モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第51話 PHASE4-7『敗者の勝利』

本田未央の交渉術により、パプテマス・シロッコが駆るメッサーラの協力を取り付けたシンデレラガールズ。

彼の機動力で翻弄して貰いながらも、コア・インパクトと呼ばれる現象による乱入者であるガンダム3機の乗り手の情報を把握しようとする藤原肇。

そこで分かったのが、彼女達3人が、喜多見柚、工藤忍、綾瀬穂乃香、桃井あずきと同じ世界の生き残りである可能性が高いという事であった。

しかし、何かしらの原因でバルバトスを呪う彼女達は、彼は勿論の事、アプロディアを含めたジェネレーション・システムそのものに呪詛の念を抱いており、世界の破滅を願っていたのだ。

 

艦長の高垣楓は、彼女達3人………持田亜里沙、桐野アヤ、柳瀬美由紀の説得は無理だと言うが、肇は諦めずヅダのリミッターを一瞬だが外し、黒川千秋のシグーアサルトと協力する事で、亜里沙のガンダムXディバイダーを無力化する。

だが、亜里沙は悪あがきで大型ビームソードを投擲してしまい、それがあわや、佐々木千枝達の閉じ込められたM1アストレイ(シュライク)に当たりそうになってしまう。

栗原ネネのジーライン スタンダードアーマーのお陰で事なきを得るが、パニックに陥る子供達は危険な状態に。

 

だが、それ以上に子供達を殺そうとした事に驚愕する亜里沙は、我を見失う。

 

「また」子供達を………そう言う、彼女の言葉の意味合いとは?

亜里沙の過去に何があったのか?

 

 

 

「あ………ああ………。」

 

「貴女に………何があったのですか?「また」とは、一体………?」

 

放心状態になっている亜里沙に何とかマイクで語り掛けようとする肇だが、彼女からの返事がない。

とりあえず、回収してキャリー・ベースに曳航した方がいいと考えた時である。

 

「どけっ!」

「わ!?」

 

肇のヅダの目の前を、アヤのガンダムエアマスターのバスターライフルが通り抜け、強引に引き剥がされた。

見てみると、シロッコの「メガ粒子砲」を買い潜りながらも、モビルアーマー形態でこちらに接近していた。

どうやら、切り札である「ショルダーミサイル」はシロッコ相手に使い切っており、追いかけられている状態らしい。

しかし、それでも両腕を破壊されたガンダムXの前で素早くモビルスーツ形態に変わると、亜里沙機を後方に引っ張る。

 

「おい、亜里沙さん!しっかりしろ!敵の前で固まってどうするんだ!?」

「私………私、また、子供達を………子供達を絶望させて………!?」

「あちゃー………亜里沙ちゃん、見事にトラウマを思い出させちゃったね。でも、なんでそんな小さな子供が戦場にいるの?」

 

「それは………。」

 

渋谷凛のフルアーマーガンダム7号機と、島村卯月のジムⅢ・ディフェンサーと交戦をしていた美由紀のガンダムレオパルドも合流する中、彼女から疑問の声が上がる。

ここで、肇は簡潔に3人とついでにシロッコに、千枝達の経緯に付いて語る。

 

「チッ………バルバトスめ、本当に余計な事しかしやがらねえ!」

「間が悪いってこういう事を言うんだねぇ………。」

「とにかく、どうする!?」

「大人しく降参するとか?」

「ふざけてんのか!?」

「割とまじめな意見だけれどね。じゃあ………。」

 

熱くなってしまうアヤに対し、あくまでのんびりとした口調を崩さない美由紀は、亜里沙の様子を見て、少しだけ考える。

そして、肇、凛、卯月、千秋、シロッコを見ると、ニッコリと笑ってみせた。

 

「誰かががんばって………「殲滅」しないとねぇ。」

 

『!?』

 

その瞬間レオパルドの各部位の装甲が開かれ、右肩の「ショルダーミサイル」、両足脛前の「ホーネットミサイル」、更には左脛外側の「セパレートミサイルポッド」が一斉に放たれる。

あまりに濃密なミサイルの雨に、不意を突かれる一同。

 

「迎撃します!」

 

ここで、卯月がGディフェンサー側の「14連装ミサイル・ポッド」を一斉射する。

ミサイルの雨にはミサイルの雨と言わんばかりに放たれた互いの弾は、間でぶつかり合って、大量の煙を撒き散らす。

互いの姿が一瞬見えなくなった所で、凛がハッとして肇のヅダの前に飛び出す。

案の定、ビームナイフを構えたレオパルドが、肇機に突撃してきており、凛の7号機のビーム・サーベルをぶつかり合う形になった。

 

「凛さん!?」

 

「惜しいなー、ヅダをカニみたいに料理しようと思ったのに。」

 

「やらせないよ!肇、今の内………なっ!?」

 

しかし、美由紀は呑気な事を言いながらも、後ろに軽く下がると右の腕を突き出し、6門の「グレネードランチャー」を放とうとする。

 

「まだ、榴弾を持っていたんですか!?」

「させない!」

 

凛もすかさず、両脚部の「4連装ミサイルポッド」で対応。

しかし、美由紀のグレネードランチャーは、只の質量弾では無かった。

 

カッ!!

 

「信号弾!?」

 

亜里沙機に行った事をやり返された事で、凛も肇も一瞬だが動けなくなる。

 

「カニの皮むき速度なら、負けないよー!」

 

再びビームナイフを持った手で凛機に突撃を仕掛ける美由紀。

ダメ元で胸部装甲の「2連装ミサイルポッド」を放つが、デタラメの攻撃に当たってくれるほど、美由紀は甘くない。

やられる………と、凛が思った時であった。

 

「ふむ………まだまだ粗削りか。だが、逆に言えば、伸びしろがあるという事だな。」

「あ………!?」

 

声を聞いて、凛は驚く。

シロッコのメッサーラが立ちはだかり、美由紀機のビームナイフを、ビーム・サーベルで受け止めていたのだ。

 

「あ!?ずるいよー!」

 

「生憎、戦いの世界にズルいも何も無いのでな。」

 

シロッコは冷静に片目を瞑って目くらましに備えていたらしく、閃光で怯んでいなかった。

そのまま鍔迫り合いに持ち込むと、逆の手でレオパルドを殴り飛ばす。

 

「わわっ!?反則!!」

 

すぐさまレオパルドは体勢を立て直し、「インナーアームガトリング」のビームガトリングガンで反撃をするが、メッサーラは素早くモビルアーマー形態に変形し、その場を飛び去る。

あまりの早業に美由紀は付いていけなくて、自身の左から、視界を回復させた千秋のシグーアサルトが迫っているのに気づかなかった。

そのまま、重斬刀で左腕を斬られると、肇がヅダのリミッターをもう一度解除させ、レオパルドの背後を取って、姿勢制御バーニアを破壊する。

これで、今度こそ決着が付いた。

 

「あーあ、負けたー。」

 

持っていても意味が無いという事で、右手のビームナイフを捨てる美由紀であったが、シロッコは勝ったからといって笑ってはいなかった。

その意味を、レオパルドが無力化された事で、他の面々も悟る。

亜里沙のガンダムXとアヤのエアマスターが、既に戦線を離脱していたのだ。

 

「ミサイルによる派手な煙も、照明弾による光も、全ては逃げる仲間を隠す為。その目的を達成できた時点で、君の勝利であろう。差し詰め、敗者の勝利といった所か。尤も、何がそこまで自己犠牲の心をもたらすのかは………分からんがな。」

 

そう言うと、シロッコは、メッサーラを明後日の方向に向ける。

未央と約束した共闘の条件が終わったので、彼は撤退する気なのだ。

 

「待ってよ!ニュータイプって言ったけれど………私にその力があるって事!?」

「フッ………コーディネイターだからと言って、その素質の有無には明確な差があるという事だな。………再会を楽しみにしているぞ。後、共闘を提案した彼女にも、感謝の言葉を述べておいてくれ。」

 

シロッコは言うだけ言うと、そのまま去っていく。

凛はしばらく無言であったが、それどころでは無かった事に気付いた。

肇のヅダが、無理に2度もリミッターを外した為か、白煙を吹いているのだ。

 

「は、肇ちゃん!?」

「曳航するからもうそこから、動かないで!」

「すみません………。でも、その前に………。」

 

肇はパイロットスーツのまま、コックピットの中に閉まってあった工具を持って、宇宙空間に飛び出すと、無力化したレオパルドの下に向かい、金具を開けてハッチを開いた。

そこにいたのは、声に反して意外にも大人のパイロットスーツを着た女性であった。

年齢で言えば、24歳くらいであろうか?

ショートボブの髪が印象的で、ニコニコの柔らかな笑顔で両手を上げて、降参ポーズを取っていた。

 

「……………。」

 

念のため、銃を突きつけるが下手に距離は詰めない。

あまり考えたくは無いが、腹に爆弾を呑み込んでいるとかして、自爆等をされたらたまった物じゃないからだ。

只、相手はそんな肇の考えを見透かすように告げる。

 

「大丈夫だよ。みゆき、変な抵抗はしないから。でもゴメンね。「この体」を捕虜にしても、あんまり意味は無いかも。」

 

「どういう………?」

 

美由紀の意味深な言葉に、肇が首を傾げた時であった。

空間にヒビが入る。

 

「また………ジェネレーション・ブレイク!?」

 

帰還している綾瀬穂乃香の言葉に、一同は目を見開く。

今度は地球の方角から、何かの光が放たれ、民間機が逃げ惑っているのに気付いたからだ。

しかも、追いかけているのは、何とザクによく似た複数の戦闘用モビルスーツであった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ロンデニオン定期便である民間のシャトル、天鹿(てんるぅ)は地球を飛び立ち、順調に航行をしているはずであった。

しかし、彼等の状況は異常事態に襲われ、乗客達は悲鳴を上げている。

何せ、後方から「ギラ・ドーガ」が3機、サブ・フライト・システムの「シャクルズ」に乗って追いかけてきているのだ。

しかも、1機は緑ではなく、色違いの青………つまり、専用機だ。

 

「何だ!?前方にも戦闘の光………!?」

 

天鹿の操縦者であるキャプテンは、シンデレラガールズの戦っていた跡を見て、動揺してしまう。

只でさえ後方から追われているのに、挟まれてしまってはどうしようもないからだ。

 

「冗談じゃない!このままだと、戦闘宙域に突っ込んでしまうぞ!キャプテン!民間機の信号弾を上げろ!」

 

コックピットで指示を出すのは、連邦の高官であるアデナウアー・パラヤ。

しかし、その信号弾で前のシンデレラガールズは驚くが、後ろのギラ・ドーガ………ネオ・ジオンのパイロット達は、容赦はしてくれない。

只、この作戦の理不尽さは理解しているのか、オープンチャンネルで中央の青い専用ギラ・ドーガに乗る女パイロット……レズン・シュナイダーは大きく愚痴を漏らす。

 

「ったくッ!なんて作戦だよ!モビルスーツは白兵戦がメインだってのに!各機、相手はシャトルだが容赦する事は無い!こういう時に厄介なヤツの数を減らす!」

 

アデナウアーは、追いかけて来たモビルスーツが、ネオ・ジオンの物だと確認した時点で、歯をガチガチとさせる。

「厄介なヤツ」というのが、連邦軍高官の自分である事を理解していたからだ。

しかし、だからと言って、この作戦はあまりに滅茶苦茶だった。

 

「ネオ・ジオンだと!?バカな!どういうつもりだ!?」

「ま、待ってくれ!こ、このシャトルは貴殿等に危害を及ぼすつもりは………。」

 

キャプテンに至っては、青ざめた顔でマイクを使って、無害である事をアピールする。

しかし、その弱々しい口ぶりが、レズンの神経を逆なでした。

 

「五月蠅い!さっさと沈めッ!!」

 

威圧する言葉に、キャプテンは何と泡を吹いて失神。

操縦者がいなくなった事で、アデナウアーは唖然とする。

 

「おい、キャプテン!?泡を吹いて気絶するな!誰がこの船の舵を取るんだ!?」

 

思わずキャプテンを揺するが、彼が目を覚ます気配はない。

マイクでその様子を悟ったレズンは、正直心の中ではラッキーかもしれないと感じた。

無抵抗のシャトルを積極的に落としたいわけでは無いし、そもそも捕縛で済むのならば、それに越した事も無い。

 

「おい、1人このシャトルを押さえてな。私はもう1人と一緒に、あの妙な部隊を蹴散らしに行く!」

 

すぐさま、作戦を指示し、1機のギラ・ドーガに天鹿を押さえさせて身動きを取れなくさせる。

そして、レズンは自身の専用ギラ・ドーガを駆り、僚機のもう1機のギラ・ドーガと共に、シンデレラガールズへと向かった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

その一連の流れを、シンデレラガールズは茫然として見ていた。

ブライト・ノアの乗った人員輸送船を追いかけ回すティターンズもそうだが、民間のシャトルを沈めようとするネオ・ジオンは更に気が狂っているとしか思えなかったからだ。

 

「な、何だよアレ………!?」

「アレはギラ・ドーガ!?まさか、ネオ・ジオンの部隊っすか!?」

 

神谷奈緒の言葉に、吉岡沙紀が映像で確認して目を見開く。

すぐさま高垣楓が知識を要求するが、沙紀の言った事はとんでもない事であった。

 

「ハイザックの数段先の発展型のような物っす!シャクルズという宇宙用「ドダイ改」にも乗ってるし、かなり足が速いっすよ!!」

「何でそんな人達が、民間機を狙うの!?」

「多分、ティターンズと同じで、任務上の都合としか………。」

 

高森藍子の非難に、沙紀は推論を述べるが、それに怒りの声を上げたのは緒方智絵里であった。

 

「そんな………戦う力を持たない人を狙うなんて………なんて部隊なの!?」

 

彼女にしては珍しく、コンソールに拳を叩きつける。

その様子を見て、高槻やよいや千秋は驚きを見せるが、他の智絵里をよく知るパイロット達は別の危機感を覚えた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

天鹿の客席に座る乗客は、武器を構えたギラ・ドーガに捕まえられた事で、パニックが最高潮になっていた。

このまま死ぬのは嫌だと叫ぶ者、助けてくれと大声で悲鳴を上げる者、それぞれが多数であったが………。

 

「みんな!落ち着くにぃ!!」

 

『!?』

 

突如席を立ちあがった女の大声に、一瞬だがパニックが止まる。

何故なら、その女は180センチを軽く超えるような巨体で………しかも、満面の笑みで安心させるような顔だったからだ。

 

「今、朋ちゃん達が色々と考えてくれてるから、安心するにぃ!きらりんパワーでハッピハッピ!!」

 

あまりのイレギュラーな人物の登場に乗客は、只々唖然。

だが、その笑顔は、何故か安心感を与えるような物であった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「………ったく、神経の細いキャプテンだな。ここでいいか?」

 

一方操縦室では、やたらスタイルのいい姉御肌の女が、気絶したキャプテンを操縦席から下ろし、壁際へと動かしていた。

いきなり操縦室に入り込んできた割には、状況を確認して、パニックに陥る事にならず落ち着きを持って行動している。

あまりの手際の良さにアデナウアーは首を傾げるが、拓海は冷静に大人しくしていろと一言だけ言う。

そして、操縦席の機器を弄る黒のポニーテールのセミロング位の髪の女性と、それを手伝う大人しそうな黒の長い三つ編みの髪の少女を見る。

 

「朋、むつみ、どうする?このままお陀仏はゴメンだぜ?」

「だから今、対策を練ってるんだって。多分、連邦の通信チャンネルを使えば………っと。」

「プロデューサー。前のあの母艦に繋がったよ………。」

「よくやったわ!むつみちゃん!!………よーし、早速交渉開始よ!」

 

「き、君達は………何者だ?」

 

何をやるのか分からないアデナウアーは、思わず彼女達の名前を聞いてしまう。

それに対しては、姉御風の女性が答えた。

 

「アタシは向井拓海(むかいたくみ)。客を落ち着かせているのは諸星きらり(もろぼしきらり)。で、今機器を弄ってたのは、藤居朋(ふじいとも)と氏家むつみ(うじいえむつみ)だ。………まあ、見てなって。」

 

姉御風の女性………拓海が少しだけ笑みを見せる中、朋が交渉を始める。

相手は、シンデレラガールズの艦長である楓。

 

 

果たして、天鹿に乗っている謎の女性達の正体は?

そして、藤居朋は、高垣楓と何を交渉しようというのか?




コア・インパクトで現れた3人のアイドルは、最終的には柳瀬美由紀さんだけが捕縛される展開に。
しかし、持田亜里沙さんと桐野アヤさんを逃がした事で、パプテマス・シロッコの言う通り、彼女の勝利なのかもしれませんね。
美由紀さんの姿が24歳なのは、スシローの成長した10年後の姿をモチーフにしています。
ここら辺は、安座都さんと同じような活用をしている感じですね。

そして、本来の3つ目の護衛対象である天鹿も登場。
どんどんデレステアイドルが登場しますが、彼女達の正体も気になる所です。
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