モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第63話 PHASE5-2『天使降臨』

地球に降下したシンデレラガールズの母艦であるキャリー・ベースは、青空の下で航行をしていた。

艦内では、高槻やよいが高垣楓の指示を受け、M1アストレイ(シュライク装備)に乗機を切り替える事に。

念入りに大気圏内での戦闘に備える彼女達の旅は、この時点では順調に思えた。

 

一方、喜多見柚、工藤忍、綾瀬穂乃香、桃井あずきのフリルドスクエアの4人は、敵として襲撃してきた、持田亜里沙、桐野アヤ、柳瀬美由紀の3人の存在に悩んでいた。

同じ滅ぼされた世界出身の面々である以上、彼女達と敵対するのは心苦しかったが、割り切らないと死ぬのはこちら側。

だが、理解は出来ても納得は中々出来ないでいた。

 

寝間着の本田未央は、独房に残された24歳の美由紀のスペアの体を見に行っていた。

中々頭の中を整理出来ない彼女であったが、ふとした事から1つの仮説を立てる。

 

しかし、その瞬間キャリー・ベースが爆発を起こして………?

 

 

 

爆発による振動は、当然ながらブリッジにも伝わる事になる。

クルーの面々は激しく揺り動かされ、立っていたやよいは転倒してしまうほど。

 

「痛たたた………な、何があったんですか!?」

「美穂!?爆発の出どころは!?」

「現在確認中………!?か、格納庫からですッ!!沙紀さん、何があったんですか!?応答して下さい、沙紀さん!?」

 

敵の襲撃を感知しそこなったのかもしれないと思い、急いで小日向美穂が、爆発の起きたらしい格納庫と連絡を取る。

すると、慌ただしく裏返った吉岡沙紀の声が返って来る。

 

「大変っす、艦長!!ヅダのエンジンが爆発した!!」

「爆発!?沙紀、貴女は大丈夫なんですか!?巻き込まれた人は!?」

 

すぐさまコンソールを打ち、楓は格納庫内を確認する。

画面は荒れていたが、格納庫の端っこ………丁度ヅダが置かれていたスペースが、炎に包まれていた。

よくよく見れば沙紀を始め、成宮由愛と古賀小春が必死にプチモビを駆使して消火作業を行っている。

 

「こちら由愛………プチモビに乗っていたので無事です!でも………!?」

「小春も無事ですが、レオパルドやティエレン宇宙型に引火しちゃってます~………。」

 

由愛や小春の声も聞こえて来る中、沙紀が早口で状況を説明する。

幸運にも3人は、その時はプチモビに乗ってティエレン宇宙型の影にいた為、爆発による炎には巻き込まれなかったらしい。

しかし、小春の言う通り複数のモビルスーツに引火してしまっている事もあり、格納庫で火災が発生してしまったのだ。

画面の向こう側では、応援に駆け付けた面々が消火作業を手伝っているのも分かった。

 

「このままだと他のモビルスーツが誘爆するっす!至急応援を!!」

「私も行ってきます!」

 

切羽詰まった沙紀の声を聞き、やよいもまた、急いで格納庫へと向かって行く。

その様子を見て、楓は頭を思わず抱える事に。

 

「ヅダが爆発するとは………やはり、無理に出撃させたツケが周りましたか。」

「艦長!ささちーと、仁奈ちゃんと、ゆきみん連れて来た!!」

 

寝間着姿の未央が、やよいと入れ替わりでブリッジに入って来る。

不安そうな3人の少女達は、どうやら消火作業を行おうとした栗原ネネと緒方智絵里から、預けられて来たらしい。

未央は3人を置いて、大丈夫だと言った後、すぐさま格納庫へと向かっていく。

 

「この船、沈むでごぜーますか?」

「墜落したら………。」

「お先………真っ暗………。」

 

「大丈夫ですよ、この船は………。」

「艦長、大変だよ!エンジン出力が急速に低下中!このままじゃ、航行できない!!」

 

未央と同じように、少女達を安心させようとした楓であったが、思わず硬直してしまう。

見れば、操縦士の姫川友紀が悲鳴を上げていた。

モニターに様々な機器の状態を表示するが、確かにエンジンの出力が落ちているのが分かる。

 

「ま、まさか………!?」

「艦長、更に不味い事が起こったっす!爆発の余波で、エンジン関係の回線がダメージを受けている!!今の状態じゃ、エンジンが正常に作動しないっすよ!!」

 

どうやらヅダの爆発は、余程悪い影響を与えたらしい。

モニターを見てみると、現在出撃許可の貰っていない未央が、逆に率先して寝間着姿で余っているガザDに搭乗したらしく、大型のモビルスーツ用の消火器を使用して急速に炎を鎮火させている。

しかし、この状態ではすぐにはエンジン関係の回線までは手が回らないのは誰が見ても明白であった。

 

「あわわわわ!?これじゃあ、後5分以内に、エンジンが停止して墜落するよ!!」

『落ちるーーー!?』

「お、落ち着いて!ちひろさん、何処かに不時着できそうな場所は!?」

 

千枝・仁奈・雪美の少女達に泣き着かれながらも、楓は副長の千川ちひろに指示を出す。

ちひろは素早く位置情報を調べてみて、正確な場所を探し出した。

それは、眼前に広がる天まで伸びるタワーの下。

 

「ありました!あのタワーの下に軍事基地があります!」

「軍事基地!?確かにここなら着陸できる!!………って、何か演習中っぽいよ!?」

「通信を入れてこちらの存在を知らせて下さい!!」

 

流石に無断で着陸するわけにはいかない。

楓はイヤホンを取るが、聞こえて来たのは五月蠅いノイズの音。

 

「こ………これは!?」

「楓さん、通信が出来ません!?何かしらのジャミングが掛けられています!」

「ああ、もう………!」

 

匙を投げたくなるような展開であったが、投げだしたら待っているのは死だ。

一体、あの基地で何が起こっているのか分からなかったが、こうなってしまっては背に腹が変えられなかった。

無断になるが、事後承諾で基地に突っ込むしかない。

 

「パイロットはモビルスーツに乗って、一応戦闘が出来る対応を!沙紀、由愛、小春、それに未央は、消火やエンジン回路の復旧に手を尽くして!!」

「ええい、こうなりゃヤケだああああ!!」

 

友紀が叫ぶ中ではあったが、楓は素早く指示を飛ばした。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「AEU軌道エレベーター」の下に存在する軍事基地では、ユニオン軍標的用鹵獲機となった「アンフ」と呼ばれる旧世代の機体が複数動いていた。

その中を、鮮やかなライトグリーンの機体、「AEUイナクト(デモカラー)」が駆けて行く。

 

「ヒャッホーウ!!この「AEU」のエース!パトリック・コーラサワー様の実力を、見せてやるぜ!!」

 

アンフとは比べ物にならない位の圧倒的な機動力を見せたイナクト(デモカラー)は、次々と鹵獲機を破壊して実力と機体性能を示していった。

全てのアンフを戦闘不能にした所で、パイロットであるパトリックは、自分の実力と搭乗機を自画自賛する。

 

「流石AEU新型機!この模擬戦で負け知らずのスペシャル様に、相応しい機体だ!んあ?………何だ!?」

 

パトリックは、轟音を察知して南側の空を見る。

すると、煙を吹いてこの基地に降下している母艦………キャリー・ベースが目に入った。

基地の面々も異常を察知したのか、次々と主戦力になっている「AEUヘリオン」が演習場に現れると、兵士が何故かマイクでパトリックに話しかける。

 

「少尉!南の方角より、こちらに無断で不時着しようとする所属不明の母艦を確認!」

「不時着ぅ………?アンノウンか?どうしてこんな時に………!?大体、通信の1つも寄こさないなんて何なんだ!?」

「そ、それが………実はこの基地の回線が、全部ノイズが走って通信不能になっていまして………。」

「はぁ!?基地は何をやってるんだよ!………って、ああん!?」

 

パトリックはここで気付く。

軌道エレベーターの上から、緑の粒子を纏った青い機体………見る人が見ればガンダムと分かるような機体が降下してきたのだ。

通信が阻害されているので、彼等は知る由もない。

そのガンダムに搭乗している、少年とも言える年のパイロットがコックピット内で「エクシア」と名乗るのを。

 

「おいおい!どこのどいつだぁ?「ユニオン」か!?「人革連」か!?まぁ………どっちにしても他人様の領土に土足で踏み込んだんだ………!タダで済むわけねーよなぁ!?」

 

通信がダメなので、マイクで思いっきり威圧するパトリック。

しかし、そのガンダム………「ガンダムエクシア」のパイロットは応じる事は無い。

 

「貴様ぁ!俺が誰だか分かってんのかぁ!?AEUのパトリック・コーラサワーだ!模擬戦でも負け知らずのスペシャル様なんだよぉ!!知らねえとは言わせねぇぞお!」

 

これだけ言い放っても、エクシアのパイロットは無言。

しびれを切らしたパトリックは「ソニックブレイド」を抜き放つ。

対してエクシアは何も言わずに、その場で右腕の剣………「GNソード」を抜き放ち、臨戦態勢を取った。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「………これは、厄介な事態になりましたね。」

 

何とか基地の南西部へ不時着に成功したキャリー・ベース。

その艦長席では、高垣楓が色々と頭を悩ませていた。

穂乃香には、周辺の機体………こちらを取り囲むAEUヘリオン等の識別を行って貰ったが、嘗てティエレンがそうであったように、UNKNOWN………となっている。

ここから分かるのは、まだ次元圧縮が起こったばかりの世界のモビルスーツであり、アプロディアの知識では補い切れていないという事だ。

更に言えば、今回は青と白の未知なるガンダム………ガンダムエクシアが混じっているのだから、更に厄介と言える。

しかも、エクシアの方はかなり好戦的であり、軍事基地の機体………AEUヘリオンやイナクトをたった1機で威圧しているような状態だ。

一方で、キャリー・ベースの方にも、何機かAEUヘリオンがライフル型の兵装………「リニアライフル」を構えており、いつ撃たれてもおかしく無かった。

 

「出来ればマイクで通信をしたいですが………。」

 

勿論、こういう時の為の手段も楓はあらかじめ考えている。

高森藍子のハイザック・カスタムを武装解除させて、両手を上げた状態で、単機で出撃させていたのだ。

流石に降参ポーズを取った機体の登場には、敵機も何か感じる物があったらしく、いきなり攻撃してくるような真似はしない。

仮にいたとしても、藍子の技量ならば、回避に専念させれば当たる事は無かった。

勿論、他のモビルスーツは何かあった時の為に、実戦用に装備を整えてカタパルトで待機させている。

 

そういうわけで、今は藍子がマイクで不時着した原因と通信不可であった事と基地の無断使用の謝罪を行っているわけだが………。

 

「沙紀、エンジンの回線はどうですか?」

「鎮火は何とか終わって、只今、応急処置を施している真っ最中!どう展開が転ぶにしろ、もう少し時間を稼いで欲しいっす!」

 

格納庫では急ピッチで沙紀と由愛、小春がエンジン回路を修繕しているらしい。

プチモビも活用しての作業になっているので、かなり大掛かりである事が分かる。

 

「時間を稼げと言われても………。」

 

一応、外で藍子が説明してくれているとはいえ、一触即発の状態に変わりはない。

楓も万能では無いので、すぐに妙案が浮かぶわけは無かった。

 

「えっと………。」

「待って下さい!あのアンノウンは何ですか!?」

「ええッ!?」

 

ちひろの言葉に、楓はもう泣きたくなる。

すると、今度はAEU兵のマイクが聞こえて来た。

 

「し、少尉!大変です!?」

「今度は何だ!?」

「実戦用に装備が施されたイナクト2号機が強奪され、ここに向かってきています!」

「はぁ!?監視は何やってんだよぉ!?」

 

パトリックはエクシアに向き合いながらも、次から次へと起こる異常事態に苛立ちを隠さない。

しかし、AEU兵は戸惑いながらもこう告げた。

 

「そ、それが機体を奪ったのは、15歳にも満たない女の子らしくて………。」

「女ぁ!?」

 

そんな事をしている内に、デモカラーよりも、くすんだ緑のモビルスーツ………「AEUイナクト指揮官型」が飛行形態で基地に侵入し、モビルスーツ状態に変形。

堂々と基地の南東部に着地した事で、AEU兵や藍子の注目を浴びる中、何と器用にこめかみに右手のマニュピレーターの人差し指と中指を当てて、アイドル風に決めポーズ。

そして、開口一番マイクで一言。

 

「ボクが一番イナクトを扱えるんですよ!!」

 

パトリックが何ぃ!?………と叫ぶのが聞こえたが、藍子を含め他のパイロット達はあんぐりと口を開く。

尚も、皆が固まる中で、少女はマイクで自分の言葉に酔いしれながら、勝手に発言を続ける。

 

「この輿水幸子、本来ならば誰かに付くような真似は絶対にしないんですが………、何と今日だけは特別に、貴方達「ソレスタルビーイング」の手助けをしてあげますよ!」

 

「いきなり何言ってやがるんだ、この女は!?ソレスタルビーイング!?何処だそりゃ!?」

 

「ほら、ボクって凄く優しいですよね。今日は気分がいいですから、このまま貴方達の仲間になってもいいんですよ?ね?ね?」

 

「おい!?このAEUのエース様を無視するなぁッ!?」

 

パトリックが癇癪を起こして叫ぶ中、少女は無視を貫きガンダムエクシアに向けて投げキッスをする。

訳の分からない事態に、皆が唖然とする事になった。

 

 

これが、少女………輿水幸子(こしみずさちこ)とシンデレラガールズとの出会いになる。




みんな大好き、パトリック・コーラサワー登場の回です。
ステージとしては、ガンダム00の第1話の再現になります。
そんな中で、謎のガンダムエクシアなどの近くに緊急着陸をしてしまったキャリー・ベース。

話し合いで解決しようとすますが、突如現れたのは輿水幸子さんでした。
果たして、彼女の目的は何なんでしょうか?

新アイドルが登場する中、物語は新たな展開を迎えます。
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