モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

64 / 108
第64話 PHASE5-3『幸子降臨…?』

航行するキャリー・ベースで響き渡った轟音。

その正体は、格納庫でのヅダの爆発であった。

無理をさせ過ぎたツケが回った結果が出た事に頭を抱える高垣楓達だが、その余波でキャリー・ベースのエンジン回路までダメージを受け、墜落の危機に。

何故か通信も使えない為、シンデレラガールズは「AEU軌道エレベーター」の軍事基地に無断で不時着する事になる。

 

軍事基地では、AEUのエース、パトリック・コーラサワーが演習を行い、新型機のテストを行っていた。

だが、そこにキャリー・ベースが突っ込むのと同時に、空から緑の粒子を放つガンダム………ガンダムエクシアが舞い降りて来る。

 

高森藍子が武装解除したハイザック・カスタムを駆り、外に出てマイクで交渉を行う中、好戦的な姿勢を崩さないエクシア。

更に、AEUイナクト指揮官機が盗まれたらしく、その機体が基地に乱入。

実戦配備されたイナクトで華麗に決めポーズを取るパイロットは、輿水幸子と名乗り………。

 

この幸子は一体、何者なのか?

そして、彼女の名乗った「ソレスタルビーイング」とは?

 

 

 

ガンダムエクシアのパイロットは、相変わらず通信を使ってはいない。

元々彼の機体の発する緑の粒子に通信阻害効果があるのだから、当然と言えば当然だ。

しかし、僅かに………本当に僅かに幸子のソレスタルビーイングという発言に動揺はしていた。

 

「………俺達の事を知っている?スメラギ・李・ノリエガの言っていた、次元の歪みの弊害か。任務に支障はない。エクシア、これよりファーストフェイズを開始する。」

 

しかし、だからと言って彼のやる事は変わらなかった。

愛機のエクシアと共にやる事は、最初から決まっていたのだから。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「何だ?更に訳の分からない事になったぞ?つーか、あのイナクトとかいう機体のパイロットは何をやりたいんだ?」

 

カタパルトの奥………グフ・フライトタイプのコックピットの中で発進準備をしている神谷奈緒は、突然の幸子の振る舞いに呆れていた。

突然機体を強奪して現れて、ソレスタルビーイングという謎のガンダムの仲間になりたいと言い出すのは、普通の人からしてみたらおかしい事だ。

その真意が分からない以上、色々とアピールをしようとする幸子の行動原理には、他のシンデレラガールズの面々も理解が追い付かない。

ブリッジで色々とこの場を乗り切る策を考える高垣楓は、まだ状況を注視していた。

 

「各機、今は待機で………ん?」

 

「さてはボクの実力、疑っていますね!?だったら、証明してあげますよ!」

 

一方で幸子の方はというと、マイクでガンダムエクシアに叫ぶや否や、何とイナクト指揮官機の「リニアライフル」をパトリックのイナクト(デモカラー)に向ける。

 

「な!?」

 

「AEUのエースを、倒してみせます!」

 

次の瞬間、パトリック機の頭部に向けて放たれるリニアの弾丸。

だが、彼はこれでもエースなのだ。

ガンダムの方を向いていた状態であったが、咄嗟に飛びのき一発目を回避。

幸子はしつこく二発目を放つが、左腕のロッド………パトリックはディフェンスロッドを回転させて弾を弾いた。

 

「おい、お前らぁ!?」

「し、少尉を守れ!!」

 

これには唖然としていたAEU兵達も一斉に反応し、幸子機に対し、AEUヘリオンのリニアライフルを一斉射。

狙いがコックピットである事に幸子は驚いたのか、慌てて左右に移動しながらディフェンスロッドで防御行動を行う。

 

「ちょっ!?カワイイ女の子に対して、卑怯ですよ!?というか、殺すつもりですか!?」

 

「不意打ちを仕掛けたヤツの言う事かぁッ!?」

 

 

 

 

(どうなっているんだろう………この状況………。)

 

非武装のハイザック・カスタムで交渉を行っている藍子は、この一連の流れを見て頭が痛くなりそうであった。

ところがここで、イナクト指揮官機に乗っているのが、「15歳にも満たない女の子」である事実を思い出す。

つまり、高槻やよいのような年の少女がパイロットを担っているのだ。

 

「ま、待って下さい!?相手は女の子ですよ!コックピット狙いは流石に………え!?」

 

しかし、ここでまた事態は動く。

それまで戦場を静観していたガンダムエクシアが急に動き出したかと思いきや、近くにいたヘリオンをGNソードで斬り裂いたのだ。

あまりに素早い正確な一撃。

だが………藍子は僅かに「違和感」と「既視感」を覚える。

 

(わざわざ接近して斬った………?)

 

その動きがヅダに乗っている藤原肇を思い起こさせる事から、ある推論に至るが証拠は無い。

だが、実際にガンダムエクシアは、藍子の想像通り、それこそ舞うように次々とAEU兵のへリオンを、一撃で斬り捨てて回っていく。

 

「テメェ、人様の領土でぇっ!!」

 

激高したパトリックが、ソニックブレイドを構えてエクシアへと迫る。

機体性能も有り、動きは流石にAEU一般兵と比べれば段違いであったが、エクシアは器用にその短剣の柄に当たる部分を斬り裂き、無効化。

驚いたパトリックはすぐさま飛びのいて「リニアライフル」を連発するが、エクシアは全て回避しながら急接近。

 

「俺はぁっ!スペシャルでっ!2000回でっ!!模擬戦なんだよぉぉぉぉっ!!」

 

そのまま腕を、足を、頭を………GNソードで華麗に解体されてしまい、パトリックは情けない叫びをあげる。

だが、エクシアの動きは止まる事無く、他の敵意を向けるヘリオンに対し、それ以降も一瞥する事なく一撃で斬っていく。

まるで、このガンダムのデモンストレーションの場となってしまっていた「AEU軌道エレベーター」であったが………。

 

 

 

 

突如、その空間にヒビが入る。

 

「え!?え!?何ですか!?」

 

「これって………!?」

「ジェネレーション・ブレイク発生です!?」

 

綾瀬穂乃香の声がマイクで聞こえて来た事で、幸子はパニックになり、藍子は身構える。

すると、空中から変形したAEUヘリオンが7機、北側からタワーを迂回するように飛来してきた。

 

「編隊を崩すな!間もなく増援が到着する!!」

 

先頭のAEU兵が叫び、一斉にエクシアにリニアライフルを撃ち出す。

しかし、このガンダムは飛行も出来るらしく、軽く浮遊して放たれた弾丸を回避。

地上に残ったヘリオンは無視して、そのまま向かおうとするが、突如そのエクシアが飛びのいた。

 

「何………?な!?」

 

疑問に思ったAEU兵のマイクが突如切れる。

何故ならば、更に高空から爆弾が投下され、先頭で飛行していたヘリオン3機が爆散。

そのまま、軍事演習場の一角も巻き込み、爆発を起こしたからだ。

 

「アレは………!?」

 

その様子をカタパルトで、ジーライン スタンダードアーマーに乗って様子を見ていた栗原ネネが、突如キャリー・ベースの外に飛び出す。

武装したネネの登場に藍子は驚くが、そのジーラインのマニュピレーターが指した方向を見て、藍子は気付く。

爆撃を何とか回避しながら、北側から飛来する白いモビルスーツ………「Vガンダム」の姿に。

 

「ここは何処なの!?くっ………怖くないからね!お前達なんか、怖くあるものか!!」

 

明らかに子供の声がそのVガンダムから聞こえて来た事で、藍子は唖然とする。

そして、ネネがマイクで叫ぶのが聞こえた。

 

「やっぱり!ウッソ君ですか!?」

「ッ!?その声、ネネさんなんですか!?」

 

知人同士の会話で、シンデレラガールズの大体の面々は理解をする。

「リガ・ミリティア」のウッソ・エヴィンと呼ばれる、やよいよりも幼いパイロットが、ジェネレーション・ブレイクで乱入してきたのだ。

 

そして、続いて彼を追い回し、爆撃を行った機体が3機。

「ベスパ」の主力モビルスーツである「ゾロ」2機と、試作モビルスーツである「ゴッゾーラ」が1機。

更にその後ろから、巨大モビルアーマーである「リカール」が飛来して来た。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「ファラ中佐!追跡していたレジスタンスの新型を捉えました!只、次元の歪みに巻き込まれた為か、他の勢力の部隊も見受けられます。」

 

そのリカールのコックピットで操縦を行う金髪の青年………メッチェ・ルーベンスは、紫の髪の指揮官の女性、ファラ・グリフォンの指示を聞いていた。

ファラは興味深そうにVガンダムや、地上で身構えるエクシアを見比べる。

 

「白いモビルスーツ………?それが2体もだと!?コイツ等全員、ガンダムが抵抗のシンボルなどという伝説を真に受けているのか!?」

「どうなさりますか?このままだとあの青いガンダムも相手になりますが?」

「これくらいは想定の範囲だ。データ採取の為に仕掛ける事を、ガリー・タンに伝えな!」

 

メッチェは自分の上官ならば、そう言うだろうな………と満足げな顔で、ゴッゾーラのパイロットへとマイクで指示を送る。

一方でガリーもまた、臆する事無く好戦的な姿勢を取る。

 

「ふん、抵抗のシンボルが複数いるからどうしたというのだ。白かろうと民間人が作るモビルスーツなぞ………俺が叩いてみせる!各機!目標はガンダムを騙るモビルスーツ共だ!白い奴らめ………!ここを貴様らの墓場にしてやるッ!」

 

その次の瞬間、僚機である2機のゾロが、「対地爆雷ポッド」から爆撃を再開した。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「こんな何処か分からない場所でも、爆撃をする気なの!?」

 

遠慮なく行われる地上への爆撃に、ウッソは「ビーム・ライフル」を撃ちながら何とか逃げようとする。

しかし、それが逆に軍事演習場の様々な場所に爆弾を落とす結果になり、見学者や軍事関係者をパニックに陥らせる。

 

「この施設の皆さん、逃げて下さい!ベスパは地球人というだけで、皆殺しにする人達です!捕まったら最期、ギロチンで殺されますよ!!」

 

「ギロチンで皆殺しッ!?」

 

温厚なネネから発せられるとは思えないような、殺伐としたワードに震え上がるのは幸子。

彼女にしてみたら、完全に予想外の展開に陥っているのだろう。

一応爆撃の回避行動を行おうとしているが、どう対処すればいいか分からないでいる。

そんな彼女に対し、藍子がマイクで叫ぶ。

 

「貴女も逃げて!この戦場にいたら、本当に死にますよッ!」

 

「そ、そんな事言われても!?」

 

完全に恐怖に陥っている幸子を、無理やりイナクトのコックピットから連れ出した方がいいか?………と思った藍子であったが、ここで再び穂乃香の言葉が聞こえる。

 

「シークレット・ユニットです!?でも………速い!?」

『!?』

 

次の瞬間、藍子とネネは見た。

軍事演習場の南側に降り立つ忍者のような黒いガンダム………「ガンダムシュピーゲル」の姿を。

その視線は、藍子の機体に向いていた。

 

「仮面・ニューロ、只今参上!早速で悪いが、不意打ち御免!!」

 

(不味い!?)

 

藍子のハイザック・カスタムは交渉の為に非武装状態。

得意の狙撃で、迎撃する事は出来ない。

 

「ネネちゃん!ライフル………ッ!?」

 

咄嗟にネネからショート・ビーム・ライフルを借りようとしたが、その顔が青ざめる。

シュピーゲルは、今までのガンダム………それこそ戦場を蹂躙したエクシアよりも素早い動きで、藍子機に迫って来たからだ。

 

「B-AAA!覚悟!!「シュツルム・ウント・ドランク」!!」

 

「シュピーゲルブレード」を展開し、独楽のような高速回転しながら藍子機に迫る姿は、恐怖の一言。

やられる!?………と思った藍子は、咄嗟に核動力炉を切って、機体から飛び降りる。

転がるようにアスファルトに受け身を取った際に、体を強く打って一瞬息が出来なくなるが、それでもマシだったという事をすぐに痛感する。

シュピーゲルの必殺技を受けたハイザック・カスタムは、文字通り細切れになってしまったのだから。

 

だが、仮面・ニューロは尚も、しばらく仰向けに倒れて動けなくなっている藍子本人を、ガンダムのツインアイで睨みつける。

 

(殺される………!?)

 

シュピーゲルブレードで刺されれば、勿論一巻の終わり。

藍子の目は見開かれ、その振り下ろされる鈍く輝く刃を凝視し………。

 

 

 

 

「あーちゃんッ!!!!!」

 

しかし、下ろされたその刃は僅かに逸れてアスファルトに刺さる。

見れば、シュピーゲルに横合いから体当たりを思いっきり仕掛ける機体があったからだ。

それは、キャリー・ベースの消火活動を行っていた本田未央のガザD。

彼女はシュピーゲルに肉薄した状態で、手持ちの武器を撃つ。

だが、それはナックル・バスターとかではない。

さっきまでキャリー・ベースの消火活動に使っていた巨大な消火器である。

 

「喰らえ!!」

 

「これは!?目くらましか!?」

 

白い煙はあっという間にシュピーゲルの視界を塞いでしまう。

思わぬ攻撃に仮面・ニューロが戸惑う中、ネネのジーラインも駆けつけ、思いっきり肩からぶつかって弾き飛ばした。

その間に、ガザDがしゃがみ込み、コックピットから寝間着姿の未央が手を伸ばす。

 

「早く乗って!!」

「ッ!」

 

撒かれた消火器の粉にむせていたが、藍子は首を振って払うと、未央の手を掴みガザDに乗り込む。

藍子が安全地帯に逃げられた事で、ネネのジーラインがハロの支援も借りながら、ショート・ビーム・ライフルとガトリング・スマッシャーで弾幕を張って牽制を始める。

しかし、シュピーゲルは、今度は何と分身をして複数の機影を作り出す。

 

「索敵不能!索敵不能!」

「どうなっているんですか!?このガンダム!?」

 

「仕事は果たした!今回はこれにて、さらば!!」

 

それだけを言うとネネの弾幕を避けながら、来た時とは逆に軍事演習場の南側まで走って、彼方に跳躍をして撤退をしていった。

深追いをせず撤退をするニューロは初めて見る為、未央も藍子もネネも驚きを隠せない。

 

 

今回の不意打ちによって、ハイザック・カスタムが撃破されてしまった。

藤原肇と高森藍子。

2人のエースパイロットは無事だが、ヅダとハイザック・カスタム………シンデレラガールズは、要となる小隊長機の機体を失う事になってしまった。

この先の戦いに暗雲が立ち込める中、まずはこの現状をどうするべきか………。




ゲームで初めて出会った時は、その能力に四苦八苦したと思われるガンダムシュピーゲル。
接近戦しか出来ないのが難点ですが、その身のこなしは流石忍者。
実はハイザック・カスタムは、動画版でもお釈迦にされてしまっているんですよね…。

一方で前回の最後から登場した輿水幸子さんは、成り行きからパトリック・コーラサワーと対峙しますが…。
最終的にはガンダムエクシアが便乗して、パトリックの有名な叫びが披露になりました。
ここから不死身のコーラサワー伝説が始まると考えると、結構貴重なシーンと思えます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。