モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第72話 PHASE6-3『淑女と読書家と巫女と…』

「コロニー・プラウド」に現れたアロウズを駆逐しに来た、天海春香率いるアイドルマスター。

彼女達に刹那・F・セイエイは敵対心を持つが、春香の言葉を受けて、渋々でありながらも一時的に共闘をする道を取る。

しかし、ガンダムエクシアリペアが満身創痍である事から危機に陥ってしまう。

 

そこで加勢に現れたのが、ティエリア・アーデのセラヴィーガンダム。

淡泊な言葉ではあったが、ソレスタルビーイングの仲間同士で再会を喜ぶ2人。

だが、ここで彼等を狙うマレット・サンギーヌ率いるジオン軍まで、アロウズとは反対側に現れてしまう。

 

挟み撃ちをされるのを防ぐために、早急に対処をしようとするアイドルマスターであったが、突如春香のR・ジャジャに攻撃が飛来する。

コア・インパクトと共に現れたのは、謎の3機のモビルスーツ。

それは嘗てシンデレラガールズに襲い掛かった、アメリアスの勢力の者達であった。

 

 

 

突如現れたアメリアスの勢力の者達の出現に、秋月律子は戸惑っていた。

コア・インパクトというシークレット・ユニットに似た現象は知らなかったし、何よりバルバトスと名指しする存在が初めてであったからだ。

 

「ちょっと春香!?どうなっているのよ!?コア・インパクトって何!?」

「簡単に言えばシステム・アメリアスが使える力の1つかしら?………どうやら、消去されて無かったみたいね。」

「みたいねって………他人事のように言う事!?」

 

思わぬ事態に混乱しているのは、律子だけでなくアイドルマスター全体であった。

いや、もっと言えば、刹那やティエリア、バラック・ジニン率いるアロウズ小隊や、マレット率いるジオン軍ですら、突然の新手に身構えてしまっている。

その様子を上から見下ろす形である3機のモビルスーツの内、真ん中に位置する、立派な2つのアームによる可動域の高い盾を装備したリーダー機は、淑女のように礼をするとマイクで通信を送る。

 

「まずは、挨拶をしなければ失礼ですわね。ごきげんよう、アロウズとジオンの皆様。私は相原雪乃(あいはらゆきの)。この「R・ギャギャ」のパイロットですわ。」

 

R・ギャギャと語ったリーダー………雪乃の言葉を受け、律子は訝しんだ。

ジェネレーション・システムでの検索に頼っても、この機体だけは判別できなかった。

恐らくは何かしらの機体………多分、春香のR・ジャジャを独自に改修した機体であるのだろう。

強化内容が分からない以上、下手に攻められないのが厄介と言える。

そんな律子の考えを理解しているかは分からなかったが、雪乃は左右に位置する仲間を軽く向き、自己紹介をするように促す。

 

「鷺沢文香(さぎさわふみか)です………。今回は「ジャベリン」を使わせて貰っています………。」

 

次に右隣の機体から挨拶をしたのは、物静かそうなパイロットでああった。

彼女の乗るジャベリンは、上条春菜の乗るVダッシュガンダムと同年代の機体だ。

性能はそちらより劣るが、一般量産機としては完成されており、ジャベリン・ユニットから放たれる「ショットランサー」が強力である。

実際、先程春香のR・ジャジャに奇襲を仕掛けたのは、文香によるこの攻撃であった。

 

「あ、「アドヴァンスドジンクス」を駆る、道明寺歌鈴(どうみょうじかりん)でしゅ!?………また、かんじゃった。」

 

左隣で緊張した感じの上ずった声を出すのは、何処かドジっぽさが残っていそうな歌鈴というパイロット。

アドヴァンスドジンクスは、ジンクスⅢよりは世代が古いが、エースパイロットに合わせたチューニングがされているのが特徴だ。

「プロトGNランス」による格闘戦と射撃戦をメインとしており、バランスが取れた機体となっている。

 

そんなアメリアス勢力の3人が、揃って自己紹介をした時であった。

 

「貴様達の目的は何だ………?」

「俺のジャマをする気か!?」

「とんでもありませんわ。私達3人の目的は、アイドルマスター軍………ひいては、その首領であるハルシュタインのR・ジャジャ。貴方達に害を及ぼすつもりはありません。」

 

彼女達の詳細を知らないバラックやマレットにしてみたら、当然の疑問。

特にアドヴァンスドジンクスがいる事で、バラックの方は相当警戒しているようであった。

だが、雪乃はそんな2人の態度など気にする様子も無く、こう告げる。

 

「信用頂けないのならば、ソレスタルビーイングの排斥にも協力いたしましょうか?」

「何だと!?」

「本気か!?」

「ええ………文香さん、歌鈴さん、お願いしますね。」

 

思わずリーダー2人が食って掛かった瞬間、ジャベリンとアドヴァンスドジンクスが動き出す。

ジャベリンが再びショットランサーを、今度はエクシアリペアに向けて放ったのだ。

 

「クッ!?貴様!?」

 

何とか槍を回避した刹那が文香のジャベリンにGNソードを構えて向かおうとする。

だが、歌鈴のアドヴァンスドジンクスが庇うように前に出ると、プロトGNランスの4門のビーム砲を放ちながら突撃を行った。

 

「そのマント!オシャレで付けてるわけじゃないですよね!?」

 

歌鈴が狙ったのはエクシアリペアの左腕………というか、マントの部分。

ビームを浴びたマントは燃え上がるが、その中からは何も出てこなかった。

ティエリアが驚き、マイクで叫ぶ。

 

「刹那!?左腕が無いのか!?」

「グッ………!?」

 

「この調子なら、古いGNソードもポッキリ折れちゃいますよ!」

「成程………満身創痍で出て来たのか!俺を舐めやがって!!」

 

歌鈴がアッサリと言ってのけた事で、マレットがコックピットで不敵な笑みを見せた。

ビーム兵器はティエリアのGNフィールドで防がれると判断した彼は、「専用ヒート・ホーク」を二振り取り出すと機体を加速させる。

ティエリアが「GNバズーカⅡ」で迎撃を行おうとするが、彼の機体にはマグネットコーティングが施されている。

その為、想像以上の速度を出したアクト・ザクの機動力について行けず、回避されてしまった。

 

「速い!?」

「おい!?思ったより素早いぞ、あのザク!?」

 

向井拓海のゲドラフや藤居朋のコレン・カプル、神崎蘭子の量産型クァバーゼ等も射撃を行い、弾幕を張ろうとする。

だが、護衛のリック・ドムⅡ3機がジャイアント・バズなどで逆に妨害してきたので、マレットの突撃を許してしまった。

 

「仕留めてやる!ガンダムッ!!」

 

そのまま敵陣の中で堂々と専用ヒート・ホークを二振り振り上げた彼は、エクシアリペアに叩きつける。

無論、刹那はGNソードで防御をするが、歌鈴の言う通り、簡単にヒビが入っていく。

 

「不味い!?」

 

咄嗟にアクト・ザクを蹴り飛ばした事で叩き斬られる事は無かったが、ボロボロであったGNソードは力尽きたように砕けてしまった。

これで、身を守る手段がほとんど無くなってしまう。

マレットは突撃と同じ速度で機体を一度後退させ、部下達と合流しながら次なる命令を下した。

 

「ザンジバル!砲撃支援をしろ!後はあの太い機体の動きを封じれば、問題無い!」

「了解にゃ!ザンジバル、砲撃開始ーーーッ!!」

 

何かやたら気になる語尾の声がザンジバルから聞こえて来たかと思うと、今度は「連装メガ粒子砲」が飛来する。

ティエリアのセラヴィーがGNフィールドで刹那の前に立ちはだかって砲撃を防ぐが、その間、彼は身動きが取れなくなってしまう。

 

「………どうやら、一時的には信用していいみたいだ。反政府組織に対し、攻撃を開始する!准尉!!」

「ガンダムは怖い………ガンダムは敵………ガンダムは悪………ガンダムは消え去れええええッ!!」

 

こうなると、攻撃のチャンスだと思うのはアヘッドに乗るバラックも同じであった。

遂に自棄になったルイス・ハレヴィと共に、アロウズ小隊も攻撃を開始する。

7機の機体でフォーメーションを作り、「GNビームライフル」をエクシアリペアに向けて放っていく。

 

「自分の現状も弁えずに、何で勝手に突っ込んで危機に陥っているのよ………?」

「クッ……………。」

 

ピンチに陥る刹那を見かねた春香が、銃剣付きビーム・ライフルを放ちアヘッドやジンクスを牽制する。

文句を言われる刹那だが、事実が事実だけに何も言い返せない。

 

「あら?親切に固まって下さるのですね。」

「!?」

 

ところが、ここで雪乃のR・ギャギャが、2人を纏めて仕留めようと連結された「ツインビームソード」を回転させて振り下ろして来た。

アロウズを倒すという名目である以上、ソレスタルビーイングの刹那やティエリアは、この戦闘では守らないと完全勝利とは言えない。

春香は厄介な荷物を背負ったと思いながらも、刹那を庇うようにビーム・サーベルでビームソードを受け止める。

 

「………仲間の方は、親切ですわね。」

 

鍔迫り合いになり火花が散るが、ここでビーム・バズーカが横合いから飛んできて、一旦R・ギャギャが飛びずさり間合いが開いた。

横を見れば、三村かな子のガンダム試作2号機(MLRS仕様)がこちらに来ている。

 

「春香さん!?大丈夫ですか!?」

「かな子、母艦の方は!?」

「美波さんと愚民兵の皆さんが、頑張っています!でも、押されています!」

 

上条隊は、律子の指示で更に役割分担を行う事になったらしい。

かな子が春香の救援を行い、新田美波のゲイツRが愚民兵6人のストライクダガーと共に母艦を守る事に。

春菜のVダッシュガンダムは、アロウズの軍勢と正面から対峙している。

氏家むつみのギャプランは遊撃担当で、高機動力を活かして文香のジャベリンと歌鈴のアドヴァンスドジンクス、それにアロウズの一部をかき乱していた。

 

「かな子、この単細胞を守れる!?」

「は、はい………って、敵は春香さん狙いですけれど!?」

「だったら余計にお荷物を背負ってはいられないわ!まず、あの改造機を落とす!」

「そ、そんな春香さ~ん………!?」

 

戦況を見て、独自に判断した春香はそれだけを言うと、R・ギャギャに向かって行く。

置いてきぼりを喰らったかな子は、とりあえずボロボロのエクシアリペアの前に立ちふさがって、大型のラジエーター・シールドを構える形になった。

これで刹那はしばらく安全だが、かな子も下手に身動きが取れない。

春香は完全に単独行動になってしまった。

 

「余程、私の存在が気に入らないみたいですわね。」

 

「その見下した態度、どうにかならないのかしら?」

 

「普段は別に、誰かを見下すなんて真似はしませんわ。………「貴方」が特別なだけで。」

 

春香に対し挑発を止めない雪乃であったが、それだけ恨みは根深い物がある。

何せ元の世界が、彼女に憑依するシステム・バルバトスによって消されてしまったのだ。

どんな過去があったのかは誰にも分からなかったが、システム・アメリアスの下で、世界の破壊者になるだけの事情があるのは確かだった。

故に、彼女はコックピット内で笑みを携えながらも、目は全く笑っていなかった。

 

「矮小な娘の癖に………何処まで傲慢に高笑いがしたいのかしら?」

 

「私、一応は元の世界で成人していますの。でも、貴方に高笑いをしたいのは事実かもしれませんわね………。何せ、世界中の人々の仇を討てるのですもの。」

 

但し、雪乃は心の奥底では笑みを浮かべているのかもしれない。

憎悪を抱くバルバトスを、この手で始末出来るのだから。

これ以上に無く光栄な事であった。

 

「だから、そろそろ仕留められて下さいな。その為の、このR・ギャギャですもの。」

 

何度かの鍔迫り合いの後にそう告げると、距離を取った所でアーム接続の2枚のシールドをR・ジャジャに向ける。

すると各10門ずつ計20門の「シールドミサイル」が発射され、春香機を襲う。

最初はミサイルを回避しようとしたが、ホーミング性能も強いらしく、弾数も相まってそれが難しいという事を即座に悟らされる。

 

「………だったら、これはどうかしら!?」

 

これが相手の切り札の手段だと察知した春香は、逃げる事をせずビーム・サーベルを前に向けた状態で引く。

その状態から乱れ突きを放ち、ビームによるラッシュの壁を即座に作り出した。

 

「なっ!?突きで叩き落とした!?」

 

人間技とは思えない技術を見せる春香に対し、驚く雪乃。

彼女の前で、春香は正確に飛来するミサイルを1発ずつ突き刺して破壊していく。

この場合、爆風で次のミサイルが見えなくなる欠点があるが、「今の春香」はしっかりと目測を誤らなくて済んだ。

気付けば、20発も放たれたホーミングミサイルは、全て残らず破壊されR・ジャジャの周囲は煙に包まれる。

 

「このままでは………!?」

 

雪乃は更にシールドの発振機に備わった「シールドビームカッター」を飛ばそうとするが、何と煙の中から6発のミサイルが逆に飛来。

シールドを固定する2つのアームにピンポイントでぶつかり、根元から破壊していく。

 

「嘘!?」

 

それが、R・ジャジャの左肩に計6発備わっている「3連装ミサイルポッド」だと雪乃が気付いた時には、驚愕からR・ギャギャの次の武器を選択しそこなっていた。

これだけの時間があれば、ビーム・サーベルを持って出て飛び出して来た春香機がトドメを刺すのには十分過ぎた。

 

「終わりね。」

 

勝利を確信して冷徹な笑みを浮かべた春香が、右腕を振り上げ………。

 

 

 

 

ドゴォンッ!!

 

「!!?」

 

構えたビーム・サーベルは前に突き出されなかった。

突如、上の方から左肩を抉るように、レールガンの弾が左腕を破壊していったからだ。

 

「形勢逆転ですわね。」

 

僅かながら動揺する春香の前に、いつの間にかツインビームソードを持っていた雪乃機が迫る。

バランスを崩している状態であった彼女は、一瞬目を見開くが、別の方角から大型ミサイルが多数2機の間に飛来し、雪乃機の妨害を行っていく。

 

「だから、心配した通りになったじゃないですか!?」

 

どうやら、かな子が試作2号機のMLRS(多連装ロケットシステム)による遠距離支援を使って、援護してくれたらしい。

春香は無言でR・ジャジャをかな子の所まで後退させるが、何が起こったのかまでは把握できていない。

 

「かな子………何があったのか分かる?」

「分かりませんよ!………分からないって事は、「見えない所」から狙撃でもされたんじゃないんですか!?」

「見えない所………?」

 

春香の無茶に半ギレになっているかな子は、ビーム・バズーカを取り出し、左手に持ったラジエーター・シールドを若干上に構えて指し示した。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

実は、かな子の予想は当たっていた。

戦場から遥か離れた空間でレールガンを構えながら、コックピット内で頭をかく影が1つ。

 

「あーあ………一撃で仕留めたかったなぁ………。折角、雪乃ちゃんが「動揺した演技」をしてでも囮役を買ってくれたのに。」

 

女性は、超長距離狙撃機を駆りながら、自分の狙撃センスが今一つである事を悔いていた。

尤も、戦場からセンサーを使ってでも把握できない距離でありながら、モビルスーツの片腕を持って行っただけでも、かなり優秀ではあるが。

 

「ま………もう一発、当ててみようかな!真鍋いつき(まなべいつき)………頑張りますッ!」

 

彼女………いつきはめげずに、更なる一撃を加えようと再び集中する。

 

 

「ライトニングストライクガンダム」。

ストライクガンダムに、ライトニングストライカーパックを装備した超長距離狙撃機。

この機体と真鍋いつきが、この戦いでのアメリアス勢力の切り札となっていた。




アメリアス勢力の刺客の正体は、相原雪乃さん、鷺沢文香さん、道明寺歌鈴さんの3人。
…と見せかけ、実は真鍋いつきさんも加えた4人であったというオチ。

当然ながら、4人共動画版では出演していないデレステアイドルであり、小説版からの登場人物になります。
搭乗機体も、一筋縄ではいかない物ばかりですね。

まさかの天海春香さんが被弾してしまう緊急事態になりますが…さて、どう打開するのでしょうか?
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