ジェネレーション・ブレイクによって現れたティターンズの攻撃により、キャリー・ベースに佐々木千枝、市原仁奈、佐城雪美が閉じ込められたM1アストレイ(シュライク)を曳航できなくなる、栗原ネネのジーライン スタンダードアーマー。
仕方なく母艦から離れ、ネネ機に同乗している、テリー・サンダースJr.にシロー・アマダ、更にはアイナ・サハリンも加え、必死に鼓舞して何とか彼女達の正気を保たせる事に。
一方でティターンズの攻撃からブライト・ノアの乗るテンプテーションを守る為に、藤原肇のヅダ、渋谷凛のフルアーマーガンダム7号機、島村卯月のジムⅢ・ディフェンサー、本田未央のパワード・ジムがパプテマス・シロッコのメッサーラに挑む。
ところが、4対1であるにも関わらず、全然優位に立てない。
更にシロッコは凛とビーム・サーベルでの鍔迫り合いになった際に、何故かシンデレラガールズの組織名と彼女の名前を言い当ててしまう。
動揺する凛を守る為、割り込んだ未央であるが、メッサーラの攻撃によってダルマにされ、戦闘不能に。
しかし、自分を殺すつもりが無かった事から、抵抗しなければシンデレラガールズに手を出すつもりが無かった事を悟って、何とかシロッコと交渉を行おうとする。
そんな彼女を回収する為、捕虜扱いである黒川千秋のシグーアサルトも出撃する中、綾瀬穂乃香が、新たなジェネレーション・ブレイクを感知。
しかし、それは「コア・インパクト」と呼ばれる謎の現象で、現れた3機のガンダムは、何とシロッコ以外のティターンズを殲滅。
更にはシンデレラガールズを狙おうとした事で、より一層危機感を抱く事に。
だが、ここで未央はシロッコと利害が一致した事で、共闘を提案。
シロッコも彼女のプライドに捕らわれないフレキシブルさに感銘を受け、それに乗る事に。
果たして、この思わぬ共闘から何が起こるのか………?
「共闘するからには、肇の指示に従ってよ………!」
「構わないさ、渋谷凛。………して、そちらのヅダのパイロットが、指揮官機か。私は、何をすればいいかな?」
「こちらの隊内通信のチャンネルを送るので、まずはそれに合わせて下さい。」
かなり渋々共闘を受け入れる凛であったが、シロッコの方は割とノリノリなのか、肇の指揮下に入る事を了承してくれている。
肇はまず、何か策があるのか、彼を仲間として招くリスクを冒してでも、隊内通信で会話をした方がいいと考えた。
そのうえで、シロッコには千秋が未央をキャリー・ベースに置いてきてもらうまで、遊撃を頼む事に。
「モビルアーマー形態でとにかく動き回って下さい。弾薬の消費はなるべく控えめに。」
「心得た。」
言われた通り、シロッコは3機のガンダムを相手取り、機動力で圧倒しようとする。
この中ではガンダムエアマスターがメッサーラを追従できそうであり、声音通りの勝気な性格であるらしく、追いかけようとする。
「コイツ、舐めやがって!」
「だめだよ、下手に追いかけちゃ。メッサーラなら、乗り手は強いだろうし。」
「そうね。単独行動で迷惑を掛けちゃいけないわ。」
しかし、ガンダムレオパルドとガンダムXディバイダーのパイロットが、忠告をして、それをさせない。
肇は冷静に分析をしながら、彼女達がオープン回線で会話する理由を考えていた。
だから、敢えて彼女もマイクを使い、彼女達に分かる形で話しかけてみる。
「貴女達は何者なのですか?見た所、3人とも女性のようですが………。」
「何だ?素直に答えると思ったのか?」
やたら交戦的なエアマスターのパイロットの言葉を受けて、肇は千秋のシグーアサルトが未央を届け、キャリー・ベースから戻って来るのを感じ取りながら、質問を変える。
もし、オープンチャンネルで話しているのが、挑発とかそういう意味では無く、そうせざるを得ないというのならば………。
「では、質問内容を変えさせて貰います。………貴女達は、ニューロなのですか?」
「どうなんだろうね?………私達が知りたいや。」
「知りたい………?」
レオパルドのパイロットの、少し寂しげな声音が聞こえてくる。
心なしか、声だけで判断するのならば、このパイロットだけは少し幼いように思えた。
もしも、肇の直感で決め付けるなら、年は高槻やよいと同じ位かもしれない。
だが、そこにガンダムXの「ビームマシンガン」が飛んできた為、会話が打ち切られる。
「言っても、貴女達には分からないわ。「自分以外全てを失った」感覚が………。」
「………そういう体験ならば、私も過去に経験はありますが?」
10年前に家族を全員失った肇は、少し声のトーンを落としながらも、彼女達の物言いから、これまで出会って来たシークレット・ユニットとは違う気がした。
というよりも、むしろ………。
「まさかとは思いますが………貴女達は、バルバトスとは関係無いのですか?」
その瞬間、戦場の空気が一気にひり付くのを感じた。
3人の敵パイロットの声音が一気に落ち、絞り出すような怒りの声が出てくる。
「ああ!?あんな、クソ野郎の勢力と一緒にすんな!」
「そうだね、私達あいつのせいで、全て失ったようなものだし………。」
「だから消し去ってやるのよ………この世界の全てを!!」
『!?』
その言葉に衝撃を受けたのは、喜多見柚、工藤忍、綾瀬穂乃香、桃井あずきの4人。
もしかすると、今対峙している3人は、自分達と同じ世界出身なのでは?………と感じたからだ。
無論、それは肇達も同じである為、彼女はその旨を3人に伝える。
「待って下さい!だったら、私達は敵ではありません!私達の仲間にも、貴女達と同じで世界や大切な人達を奪われた者達が4人もいます!彼女達と一緒に………!」
「逆にその4人は、何でこんな世界の人達と一緒に行動しているの?………いえ、行動できるの?幸せに生きる能天気な世界の人達と、私達を騙したアプロディアと………!」
「アプロディアが騙した………?」
「アプロディアだけじゃないわ。ジェネレーション・システム全体が私達を騙した!システムは、平和を信じる「子供達」の為に生み出されたものだったはずじゃないの!その想いを踏みにじった事で、何が起きたか本当に分かっているの!?」
少しずつではあるが、冷たい声であったガンダムXの女性が激高していく。
問答を聞いていた柚達は困惑する。
彼女達は、プロデューサーというシステムへの反逆者に出会えた事で、生きる為の希望を見出した。
しかし………彼女達3人の敵は、「何らかの理由で」、バルバトスどころかジェネレーション・システムそのものに憎悪を抱いているようである。
その結果、世界全てを呪う破壊者と化しているようにも見えた。
「肇………彼女達を撃墜してください。」
「艦長!?」
ここで、隊内通信で高垣楓の声が聞こえてくる。
思わず肇は驚いてしまうが、冷静に考えれば納得できた。
そもそも、今の肇のヅダの状態とガンダムを操る相手の技量では、普通に挑めば鹵獲行動は無理だ。
シロッコは頼りにはなるが、共闘の条件があるとはいえ鹵獲までやってくれるかと言われたらダメだろう。
それに、仮に彼女達を捕虜にしたとしても、破滅思想に縛られた存在である故に、危険すぎてキャリー・ベースの艦内には置いてはおけない。
何よりも………。
「背後の子供達の安全を確保するのが、先決です。………肇、それに柚も忍も、穂乃香もあずきも、分かって下さい。」
『……………。』
肇は、飛んで来るビーム等を回避しながらも、ヅダのヒート・ホークを右手に構え、左手のシールド・ピックをしっかりと携えた。
今はフルパワーの力を発揮できないとはいえ、彼女が本気になった時のヅダの姿である。
「シンデレラガールズ小隊長の、藤原肇と言います。………貴女達の名前、宜しければ、教えてくれませんか?」
「……………桐野アヤ(きりのあや)だ。その名を刻んで地獄に堕ちな!」
「柳瀬美由紀(やなせみゆき)だよ。私………みゆき、あんまり敵でも痛めつけたくは無いんだよね。」
「1発で落とせば、それでいいわ。私は持田亜里沙(もちだありさ)。絶望を………教えてあげる。」
3人のパイロットが、それぞれ名前を告げる。
彼女達に何があったのかは、未だに分からない。
しかし、戦うのが辛い相手であるのは、確かであった。
――――――――――――――――――――
戦うと決めた以上、肇の割り振りは早かった。
機動力で唯一付いていけそうなシロッコのメッサーラは、アヤのエアマスターをしばらく相手にして貰う。
変形は出来ないが、比較的機動力の高い凛と卯月は、美由紀のレオパルドを。
そして、何か策があるのか、肇は千秋と共に、亜里沙のガンダムXに挑む事になった。
流れ弾が怖いので、高森藍子とやよいは、キャリー・ベースを。
忍、柚、神谷奈緒、緒方智絵里の4人は、引き続きネネや千枝達、それにシャトルを守って貰う。
地味ではあるが、背後を固めてくれるだけでも安心感が違った。
「肇、艦長はああ言っていたけれど、貴女は彼女達の保護を諦めてはいないのでしょう?」
「優先順位は決めますけれどね!でも、彼女達は少なくともシークレット・ユニットとは違います!」
隊内通信で、千秋に応えながら、肇はヅダを可能な限り加速させる。
亜里沙達は、只、バルバトスの命令を遂行するだけのAIの敵とは、明らかに違う。
自分の意志を持って戦う人間であるのならば、話を聞く事が出来るかもしれないのだ。
そもそも、何故世界を滅ぼすという、ある意味ではバルバトス以上に厄介な思想に染まってしまったのかを、知らなければならない。
「大人しく吐いて貰いますよ!」
肇はヅダを接近させようとするが、亜里沙機は胸部の「ブレストバルカン」で牽制して、「大型ビームソード」を右手で取り出す。
あくまで接近は許さない姿勢を見せるガンダムXを見て、ディバイダーによる広範囲攻撃を狙っているのが肇にも千秋にも分かった。
「キャットゥス500mm無反動砲を撒き散らすわ。弾速は遅いけれど、その分、邪魔にはなるはず!」
敢えてディバイダーを兼ねたシールドに向けて何発も放つ事で、牽制を狙う千秋のシグーアサルト。
その隙に、肇のヅダは何とか背後に回り込もうとする。
「やらせないわ!」
だが、ヅダに耐ビームコーティングがされている兵装が無い為に、振りかざされる大型ビームソードが厄介になる。
「やはり、一瞬だけでもリミッターを外すしか無いですか………。千秋さん!」
肇は千秋に自身の作戦を隊内通信で伝える。
その話を聞いた千秋は、少し悩んだが了承すると、重斬刀に持ち替え、接近戦用の構えに切り替えた。
「ビームに耐性が無い機体で………!」
キャットゥスによる弾丸による妨害が無くなった事で、亜里沙は迷わず盾のギミックを展開し、ディバイダーを放とうとする。
その瞬間、ヅダが敢えて正面から近づく。
「正気!?」
「ヅダにはまだ………これがあります!」
次の瞬間、肇はヅダの右手の甲から、何か光るものを撃ち出した。
それは、ディバイダーを構えた亜里沙機の前で、強烈に発光する。
カッ!!
「し、「信号弾」!?」
本来ならば、連絡用に使われる信号弾を、肇は目くらましに使用したのだ。
思わず怯んだ亜里沙は、強引にディバイダーを放とうとするが、その前に横合いからバーニアで加速した千秋のシグーアサルトが、重斬刀で斬り裂き左腕ごと破壊する。
驚いた亜里沙は、一旦下がろうとするが、肇がヅダのリミッターを外して一瞬だが強引に加速。
背面を取り、上から下に駆け抜けるように動きながら、背中の姿勢制御バーニアをヒート・ホークで砕いてしまう。
「そ、そんな………!?」
「勝負ありました。貴女の全て、話して貰いますよ!」
「ぐっ………!?」
唇を噛み締める音が聞こえたが、肇はヒート・ホークをガンダムXの眼前に構える。
だが、亜里沙は諦めが悪かった。
この世界を呪うが故に、少しでも敵となるものを破壊してやりたかった。
故に、彼女は右手に持っていた大型ビームソードを、最後の自棄で明後日の方向に投げ飛ばす。
「全て………全て、消えてしまえばいいのよ!!」
「なっ!?」
只の何て事も無いヤケクソの投擲。
しかし、その方向が悪かった。
何と飛んでいった先は、遥か後方のM1アストレイだったのだ。
その大型ビームソードは、千枝、仁奈、雪美の3人に飛来し………。
『いやああああああああああああああああああああっ!?』
少女達の悲鳴がマイクでこだまする中、その刃はギリギリの所で止められる。
ネネのジーラインが咄嗟に前に出て、シールドで受け止めて事なきを得たのだ。
代わりに、ジーラインの左肘から先が、高出力のビーム刃で丸ごと吹き飛ぶが………。
「え………?子供………?」
「い、いや………!?あああああ………!?」
「しししっかりするでごぜーますよ!?」
「怖い………怖いよ………。」
「大丈夫!大丈夫ですから!」
「わ、私………私は………!?」
ネネにしたら、思わず文句を言いたくなるような事態であったが、錯乱している子供達の前だったので、とにかくサンダースやシロー、アイナと共に安心させる言葉を何度も述べる。
詰めが甘かったと感じた肇は、ガンダムXのマウントしていたビームマシンガンを破壊し、更に右腕も破壊し、そしてブレストバルカンすら後方に届かないように、注意深く正面でシールドを構えた。
だが、亜里沙の様子がおかしい。
悪あがきとして大型ビームソードを投げてから、何かに怯えるように歯をガチガチと震わせているような音がマイクから響いて来た。
そして、戦闘中であるにも関わらず、絶叫する。
「子供を………私は「また」、子供達をーーーーーッ!?」
『子供………?』
破滅思考に染まった、桐野アヤ、柳瀬美由紀、持田亜里沙。
その中で、亜里沙が子供の恐怖する姿に狼狽してしまった理由とは………?
皆様の応援のお陰で、この小説もまずは50話に到達しました。
宜しければ、これからもお願いしますね。
…とはいえ、まだPAHSE4の真っただ中。
果たして、終盤までにどれだけの話数を使うのか考えると震えてしまいます。
コア・インパクトは小説版オリジナルの展開なので、今回登場した3人のアイドルも実は小説版からの登場です。
何やら複雑な事情を抱えていそうですが、果たしてその正体は………?