モバジェネワールド・リメイク   作:擬態人形P

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第75話 PHASE6-6『モビルドール』

ライトニングストライクガンダムによる超長距離狙撃を放つ真鍋いつきに対し、策を練るアイドルマスターの秋月律子は、氏家むつみのギャプランを向かわせる。

むつみは機動力と狙撃の弱点を活用し、いつきを追い込むと、ライトニングストライカーパックだけを破壊して、狙撃を封じてしまう。

 

形成が逆転したアメリアス勢力のR・ギャギャを駆る相原雪乃、ジャベリンを駆る鷺沢文香、アドヴァンスドジンクスを駆る道明寺歌鈴であったが、決死の突撃を選択。

母艦に肉体のスペアがある事を活かし、1人でも天海春香のR・ジャジャを撃墜できればいいと考えた故であった。

 

だが、ここでジェネレーション・ブレイクが発生し、無人機のトーラスが来襲。

その隙に乗じ、3機は撤退しようと考えを変える。

激高していた春香………バルバトスは、また無断で単独行動を行い追いかけるが、歌鈴が立ちはだかって他の機体を逃がす選択を取る事に。

バルバトスへの憎悪と共に猛攻を仕掛ける歌鈴の前に、R・ジャジャは撃破寸前まで追い込まれるが、格闘戦の末に逆に威圧。

歌鈴を逆に残虐に追い込んでいき、アドヴァンスドジンクスを破壊してしまう。

 

幾らスペアの肉体があるとはいえ、仲間を仕留められたのを受け、相原雪乃や鷺沢文香は、よりバルバトスへの憎しみを強める事になった。

 

 

 

時間は、ジェネレーション・ブレイクの僅か前にまで遡る。

「宇宙母艦」や無人機である「モビルドール」が駆る多数のトーラスと共に、「コロニープラウド」の上方に赤い盾である「メリクリウス」と青い矛である「ヴァイエイト」が出現していた。

強力な「ビームキャノン」を備えるヴァイエイトから、通信が送られる。

 

「こちらトロワ・バートン特士。目標地点に到着した。01のパイロット。どうだ?」

「悪くない。操縦性は良好だ………。」

 

かなり冷静に通信を送るトロワに対し、「プラネイトディフェンサー」と呼ばれる強力な盾を備えるメリクリウスに乗るヒイロ・ユイが、感情の抑揚を抑えながら返答する。

 

「メリクリウスは中々いいモビルスーツだな。ガンダムともいい勝負が出来るかもしれない。」

「だが、今回は貴様でも死ぬかもしれない。相手はそのガンダムだからな………。」

「何!?」

 

しかし、相手がガンダム………ソレスタルビーイングの刹那・F・セイエイのガンダムエクシアリペアであると分かった途端、ヒイロの顔つきが変わる。

トロワは、ティエリア・アーデのセラヴィーガンダムの情報も付け加えた。

 

「確認した所、新型も現れたらしい。既にアロウズとジオンを蹴散らしている。」

「新たな機体!?特徴は!?………武器は!?」

「流石工作員だ。技師達と同じことを聞く。だが、今の時点では分からない。」

 

2人は元々ガンダムパイロットである為、情報収集に余念がない。

だからこそ、この戦いに限らず油断はしていなかった。

更に、トロワは分かっている事をヒイロに伝える。

 

「確かなのは、新設されたハルシュタイン軍の親衛隊が共闘姿勢を取っている事くらいだ。」

「ハルシュタイン!?………あのアイドル部隊の!?敵の身長は!?体重は!?3サイズは!?」

「流石元学生だ。ファンと同じことを聞く。………学園での流行だったのか?」

「ああ、馴染む為に勉強したからな。」

 

………相変わらず真剣に聞くヒイロであるが、その真面目さは明後日の方向に突き抜けてしまっていた。

確かに学生達に混じるには、その文化を学ぶのは間違ってはいないが………。

 

「………で、敵の戦力は?」

「それも分からん。只、シンデレラガールズよりは充実しているのでは無いか?」

 

2人の間で交わされる、シンデレラガールズという言葉。

その部隊の事を思い出したのか、僅かながらにヒイロは口角を上げた。

 

「成程、神谷奈緒よりは強敵というわけか………。」

「フッ、彼女を物差しにしていいのか?」

「出来損ないの烙印を押されていたとはいえ、「補充要員」として選ばれていたからな。奴より強いというのならば、データを取るのも命懸けになるだろう。」

「そうだな………。」

 

彼らがシンデレラガールズの神谷奈緒と、何の因果があるのかは分からない。

しかし、色々と言いながらも、その実力を認めているのは確かであった。

ところが、ここでヒイロが逆にトロワに問う。

 

「そう言えば、お前は若林智香を心配していないのか?次元の歪みに巻き込まれて、機体と共に消えたらしいが………。」

「神谷奈緒と同じ補充要員である、奥山沙織と一緒だったから心配はしていないさ。彼女達はそんなに軟じゃない。」

「案外、シンデレラガールズに拾われているのかもな。」

「面白い冗談だ。………よし、まずはモビルドールを先行させる。行くぞ。」

 

意味深な会話を繰り広げたうえで、トロワはモビルドールの操作を宇宙母艦に指示する。

スイッチが入ったトーラスは、操られるままにソレスタルビーイングとアイドルマスターを襲った。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「最初の砲撃………どうやら、奴らの目的は貴方達の機体のデータのようね。あんなに個室するなんて、「オペレーション・メテオ」の影響かしら?」

 

アドヴァンスドジンクスを撃破した事で、若干溜まっていたフラストレーションが取れたのか、バルバトス………春香は刹那やティエリアを見て言う。

………とはいえ、R・ジャジャは歌鈴との死闘で、もう上半身と右腕、ビーム・サーベルしか無いのだ。

トーラスによるビームの嵐が襲い掛かる中で、三村かな子が心底呆れた顔でラジエーター・シールドを使い彼女を守る。

 

「もう余計な事をしないで下さい、春香さん………。」

「敵機を撃破して、何がいけないのよ?………で、どうなの?」

 

春香は素知らぬ顔で、情報を把握していそうであったティエリアに再び聞いた。

オペレーション・メテオは、5機のガンダムによるOZの武装機関への攻撃だ。

5人のパイロットによる正規部隊に対するテロ行為とも言える戦いは、ソレスタルビーイングのやり方に酷似している。

その点から鑑みても、春香はティエリアならば詳しいのでは?………と感じたのだ。

実際その読みは正しかったらしく、彼はGNフィールドで刹那を守りながらも素直に肯定する。

 

「確かにOZは、ガンダムによる被害が大きかった組織だからな。このセラヴィーのデータを、対ガンダムへの糧にしようと考えていてもおかしくは無い。」

「そのついでに、私達アイドルマスターのデータも頂こうって考えかしら?結構ちゃっかりしているけれど、あの部隊はトレーズ派とロームフェラ派のどちらかしらね?」

 

OZは、律子の言う2つの勢力に分かれている。

一見すれば、どちらの勢力なのかは判別しにくいが………。

 

「ロームフェラ派です!トレーズ様は、このような事はしません!」

「………ハッキリ言ったわね。何かそう言える根拠があるのかしら?」

 

元トレーズ派の新田美波が断言した事で、律子は思わず困惑。

美波は借り物のオーバーハング・パックでトーラスを撃ち落としながら、説明を始める。

 

今回の敵部隊の主力モビルスーツであるそのトーラスは、AIによって制御されたモビルドールだ。

モビルドールの発案はOZだが、トレーズは導入に反対していた。

 

その根底にあるのは、彼の思想。

あくまで人間同士の、「戦士」による戦いに拘っていたからだ。

破壊や殺戮は自らの手で行わなければ、戦争責任が希薄になってしまう。

故にモビルドールは、トレーズの戦争に対する美学に反しているのだ。

ちなみに彼は自身の意志を示す為に、自らの手でモビルドールの破壊活動を行った事もあるらしい。

 

この説明を聞いて感心したのは、意外にも春香であった。

 

「へえ、そのトレーズという男は、人の業から逃げていないのね。」

 

彼女の喜びの言葉には律子も驚く形になったが、美波は悲しそうに説明を続ける。

 

「はい。………でも、それ故に私が脱退した直後、OZの総帥から解任させられたみたいです。」

「ま、そうでしょうね。所詮、人は責任から逃れたいもの。だから機械や人工知能を発展させ、それに依存していくものなのよ。それが愚かな人の末路ね。」

 

トレーズの末路を聞き、皮肉を述べる春香。

律子は注意深くその言葉を聞き、しばし無言になっていたが、そうしている間にもトーラスの数に任せた猛攻は続いていた。

機体性能もあって単体ならばそこまで凶悪では無いが、集団で攻めてくる上に、こちらは春香のR・ジャジャや刹那のガンダムエクシアリペアが満身創痍だ。

流石に集中狙いは危険すぎる。

 

「艦長、OZも撃退していいんだよな!?」

「………ええ、それで構わないわ。ジオン軍のザンジバルは朋達に任せているし、そっちは気にしなくていいから!」

 

とにかく今は、最後の乱入者達を追い払う事が先決であった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

ジオン軍の方のザンジバルは、大将であるマレット・サンギーヌ達が勝手に敗走した事で、混乱状態に陥っていた。

戦艦を任せられているジオン士官はブリッジから格納庫に向けて、ジオン軍のパイロットスーツを着た少女に対し半泣きに近い状態で通信を送る。

 

「み、みく殿………どうしましょう!?敵の一部がこちらに向かってきます!」

「ふにゃ~………マレットチャンも逃げちゃったし、みく達ピンチだにゃ!」

 

パイロットスーツを着て猫のように特徴的な語尾を発しながら、携帯端末で連絡を取り合うのは、ショートボブの年頃の娘………前川みく(まえかわみく)。

彼女は会話をしながらも、急いで予備機のリック・ドムⅡに乗り込んでいく。

 

「わ、私達も逃げて………。」

「素直に逃がして貰えるとは思わないにゃ。仮に逃亡が成功しても………。」

「マレット様なら、我々を焼き魚にしてもおかしくないですよね………。」

 

自分が真っ先に敗走しておいて、逃亡した部下達に八つ当たりをするのは指揮官として大問題であるのだが、そういう事をやりかねないのがマレットという男だ。

みくは猫のような声を出しながらも、焼き魚という言葉にはかなりの拒絶反応を持っている。

それ故に、コックピット内で思いっきり頭を抱えて首を振った。

 

「にゃ~ッ!焼き魚は嫌にゃ!こうなったら、何が何でも戦果を挙げるにゃ!!」

 

整備兵達に出撃を要請しながら、ブリッジに再び連絡を送る。

ザンジバルには藤居朋のコレン・カプルが迫っていたが、逆にこれはチャンスだと彼女は考えた。

 

「ザンジバルはありったけのメガ粒子砲で応戦!みくは予備のリック・ドムⅡで出るにゃ!1体だけでも捕虜をゲット出来れば、みく達が咎められる事は無いにゃ!」

「御意!御武運を!!」

「追い詰められた猫の恐ろしさ………思い知らせてやるにゃーーーッ!!」

 

カタパルトに移動する間に、コックピット内にて両手で爪を引っ掻く仕草をしたみくは、しっかりと両手でレバーを握ると、ペダルを踏んで宇宙空間に飛び出していく。

残存戦力は1機のリック・ドムⅡと1隻のザンジバルだけであったが、その士気はとてつもなく高まっていた。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「何か………自棄なのか、凄く気合が入ってるわねぇ………。」

 

そのやけっぱちな勢いは朋も感じたのか、感心半分、呆れ半分でザンジバルとの距離を詰めていた。

ザンジバルはひたすら彼女を狙って、連装メガ粒子砲を撃ちまくっている。

勿論、そう簡単に当たりはしないが、回避している内に一直線にみくのリック・ドムⅡが、ジャイアント・バズを撃ちながら突っ込んで来た。

 

「ふにゃーーー!覚悟するにゃーーーッ!!」

 

「にゃ………にゃ!?」

 

マイクで叫んできた特徴的な語尾に若干戸惑いながらも、朋はバランスの悪いコレン・カプルを操り、ジャイアント・バズを回避して距離を更に詰める。

それに対しみく機はすぐさまジャイアント・バズの砲門を捨て、右手でMMP-80マシンガンを握り連射。

しかし、只連射するだけでなく、左手でシュツルム・ファウストを放ち、それを敢えて機体と機体の間で、マシンガンを使って誘爆させる事で即席の煙幕を作る。

 

「うわ!?あの狂犬より、頭良くない!?」

 

煙で身を隠した以上、リック・ドムⅡに考えられる次の手は2つ。

インファイトまで近づいて直接「ヒート・サーベル」で斬ってくるか、斬る前に左胸の「拡散ビーム砲」によって閃光による更なる幻惑効果を狙うか。

 

(どちらにしても、近づいてくるなら………!)

 

インファイトなら、左手で「ミンチドリル」を使えるコレン・カプルの方に分があると、朋は武装を即座に用意して構える。

ところが………この朋の予測は、完全に外れる事になった。

煙の中から出て来た、みくのリック・ドムⅡが握っていたのは………。

 

「ぶった斬るにゃーーーッ!!」

 

「うっそーーー!?」

 

出てきたのは、機体の全長を軽く上回る「超大型ヒート剣」。

大上段から両手で振りかぶられた強力な一撃を、朋は慌ててミンチドリルで受け止めた。

もしも下手にビーム・サーベルのような生半可な武装を使っていたのならば、受け止めきれずに機体ごと叩き斬られていただろう。

いきなり巨大な武器が出て来たのは、恐らく煙で身を隠したタイミングで、ザンジバルのカタパルトから移出されたからだと、周囲の状況から判断できた。

 

「運のいい奴にゃッ!!」

 

「やっぱり戦い方が、あの狂犬より頭いいって!?何であんたが総大将じゃないの!?」

 

「知るかーーー!?にゃーーーッ!!」

 

色々と普段の鬱憤すらぶつけられていると思った朋は、武装の質量の関係で徐々に押されていく。

このまま押し切られたらたまったものじゃないと感じた彼女は片目を閉じ、右手に被せてある巨大な「ロケットパンチ」をヒート剣に振りかぶって叩きつけ、強引に距離を開く。

その瞬間、リック・ドムⅡから拡散ビーム砲の光が発せられて、視界が封じられる。

咄嗟にもう片方の目を開いた事で幻惑効果を回避する朋だが、あのまま鍔迫り合いを続けていたら、拡散ビームでミンチドリルを破壊され機体は真っ二つにされていただろう。

だが、油断する間もなくザンジバルから連想メガ粒子砲が飛来してきて、更に回避行動を取らざるを得なくなった。

タイミングよく武器を移出して貰った事といい、戦艦との連携もしっかりとれている。

 

「ねえ………あんた達!全員、アイドルマスターで働かない!?」

 

「そんな言葉で、騙されないにゃあ!みく達を捕らえて焼き魚にするつもりにゃあ!!」

 

「や、焼き魚!?どういう扱いを受けていたのよ!?」

 

どうもこのみくという少女は、相当厄介な立場だったのだろうな………と同情したくなった朋であったが、ここで手を抜くとあっという間に死を迎えてしまう。

とりあえず、あの超大型ヒート剣を何とかしないと危ないと思った時であった。

 

「一振りでダメなら二振りにゃあ!!」

 

「それ有り!?」

 

何とザンジバルからもう1本超大型ヒート剣が飛来し、みく機の左手に握られる。

マレットのアクト・ザクの専用ヒート・ホークよりも、大型の武装を二刀流で振り回そうとするリック・ドムⅡの姿は、正直言って恐怖でしかなかった。

 

「みく達を焼き魚にする奴らは、全部微塵斬りにしてやるにゃあ!!」

 

無重力である宇宙空間だからこそ、可能だと言えるバランス無視の装備。

流石に二振りの攻撃になるとミンチドリルでも受け止めきれないと思った朋は、後ろに飛びのく。

だが、接近戦のリーチにも優れるみく機は、距離を離すまいと突きの構えで突撃してくる。

相手が宇宙に特化した機体である事もあり、朋は逃げきれなかった。

故に………。

 

「仕方ない!まだ隠したかったけれど!!」

 

下がりながらも、右手のロケットパンチを突き出す。

すると、内蔵されたブースターが火を噴いた。

その大型のパンチは、名称通りロケットの如く飛んでいき、突き出された二振りの超大型ヒート剣に激突。

派手な爆発を起こし、武装を破壊してしまう。

 

「にゃぎゃ!?」

 

超大型ヒート剣を失ったみくはザンジバルから更なる予備を受け取ろうとするが、それよりも早く、朋のコレン・カプルがミンチドリルを振りかぶって飛び出して来た。

彼女は、みく機が次の行動を起こす前に、その頭部に思いっきりドリルを叩きつけて砕いてしまう。

 

「どすこーーーいッ!!」

 

「ふにゃあああああああああ!?」

 

モニターなどのメイン機器をやられたみくは、戦闘の継続が出来ない。

どうするべきかと思い彼女はザンジバルの方を見ると、いつの間にか遠回りをして戦場にトンボ返りをしていたむつみのギャプランが、ブリッジにメガ粒子砲の砲門を向けていた。

 

「プロデューサー………相変わらず、叫び声………変………。」

「余計なお世話!………とにかく、これで言う事を聞いて貰うわよ!」

 

「ま、マレットチャンに焼き魚にされるよりは………マシと思うしか無いにゃ………。」

 

完全に抵抗する力の無くなったみく機は、力なく項垂れた。

 

 

思いのほか脅威であった、前川みくが纏めるジオン軍。

後は、ヒイロやトロワ達のOZをどうするかだが………。




残ったジオン軍は敗北目前…と思いきや、鼓舞する存在が。
そのパイロットである前川みくさんが、リック・ドムⅡで思いっきり抵抗する事に。
かなり頭を使った戦法を披露する姿は、アメリアス勢力に負けず劣らずの頭脳派と言えるかもしれません。

ちなみに超大型ヒート剣は、「ミッシングリンク」のギー・ヘルムート機の装備。
専用ヒート・ホークを操るマレット・サンギーヌの下にいるのならば、こういう武装もアリかなぁと思い、採用しました。
アイドル達の個性が出て、いい感じになりますよね。
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