モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第48話 PHASE4-4『木星帰りの男』

「マゼラン残骸」では、テリー・サンダースJr.のジム・コマンドが、アイナ・サハリンの高機動試験型ザクを始めとするジオン軍に追われていた。

危機に陥るサンダースであったが、そこにボールK型に乗ったシロー・アマダが加勢。

しかし、ボールで来た所で戦力にはならないうえに、多勢に無勢なのは変わらない為、どうしようもない。

その状況に遭遇したシンデレラガールズは、ジェネレーション・ブレイクの発生を防ぐためにも、残酷だが彼らを無視して、さっさとこの宙域から脱出した方がいいと決断。

 

ところが、ここで謎のガンダムフェイスのモビルスーツ………M1アストレイ(シュライク)が流れてくる。

何と、機体には3人の少女が閉じ込められており、戦場は騒然。

助けるべきだと考える者達が大半だったが、アイナの僚機のザクⅡのパイロット達は、ボイスレコーダーを使った連邦の罠と判断し、撃墜を狙ってしまう。

 

万事休すかと思われた所で、サンダースが機体をボロボロにしながらも庇った事で、少女達の撃墜を防ぐ。

シンデレラガールズは、少女達とサンダースを救う為に、戦闘を開始する事に。

 

果たしてこの戦場で、これから何が起こるのか?

追われる者を守りながらの戦いが、始まる。

 

 

 

サンダースは、本当に悪運が良かったらしい。

栗原ネネのジーライン スタンダードアーマーに移ってジム・コマンドから離れた途端、それまで堪えてくれていたかのように、乗機が爆発を起こしたのだ。

当然ながら、少女達はまたパニックを起こしそうになるが、ネネがアプロディアを頼った接触回線で、自身とサンダース、ついでにハロの顔を出して無事だと伝えて安心させる。

 

「まずは、お互いに自己紹介からしましょうか。」

 

ネネは優しい笑みを浮かべながら、自分の名前を言う。

続いて、サンダースやハロも同じように伝える。

画面の向こうには、やはり怯える少女達が3人映っていたが、ネネ達の挨拶を受け、涙声でありながらも、彼女達は答えてくれる。

 

まず、ショートボブの兎の髪飾りを付けた少女。

 

「佐々木千枝(ささきちえ)です………。ヒック………うぅ………。」

 

次に、ぬいぐるみを着ている少女。

 

「にに………仁奈は、市原仁奈(いちはらにな)でごぜーます………。」

 

最後に、綺麗な青髪のロングの少女。

 

「私は………佐城雪美(さじょうゆきみ)………。私達………死ぬの………?」

 

「死なない!俺達が何とかするから、今は耐えてくれ。」

 

不安そうな声を出す3人でありながらも、サンダースが勇気づける。

激励役のメインは彼に任せ、ネネはハロと共に周囲の敵機を警戒しながら、ゆっくりと曳航していく。

本当は一気に運びたかったが、下手に動くと敵の的になるうえに、中の3人を大きく揺らして怖がらせてしまう為、派手に動かすのは最終手段となっていた。

 

勿論、そのネネ達を守る為に、モビルスーツ隊は既に展開している。

彼女達を守るのは、シールドを構えて流れ弾を防ぐ構えである、グランドスラムもしっかりと携えた工藤忍のジム・スナイパーⅡ(ホワイト・ディンゴ仕様)。

彼女をリーダーとして、喜多見柚のオクト・エイプと、新たに戦力になった緒方智絵里の白いトーラス、更に武装の完成が間に合った神谷奈緒のドーバーガン付きのリーオー。

 

遊撃部隊には、高森藍子のハイザック・カスタムを筆頭に、高槻やよいのゲルググキャノン、綾瀬穂乃香のガルバルディβ、桃井あずきのジン。

 

キャリー・ベースの直営隊は、不完全修復の藤原肇のヅダ一番機に、切り札の渋谷凛のフルアーマーガンダム7号機、島村卯月のジムⅢ・ディフェンサー、本田未央のパワード・ジム。

一応この4人は、新たにジェネレーション・ブレイクが発生した時の対処も任せる形になっていた。

 

「柚ちゃん!智絵里ちゃん!奈緒ちゃん!当たらなくてもいいから、とにかく威力の高い武器で牽制して!」

 

この内、ネネ機と少女達を守る忍の号令で、各僚機達は武装の出力に任せた攻撃を、アイナの僚機のザクⅡ達に仕掛けていく。

柚がジャイアントバズーカを放ち、智絵里が「ビームカノン」を、そして奈緒が「ドーバーガン」を放っていった。

 

「1機………撃破しました!」

 

この中では智絵里のトーラスが、強力なビームを放てる分、強さを発揮してくれる。

実際にネネ達に近づこうとした3機のザクⅡのうちの1機がビームに掠り、溶解して爆発した。

だが、向こうはアイナを守ろうとする分、士気が高いのか、数が不利になっても怯む気配がない。

しかし、相手が冷静さを欠けば有利になるのは、シンデレラガールズの方だ。

 

「こっちは、みんなで冷静に対処すれば大丈夫。もう3機は、普通ならば藍子ちゃん達の遊撃部隊で対応可能だけれど………。」

 

忍達に付いているザクⅡは、残り2機。

藍子達には3機。

残りの2機は、ずっとアイナの護衛を勤めている。

 

数や性能だけ考えれば、忍達4人も、藍子達4人も押し切れる。

だが、忍には懸念点があった。

藍子ややよいはともかくとして、穂乃香とあずきはまだ人を殺した事が無かったのだから。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「こんな………感覚でしたっけ………?」

 

その遊撃部隊の内、ゲルググキャノンのビーム・キャノンでザクⅡを撃ちぬき、2人目の人を殺したやよいは、少し悲しさを抱いていた。

「シャングリラ」で初めて人を殺した時は、激しく嘔吐をしてしまったうえに、その日の夜はネネの手を借りないと寝られない位に、動揺をしていたのだ。

しかし、それでもバルバトスの支配から人々を守る為に、前に進まないといけないと覚悟した事が幸いしたのか、2人目の撃墜は冷静に受け入れていた。

慣れ………と言う物なのかもしれないと思った彼女は、自分の心境の変化に少々嫌気が差し、相手パイロットに申し訳なさも覚える。

 

しかし、それで手を緩めたら、今度死を迎えるのは自分より幼い少女達なのだ。

やよいは手を止める事無く、藍子が狙撃用ビーム・ランチャーで牽制している2体目のザクⅡに対し、突撃してビーム・ナギナタを振りかざす。

 

「そ、粗悪な連邦がーーーッ!?」

「ゴメンなさい………。」

 

思わずマイクで叫んで来るジオン兵に対して謝るが、彼女は手を抜かない。

しっかりと、上段からナギナタを振り下ろして両断する。

離れた所で爆発を起こす2機目を後目に、こちらに来た最後の1機の状態を確認した。

 

「ああ、やっぱり………。」

 

自身の前の経験を踏まえて、もしやと思ったやよいは………その通りの光景を目の当たりにし、思わず憂鬱な言葉が出てしまった。

最後のザクⅡには、綾瀬穂乃香のガルバルディβと桃井あずきのジンが対峙していたが、どちらもまだトドメが刺せていない。

機体性能を考えれば、倒すのはそこまで難しい敵では無いのだが、「人を殺す」という点で、どうしても躊躇いが生じてしまっているのだ。

 

「な、何か変だよ………!?ユーグさんよりも、全然弱いのに!?」

「早く………倒さないと………いけないのに!」

 

勿論2人共、状況は分かっている。

手を抜いたら少女達が犠牲になるから、早急に対処しないといけないと。

それでも体が考えている通りに動くかと言われたら、難しい事なのだ。

だが、あずきのバルルス改特火重粒子砲のビーム砲は外れるし、穂乃香のガルバルディβのビーム・ライフルも思うようには当たらない。

 

しかし、数撃てば当たるでは無いが、本当にチョットした事からザクⅡがバルルス改に掠り、スパイクアーマーごと左腕が吹き飛んでしまう。

 

「くっそおおおおおおおおおッ!!」

「なっ!?」

 

マイクで叫びながら、ガルバルディβに無理やり突撃していくザクⅡ。

道連れに自爆するつもりだと、藍子が叫び声を上げながら注意喚起をするのが分かった。

 

「穂乃香さん!?」

 

やよいがゲルググキャノンのビーム・ライフルを向けるが、突っ込んだザクⅡは、ガルバルディβと激突した所で動きが止まっていた。

咄嗟に穂乃香がビーム・サーベルで、コックピットを突き刺したのだ。

 

「わ、私………!?」

「穂乃香ちゃん!次来る!?」

 

ここで、僚機を倒される事に耐えられなくなったアイナの高機動試験型ザクが、ザク・マシンガンを放ちながら穂乃香機に突撃してきたのだ。

勿論、僚機の2機のザクⅡも同じように突っ込んでくる。

 

「こ、来ないで!!」

 

放心している穂乃香のガルバルディβを守る為に、あずきのジンがバルルス改を放つ。

危機に陥った友を守る為だったからか、今度こそ、その一撃はザクⅡを1機貫いた。

 

「あ………。」

「止まらないで!動いて!!」

 

藍子が狙撃用ビーム・ランチャーでもう1機の僚機を撃ち抜くが、アイナの高機動試験型ザクは、仲間の仇を取る為に茫然とした2機に突っ込んでくる。

やよいは、咄嗟にシールドを構えて守ろうとするが、ここで思わぬ事が起こった。

 

「やらせるかぁぁぁぁあああああああッ!!」

 

何とシローのボールK型が、フィフティーンキャリバーの弾丸を放ちながら、アイナ機に突っ込んでいったのだ。

当然ながら、アイナのザク・マシンガンの狙いはボールに向くが、何と正面からその装甲で耐え抜いてみせる。

実は、ボールK型には、「ルナ・チタニウム合金」が使われており、普通のボールよりは数段固い。

その為、マシンガンの弾くらいならば、少しは耐えられた。

 

「俺の巨砲で!お前をぶち抜くーーーッ!!」

 

そして、ゼロ距離まで突撃すると、作業用ワイヤーの「ウインチワイヤー」を展開し、何とザクに巻き付くようにして締め上げる。

これで、下手にお互い身動きが取れなくなった。

 

「おどきなさい!!」

 

アイナもまた、マイクで叫びながら「ヒート・ホーク」を振りかざそうとするが、それよりも早くシローがフィフティーンキャリバーをゼロ距離から発射。

頭部を撃ち抜かれた高機動試験型ザクは、スパークし始め………。

 

『!?』

 

何と、そのまま両機とも密着したまま爆発。

あまりの事態に、皆が衝撃を覚えるが、真っ先にアプロディアの力を借りられたネネが安堵の息を漏らす。

 

「両者共に無事みたいです。機体から脱出して、小競り合いをして………アレ?」

「どうしたんだ!?」

「ジオン側のパイロットが自棄になって自害しようとした所を、シローさんがナイフを弾き飛ばして、怪我している箇所を冷却スプレー等で治療しています………。それで、何かいい雰囲気に………。」

「何だ、それは………!?」

 

同乗しているサンダースが、思わず呆れる。

とりあえず、この2人も回収しておいた方がいいだろうと、ネネは考えた。

この頃には、M1アストレイを狙っていた残りの2機のザクⅡは、しっかりと忍達が撃墜してくれていた。

彼女達に護衛して貰いながら、ネネ機はゆっくりとシロー達の下へと向かう。

その頃にはアイナは抵抗する様子も無く、素直に彼の指示に従って寄り添っていた。

 

 

 

 

しかし、ここで空間にヒビが生じ………ジェネレーション・ブレイクが起こる。

その瞬間、キャリー・ベースの背後で何かが光る。

信号弾による救難信号だと分かった時、背後からマイクで見知った人物の愚痴が、悲鳴とも言える叫びとして聞こえて来た。

 

「クッ!ティターンズめ………!!逆らった者への見せしめのつもりか!?こんな人員輸送船まで狙ってくるとは………!」

 

『ブライトさん!?』

 

その声を聞いたシンデレラガールズ全員が、一斉に驚愕する。

よくよく見れば、ブライト・ノアがシャトル………「テンプテーション」に乗って、こちら側に向かって来ていた。

しかし、その後ろからは母艦のサラミス改が、単装メガ粒子砲を放ちながら襲い掛かっており、更には僚機のハイザックが2機、沈めようと向かって来ている。

 

「何だ!?何故シャトルがビーム攻撃を受けるのだ!?」

「ひ、酷い………!シャトルは何も出来ないのに………!」

「あのハイザック………まさか、ティターンズ!?」

 

サンダースが狼狽し、智絵里や藍子が怒りの言葉を叫ぶ中、サラミス改の後ろから紫のモビルアーマーが高速で飛来してくる。

 

「フッフッフッフッフッフッ………さて、時の運はどう動くかな?」

 

あっという間にサラミス改を抜き去り、テンプテーションへと迫るその機体を見て、肇、凛、卯月、未央の4人は、そちらの援護に向かわざるを得なくなる。

ここで、肇は敵機の索敵能力を持つ穂乃香に問う。

 

「穂乃香さん!?あの機体は一体………!?」

「め、「メッサーラ」です………。可変型の強力なモビルスーツです………。」

 

敵を殺した事で動揺しながらも、穂乃香はガルバルディβのコックピットに入っている支援用のぴにゃこら太3匹の力を借りながら、何とか判別をする。

 

 

敵の未知の機体はメッサーラ。

搭乗者はパプテマス・シロッコであり………木星帰りの強力なパイロットであった。




高槻やよいさんは、徐々に戦いに慣れていく自分を冷静に分析してしまっている模様。
引き金を引いてしまったからこそ、命を奪う事への抵抗感が無くなっていくのも、悲しい話ですよね。
綾瀬穂乃香さんと桃井あずきさんは初戦闘だった故に、撃墜に動揺してしまいますが、こればかりは仕方ないのでしょう。

そんな中、本来の2つ目の護衛ユニットであるテンプテーション登場。
更に、序盤だと厄介なパプテマス・シロッコのメッサーラも参上です。
実際のステージでは、追い返すのにはかなり苦労した記憶がありますね。
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