突如戦場に現れたシークレット・ユニットであるガトー・ニューロ。
彼はガンダム試作2号機(MLRS仕様)を駆り、瞬く間にティターンズを殲滅し、ジェリド・メサすら撤退させてしまう。
クワトロ・バジーナ達エゥーゴは手数で攻めていくが、戦闘経験の無い高槻やよいが、その残酷な死を見せつけられた事で嘔吐してしまい、決定的な隙を見せてしまう。
試作2号機のビーム・サーベルをやよいに代わって庇ったのは、神谷奈緒のリーオー。
出血する程の傷を負った事で、やよいは錯乱し、味方が近くにいるにもかかわらずに暴走してしまう。
緒方智絵里によって、やよいは気絶させられるが、高森藍子率いる高森隊は危機的状態に。
しかし、そこにキャリー・ベースを守っていた工藤隊………工藤忍、本田未央、栗原ネネの3人が加勢に入った事で、何とか試作2号機の撃破に成功する。
ところが、また空間にヒビが入り、ジェネレーション・ブレイクが発生してしまった。
今度現れる敵は、果たして何者なのか………?
次のジェネレーション・ブレイクは、ホワイトベースやキャリー・ベース、そしてガンダムを護衛している藤原隊の前方から部隊が現れる事になる。
しかも、今度は母艦を伴っていた。
「あれがガンダムか!?まさか………これ程、近くにいたとはな。視認が遅かったのは、次元の歪みの影響なのだろう。」
宇宙戦に対応しているのか、各部に推進剤を伴っている青いゴテゴテとした機体………「ティエレン宇宙型」を7機伴った、「ティエレン宇宙指揮官型」に乗っているのは、セルゲイ・スミルノフ。
彼は興味深そうにセンサーを駆使して、アムロ・レイのガンダムを見つめる。
「タオツーの具合は問題ありません、中佐。いつでも行けます。」
その隣にいるティエレン超兵型とも呼ばれるピンク色の「ティエレンタオツー」に搭乗するソーマ・ピーリスは、真面目な顔で自身の機体の状況を伝えていた。
ソーマは、超人機関と呼ばれる特殊な組織の出身。
その概要をあまり知らなかったセルゲイは、作戦開始前に徐に聞く。
「そういえば、少尉が超人機関に志願した理由を聞いてなかったな。」
「志願などしていません。私はアイドル計画の為に生み出された、デザインベイビーです。」
………一瞬、間があった。
聞き間違えかと想い、セルゲイは聞き直す。
「………何だ、それは?」
「ヒロインに相応しいアイドル力の高い人間を、人為的な遺伝子操作で生み出す計画です。何でもガチャの課金制度に失望したプロデューサーが、自チームの強化のために考案したのが起源だとか。」
「はっはっは、少尉も冗談が上手いな。」
セルゲイはソーマのぶっ飛んだ冗談に笑い声を飛ばすが、彼女は真剣な顔を崩す事無く説明していく。
「恐れながら、人革連以外でもこの活動は活発ですよ?「ネオ・ジオン」のグレミー・トトは、ルー・ルカのカードを手に入れる為に、課金用の資金としてエルピー・プル量産計画を実行しています。新連邦軍では、315プロに対抗する為に、人工ニュータイプを研究しているとか。他にも………。」
「いや、もういい!」
途中から乾いた笑い声すら消え、頭を抱える事になったセルゲイは、このふざけた制度………特に、人為的な遺伝子操作というのが、事実だという事を悟る。
帰ったら、色々と内部を洗い出す必要があると考えた彼は、気を取り直して目の前のガンダム達に集中し、部隊全体に指示を出す。
「本隊は、これより作戦を開始する。様々な機体がいるが、目標はガンダムだ。各機、命を無駄にするなよ!」
言うや否や、セルゲイ機とソーマ機が真っ先に前線に飛び出していった。
――――――――――――――――――――
「また、増援!?今度は一体、何処の奴等なんだ!?」
「あわわわ………しかも、今度は数も多いし、母艦までいるよ!?」
新たな部隊の出現に、驚愕するのはアムロと喜多見柚。
見た事の無い機体を前にして、島村卯月は綾瀬穂乃香に通信を送る。
「穂乃香ちゃん、あの機体の名前を教えて!」
「照合確認………照合確認………これは………UNKNOWN?」
「UNKNOWN?………それは、識別不能という事ですか?」
藤原肇の質問に、穂乃香は困ったような声音で呟く。
「恐らく………今まで私達が「関係のした事が無い世界軸」の機体なのだと思います。新たに次元圧縮に巻き込まれた世界線の機体………そう考えるのが妥当でしょうね。」
「その割には、向こうはコッチの事が分かっているかのように、やる気満々じゃん!どうする!?」
指示を仰ぐ柚をモニター越しに落ち着かせながら、肇は冷静に敵機の動きを見た。
現在飛び出している9機の所属不明のモビルスーツの内、先頭になってツートップで迫って来ているのは、隊長機とワンオフ機………彼女達は知らないが、セルゲイ機とソーマ機のティエレンだ。
残りの7機の内2機はその後ろを追従しており、3機はキャリー・ベースへと向かっている。
そして、最後の2機は大型コンテナのような物を3つ搭載した母艦………「ラオホゥ級宇宙輸送艦」の護衛をしていた。
「………恐らく敵隊長機は、ユーグ隊長のように自らが先陣を切るタイプ。そして、目標はアムロさんのガンダムですね。」
隊長機によっては、自分が部隊の一番後ろに陣取る者もいる。
指揮を執るならばそれも間違っていないが、例えば部下を失わないために、敢えて前線に飛び出す者もいるのだ。
「キャリー・ベースを攻めるのは、守りを分散させる為かも。………忍さん、ネネさん、未央さん、そちらは任せていいですか?」
「了解だよ!母艦はアタシ達で守るから!」
「心配しないで、行ってきてください!」
「はじはじ達も、気を付けて!」
負傷したやよいや奈緒の曳航を、藍子やクワトロ達に任せた工藤隊の3人は、キャリー・ベースの元に急行する。
そのうえで、肇はアムロに通信を送った。
「アムロさんはビーム・ライフルを撃って牽制しながら、後ろに下がってください。狙いは貴方ですから、貴方自身が倒れては意味がありません。」
「で、でも………それで、どうにかなるんですか!?」
「ちょっと、考えている事があります。柚さん、卯月さん………。」
肇が柚や卯月に、通信を送る。
その概要を聞いた2人は、何故かニヤニヤと笑みを浮かべた。
「………りょーかい!」
「頑張りましょう!」
言うや否や、肇のヅダと柚のオクト・エイプ、卯月のジムⅢは、言われた通りに下がっていくアムロのガンダムを他所に突撃していく。
「来るか………!」
セルゲイ機とソーマ機のティエレンは、メイン兵装の右腕部の「200mm×25口径長滑腔砲」を撃ちながら、先頭のヅダを狙うが、肇は土星エンジンを吹かして回避行動を行う。
しかし、彼女達3人は先頭の2機には目もくれず通過し、その後ろから追従する2機をターゲットにした。
この理由をセルゲイ達は理解できなかったが、肇はヅダのコックピットで眼光鋭く笑みを浮かべると、右手にヒート・ホークを持ち、左手のシールド・ピックを構える。
すると、200mm×25口径長滑腔砲をきりもみ回転するように躱しながら、あっという間に1機に肉薄した。
「柚さん、卯月さん、もう1機はしばらく任せます。」
そう通信で言うと、肇はヅダのあまりの機動力に目を丸くしているであろう、ティエレンのパイロットに構う事無く、二振りの武装を素早く振るい、何と脚部に備えられた姿勢制御用の水が入ったタンクを叩き割る。
「成程………機体の各部に姿勢制御用のスラスターやバーニアがあるんですね。」
肇の意図を理解し始めたティエレンは、思わず左胸の牽制用の「30mm機銃」を撃つが、ヅダは素早く飛びのく。
そして、上から半回転するように背後に回り込むと、そのまま背中のバーニアもシールド・ピックで破壊した。
「う、うわあっ!?」
身動きを取れなくなったティエレンのパイロットは、思わず脱出。
その姿を見た肇は、ニヤリと笑みを浮かべながら、柚と卯月が相手をしていたティエレンへと向かう。
「な、何だ!?ティエレンを逆に無力化!?まさか鹵獲するつもりなのか!?」
「名前はティエレンというのですか。そして、やはり目的は、ガンダムの鹵獲………。でも、色々調べたいので、逆にその機体を「海賊らしく」鹵獲させて貰いますよ!」
思わずマイクで叫んだティエレンのパイロットに対し、笑みを崩す事無く敢えてマイクで言い返す肇。
200mm×25口径長滑腔砲は「カーボンブレイド」にもなるらしく、近づいて来た肇のヅダに対する奇策として、相手側は使用。
だが、振りかぶった瞬間に動きを肇は読む事が出来たのか、今度はその反対側………右横から素早く回り込み、同じように背中のバーニアをヒート・ホークで砕いてしまう。
これでもう1機、機動力を無力化されたティエレン。
当然ながら、パイロットは脱出を果たす。
「しまった!?少尉、このままでは………!」
「中佐!?」
ガンダムに近づこうとしていたセルゲイ機のティエレンは、踵を返し、慌てて肇が無力化したティエレンのパイロットの元へと向かう。
ソーマが驚きを見せるが、すぐにガンダムに牽制射撃を行いながら、セルゲイに付いて行く。
そして、セルゲイは宇宙を彷徨っている2人のパイロットを確保すると、戦闘宙域から撤退をしようとする。
「まさか、最初からこれが狙いか………!?」
肇は数的不利を打開する為に、セルゲイが部下を大切にする性格を利用したのだ。
勿論、ティエレンという機体に興味を持っていたのは事実だが、それ以上にガンダムを狙う指揮官機やワンオフ機を撤退させる為に、敢えて追従する量産機のパイロットを脱出させるように誘導したのである。
「我ながら性格が悪いとは思いますが………これも戦術だと納得してください。」
肇は笑みを崩す事無く、柚や卯月と共に油断なく身構えていた。
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「アタシ達は肇ちゃん程、器用じゃないよ!命が惜しく無ければ、退いて!」
一方で、キャリー・ベースに迫る3機のティエレンを見て、一応忍が警告を出すが、相手は聞く耳を持たず200mm×25口径長滑腔砲を撃ちながら突撃してくる。
仕方ないと思った忍は、キャリー・ベースの砲手小日向美穂に援護を頼んだ。
「美穂ちゃん、宜しく!」
「了解です!射線から離れて下さい!」
キャリー・ベースの機首が操舵担当の姫川友紀の手でティエレン3機に向けられた途端、美穂がトリガーを引き、両舷に備わった主砲「連装メガ粒子主砲」を発射する。
その極太のビーム砲を見るのは初めてだったのか、ティエレンの内の1機が回避する間もなく飲まれて消滅。
「追撃!」
慌てて回避行動を取ろうとする機体の内の1機に、忍がジム・スナイパーⅡのロングレンジ・ビーム・ライフルを放つ。
だが、回避のために縦横無尽に動いていたティエレンには当たる事なく、思いっきり外してしまう。
「うう………やっぱり、藍子ちゃんのようにはいかないなぁ………。」
「仕方ないよ、しのむー。とりあえず弾幕を作ろう、ネネちん!」
「はい!」
尚も接近するティエレンに対し、ネネのジーラインが少し前に出て、またハロと協力してショート・ビーム・ライフルとガトリング・スマッシャーで弾幕を形成していく。
実弾とビームの嵐は、ティエレンの長滑腔砲を撃ち落とすだけでなく、彼等の回避行動を更に難しくした。
「今度こそ………当たれ!」
「もういっちょ!」
忍機が連射式の実弾である「ブルパップ・マシンガン」に切り替えると同時に、未央機が携行式の「ハイパー・バズーカ」を撃つ。
これだけ撃って、ようやくマシンガンに掠ってバランスを崩したティエレンが、バズーカの直撃を貰って撃墜。
「き、貴様ら………悪魔がああああああああ!!」
仲間達を倒され怒りを爆発させた残りの1機が、無理やり距離を詰めてくる。
せめてネネ機だけでも倒そうとしたらしいが、近づけば近づくほどジーラインのビームと実弾がヒットして機体がボロボロになるだけであった。
「オ………ゴボッ………!?」
「………ゴメンなさい、苦しめる真似をして。」
それこそ、中のパイロットももう助からない状態になったと悟ったネネは、せめてこれ以上苦しめないように「ビーム・サーベル」を握り、ティエレンのコックピットらしき部分へと突き立てる。
母艦を襲った最後の1機も、これで完全に沈黙した。
――――――――――――――――――――
残るティエレンは、脱出した2名のパイロットを保護している指揮官機とワンオフ機を除けば2機。
母艦を連れている以上、肇は護衛をしながら離脱を優先すると考えていた。
だが………。
「止むを得ん!ラオホゥを突撃させて逃げる時間を稼ぐぞ!」
『っ!?』
肇も柚も卯月もアムロも戦慄する。
ラオホゥのブリッジ部分が、特徴的な3つのコンテナから切り離されたかと思いきや、一直線に特攻をしてきたのだ。
「母艦による特攻!?」
恐らくクルーは、全員ブリッジに避難して無人なのだろう。
その空になった母艦のパーツを質量弾として、突撃させてきたのだ。
最後の最後で思わぬ奇策が炸裂。
肇達は対処が可能なのか………?
gジェネワールドの世界では、ステージ毎にジェネレーション・ブレイクが最大2回起きます。
そして、シークレット・ユニットの出現が、1回起こるんですよね。
基本的にブレイクを起こせば起こすほど、敵の数は増えていくので、味方の機体が整っていない状況だと不利になりやすいです。
そういう意味では、上級者向けのボーナスと言えますね。
そんな中で藤原肇さんが見せた、この小説内での鹵獲方法。
あらゆる手段で敵機を動けなくしてパイロットを脱出させて、機体を奪っていきます。
集中するのが得意………という肇さんの言葉を元に考えて起用したのですが、当時は思った以上に褒めてくれる方が居ました。
それからですね、彼女がデレステをやる上での、私の担当アイドルになったのは。