サイド7を出たホワイトベースとアムロ・レイのガンダムを待っていたのは、シャア・アズナブルのザクⅡであった。
だが、シャアは幼女愛好会なるものを結成しており、その紳士兵達と共に行動をしている始末。
しかも、その場にコロニー「765」から逃げて来た高槻やよいが迷い込んだ事で、捕獲しようと企んでしまう。
高垣楓率いるキャリー・ベースの面々は、当初無関係を装うとしたが、シャアの行動を前に作戦を変更する事に。
藤原肇率いる藤原隊がシャアを足止めする間に、高森藍子率いる高森隊がやよいを救出する手はずになった。
果たして、戦いの結果はどうなるのか………?
「へっへっへ、お嬢ちゃん~。俺と遊ぼうぜ~!!」
3機いるザクⅡの内の1機、やよいのGディフェンサーに最も近い機体が、オープンチャンネルで下賤な言葉と共に、「ザク・バズーカ」を発射する。
直撃すれば戦闘機にとっては危うい損傷をもたらすが、普通のパイロットでは動いている機体に当てるのは中々困難な武装。
しかし、牽制になって怯んでくれれば、その間に捕獲する事が出来る為、脅しの意味も含めてパイロットの紳士兵はこの武装を選択したのだ。
だが………。
「はわわっ!?こ、攻撃してきた!?………こ、来ないでくださ~い!!」
弾頭が近くを通過していったことで恐怖心を刺激されたやよいは、反射的に機体右側にマウントされている「ロング・ライフル」を撃ってしまう。
それは、長砲身のビーム砲であり、破格の威力を誇った。
「のわっ!?こ、このクソガキがあああああ!!」
桃色のビームは外れこそしたものの、逆に牽制の一撃を放たれた事で、パイロットは逆上。
怒りの言葉と共に、「ザク・マシンガン」を取り出し、本気で撃ち落とそうと照準を合わせる。
「ひぃっ!?」
本気の殺意を向けられた事で畏縮するやよいであったが、突如黄色のビームが飛来し、ザク・マシンガンに直撃。
やよい機に向けられた武装だけが爆発を起こす。
「な!?マシンガンが!?何処から!?」
慌ててビームが飛来した地点を見て、パイロットの目が見開かれる。
自身の最大射程の遥か外から、藍子のハイザック・カスタムが「狙撃用ビーム・ランチャー」でスナイプしたのだ。
その正確さに、助けられたやよいすら唖然となる。
「好きにはやらせない!奈緒ちゃん、智絵里ちゃん、お願い!」
ハイザック・カスタムの両脇をすり抜ける形で、神谷奈緒のリーオーと緒方智絵里のボールが接近してきた。
最初に智絵里機のボールが、上部のターレットにマウントされた「180mm低反動砲」を発射。
続いて奈緒機のリーオーが、「ビームライフル」を放つ。
「ご、ごめんなさい………!」
「墜ちろ、ロリコン!!」
慌ててその場で再度ザク・バズーカに持ち直そうとしたのが、運の尽きであった。
ボールの実弾砲撃で左腕が吹き飛ぶと、リーオーのビームが胸部を直撃。
トドメを刺される形になった機体は、スパークする。
「な!?なんだとおおおおお!?馬鹿なあああああ!?」
断末魔の悲鳴を上げたパイロットと共にザクⅡは爆発。
初めて敵が絶命する所を見て、茫然としたやよいのGディフェンサーの傍に、油断なくビームライフルを構えるリーオーと、何気なく千切れたザクⅡの腕を手にしたボール、そしてハイザック・カスタムが集まる。
「あ、あなた達は一体………?」
「女の味方です!私達が護衛するから、付いてきてください。」
接触回線で、藍子がやよいに話しかけ、モニターを繋ぐ。
安心させる為か、一旦ヘルメットを脱いだ。
そこに出てきたのは、茶髪のお団子頭の朗らかな年ごろの少女の顔。
「女の子だ………。」
「私達の母艦である、キャリー・ベースへと案内します。………大丈夫、もう怖くないですよ。」
「あ………。」
優しく笑みを浮かべて語り掛ける藍子の言葉を受け、やよいは自分が無意識の内に涙を流しているのに気づく。
ここまで孤独で、ずっと戦闘機を駆って来たのだ。
理不尽な戦闘にも巻き込まれて、恐怖心も多かったであろう。
やよいはしばらく、ヘルメットを取り、ぐしぐしと涙を拭った。
「何だろう?コイツ、どっかで見た事があるような………?」
「わ、私も………もしかして………?」
そんなやよいの素顔が見られた事で、奈緒と智絵里は周囲の警戒を続けながらも、隊内通信で話し合っていた。
――――――――――――――――――――
「トンヌラーーーーッ!?貴様ら、よくも幼女愛好会の同士を!!」
ザクⅡが1機撃ち落とされた事で、2機目のザクⅡのパイロットも逆上し、怒りの言葉を吐き捨てる。
彼はザク・マシンガンを握ると、藤原隊の3機に突撃をしてきた。
「………ふざけた愛好会ですね。さっさと解体してください。」
ドラムマガジンから空の薬莢を撒き散らしながら乱射をするが、島村卯月のジムⅢが、シールドでしっかりと受け止める事により、機体そのものにダメージを与えない。
その下方から、丁度ザクⅡから見て逆さまになる形で、喜多見柚のオクト・エイプが回り込み、「100mmマシンガン」をお返しと言わんばかりに連射してくる。
「カバーするよ!………行け!!」
「こ、これ位で幼女愛好会の魂はあああっ!!」
ザク・マシンガンを捨て、左肩のスパイクアーマーを突き出して防御する事で、何とか致命傷を避けようとするザクⅡ。
その横を、肇のヅダが悠然と通過していった。
「往生際が悪いですね………。ヅダでトドメを刺します!」
「土星エンジン」の加速力を活かしたヅダは、シールドに備わっている打撃用の「シールド・ピック」を突き出し、背後から一気に回り込んで背中に一撃を加える。
あまりの速さに打撃用の「ヒート・ホーク」を持つ隙すら与えて貰えなかったザクⅡは、あっという間にエンジンを破壊される。
「よ、幼女万歳ーーーっ!!」
「最期まで、それですか………。」
紳士兵の断末魔の叫びに、肇は溜息を付きながらも、ヅダでザクⅡを蹴飛ばし爆発に巻き込まれないように回避。
その手際の良さを見たシャアは、思わず叫んでしまう。
「ホンダラ!?トンヌラ!?………くっ、同志を2人も失うとは………!」
そうしている内に、肇は武器を仕舞ってアムロのガンダムに近づき、接触回線で話を始める。
当然ながら、いきなりの事態にアムロは訝しんでいた。
「援軍………?でも、一体何処の………?」
「そうですね………ロリコン撲滅を掲げるレジスタンスといった所でしょうか?貴方を援護しますよ。」
自らの所属を話さずに冗談交じりに答える肇であったが、アムロにとって味方であるのは今の戦いで証明されていた。
だからこそ、彼は戦場の重苦しい空気も相まって、気合を入れ直す。
「本当ですか!?よし、これならシャアが相手でも勝てる!当たれ!!」
しかし、自信満々に放ったガンダムの「ビーム・ライフル」は、いとも簡単にシャア専用ザクⅡに回避されてしまう。
ビームを難なく避けたシャアの技量に驚く一同に対し、彼は不敵な笑みを見せながら呟く。
「見くびって貰っては困るな。伊達に赤い彗星と呼ばれているわけではない。」
その瞬間ザクⅡが、一気にガンダムに向けて加速する。
肇と柚、卯月は散開するが、アムロはその場でビーム・ライフルを連射。
しかし、シャアはスラスターを吹かし、最低限の回避行動だけでガンダムに肉薄すると、何とその頭部に「キック」を喰らわせる。
「うわっ!?」
アムロとシャアの初の格闘戦になるが、圧倒的に実力はシャアの方が上。
すかさず彼は手にしていた「ザク・バズーカ」を怯んだガンダムのコックピットに撃ち込む。
「やったか?………いや!?」
ここで驚きを見せたのは、今度はシャアの方。
直撃を貰ったにも拘らず、アムロのガンダムは傷一つ付いていなかった。
「ええい、連邦軍のモビルスーツはバケモノか!?」
シャアはならば………と、ザク・バズーカを仕舞い、「ヒート・ホーク」を取り出す。
流石に赤熱化した刃を至近距離から叩き込めば、只では済まないと思った彼の判断は正しかったが、ここで横やりが入る。
「アムロさん!無理をしないで!」
「未熟さは数でカバーだよ!」
「私達でも、足止め位ならば!」
肇のヅダが「ザク・マシンガン」を、柚のオクト・エイプが「ジャイアントバズーカ」を、卯月のジムⅢが「ノーマル・ミサイル・ポッド」を、それぞれガンダムを三角形で囲うようにしながらシャア専用ザクⅡに向けて放つ。
「数で攻める気か!?」
マシンガンとバズーカ、そして8連装のミサイルが一気に飛来した事で、シャアも流石に回避行動に専念せざるを得なくなる。
アムロは直撃弾の衝撃からまだ立ち直れないでいたが、そこをカバーしようと肇がヅダの腕部の「油圧ジャッキ」を活かし、腕を伸ばして「ヒート・ホーク」を素早く掴み取る。
「今の内に、体勢を立て直してください!」
「このパイロット………練度が違うな!?」
3人の中でも1人で実戦に対応できている肇のヅダの動きに、シャアも流石に舌を巻いた。
素早く敢えて正面からヒート・ホークを振りかぶると、彼も同様の武装で打ち付け合う形に。
流石にこのままでは埒が明かないとお互いに思ったのか、同時に左足で回し蹴りのようなキックを放ってぶつかり合い、距離が開く。
再び油圧ジャッキで素早くザク・マシンガンに持ち替えた肇のヅダは、機体性能から動きが追い付いていないシャアのザクⅡに更にマシンガンを連射。
シャアはスパイクアーマーで防御を行いながら、同じくザク・マシンガンを取り出そうとするが、流れ弾によって破壊されてしまう。
「不利か………こうなれば………っ!?」
「相手がザクなら人間じゃないんだ!僕だって!!」
撤退を考え始めたシャアの目に移ったのは、体勢を立て直し、「ビーム・サーベル」を構えたアムロのガンダム。
彼は、一直線にシャア専用ザクⅡへと迫り、ビームで出来た刃を振り下ろす。
スパイクアーマーすら溶解するその一撃が、袈裟斬りで入れば致命傷。
しかし、シャアは素早くバーニアを吹かして飛びのく事で対処したため、空振りに終わる。
「何て失態だ………同志に向ける顔が無い………。」
シャアは苛立ちを見せながらも、引き際を弁えており、あっという間に撤退していく。
これで、宙域に備わる機体は3機ともいなくなった為、戦闘終了。
………になるはずだった。
「え………?」
藍子達に連れられてホワイトベースを横切り、キャリー・ベースへと向かっていたやよいは、妙な違和感を覚える。
まるで、この宙域の時空にヒビが入っていくような感覚。
ヒビは辺り中に広がり、そして割れる。
その結果、何かが砕ける音が聞こえた。
「これは………一体………?」
次の瞬間であった。
ホワイトベースの後方にある「サイド7」で、爆発が起こったかと思いきや、中から4機のモビルスーツが飛び出してくる。
先頭に出てくるのは、赤いゴテゴテしたモビルスーツである「リック・ディアス」。その後ろから黒い「リック・ディアス」2機に囲まれるように、漆黒のガンダム………「ガンダムMk-Ⅱ」が出てくる。
「ガンダムMk-Ⅱ。思わぬ収穫が手に入った物だ。」
先頭の赤いリック・ディアスのパイロットは、周囲を確認しながら、ほう………と冷静にマイクで後ろの機体に向けて呟く。
「アレは「木馬」………?どうやら、脱出時に次元の歪みに巻き込まれたようだな。」
明らかに今まで居たモビルスーツ………ザクⅡやガンダムとは別の機体の出現に、やよいは驚く。
「次元の歪み?………何が………一体、何が起こったんですか!?」
「その質問には、私が答えましょう。」
「え?」
何処か慈母のような女性の声が、コックピット内に響いた瞬間であった。
突如眼前のモニターに「のワの」文字の顔の裸のデフォルメ人形が映し出され、やよいは仰天する。
固定シートが無ければ、ひっくり返っていたかもしれない。
そんなやよいの様子を知ってか知らずか、その人形は喋り出す。
「初めまして、私はシステム・アプロディア。」
「い、いきなり変な人形が!?」
「人形ではありません。システムです。」
「で、でも………!?」
あくまでマイペースに話すアプロディアと名乗った人形を前に、やよいは気が動転してしまう。
「そんな姿でいきなり挨拶をしても、ビックリするだけですよ、アプロディア。」
「あ………?」
やよいは更に驚く。
モニターに別のヘッドギアを被った少女が映ったのだ。
彼女はそのヘッドギアを少し持ち上げ顔を見せ………藍子の時と同じくやよいを安堵させようとする。
「初めまして、私は綾瀬穂乃香。母艦キャリー・ベースのオペレーター席で、情報解析などを行っています。いきなりアプロディアが申し訳ありません。」
「ど、どうも………。」
この後、高槻やよいは知っていく事になる。
世界に起こっている「次元の歪み」と呼ばれる謎の現象を。
gジェネワールド発売当初は、「3倍道場」とまで言われていた稼ぎポイントの1つであるこのステージ。
ここのシャアの性格は痛い事になっていますが、その実力は本物となっています。
当時のアムロは、ガンダムの性能に助けられていたんですよね。
一方でこの作品で目立つのは、やはりジオニック社のザクⅡの中を疾走するツイマッド社のヅダでしょうか。
最初の動画のサムネも、藤原肇さんのヅダだったんですよね。
当時は何気なく採用しましたが、その人気ぶりとカッコよいという言葉に、驚きを隠せないでいました。
コメントに、「見たか、ジオニック!」と書かれていたのも、いい思い出です。