何故か、サイド7のコロニーから脱出してきた、クワトロ・バジーナ率いるエゥーゴ。
その現象に驚いた高槻やよいは、アプロディアと綾瀬穂乃香から、ジェネレーション・ブレイクに付いて教えて貰う。
空間・次元・時間全てを圧縮する夢物語のような力はかなりの脅威であったが、同時に別次元の勢力による武力介入も引き起こす事になった。
追いかけてきたのは、ジェリド・メサ率いるティターンズ。
元上官を前に高森藍子は、犬猿の仲であった事を話し、対立の姿勢を見せる。
それを見たクワトロは藍子達と共闘を提案。
やよいも参加しようとするが、神谷奈緒に人を殺す覚悟があるのかを問われてしまい、思わず委縮してしまう。
しかし、そんな中でやよいを追っていた、アナベル・ガトーが乗り込むガンダム試作2号機(MLRS仕様)がサイド7に現れ、戦場が更に混沌とする。
ガトーの高圧的な態度を見て、やよいが765プロの関係者であると悟ったアプロディアは、彼女達にこのガトーがシークレット・ユニットであり、操っているのがニューロだと語った。
やよいの引き渡しを拒んだ一行を見たガトー・ニューロは、全員を抹消する為にその卓越した腕を見せ始める。
果たしてこの戦場はどうなるのか………?
「何なんだ、貴様は!?所属を言え!言わないのなら………!」
ガトー・ニューロが、間に挟まれた形のジェリド達ティターンズの警告に構わず、試作2号機のビーム・バズーカを藍子達に向けて撃ち始める。
これにより流れ弾が飛んできたジェリド達は彼を敵と見なし、ジム・クゥエル4機を含め一斉に「ビーム・ライフル」による射撃を始める。
当然ビームであるので、直撃すればガンダムであっても只では済まない。
「ええい!鬱陶しいわ!!」
だが、ガトー・ニューロは群がって来る5機の機体に怯む事無く、専用のラジエーター・シールドすら構える事無く間を縫って接近してくる。
それどころか、背部に装備された「MLRS(多連装ロケットシステム)」による6連装の弾頭を一斉射した。
「なっ!?しまったっ!?」
「うわぁっ!?ちゅ、中尉!?」
広範囲に放たれた弾頭は、ジェリドのハイザックに2発、ジム・クゥエルにそれぞれ1発ずつ放たれる。
ジェリドはビーム・ライフルを連射する事で2発とも破壊するが、ジム・クゥエルは焦って回避しようとした為に、反応が遅れる。
左右端にいる2機は何とか躱す事が出来たが、ハイザックの横にいた2機が直撃を貰い、断末魔の悲鳴を上げて爆発を起こしてしまう。
「貴様………!よくも俺の部下………うぉっ!?」
ジェリドが部下をやられた怒りに任せて「ヒート・ホーク」を構えた時には、放たれたビーム・バズーカが、ハイザックの脚部を丸ごと持って行ってしまっていた。
何とかバーニアで姿勢制御を行おうとした時には、更に右横の機体がビーム・バズーカで吹き飛ぶ。
「中尉、撤退してください!この敵は危険です!俺が足止めしますから!」
「ま、待て………!?」
ジェリドが最後のジム・クゥエルのパイロットを止めようとするが、彼は「ビーム・サーベル」を握ると突撃を行う。
だが、ガトー・ニューロは、冷静に後退しながらビーム・バズーカの砲身を分解してラジエーター・シールド内に仕舞うと、「ビーム・サーベル」を取り出す。
「喰らえ!悪人面め!」
「ハルシュタイン閣下の後光が見えぬ、愚か者が!!」
巨大なラジエーター・シールドがある為に、インファイトで上段から一気に頭部を叩き斬ろうとするジム・クゥエル。
しかし、その右腕がサーベルごと吹き飛ぶ。
試作2号機が「60mmバルカン砲」を使用し、右腕の肘の間接部に集中させて破壊したのだ。
「ならばぁっ!!」
少しでもハイザックの撤退の時間を稼ぐ為に、ジム・クゥエルはシールドを叩きつけようとする。
しかし、それもビーム・サーベルで薙ぎ払う形で左腕ごと斬り払われてしまう。
両腕を失った為、最後の手段として頭部の「60mmバルカン砲」を連射しようとしたが、逆に右から左にサーベルを振るわれた事で頭部すら失った。
「消去する!!」
「ぎゃああああああああああああああっ!?」
そのまま逆手にサーベルを持った試作2号機は、コックピットを貫く。
耳をつんざくような断末魔が宇宙にこだました。
「くそ………ティターンズの俺が………こんな………!」
部下の最期を耳にしながら、ジェリドは脚部を失ったハイザックで撤退していく。
その心には、怒りと情けなさと憎悪が渦巻いていた。
――――――――――――――――――――
「な、何だよ………アレ?」
「じ、実力が違い過ぎるよ………。」
ティターンズを単騎であっという間に退けたガトー・ニューロの姿に、奈緒と緒方智絵里は恐怖を抱いていた。
とても、自分達では勝てる相手では無いと。
元ティターンズとして実力のある藍子も、ベテランの風格を漂わせるクワトロでさえ、そう易々といかないと感じていた。
「次は………誰が私の相手になる?」
「では、一斉に相手になって貰おうか、「ソロモンの悪夢」よ。」
ここでクワトロの言葉で、アポリー・ベイやロベルトと共に、リック・ディアス達が連携して一斉射撃を行い始める。
使用する武装はビーム・ピストル。
威力は低いが連射が効く武装だ。
「手数で押せば、まだやりようはある。カミーユ君は、回避に専念したまえ!」
「は、はい………!」
カミーユが言われた通りに行動する中、クワトロは射撃を放つ。
アポリーやロベルトの射撃は先程までと同じように回避されるが、クワトロはそうはいかなかった。
「貴様………!?」
「敵機の回避ルートを計算している………?」
「アポリーやロベルトの射撃コースから、動きを先読みすればいい。」
狙撃用ビーム・ランチャーを放つ藍子が感嘆する中で、クワトロはビーム・ピストルを確実にラジエーター・シールドに当てている。
彼は直撃よりも、こちらの方が、効果があると踏んでいるようであった。
「先程までの動きを見れば分かる事だが、あの大型シールド内にビーム・バズーカの砲身を分解してしまっていた。つまり、シールドを破壊すれば、バズーカは使えないという事だ。」
「確かに………勉強になります。」
藍子もクワトロに言われて、エゥーゴの面々の狙いに納得した。
ティターンズにMLRSを使用してしまった為、試作2号機はビーム・バズーカさえ奪えば、接近戦しか出来なくなる。
その為、彼女もまた狙撃用ビーム・ランチャーの狙いを、大型のラジエーター・シールドに集中させる。
「奈緒ちゃんと智絵里ちゃんは、今の内にやよいちゃんの護衛をして離れて!」
「わ、分かった………って、おい、大丈夫か!?」
「しっかりして………!」
奈緒と智絵里の言葉に、藍子は慌ててモニターを開き、思わすギョッとする。
何とやよいは、コックピットで吐いてしまっていたのだ。
自分に迫る追手の想像を超えた実力と、残虐に仕留める冷酷さを見せつけられた事で、恐怖心を限界まで煽られてしまった。
14歳の少女がいきなり見るには、この戦場は危うすぎたのだ。
「う………うう………。」
「しっかりしろ!早く逃げないと………!」
「奈緒ちゃん、前!!」
奈緒が必死にやよいを落ち着かせようとするが、ここで智絵里が叫ぶ。
見れば、しびれを切らした試作2号機が、ラジエーター・シールドに頼らず、機体の装甲に任せて強引に突撃してきたのだ。
奈緒のリーオーは慌てて回避をしようとするが、背後にやよいのGディフェンサーがいる事で、下手に身動きが取れない。
「ち、ちくしょおおおおおっ!!」
やけくそになってシールドを構え、「ビームサーベル」を取り出そうとするが、それよりも早く、試作2号機がビーム・サーベルで斬りかかる。
リーオーの左の肩口からシールドごと左腕を切り落とされた奈緒機は、スパークした。
「うわああああああ!?」
「あ……………。」
奈緒の甲高い悲鳴が聞こえる。
モニター越しに、コックピット内に血が飛ぶのがやよいにも分かった。
まだ、彼女の名前も知らなかったが、自分のミスで彼女がやられてしまったのだ。
「あ………ああ………。」
その事実が、やよいの頭から冷静さを奪う。
彼女の目は、奈緒のリーオーを蹴り飛ばし、自分を見据えた試作2号機しか映っていなかった。
「ああああああああああああっ!!」
ここで、やよいの恐怖心は限界を超えた。
周囲が見えなくなった事で、彼女は半狂乱になって、「14連装ミサイル・ポッド」を全段乱射し始めたのだ。
「あああああああああああああああああああああっ!!」
「ぬうっ!?」
流石に味方も近くにいる状況での、この攻撃は予測していなかったのか、試作2号機は慌ててラジエーター・シールドで初めて明確な防御行動を取りながら下がって距離を取る。
だが、それでやよいの錯乱は収まらず、ロング・ライフルや大型バルカンをひたすら撃ちまくった。
「やよいちゃん!?ダメ!落ち着いて!!」
藍子が思わず叫ぶ。
暴走した味方機ほど恐ろしい物は無い。
事実、流れ弾が奈緒の破損したリーオーに当たりそうになっていた為、彼女のハイザック・カスタムが慌てて射線から引き離していた。
「や、やよいちゃん………ゴメンなさい!」
言葉で落ち着かせるのは、もう不可能だと悟ったのか、智絵里のボールが実力行使に出る。
先程拝借したザクⅡの左腕を振りかぶり、スパイクシールドの部分でGディフェンサーを思いっきり殴ったのだ。
「うあっ………!?」
衝撃で揺らされた事で、やよいは操作用のコンソールに頭を打ち付け気絶。
どうにか暴走を止める事は成功したが、奈緒を含め救助対象が増えてしまった。
「どうする!?このままじゃ………!?」
カミーユが、自分も加勢した方がいいとガンダムMk-Ⅱの「ビーム・ライフル」を取り出す。
しかし、クワトロが、戦闘の素人がやよいのように下手な行動を取るべきでは無いと制する。
「小癪な真似を………いい加減に………何っ!?」
ここで再度、身動きの取れない藍子達にビーム・サーベルで突撃をしようとするガトー・ニューロであったが、その眼前を突如長距離ビーム砲が通過していった。
これは、藍子のハイザック・カスタムの狙撃用ビーム・ランチャーでは無い。
「これは………!?」
「ゴメン、遅れた!みんな大丈夫!?」
藍子が右後方を振り向けば、そこには3機のモビルスーツの姿が。
藤原隊の3機は、アムロ・レイのガンダムの護衛をしている為に駆け付けられなかったが、工藤隊に所属する工藤忍、本田未央、栗原ネネの3人が、キャリー・ベースの護衛の仕事を一時置いて、向かって来てくれたのだ。
今放たれたのは、忍のジム・スナイパーⅡ(ホワイト・ディンゴ仕様)の「ロングレンジ・ビーム・ライフル」である。
「各機援護して!危ない所は、アタシがやるから!」
「程々にしてくださいね!………ハロ、お願い!」
先に飛び出したのは、ネネのジーライン スタンダードアーマー。
彼女はコックピット内に緑色のハロを置いていた。
そして、そのハロの目が光り、耳が動くと、音声を発する。
「ハロ!ハロ!ガトリング・スマッシャー!ガトリング・スマッシャー!」
ハロの操作によってバックパックに2基備えられている4連装機関砲「ガトリング・スマッシャー」が一斉に火を噴く。
更に、ネネ自身が速射性を重視した「ショート・ビーム・ライフル」を連射する事で、密度の高い弾幕を形成し始めたのだ。
「シールドを壊す事ならば、私達でもできます!」
「な!?………これしきでぇっ!?」
向かって来る際にちゃんとクワトロ達の会話を聞いていたのか、ネネの判断は的確だった。
ガトー・ニューロは、弾幕の嵐を前に防御行動を取らざるを得なくなるが、暴走したやよいのミサイルの嵐でベコベコになっていたラジエーター・シールドは、耐えられずに破壊される。
すかさずガトー・ニューロは、ビーム・サーベルを握り、ジーラインに迫ろうとするが、ここで同じく「ビーム・サーベル」を持った忍のジム・スナイパーⅡが立ちはだかった。
そして、60mmバルカン砲の範囲に入らないように気を付けながら、サーベル同士を打ち付ける。
「おっとっと………!」
出力は忍機の方が負けていたが、短時間の間ならば何とか踏ん張る事が出来た。
「アタシ、やっぱり接近戦の方が得意なのかなぁ………?本当にゴメンね、藍子ちゃん、奈緒ちゃん、智絵里ちゃん。美味しい所も持って行って。」
「何を勝った気で………!?」
「みんなが満身創痍に追い込んでくれていたのならば、この未央ちゃんでもトドメは刺せるんだよ!」
更に聞こえて来た通信と共に、試作2号機のコックピットが後ろから貫かれる。
ネネと忍が気を引いている内に、機動力の高い未央のパワード・ジムが大回りで背後に回り込み、「ビーム・サーベル」を突き立てたのだ。
流石に急所を貫かれれば、ガンダムと言えども耐えられるわけが無い。
「………覚えておけ、高槻やよい。私を倒したところで、貴様に待ち受ける運命は変わらん!貴様を追う刺客など、幾らでもいるのだからな!!」
勝負があったところで、ガトー・ニューロは最期の言葉を気絶しているやよいに告げる。
忍機と未央機が離れた事で、試作2号機はようやく大爆発を起こした。
「奈緒ちゃん!?大丈夫!?しっかりして!?」
「あー………生きてるよ。左の横っ腹から血が出てるけどな………。けど………どーすんだ、この状況………。」
力なくリーオーのコックピットで呟く奈緒の姿を視認して、一安心をする藍子。
しかし、彼女の言う通り、気絶しているやよいを確認して、困った表情を浮かべてしまう。
「彼女達の曳航を手伝おう。お陰で私達も命拾いをしたからな。」
「………お願いします。」
クワトロ達と共に、奈緒のリーオーや、やよいのGディフェンサーを引っ張っていく藍子達。
忍達は何も起こらない事を願いながら先導をしていくが………またしても、空間にヒビが入り、割れる音が響いた。
小説という世界だからこそ描けるのが、別勢力の敵の同士討ちと言う展開。
また、今回の緒方智絵里さんのように、味方を気絶させるという行為も出来ます。
ここら辺の展開を複雑に柔軟に表現できるのは、有り難い事ですね。
尚、gジェネワールドをやっている方ならお気づきだと思いますが、ここの試作2号機はMLRS装備ではありません。
アトミックバズーカも撃ってこないので、「ビーム・サーベル」と「バルカン砲」だけですね。
それだとつまらないので、装備を強化して無双して貰いました。
結果的に高槻やよいさんが暴走してしまいましたが、後にこれがどう影を落とすか………。