モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第28話 PHASE3-4『続かない平和な時間』

コロニー「シャングリラ」で繰り広げられる、楽しいひと時。

 

高槻やよいは、栗原ネネと桃井あずきと共に街のアパートで買い物を行い、いつもの衣服を手に入れる。

尚も、ネネ達は様々な日常生活品を買い、やよいに必要な物を揃えていっていた。

そんな中、彼女は水瀬伊織との楽しい思い出を脳裏に浮かべる。

 

一方で高垣楓と姫川友紀は、ジャンク山に存在する酒場でユーグ・クーロと語らっていた。

謎の黒子のマスターに、仮面を付けた給仕の美少女仮面・マコマコリン。

不思議な面々に楓達が首を傾げる中、安斎都と並木芽衣子に連れられ、渋谷凛の特訓相手を務めてくれた服部瞳子と水木聖來がやって来た。

 

様々な人達のバックアップによってシンデレラガールズは成り立っている。

楓達は、その有難みを再確認する事になった。

 

 

 

やよい達の買い物は、まだまだ続く。

一度買い出したら、車に乗るだけ徹底的に揃えたい。

そう言わんばかりに、ネネが買い出したからだ。

どうも、彼女は時間を忘れて必要な物を衝動買いする癖があるらしく、あずき辺りが定期的に止めてあげないと、両手が塞がるまで色々とゲットしてしまう。

彼女達が知る由も無かったが、キャリー・ベースに来た北条加蓮が恐れていたのは、このネネの癖を知っているからであった。

 

「ネネちゃん、ストップ。………本当に買い過ぎたら、それこそ車に乗らなくなるよ?」

「ご、ゴメンなさい………。」

 

流石に面目ないと肩を落としながらも、ネネは駐車場で待っていてくれたハロの管理しているオープンカーの後方の荷台に荷物を載せる。

そろそろ一度キャリー・ベースに戻って荷物を置いてこないと、他の物は買えないだろう。

助手席にあずきが、後方の席にやよいとネネが座り、運転席に固定されたハロが、駐車場から車を動かす。

 

「あれ………?」

 

信号待ちをしている所で、街通りの歩道を歩く人々が上を指差している事に、やよいは気付いた。

目線を追ってみると、連邦の最新艦であろうか?………新たな白い………しかし、ボロボロの船が、北のジャンク山へと降下してきているのに気付いた。

キャリー・ベースもだが、今日は宇宙港でなくジャンク山に降下する船が多い………そう人々は思っているのだろう。

 

「何で………あんなにボロボロなんだろう?」

「………あずきちゃん、やよいちゃん、ゴメンなさい。キャリー・ベースに戻ってもいいですか?」

「うん………あずき達も待機していた方がいいよね。」

 

現在はファントムスイープ隊の補給が行われているので、キャリー・ベースには連邦軍の男性が入り浸っている。

あずきは過去のトラウマから彼等が苦手であったが、嫌な予感がしたのだ。

少なくとも、パイロットであるネネはキャリー・ベースに戻した方がいい………そう彼女は判断する。

 

「やよいちゃんもゴメンなさい。」

「いえ、いいですよ。また、買いに行けばいいですし………。」

 

笑顔で大丈夫だと言うやよい。

彼女もそのあずき達の判断に従う事にした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ボロボロの艦は、ジャンク山の中央に降下した。

その情報は勿論、シミュレーターを行っていた工藤忍にも、ブリッジのフェイフェイ達から伝わり、辻野あかり、砂塚あきら、夢見りあむと共に、すぐさまモビルスーツハンガーへと走っていく。

一方で艦長である浅野風香はブリッジに戻り、フェイフェイ達に状況を聞いた。

 

「じょ、状況どうなってます!?」

「丁度キャリー・ベースとブランリヴァルの間に停泊したネー。事情を聞く前に、不時着しちゃったヨー。」

 

それだけ急いでいるボロボロの艦の状況が、どれだけ危険なのかは風香にも分かった。

席に座りコンソールを弄ると、出て来た画面を見て、彼女は思わず声が裏返ってしまう。

何故ならば、そこに現れた人物は………ブライト・ノア。

幾多の戦いを勝ち抜いていた、英雄の1人して慕われる艦長であったからだ。

 

「な、何で………ブライト艦長が!?」

「どうも驚かせてしまったな………、すまない。私は「アーガマ」所属のブライト・ノア。急かしてしまって申し訳ない。」

「アーガマ!?」

 

艦の名前を聞いた事で、浅野風香は胃がキリキリした。

彼女にとって、この時系列は「過去の出来事」だ。

何を隠そう、彼女を艦長に任命したのは、そのブライト・ノア。

つまり、未来の彼によって、風香達は成り立っている。

 

(何で、こんなややこしい状態になっちゃうの!?)

 

風香は心の中で、思わず叫んでしまう。

更に彼女の知る時系列が正しければ、ボロボロのアーガマに乗って「シャングリラ」に入港し、ジャンク山に「身を隠そう」とする彼らの状態は、一番酷い時であった。

パイロットは、ほぼ戦死したか戦線離脱状態。

アーガマの兵装もほぼ使えない状態。

そのうえ………。

 

「所属と名前を聞いてもいいかな?」

「ふ、ファントムスイープ隊の艦長である浅野風香です!以後お見知りおきを!」

「ファントムスイープの風香艦長か。申し訳ないが、補給と修理としばしの護衛をお願いできないだろうか?」

「は、はい………!少々お待ちください!」

 

ブライトと通信を行いながら、風香はコンソールを叩いて伝文で指示を出していく。

まず、軍用車に乗って東側のブランリヴァルに向かっている加蓮には、北方の酒場に寄って楓や友紀と一緒にユーグを回収して来て貰う。

都に芽衣子、瞳子に聖來の4人は、そのまま店の近くで北方区域の警戒を。

場合によっては、実はモビルスーツに乗れるというマコマコリンにも出向いて貰う事に。

 

(南側は………!)

 

ユーグと加蓮に戻って来て貰ったら、あかり、あきら、りあむ、更には忍と共に、南側の警戒に当たって貰う。

そして、ジャンク山の西側に位置するキャリー・ベースにも伝文を送り、モビルスーツの出撃準備を早急に行うように指示を出した。

 

(早くしないと………!)

 

風香がここまで焦るのには、明確な理由がある。

ここまでボロボロになった武勲艦であるアーガマを、付け狙わないわけが無いからだ。

ハマーン・カーン率いる「ネオ・ジオン」が。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「コロニーの中に、こんなジャンク山があったとはな。アクシズの追撃艦隊が迫っている以上、修理は早急に行わねばならん。トーレス、ファントムスイープ隊というのはどういう部隊か分かるか?」

 

ジャンク山に身を隠す中、ブライト・ノアは歯がゆそうな顔をしながらオペレーター席に座っているトーレスに問う。

現在のアーガマは自衛能力すら持たない状況だ。

何とか「シャングリラ」の中に入れてもらえたが、この先の対処法は他の部隊に頼らなければどうしようもなかった。

一方、トーレスはというと、地球連邦軍のデータバンクを検索し、首を傾げる。

 

「無いですね………。正規登録がされて無いって事は、特務部隊かなんかでしょうか?」

「この際、どんな部隊でもいい。一刻も早く回復させなければ………、こんな形で次元の歪みに感謝する事になるとは、皮肉なものだな。」

 

大きく溜息を付いたブライトは、突如響き渡る警報に驚愕する。

まさかと思い、南側を見上げてみれば、そこには緑の戦艦が「シャングリラ」へと入港してきていたのだ。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「せ、戦艦が降ってくるよ!?」

 

オープンカーでジャンク山の入り口を走っていたあずき達もまた、驚きの表情を浮かべていた。

流線形の変わった戦艦………「エンドラ」は、ジャンク山の入り口である彼女達の後ろで動きを止める。

 

「耳栓を付けて!」

 

こういう場合、周りの迷惑も鑑みずにマイクで周囲に叫ぶ可能性が高かったので、ネネの声で慌ててあずきとやよいが携帯していたヘッドホンを付けて大音量に備える。

しかし、「敵艦」の行動は想像以上に度肝を抜く物であった。

何と、何の警告も無しにモビルスーツハンガーが開くと、紫の可変モビルスーツ6体と共に1体の緑のモビルスーツがジャンク山に降りて来たのだ。

丁度、やよい達の乗るオープンカーの上に。

 

「ハロ!全速力で飛ばして!!」

 

珍しくネネの大声が響き渡った。

ハロがオープンカーを加速させて、踏みつぶされないようにジャンク山を飛ばしていく。

舗装されていない道に、車体が何度も跳ねるが、やよいはネネにしがみつく事で、何とか振り落とされないようにした。

やがて、緑の機体は2本の脚で降下し、ジャンク山の荒れ地を思いっきり踏みしめる。

 

「うわぁっ!?」

 

助手席のあずきが、頭を抱えて丸まる。

オープンカーはリーダー格のモビルスーツに潰される事は無かったが、着地をした衝撃で、周りに置いてあったスクラップ品が吹き飛んだのだ。

それが嵐のように襲い掛かり、オープンカーの後ろの荷台を破壊し、折角買った品々を台無しにしていく。

 

「ああ!?」

 

しかし、やよいは荷物を気にしている余裕が無かった。

後ろからの飛来物はその品々がクッションになる事で防がれたが、上に高々と飛んだスクラップの欠片が、彼女の方に振って来たのだ。

 

「わ、私………!?」

 

死ぬ………と思った所で、やよいの上にネネが反射的にかぶさった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

紫のモビルスーツ「ガザD」6機と共に現れたのは、「ガルスJ」と呼ばれる近接戦闘向けのモビルスーツ。

そのコックピットで薔薇を持つマシュマー・セロは、ジャンク山中央部に位置するアーガマを見つけて叫んだ。

 

「見つけたぞ、アーガマ!!こんなところに隠れているとは………!フフフフ………アーガマを無傷で手に入れハマーン様に献上すれば、ハマーン様はこのマシュマーに微笑みを与えて下さるだろう!!」

 

1人コックピットの中でニヤリと笑みを浮かべるマシュマーは、やがて恍惚とした表情を浮かべる。

そして、とんでもない事を言い出した。

 

「いや、もしかすれば髪をスンスンさせて下さるかもしれん。いやいや、靴をなめる権利を与えて下さるかも………。いやいやいや………。」

「あの、マシュマー様?」

 

そんなマシュマーに対し、エンドラを管理する副長ゴットン・ゴーが、訝しめな目を向ける。

どうも、この上官はおかしな方向に狂っている模様。

 

「おっと、私としたことが、つい物思いにふけってしまった。早速行くとしよう。」

 

只、このツッコみで我に返ったのか、マシュマーはコホンと大げさに息を吐いて一言。

マイクで一言叫ぶ。

 

「マシュマー・セロ、参る!」

 

そして、変形しようとする部下達を制すると、自ら1機だけで飛び出した。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ぁ………れ………?」

 

そのマシュマーのマイクの声で気付いたのか、やよいは目を覚ます。

温かいものに包まれている彼女は、自分の頬に嫌な臭いが染みついているのを感じた。

 

「これ………。」

「無事………でしたか………?」

「っ!?」

 

その臭いの正体を悟った瞬間、やよいの目が見開かれる。

頬についていたのは血。

至近距離で笑顔を向けるネネの口から、血が流れていたのだ。

 

「ね、ネネさん!?」

「良かった………。」

「何で………!?何で!!?」

 

やよいは、慌ててネネを起こそうとして更に驚愕する。

彼女の背中も血に濡れていた。

恐らくスクラップの欠片が降って来た時にやよいを庇って当たったのだ。

気付けばあずきが涙を流しながらであったが、ハロの力を借りながら、その背中を念入りに確かめていた。

 

「ハロ………。」

「異常ナシ!異常ナシ!」

「とりあえず、良かった………。」

 

あずきが安堵の声を漏らす。

どうやら骨も脊髄も無事ではあるらしい。

オープンカーは壊れてしまっており、これ以上の運転は出来ない。

ネネは身長が高めであり、普通に運ぼうとすると手間がかかる。

しかし、2人で協力すれば、小柄なあずきややよいでも支えて運べそうであった。

 

「何で………私を………!?」

「やよいちゃん、手伝って!そういうのは、ネネちゃんをキャリー・ベースの医務室に運んでから!!早く!!」

「はい……………。」

 

ボロ泣きをしてしまったやよいであったが、あずきの強気の言葉に促され、ネネの肩を担ぐ。

2人掛かりで細身の彼女を持っても、重かった。

それだけ、彼女は体に力が入らない状態なのだ。

ここから、キャリー・ベースまでは、まだまだ距離がある。

思わず心が折れそうになったが、ネネを見殺しにしてはいけない。

ハロに回収する機体の要請を頼みながら、あずきとやよいは歩き出した。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「敵襲!コロニー内に複数の敵影有り!」

「敵機種データ照合無し!戦艦もいます!」

 

操縦士であるシーサーも加わり、トーレスと共にガルスJ等の特定を行うアーガマクルー。

ブライトはブランリヴァルの風香に連絡を取り、増援を求める。

そうしている内に、マシュマーが大胆にもマイクで声明を出した。

 

「アーガマの諸君!!私はエンドラの艦長マシュマー・セロである!!私は諸君らに無条件降伏を勧める!!素直に従えば、全クルーの命は保障するぞ!!」

 

どうもこのマシュマーという男は、発見時の発言といい、ボロボロであるとはいえ、何としてもアーガマを無傷で手に入れたいらしい。

そもそも、危うくやよい達を踏みつぶそうとしたとはいえ、その本質は騎士。

なるべくコロニーには被害を出さないように考えているのだ。

 

とはいえ、そんな事など分からないブライトは、尚も風香に増援要請をする。

 

「今、出撃します!その間、耐えて下さい!」

「そう言われてもな………。」

 

風香に無茶を言っているのも理解しているブライトではあるが、現戦力で耐えろというのも難しい話だ。

一応、「Zガンダム」というとびっきりの機体ならある。

しかし、マシンを扱うパイロット………カミーユ・ビダンが今、戦闘で精神をやられてしまっているのだ。

尚も、マシュマーの声明は続く。

 

「アーガマの諸君、時間稼ぎをしても無駄だ!ブリッジを潰されたいのかッ!!私は冗談を言わん人間だ!本当に潰すぞ!!」

 

「このままでは不味いな。トーレス、Zガンダムは使えるか?」

「固定砲台くらいしか………とはいえ、この状況じゃやるしかないですね。」

「アストナージ、聞こえるか。Zガンダムを出す準備を………!」

 

トーレスがオペレーター席から立ちあがり、ハンガーへ向かおうとした時であった。

そのハンガーから緊急通信が入る。

 

「大変です、艦長!子供が………!子供が勝手にZガンダムを!!」

 

整備士であるアストナージ・メドッソの声に、ブライト達は驚きを隠せなかった。

 

 

状況が急変する中で、やよいを庇ったネネが負傷してしまう。

そんな中、アーガマでは、何が起ころうとしているのか………。




栗原ネネさんの欠点として、買い物にのめり込み過ぎると、両手が塞がるほどに物を買ってしまうという癖があります。
これは、デレステではなくデレマスの頃からの癖なので、一貫していますね。

そんな中、まさかのマシュマー・セロ登場。
コロニーの被害を考えてくれる高潔な人?…ですが、抜けているという問題過ぎる弱点が…。
でも、彼は、実は20歳にもなっていない人なので、それも仕方ないかもしれませんね。

とにかく、そんなマシュマーの登場で危機に陥る高槻やよいさん達。
まずは、負傷した栗原ネネさんを、無事に安全な場所に送らないといけませんが…。

アーガマの方でも何やら面倒なことになっていて…?
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