正式にシンデレラガールズの仲間になった後、神谷奈緒にキャリー・ベースを案内される輿水幸子。
その内のシミュレーター室では、不足している戦闘経験を積むのにピッタリだと紹介されるが、何故か彼女は、自分は今のままでも十分に戦力になるとアピール。
奈緒のシミュレーターへの誘いを断ってしまう。
しかし、その夜に幸子はこっそりとコンピューター相手に訓練しようと、シミュレーター室にやって来て、奈緒の他、渋谷凛や工藤忍に見つかってしまう事に。
どういうわけか、仲間という存在に対して抵抗のある彼女に対し、奈緒は自分の過去を少し語ったうえで、みんなが闇を背負って支え合っていると説明。
それでも無言でいる幸子に対し、深い闇を感じ取った奈緒は、まずは自分達を利用して強くなってみたらどうだと提案。
彼女は渋々ながらも、結局はその言葉に甘える事になり、努力家としての一面を見せて訓練を積むことになった。
一方その頃、宇宙にある「コロニープラウド」では、幸子が因縁を抱えているというアロウズが現れる。
オートマトンを放ち、反政府勢力ごと虐殺を行おうとする彼らに対し、中からボロボロのエクシアリペアを駆る刹那・F・セイエイが出現して、機械人形の殲滅を行う。
そのまま、アロウズと対峙した彼であったが、ここで声と共に空間にヒビが入り、新たな勢力が出現。
出てきたのは、R・ジャジャを駆る天海春香………ハルシュタイン率いるアイドルマスターの軍勢であった。
「………さて、予定通りにR・ジャジャは指定の位置に着いたけれど………律子、小鳥、貴女達の方は、ちゃんと準備できているかしら?」
現れるなり、勝手に刹那のエクシアリペアの右隣に並んだ春香は、反対の左隣に並ぶ形になった母艦「ザンジバル」に堂々とマイクで通信を送る。
すると、その中から765プロの事務員であるはずの音無小鳥(おとなしことり)の声が聞こえて来た。
「大丈夫ですよ、春香ちゃん。ザンジバルは指定座標に到着しています。モビルスーツも、律子ちゃんの指示でいつでも発信可能ですよ。」
そのザンジバルの中では、艦長役を任されている秋月律子が、愚民兵達の手を借り、特殊なヘッドギアを装着していた。
彼女達は知る由も無かったが、それはシンデレラガールズでアプロディアと繋がりの深い綾瀬穂乃香の付けているヘッドギアと同じ物。
未知の敵に対して索敵や機体照合を行える艦隊の生命線とも言える存在であった。
「ジェネレーション・システムって凄いわよね………。これを付けると色々な事が分かるんだもの。」
「無理をすると鼻血じゃ済まないから、気を付けなさいよ。」
「あら、心配してくれるのね。」
「貴女に倒れられたら困るだけよ。」
律子の意外そうな言葉に、春香は嘆息しながらも、「銃剣付きビーム・ライフル」や「ビーム・サーベル」を取り出して、使い心地を確かめる。
アロウズは勿論、隣の刹那も思いっきり身構えていたが、お構いなしだ。
但し、ここで春香は艦隊通信に切り替えて律子に問う。
「それで気になったんだけれど、私達は目の前のアロウズを駆逐するのよね。この行為によるメリットは一体、何なのかしら?」
「そうね………簡単に言えば、私達が彼等に力を見せつける事で、アイドルマスターとして華々しいデビューを飾る事が出来るわ。何せアロウズは、ティターンズ並みの横暴さを持ち合わせた強欲集団。しかも財力と技術力が凄まじく、モビルスーツの性能はピカイチ。そんな奴らの鼻っ面をへし折ってやる事は、色んな組織に多大な広報効果をもたらすわ。」
律子は自信満々に言ってのけるが、ここで春香は1つ疑問を抱く。
当初彼女が言っていた計画が正しければ、アイドルマスターの目的は滅びそうな組織と仲良くして、組織崩壊後に人員を吸収する事だ。
アロウズが暴虐な振る舞いをしている以上、組織として長続きするとは思えなかった。
そんな春香の質問に対しても、律子は丁寧に答える。
「いい所に気付いたわね。確かに、アロウズは長続きしないわ。ジェネレーション・システムで調べた所、彼等は歴史の中でソレスタルビーイングと反政府組織に滅ぼされてしまうからね。」
「………だったら、対立するのは不味くない?貴女の当初の話だと、アロウズこそ優先的に仲良くしないといけないわよね?」
コックピット内で首を傾げる春香に対し、律子は少し真面目な顔をして問う。
「じゃあ聞くけれど、そんな組織にいきなり友好を迫って、受け入れて貰えるかしら?」
「………それはどういう事かしら?」
「人間とは厄介な生き物でね。傲慢で強大な者であればある程、付き合う相手を選別するのよ。」
少しだけ律子の言葉に興味を持った春香に対し、彼女は少々嫌そうな顔で語る。
冷静に考えれば、今のアイドルマスターは無名の状態。
そんな組織がいきなり友好を迫った所で、鼻で笑われて切り捨てられるのがオチである。
だから、アロウズと付き合うには、まずアイドルマスターとしての強さを見せつけないといけないのだ。
「その手っ取り早い方法が、彼等の作戦を潰すって事………で合っているかしら?」
「ええ………。同盟っていうのは、結局は損得勘定を持たなければ有効に結べないわ。だから、敵対するよりも同盟を結んだ方が、メリットがあると思わせないといけない。もっと歯に衣着せない言い方をすれば、相手にとって利用価値のある存在にならなければ、手を取って貰えないという事よ。」
「本当に見も蓋も無い言葉ね………。」
最終的に春香は呆れたが、言っている事は正しいと感じたのでよしとする。
………尤も、人間の愚かさを更に痛感する事にもなったが。
それ故に、次に浮かんだ質問を投げかけてみる。
「ここまで来ると、同盟を結ぶまでのリスクの大きさも気になるけれど、大丈夫なのかしら?」
「得られる対価は大きいわ。何故なら彼等の背後には………。」
「貴様は何者だ!?何をするつもりだ!?」
律子が更に語ろうとした所で、痺れを切らした刹那がマイクで春香に叫ぶ。
中途半端な所で会話が打ち切られた春香は、不機嫌そうに同じくマイクで彼に言葉を返す。
「アイドルマスターよ。別に貴方を取って食うつもりは無いから安心しなさい。」
「アイドルマスターだと!?何で「あのような行い」をして今更こんな行動を!?」
しかし、奇妙な刹那の物言いに春香は少し考え込むことに。
春香は刹那とは初対面のはずなのに、彼は春香を知っている。
これが意味する事は………。
「ああ、成程。貴方、「過去」に「未来」の私達に会っているのね。だったら、余計な事は言わない方がいいわよ。今後の行動指針にするかもしれないし。」
「貴様………!」
「それに、そろそろアロウズも動きたいみたいだしね。」
春香がR・ジャジャのマニュピレーターを使って指をさす。
すると、「コロニープラウド」の中から、オートマトンが大量に出て来た。
備えているのは対人機銃だが、それでもコックピットを集中狙いされたら、どうなるかは分からない。
また、アロウズ小隊のバラック・ジニンも通信を使って部下のジンクスⅢに「GNランス」を構えさせている。
しかし………。
「ヒイッ………ガンダム……ガンダムッ!?」
「大丈夫か、准尉!?」
「だだだ、大丈夫です!私には沙慈が微笑みかけて来てくれていますからッ!!」
「それは幻覚だッ!!」
ガンダムにトラウマを抱えるルイス・ハレヴィのジンクスⅢだけは、痺れているように棒立ちで硬直しており、完全に無防備だ。
初陣であるうえに、ガンダムの出現で完全に錯乱してしまっている。
もしも、これが通信でなくマイクでの掛け声であったのならば、彼女を知る刹那は何かを感じ取る事が出来たのだが………。
「とりあえず律子、話はあとで聞くわ。まずはあの真ん中に居座っている司令官クラスを敗走させればいいのよね。」
「ええ、それでお願い。………対モビルスーツ戦闘用意!朋の推薦で、部隊のリーダーは拓海と春菜に任せるわ!」
「じゃ、お言葉に甘えて宜しく頼むぜ、艦長。」
「必ずや律子さんのご期待に応えられるよう、この春菜、全力を尽くします!!」
律子の指示に応える向井拓海と上条春菜の2名。
それに伴い、各モビルスーツがザンジバルからの発進準備を整える。
「最初の攻撃目標は、大量に散らばるオートマトン!物騒な対人兵器だから遠慮はいらないわ!」
「了解!では上条春菜、「Vダッシュガンダム」で、推して参ります!」
勇ましい掛け声と共に、最初に飛び出したのは春菜。
Vダッシュガンダムというのは、Vガンダムにオーバーハング・パックを装備させた機体。
「オーバーハング・キャノン」と呼ばれる2門の強力な対艦ビーム砲を備えているのが特徴で、その威力はとにかく凄まじい。
「2番手、三村かな子!ガンダム試作2号機、MLRS仕様で発進します!」
続いて行くのはかな子。
ガンダム試作2号機(MLRS仕様)は、「サイド7」でシンデレラガールズが対峙したガトー・ニューロの機体だ。
あの時はかなりの大人数で相手をして、やっと撃破が出来たほどだったので、彼女が操れるとかなり強力である。
「新田美波、「ゲイツR」!エレガントに出撃しますよ!」
3番手は美波。
ゲイツRは両腰の「ポルクスⅣレールガン」が特徴的な細身の機体。
使いやすい兵装が備わっており、操る人によってはガンダムとも十分に渡り合えるのが特徴だ。
「………氏家むつみ、「ギャプラン」。………任務開始。」
更にモビルアーマー形態で発進していったのは、むつみ。
ギャプランは可変モビルスーツであり、大推力で飛行が出来るのがポイント。
扱いにはかなりの腕前が必要になるが、彼女は平然と乗りこなしていた。
「こっちも行くぜ!向井拓海、「ゲドラフ」!フルスロットルだ!!」
上条隊とは別部隊として出撃していったのは、向井隊である拓海。
ゲドラフは「アインラッド」と呼ばれる装備ユニットに乗って戦う為、変わった姿をしているのが印象的。
これでもザンスカール帝国の技術を結集した機体の1つでもあり、バイク乗りの彼女には手足のような機体である。
「んじゃ、あたしも出るね!藤居朋、「コレン・カプル」ならぬ「トモ・カプル」!気合入れていくわよ!!」
その後ろから出てきたのは、朋。
「コレン・カプル」というのは、丸みを帯びた「カプル」を独自に回収した機体。
かなり独特な装備を備えているばかりか、左右非対称でバランスも悪いのだが、彼女はしっかりと扱えている。
「うあ~~~、これ以上に無く面倒くさい。双葉杏、「ズサン」移出して~。」
更に面倒そうに発進………というか無理やり前に押して貰っているのは、杏。
ズサンというのは、ミサイルを大量に備えている「ズサ」に似ている機体。
「アームパンチ」やワイヤー状の「脚部6連ミサイル」といった打撃武装もあるので、サボりたがりである彼女でも扱いやすいと好評であるらしい。
「漆黒の空に舞うは、堕天使の翼!!(神崎蘭子、「量産型クァバーゼ」!行きます!)」
その杏のズサンを右手で押しているのが、黒い機体を駆る蘭子。
量産型クァバーゼは、木星帝国のクァバーゼの量産機で、左手の蛇のような鞭に丸いカッターのような先端が付いた、「スネークハンド」が特徴。
先端の「ビーム・ソー」は、「ビームカッター」として攻撃武器に応用する事も出来るのが、武装としての個性である。
「にょわ~~~!諸星きらり、「ビグロ」でおにゃーしゃー!」
最後に出てきたのは、大型のモビルアーマーを駆るきらり。
ビグロは、一年戦争でジオン軍の機体として活躍した経歴がある。
巨体ではあるが機動力があるので、敵にしてみたら嫌らしいであろう。
「閣下に続けーーー!」
「閣下の帰る場所を守るのだーーー!」
この他、ザンジバルの当直を担う愚民兵が、ストライクガンダムの量産機である「ストライクダガー」に乗って6機出てくる。
一応実力がある者が選ばれてはいるものの、アイドルマスターの面々に比べれば力が劣る面々なので、基本的に彼らは母艦の警護を行う為に待機であった。
「さて………まずはここにいる人々の心に刻んでもらいましょうか。我がハルシュタインが誇る精鋭、アイドルマスター達の姿を。」
ハルシュタイン閣下として振る舞う、天海春香は戦場で優雅にうたう。
自身の部下たちの活躍ぶりを。
その戦いが、これから始まろうとしていた。
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「………まさか、こんなに早く出会えるとは思いませんでした。」
一方でその戦場を、遥か彼方で見つめる人物達がいた。
しかし、特定の集団にしては様子がおかしい。
まず、機体数が僅かしかいないし、乗ってきているはずの母艦がいないのだ。
少数精鋭のソレスタルビーイングのような例外はいるが、それにしては機体の外見や機種に統一性が無い。
「メインターゲットは………言うまでも無いですわね。」
元となった機体を独自に改造機して貰った指揮官機で佇む人物は、優雅に紅茶を飲んでいる。
しかし、その手は僅かに震えており………その自身の無意識の仕草に気付き、少し顔をしかめた。
「覚悟して貰いますわよ、天海春香さん………いえ………。」
紅茶を上品に飲み干し、息を吐いた「女性」は、静かにもう一度戦場を見据える。
冷静に振る舞っているつもりでも、茶色の瞳は闇に包まれており、暗い感情が浮かんでいた。
「バルバトス………「私達の世界」を滅ぼした元凶さん………。」
女性の静かな言葉と共に、モビルスーツ達は一斉に動き出した。
シンデレラガールズの物語が表であるのならば、その裏の物語を描くのがアイドルマスターになります。
基本はこの2つの物語が軸となって、話が進んでいく事になる感じですね。
そういうわけで、PHASE6《コロニープラウド編》は、裏の物語が披露されます。
新設されたアイドルマスターの機体は、ガンダムなどが含まれており、戦力は現時点でのシンデレラガールズより充実しているみたいですが…?
ここで戦場を見つめる謎の影。
紅茶を飲む人と言えば…さて、思い当たる人はいるでしょうか?
次回からは新年度に入りますが、引き続き宜しくお願いします。