モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第53話 PHASE4-9『謎の援軍の正体は…』

レズン・シュナイダー率いるネオ・ジオンに襲われる民間シャトル天鹿は、1機のギラ・ドーガに捕縛され窮地に陥る。

そこで、一計を案じた藤居朋と氏家むつみの提案で、高垣楓達シンデレラガールズは、ティエレン宇宙型を、フェイントを使って射出。

上手い具合に彼女達2人は乗機にすると、カーボンネットを駆使してギラ・ドーガを1機、シャクルズごと強奪してしまう。

そのまま朋は、ネオ・ジオンの正規兵とも互角以上に渡り合い、僚機を撃破し、格の違いを見せつける事に。

 

一方で、トーラスを駆る緒方智絵里は、平然と汚れ仕事を請け負うレズンと口論になってしまう。

何故、そんな人道に反した事が出来るのか?

何故、そんな戦えない人達を犠牲にしようと出来るのか?

 

無論、レズンだって喜んでやっているわけでは無い為、火に油を注ぐ形になり、互いにヒートアップしてしまう事に。

しかし、朋やむつみの介入によってレズンもまた無力化させられ、撤退に追い込まれてしまう。

 

「マゼラン残骸」における戦闘は無事に終結をした。

しかし、この後の処理は、果たしてどうするべきなのか………。

シンデレラガールズは、色々と頭を悩ませることになった。

 

 

 

とりあえずシンデレラガールズは、追われていた者達の安全を確保する事を、最優先とした。

ブライト・ノアの乗るテンプテーションは、そのまま目的地まで行って貰う事になる。

 

「すまないな。こう助けて貰って、何も出来ないとは………。」

「いえ。何ならば、ブライトさんがもっと立派になった時に、お酒でも下さいな。」

「ハハッ………考えておくよ。」

 

彼もまた、あまり長居はしない方がいいと分かっている為、軽く楓と会話をしただけで、去っていく。

 

 

また、朋たちの天鹿もロンデニオンに向かって貰う為、モビルスーツを貸す事に。

とはいえ、彼女が強奪したギラ・ドーガとシャクルズがあればいいと言った為、むつみが乗っていたティエレンは戻って来た。

更に、智絵里に貸し出したシャクルズも、そのまま使っていいと言われた為、キャリー・ベースへと持ち帰る。

 

「あ、あの………お名前は………?」

「ちょっと名の知れた傭兵よ!また会うかもね!」

 

朋は、智絵里にそう言うと、むつみを回収してギラ・ドーガで去っていく。

天鹿の操縦は、向井拓海が行ってくれているらしく、そのまま何事も無かったように去っていくことに。

 

 

更に、降参して捕虜になった柳瀬美由紀は、藤原肇が煙を吹いているヅダに乗せ、半壊したガンダムレオパルドと共にキャリー・ベースへと運ばれる事になる。

貴重なガンダムであるレオパルドの復元は可能かどうか分からなかったが、それよりも美由紀から情報を入手する事は必要だと、彼女に下手な行動はさせないようにしていた。

とはいえ、肇に拳銃を向けられ続けても、ニコニコの笑顔を保つ所を見ると、かなりの肝っ玉であるのかもしれない。

 

「みゆき、お呼ばれするの、あまり無いんだよねー。」

「はぁ………。」

 

その豪胆ぶりには、肇も呆れるしかない。

 

 

栗原ネネのジーライン スタンダードアーマーに保護していたテリー・サンダースJr.とシロー・アマダ、そしてアイナ・サハリンは、「マゼラン残骸」の破損した艦に置いて行って欲しいとの事であった。

そこで、それぞれ救難信号を発する事で、迎えが来るらしい。

佐々木千枝達・市原仁奈・佐城雪美が、ボイスレコーダーでなく、本物の子供達だと分かった事で、すっかりアイナは大人しくなっていた。

むしろ、自身の行いを悔いる為にシローやサンダースに謝り、連邦の捕虜になるとも言ったが、シローがそれでは子供達が悲しむと言って止めさせる。

結局、サンダースも交えて話し合った結果、シンデレラガールズがこの宙域を脱出した後、彼等2人が連邦の迎えが来る間に隠れて貰い、その後で改めてジオン兵に救難信号を発するという手筈にする事になった。

 

「とにかく、助かった。また何かあったら、俺達も力になる。」

「そうですね。きっと、千枝ちゃん達も喜ぶと思います。」

 

サンダースは去り際にネネと悪手を交わし、再会した時は協力する事を約束してくれた。

 

こうして、ようやく千枝達の閉じ込められたM1アストレイ(シュライク)の回収を行えることになる。

 

「千枝達………助かるの?」

「みてーでごぜーます!生きてるでごぜーますよ!」

「良かった………。」

 

ネネのジーラインは片腕を失っていたので、黒川千秋がシグーアサルトでやって来て、そっと運んでいく。

こうして色々あった「マゼラン残骸」から、シンデレラガールズの面々は、ようやく抜け出す事が出来た。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

一方、マゼラン残骸を無事に抜け出した天鹿の客席では、ようやく乗客達が落ち着きを取り戻していた。

戦闘宙域を抜け出せたのもあるが、諸星きらりがパニックになる乗客1人1人に、笑顔で逐一で状況を説明して、緊張感を緩めているのも大きい。

そんな天鹿の護衛を、奪取したギラ・ドーガに搭乗する氏家むつみに任せ、藤居朋は一足早く客室に戻って来た。

 

「終わったー!!ヤッホー、戻って来たわよ!」

「あ、朋さん!良かったです、みんな無事で。」

「うん!かな子ちゃん達の方も大丈夫だった?」

「はい!天鹿の舵は、拓海ちゃんがキャプテンの代わりに握ってくれてますよ!」

 

朋を迎え入れたのは、ほんの少しだけ、ふくよかな少女である三村かな子(みむらかなこ)。

彼女が持っていたお菓子を1つ渡すと、朋は美味しそうに頬張る。

話の詳細を聞いて行くと、キャプテンはまだ気絶しているものの、命に別状はないらしい。

結果的に天鹿の面々に被害は無かったと言える。

 

「他の乗客の皆さんも、きらりちゃんのお陰で落ち着きを取り戻して来たし、順調にロンデニオンまで着けそうですね。」

「美波ちゃんもお疲れ様!色々あったけれど、みんな無事でよかったわ。」

 

そう語るのは、優し気で落ち着いた雰囲気な朋と同じくらいの年の女性。

朋もそれなりに長身だが、彼女もまたかなりの長身でスタイルも中々であった。

名前は、新田美波(にったみなみ)で、かな子と同じく朋の連れである。

只、めでたしめでたしの雰囲気の中で、騒ぎ出す人物がいた。

 

「よくあるものか!!キャプテンのせいで、私は死にそうになったんだぞ!損害賠償の支払いを求める!!」

 

席に座って喚きたてるのは、きらりと対照的にやたら小柄な下ツインテールの少女。

彼女もまた朋達の連れであり、双葉杏(ふたばあんず)という名前だ。

信じられないかもしれないが、きらりと同じ17歳である。

そんな杏に対し、隣に座っていた眼鏡を掛けた少女が、苦笑しながら懐から飴を出す。

 

「ほらほら、杏ちゃん………。飴あげるから、落ち着いて。」

「そそそそんなものに、私は釣られ………、ウマーーーーーーーーッ!!」

 

大好物を与えられた事で、簡単に二コマ落ちになってしまった杏に朋達はドン引き。

尚、彼女に飴を与えた眼鏡の女性は、上条春菜(かみじょうはるな)である。

とにかく飴でスーパーハイテンションになる杏を見て、ドリルヘアーのツインテールの少女………重度の中二病である神崎蘭子(かんざきらんこ)が、独特の言葉を呟く。

 

「杏………本能に抗えぬ子羊よ。(杏ちゃん………単純すぎるわよ。)」

 

しかし、飴をペロペロと舐めながら杏は、外の宇宙を見る。

そして、少し考えたうえで話し出す。

 

「それはそうと気になったんだけれどさ………あの助けてくれた部隊、連邦中心だったけれど、何か色んな機体が混じっていたよね。」

「そういえばそうよね………。ジムⅢが居たから連邦の通信チャンネルを使ったけれど………。艦長も女の人だったし、パイロットも女の人ばかりだったし………。」

 

朋が思い出すように言う中で、杏は無言で考え込む。

その様子に違和感を覚えた蘭子が、彼女に問う。

 

「杏、汝の思惑を述べよ。(杏ちゃん、何が言いたいの?)」

「あ、いや………あの部隊が噂の「シンデレラガールズ」だったんじゃないかなって思ってさ。」

 

『シンデレラガールズ?』

 

杏の言葉を受け、朋達は固まる。

女だらけの部隊であった事を思い返すと、確かに納得できる部分があった。

 

「私達の突然の出現にも、たいして驚いていなかったみたいですし、戦略もある程度は練られていましたからね………。事前に律子さんから教えて貰った情報と、一致している部分が多いです。」

 

春菜が口に手を当て考え込むように語る中、朋は1人、素っ頓狂なポーズを取る。

一体何事かと思った一同の前で一言。

 

「あっぶなー………思わず名前言う所だった………。」

「おーい………、傭兵が雇い主との契約を破っちゃダメだって。」

 

「………プロデューサー。」

 

杏が呆れる中で、ずっと朋の持っていた小型端末の回線で会話を聞いていたのか、ギラ・ドーガで護衛をしているむつみが、話しかけてくる。

 

「むつみちゃん、どうしたの?何かあった?」

「………あの部隊が、私達の「敵」なんだなって思って。」

 

そこには、何の感情も込められていなかった。

今のむつみは、「諸事情」で、感情表現に乏しかったから。

しかし、朋はそんな愛想のない彼女に対しても、しっかりと丁寧に話しかける。

 

「事前に聞いた話だと、直接交戦する機会は無いから大丈夫よ。どちらにしろ、全ては現地に着いてから!宇宙瓶を乗り継いで、コロニー「765」まで向かいましょう!」

「………了解、プロデューサー。」

 

そんな、元気な朋に対し、むつみは静かにいつもの言葉で答えた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

キャリー・ベースに帰還したシンデレラガールズの面々は、まず複数人で捕虜にした美由紀を独房に連れて行く事になる。

一応、アプロディアによる検査を受ける事になったが、特に爆弾を所持しているわけでは無いらしい。

自害する為の毒を仕込んでいるわけでも無いのを見ると、本当に何も抵抗する気は無いらしい。

むしろ、美由紀は呑気に、のワのな身体になったアプロディアを観察して、天然なのか皮肉を吐く始末。

 

「アプロディアも可愛くなったねー。力を失ったから?」

 

「……………。」

 

只、アプロディアの方はというと、何かを悩んでいるのか、美由紀の言葉に答える様子も無く、ひたすら考えている感じであった。

こうして、彼女は独房へと入れられる。

 

 

その後は、いよいよM1アストレイから、千枝達を救出する事になる。

といっても、酸素をが充満しているモビルスーツハンガーでハッチをこじ開ければいいだけなので、吉岡沙紀が手早く操作する事に。

 

「外………出られたよ!」

「おおー、無重力でごぜーます!」

「ちょっと………疲れたかも………。」

 

ようやく外に出る事が出来た3人の少女達は、慣れない浮遊感覚に戸惑いながらも、何とかネネや智絵里に支えられて、まずは一旦食堂の方へ。

軽く食事をとったうえで、ブリッジに行く手筈となった。

 

 

クルー達は千枝達の事情を知る為に、ブリッジに向かう事になったが、初戦闘で消耗していた綾瀬穂乃香と桃井あずきは、部屋で休ませる選択肢を楓は選ぶ。

一応、工藤忍に付いていてもらうが、高槻やよいは自身の初戦闘の後の事の状況を考えると、彼女達は、今晩は真面に眠れないだろうと感じていた。

 

「無理はしないで下さいね………。」

「すみません………色々とフォローして貰って………。」

「あずき達、素直に休むね………。」

 

力なく部屋へと向かって行く穂乃香達は心配になったが、やよい達はまだやる事があった。

 

 

その最後にやる事が、曳航してきたモビルスーツなどの使い道の考え方だ。

今回の戦闘で、無茶をした肇のヅダや、ダルマにされた本田未央のパワード・ジムは、しばらくは使えない為、キャリー・ベースの隅に置いておく。

一方で、美由紀の乗っていたガンダムレオパルドは、何とか修繕して使えないか、沙紀は成宮由愛と古賀小春と共に考え込むが、やはり時間が掛かりそうであった。

 

「先の戦闘で使い切った弾薬の補充が………、大変な機体ですし………。」

「専用のミサイルの開発に、壊れた武装の修繕も必要ですからね~。」

「上手く直せば、これ以上に無い戦力だけれどね。………しばらくはきついっす。」

 

結局、レオパルドもまたキャリー・ベースの隅に置いておき、何か使い道が無いか考えておく。

一連の運搬は千秋のシグーアサルトが行ってくれたので、最後に彼女が機体から降りる事になった。

その千秋は、辺りを見渡すと、沙紀達と今後の事に付いて会話をしている楓を見つけて歩んでいく。

 

「………?千秋、どうしましたか?」

「艦長。今回の戦闘では、捕虜である私なんかを信用して下さり、本当にありがとうございました。」

 

千秋はそう言うと、楓に対し深々と頭を下げる。

彼女の出撃は未央の危機もあったが、楓が許可してくれたから成り立った。

普通ならば、絶対に有り得ない采配。

それ故に、千秋は感謝しか無かった。

だが、楓はここで意外な事を言う。

 

「私は、自分の部隊のパイロットを温存する戦術は、得意ではないみたいですから。」

「そうですか………それでも助かり………ちょっと待ってください。」

 

楓の言葉を理解した千秋は、聞き間違えかと思い、もう一度問う。

今、彼女は千秋自身の事を………。

 

「もっとハッキリと言いましょうか。「シンデレラガールズ」のパイロットは、存分に活躍して欲しいわ。」

「私が………?でも、私は………。」

「この部隊に感銘を受けたのならば、貴女ももう仲間ですよ。きっと肇や未央達も受け入れてくれるでしょうし。」

 

笑顔を向ける楓の言葉に、千秋は温かい物を感じた。

ザフトで狭い価値観しか無かった自分自身は、コーディネイターとナチュラルという狭い価値観しか無かった。

しかし、肇と対峙し、未央と語り合い、色々な事をこのキャリー・ベースで感じた。

勿論、頭の中では、まだ崩壊した「ヘリオポリス」で犠牲になった子供の事が頭をよぎる。

しかし………この部隊に居れば………或いは………。

 

「むしろ、こちらからお願いしても宜しいですか?共に守り、共に救っていきましょう。今度こそ、貴女の信念のなすがままに。」

「艦長………ありがとうございます!こちらこそ、宜しくお願いします!!」

 

差し出された楓の手をしっかりと掴み、千秋はもう一度頭を下げる。

今この瞬間、千秋はザフトの黒白の騎士ではなく、シンデレラガールズの黒白の騎士となった。

全ては、もうあの子供のような犠牲を出さない為。

 

 

守る為、救う為に戦う力強い騎士が、これ以降帰ってくる事になる。

立場に縛られず、自身の信念を貫く黒川千秋という騎士が。




今回の戦いでは、様々な第三勢力に助けられる形になりました。
しかし、新たに登場したアイドル達を含め、どうもシンデレラガールズにとっては一筋縄ではいかない面々の様子。

余談ですが、動画版とキャストを一部変更しています。
立ち絵などの事情があったんですよね、あの頃は…。

そして、黒川千秋さんが正式に仲間に。
シグーアサルトも含め、心強いアイドルが遂に正式加入してくれましたね。
彼女の活躍にも、期待をして下さい。
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