねー。」

「気持ちは嬉しいですが、高確率でロリコンの称号が付きますよ?」

 

ここで、臨時砲撃士を担当していたムウ・ラ・フラガが軽い調子で言ってくる。

無論、場を和ませる為の発言だし、本気で言っているわけでは無い。

その為、楓も冗談?………で返すが、あまりにも心に突き刺さったのか、ムウの顔が「のワの」文字になる。

 

「あの、ありがとうございます。お陰でどうにかなりました。」

 

一方で、キラ・ヤマトもまた、シンデレラガールズのパイロットに挨拶をしていた。

こちらは代表して、肇が答える事に。

 

「こちらこそ、これからの旅路、気を付けて下さいね。」

「はい!」

 

戦闘での高揚感をそのままに答えるキラであったが、彼は肇の不殺とも取れる戦い方に、魅了されていたのは、また別の話。

ここで工藤忍は、ハッとした顔で、背中にマウントした大剣グランドスラムを取り出す。

 

「そうだ!これ、返さないと!」

「お礼代わりに持って行って下さい。予備はまだありますし、貴女には必要そうですから。」

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

マリューに許可を貰った事で喜ぶ忍は、再びグランドスラムをマウントする。

何だかんだ言って、この装備を気に入っているようであった。

そして、最後にロウが楓達に挨拶をしてくる。

 

「それじゃあ、俺も失礼するぜ。卯月、凛、未央、お前達も気を付けてな!」

「ロウさんは、一緒に来れないんですか?」

 

島村卯月が残念そうに聞くが、ロウは仲間を待たせている………と言って、近くの合流ポイントへと機体を向ける。

しかし、去り際に笑顔でレッドフレームの親指を立てて告げた。

 

「その代わり、何かいいお宝を見つけたら、お前らに届けてやるよ!その「ガンダム」ってヤツが欲しいんだろ?探せば見つかるかもしれないからな。」

「そう簡単に見つかる物じゃ無いと思うけれど………。でもありがとう。気持ちは貰っておくよ。」

 

笑顔で残酷な事を告げる凛に対し、ロウはガクッとコックピットの固定シートから滑り落ちそうになる。

8は容赦ないな………と言うが、彼は思いっきり叫んでツッコんだ。

 

「おいおい、物も期待しろよ!こうなったら、改造してでも作ってやる!!じゃあな!………まずはジャンク品から………。」

「ろ、ロウさん………目が本気だ………。」

 

憤慨しながら、どう改造してやろうかと、ブツブツと言う様子に未央が若干引きつった笑みを浮かべる。

こうなると、ロウはどんなことをするか分からないからだ。

もしかしたら、将来的には、本当にガンダムを作ってしまうのかもしれなかった。

 

「皆さん、お元気で!機会があったら、また会いましょう!」

 

結局、最後は卯月が纏める事で、皆がバラバラになって去っていく。

シンデレラガールズもまた、戦闘で疲れたパイロット達が母艦に帰還する事になった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

約30分後、「へリオポリス」宙域から脱出したキャリー・ベースの母艦では、凛に連れられ、都と芽衣子がブリッジに入っていた。

凛は予め用意していた自分の私服を着ており、都と芽衣子はひとまず卯月の服を借りている形だ。

改めてヘルメットを取って貰うと、都は真紅の赤髪が特徴の女性。

芽衣子はウェーブの髪が特徴で、オシャレなのか、何故か常備している麦わら帽子を被っていた。

楓は副長の千川ちひろと共に3人に挨拶をすると、まずは凛に話しかける。

 

「まずは、お疲れ様でした、凛。決戦兵器ガンダム………無事に乗りこなせるようになったみたいですね。」

「あ、ゴメン………それなんだけれど………。」

 

しかし、凛は少々申し訳なさそうな顔をすると、楓に説明をする。

実は、フルアーマーガンダム7号機には、やっと体が追い付いたばかりであるらしく、まだまだ一人前には程遠いのだと。

その言葉に一騎当千の活躍を見せつけられた楓達は、流石に驚愕してしまう。

アレだけ滅茶苦茶な動きを見せていても、半人前だと言うのならば、この機体を真に引き出した時はどうなるのかと。

 

「あの動きでまだまだ伸びしろがあるとは………、恐ろしいものですね、白いモビルスーツは。」

「でも、これでようやく本格的に動けるんでしょ?洒落た部隊名も付いているみたいだし、いよいよハルファスガンダムを倒しに行く事が出来るね。」

「それに関してなんですが………、実は1つ新たな問題があるんです。」

 

自信満々の凛であったが、ここで頭を片手で抱えるちひろの姿に、思わず後ろの都や芽衣子と共に顔を見合わせる。

何があったのかと深刻な顔で聞くと、彼女は申し訳なさそうに言葉を紡いだ。

 

「「ヘリオポリス」では、当初物資の補給もする予定だったんですよ。ですが、到着前に崩壊してしまったので………。」

「別の場所で補給しないと持たないってこと?」

「そうなりますね。ですが、この近くで私達が補給できそうな場所と言えば………。」

 

言葉を引き継いだ楓を見て、もう一度都と芽衣子と顔を見合わせた凛は、納得がいったように苦笑いを浮かべる。

彼女が思い至ったのは、1か所しか無かった。

 

「………私が隊長の下で修業していた「シャングリラ」しかないよね。カッコよく出て来て、いきなり出戻りか………。」

 

勢いよく出て来てカッコ悪いなぁ………と嘆息する凛であったが、楓も苦笑しながら呟く。

 

「まあ、久々に隊長の顔を拝むとしましょう。もしかしたら、何か有力な情報を掴んでいるかもしれませんし。」

 

楓は操縦士の友紀に進路を「シャングリラ」に向けるように指示すると、隊長………ユーグ・クーロに入電をして貰うように頼んだ。

そのうえで、楓は改めて凛の後ろにいた都と芽衣子に頭を下げる。

 

「安斎都さんと並木芽衣子さんでしたね。この度は凛の護衛だけでなく、戦闘での支援、ありがとうございます。この場でお礼を言わせて下さい。」

「いえ、お気になさらず。こういう時の為の護衛ですし。」

「そうそう!旅は道連れ世は情けって言いますし、私達も成り行きでしたから。」

 

2人は気にしないでいいと手を振って応えるが、彼女達が居なければ、戦いはまた違った結果になっていたかもしれない。

そう考えると緊急事態とはいえ、参戦してくれたのは有り難かったのだ。

 

「しかし、ユウ・カジマ大佐ですか………。「蒼い死神」の異名を持つ、連邦でも指折りの実力者の所属であるとは………。」

 

ユウは蒼いモビルスーツを駆り、一年戦争を戦い抜いたエース中のエースである。

それこそ、総合的な実力では楓の上官であったユーグよりも上では無いかと言われている程だ。

楓がそのユーグに聞いた話だと、バックに強力な人物がいると聞いていたが、まさかその人物がユウであるとは思っていなかった。

 

「忍はマスター・P・レイヤー隊長のお世話になったと言っていましたし、あの人は一体どんな情報網を持っているのか………。」

 

シンデレラガールズの基盤となる部隊を結成する時、彼は色んな所属の人々と連絡を取っていた。

大尉という立場でよくそこまで出来ると楓は感心していたが、成程、バックに大佐であるユウが居るのならば、話は別である。

人格者でもあると聞くユウの支援があれば、このように最低限とはいえ、パイロット達を集める事も可能であった。

 

「貴女達2人が、相応の実力を持っているのも………当然なのでしょうね。」

 

先程の戦闘を見る限り、都も芽衣子も実力は、肇や藍子、凛に匹敵するだろう。

いや、機体性能を考えれば、下手したら3人よりも上かもしれない。

実際、都は状況判断能力に長けていたし、芽衣子はそもそも二つ名持ちなのだ。

両者共に、カジマ大佐直属の部下として優秀であるのは、納得出来た。

 

「しかし………都さん………。」

「呼び捨てで結構ですよ。」

「では、都………貴女のあの判断能力は、何処で培ったのですか?柚の暴走すら制御した時の冷静さを鑑みるに、それこそ相当鍛えているみたいですが………。」

「あ、艦長………その………。」

 

凛が慌てて制しようとする所を見て、楓は何か不味い所に触れようとしたか?………と思った。

しかし、都は落ち着いた顔で凛の前に出ると、少しだけ周りを見渡す。

 

「………あずきさんから、何か聞いていませんか?」

「いえ………彼女は基本、自分の過去を喋りたがらないので………。」

 

桃井あずきは現在、ここにはいない。

彼女は綾瀬穂乃香や忍と共に、帰還した喜多見柚の部屋へと向かっていた。

都はそんなあずきの姿を思ったのか、軽く溜息を付いて小声で語る。

 

「次元のズレの影響で、あずきさんとは年が開いてしまいましたが………、13歳の頃に彼女と出会いました。………燃え盛る「グローブ」の町で。」

 

ガタン!………と音がしたのは、楓が思わずバランスを崩しかけたからだ。

後ろのちひろに至っては、手を口に当てて驚愕している。

操縦士の友紀は野球の用語かと思い、一瞬後ろを振り向いたが、楓達の顔が強張っていたのを見て、下手に踏み入れてはいけない話題だと即座に悟る。

 

「ま、まさか……………!?」

「「被害」にはあっていませんよ。2人で必死に逃げましたから。ですが、「あの光景」を見せつけられれば、トラウマにはなるでしょう。」

 

何処か他人事のように語る26歳の都であったが、その目に光は無かった。

客観的に見る事で、己の負の側面を抑えているのかもしれない。

それだけ、その「グローブ事件」と呼ばれる物は、連邦の汚点とも言える要素であった。

 

「ここに来たあずきが………ずっと怯えている理由が、ようやく分かりました………。彼女はあの場に………。」

「じゃあ、ここで私の紹介に入りますね!」

 

顔を引きつらせて歯ぎしりをする楓に対し、敢えて芽衣子が話題を強引に切り替える。

そうでもしなければ、この負の感情に溢れた空気を祓う事が出来なかったからだ。

 

 

「ヘリオポリス」での戦闘を乗り切った、シンデレラガールズ。

しかし、「シャングリラ」に逆戻りする事になって前途多難な様子。

そんな中で語られる、都の「グローブ」と言う言葉には、何が込められているのか?




アークエンジェルのゴッドフリートは、そこらの戦艦の主砲とは威力が違うので、サラミス改も一撃でぶっ飛ばす事に。
今回、色んな人物と出会う事になりましたが、特にロウ・ギュールは今後、重要人物の1人になります。
まず、どのような形になるかは、今後のお楽しみでお願いします。

また、安斎都さんの言うグローブ事件は、非常に語りにくい程の恐ろしい事件です。
見ただけでも人々を恐怖のトラウマに陥れ、場合によっては心を壊してしまう位に凄惨な事件であった………としか今は言えませんね。
桃井あずきさんが、本来の明るさを今のところ持てないのは、その事件が関係しています。
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