マシュマー・セロとのガルスJと対峙した、ジーライン スタンダードアーマーに搭乗する栗原ネネは、高槻やよいを脅して苦しめた事から怒りを抱いていた。
彼女は大切な存在………マシュマーにとってのハマーン・カーンが、このような街を人質にとった作戦を指示した事に言及し、本心では望んでいなかった彼に問う。
本当に大切な者であるのならば、間違いを犯した時は、叱るものでは無いのかと。
マシュマーは、ハマーンに仕える身である故にブレなかったが、ネネはそれを妄信と一蹴。
結局、2人の持論は相容れないまま対峙する事になる。
勝負はネネが搦め手を駆使した事で、武装をほとんど失ってしまうが、マシュマーのガルスJを行動不能に追い込む。
尚も、脱出したマシュマーにトドメを刺そうとするが、そこにお目付け役であり、結果的にやよいを救ってくれた、日下部若葉のガ・ゾウム(ガンナータイプ)が間に割って入る。
若葉は、幼いミネバを傀儡に使うハマーンに対して、憤ってくれたネネに感謝した後、マシュマー達を連れて撤退していった。
これで戦闘終了かと思ったが、ここでジェネレーション・ブレイクが新たに発生。
猛烈な霧が発生し、砲撃音が崩れた「ボストニア城」の北側から響き渡る。
藤原肇のアイディアで霧を晴らすが、そこにはジョルジュ・ド・サンドのガンダムローズが、ジェントル・チャップマンのジョンブルガンダムと1対1のガンダムファイトを繰り広げていた。
しかし、チャップマンは、複数のAIによるカッシングを駆使しており、多対一の状況。
ルールを守らない事に、ロラン・セアックは大人げないと言うが、自分は常に英雄で在らねばならないと、チャップマンは狂ったように高笑いをするのであった。
「チャップマン………英雄がここまで堕落するとは………。」
「落ち込んでいる場合じゃないでしょ!?コイツ等どうするのよ!これ以上、バカスカぶっ放されたら、「ノックス」が持たないわ!!」
憧れの英雄の狂った姿にジョルジュは落胆したが、ソシエ・ハイムが叱咤。
確かに、ただでさえウォドムやエンドラが滅茶苦茶やっているのだから、これ以上破壊をされては困るだろう。
事態を見守っていたキャリー・ベースの艦長である高垣楓が、彼女の意見を踏まえ指示を出す。
「彼らには、早急に退散して貰うしかないでしょう。各機、協力して応戦を。但し、ネネはやよいからシールドを借りて、彼女を守っていて下さい。射撃武装を失っている以上、前線には出ない事。」
「………了解です。やよいちゃん、盾を借りますね。」
「……………。」
辛過ぎる現実に直面した影響で、物事を考えられなくなっているやよいのM1アストレイ(シュライク装備型)から、ネネはシールドを取り、防戦の構えに入る。
パワードジムカーディガンを扱う未央もまた、引き続きサブアームのシールドで、やよいを守る体勢であった。
「ジョルジュさん。貴方には申し訳ありませんが、この街に来たからには、人々を守る為に戦って貰いますよ。ガンダムファイト以前に、この街は危機的状態ですからね。」
「承知しました。私も1人の騎士として、街を守る為に貴女の指揮下に入りましょう。………これ以上、彼が堕落してしまうのも、阻止したいですからね。」
少し寂しげなジョルジュであったが、状況を理解した事でシンデレラガールズと共に戦う道を選んでくれた。
そして、ガンダムローズの「シュバリエ・サーベル」をチャップマンに向けると、彼は宣言する。
「不本意ですが、そちらが多数で攻めるならば、こちらも多数で応戦します。構いませんね?」
「フハハハハハハ!愚か者が!!」
先制と言わんばかりにジョンブルガンダムが建物の影からカッシングと共に、ビームをガンダムローズに向けて放つ。
だが、チャップマンの行動が予測済みであったジョルジュは、回避コースをあらかじめ見つけており、ビームを上手く避ける。
「あくまで僚機のAIの武装は、「ビームライフル」だけみたいですね。そんなに高性能なAIでは無さそうですし、神経を逆撫でする言動にさえ気を配れば強敵ではありません!」
「ならば、これ以上喋る前に黙らせます!」
市街戦故に地上の敵には「ビームライフル」が使えない為、ロランがこの街で使える∀ガンダムの唯一の中距離武装である「ガンダムハンマー」を取り出す。
そして、飛び上がると空中でハンマーを回転させ、投げつける。
『うわあ!?ヒゲのバケモノ!?』
「言動を考えろおおおおおお!!」
ロランの的確な怒りのツッコミと共に、カッシングの1体に対し推進剤付きのハンマーが炸裂し、モノアイ付きの顔面が砕けた。
どうやらAIの制御装置はそこにあるらしく、破壊された機体は動かなくなり、喋らなくなってしまう。
「次!」
そのままロランは、ハンマーをソシエのカプルに渡すと、「ビームサーベル」を両手に取り出し駆けていく。
カッシングのビームライフルをジグザグに回避しながら接近すると、そのまま駆け抜け様に斬り倒していった。
「ごめんなさーーーいッ!!」
『でも、それって根本的な解決にはなりませんよね?』
「貴方が黙りなさい!!メシェー、行くわよ!」
「任せて!それっ!!」
ロランから受け取ったガンダムハンマーを握ったソシエのカプルを、メシェー・クンのカプルが空に投げ飛ばす。
そのまま機体を回転させるように空中でハンマーを振り回したソシエが、勢いよくカッシングの一体に投げつけた。
『ぐっ………!落ち着け!あんな安っぽい挑発に乗るな!うおおおおおっ!?』
「粉砕よ!!………確かにジョルジュの言う通り、回避とかあまりしないわね。」
基本的にビームライフルを撃ち、神経を逆撫でする言動をする事しかインプットされていないのか、ソシエは着地と同時にメシェーとハンドガンを連射。
カッシングが面白いように次々と倒れていく。
『こんなに俺と地球人で意識の差があるとは思わなかった………!』
『でも今は、そんなことはどうでもいいんだ。重要な事じゃない。』
『何だっていい!奴にとどめを刺すチャンスだ!』
「空中からならば、ビーム射撃もある程度は出来るわ!愛梨も大丈夫ね!」
「はい!」
シグーアサルトに乗った黒川千秋が、トムリアットを動かす十時愛梨と共に、空から攻撃を仕掛ける。
千秋が76mm重突撃機銃を、愛梨が「ビーム・ライフル」を連射して、カッシング達の動きと言動を封じていく。
更に、AEUイナクト指揮官型に乗っている高森藍子が、空中からリニアライフルを1発ずつ確実に頭に撃ち込み、次々と効率良く破壊していった。
「狙撃が上手いだけあって、射撃効率が良すぎるわね………。」
「本当は、もっと射程の長いライフルが欲しいんですけれどね。」
千秋は褒めたが、ハイザック・カスタムに慣れ親しんでいた藍子は、少ししっくりと来ていない様子であった。
それこそ彼女には、ガ・ゾウム(ガンナータイプ)のような機体が合っているのかもしれない。
だが、例えば工藤忍が扱うジム・スナイパーⅡ(ホワイト・ディンゴ仕様)のロングレンジ・ビーム・ライフルを持った状態では、重量オーバーで飛行が出来ず、逆にイナクトの真価を発揮できないだろう。
「ここは悩み所ですけれ………ど!」
突如地上から放たれたビームを、藍子は咄嗟の判断で回避をする。
ジョンブルガンダムが建物から飛び出し、ロングビームライフルで藍子機を狙ったのだ。
「中々の狙撃能力ですね………!」
「英雄は落ちぬ!これくらいでは落ちぬ!!かくなるうえは!!」
カッシングがほぼ全て撃ち落とされて不利になったチャップマンは、ジョルジュを狙う。
それに対し、ガンダムローズはシュバリエ・サーベルを構えていた。
「貴様だけでも、沈めてやるわ!!」
「ここで頭部破壊のルール順守ですか………。行けよ!我が洗礼、「ローゼス・ビット」!」
しかし、ジョルジュはこの行動も予測済みであった。
ガンダムローズのマントからバラのようなビットを複数取り出すと、眼前に直列に並べる。
ジョンブルガンダムの放ったビームは、並べられたビットが盾となり防がれてしまう。
「何だとぉ!?」
「目を覚まして下さい、チャップマン!!」
そのまま隙だらけになったジョンブルガンダムに、ジョルジュが突進。
何か行動を起こす前に、サーベルでその頭部を一突きした。
「決着の時です………。」
「バ………バカな!?このワシが………こんな結末はッ!?バカなぁぁぁぁぁぁッ!?」
逆に頭部を破壊されてルール上の敗北を喫したジョンブルガンダムは、ロングビームライフルを取り落とす。
そのまま、数歩後ろに下がると、一目散に退却していった。
「これで………戦いは終わりましたね。」
「いえ、まだです!?この反応は、シークレット・ユニット!」
『!!?』
ジョルジュの安堵の言葉は、綾瀬穂乃香の警告に遮られた。
夜空にヒビが入ると、また割れてしまう。
今度は何が出てくるのかと警戒するシンデレラガールズの耳に、大音量のマイクによる声が聞こえて来た。
「エントリィーーーーーッ!!」
「何!?この奇声!?」
「いました!遥か上空!!」
思わず身構えてしまう喜多見柚であったが、必死に索敵を行った穂乃香がガルバルディβのマニュピレーターで上空を指し示す。
見上げた一同は、唖然とした。
そこにいたのは、大気圏突入を行い街に向かって降下してくる巨大なモビルアーマーであった。
いや、モビルアーマーという表現も正しいのかは分からない。
その落下してくるマシンは、巨大な大砲にモビルスーツがしがみ付いているような、いびつな物であったのだ。
「何ですか、あの紐無しバンジージャンプをしている機体は!?」
「「ゼーゴック」です!ズゴックに試作兵装を抱えさせて大気圏突入を行い、攻撃を行うモビルダイバーです!!」
「企画者の頭のネジが飛んでいる事だけは、ハッキリ分かりましたよ!」
幸子がツッコミをするが、それでどうにかなるわけでも無い。
そのゼーゴックを操り奇声を上げているニューロは、地上に大型の拡散ビーム砲を向けると叫んだ。
「高槻やよいが765に従わないのならば、街を火の海にしてやるぜ!このヴェルナー・ニューロが、「クーベルメ」を使ってな!ヒャッホオオオオオオオッ!!」
次の瞬間、クーベルメの砲塔が輝くと、地上に………ノックスの街に複数のビーム砲が発射される。
最初からシンデレラガールズやキャリー・ベースは狙いに無かったみたいだが、それが災いし、街の至る場所が高出力のビームで薙ぎ払われ、赤い爆発と火の手が巻き起こる。
その様子に、ソシエが驚愕した。
「あの男!最初から………街狙いで!?」
「わたしの………せいで………?」
「ダメ!やよいちゃん!!」
フラフラと燃え上がる街を見渡すやよいのカメラを隠そうと、ネネが慌てて視界を塞ぐ。
これ以上、やよいの心にダメージを与えたら危険であった。
だが、ゼーゴックによる虐殺は、まだ続いていってしまう。
更に………。
「ねえ、アレ!止めないと街に落下して大爆発するんじゃないの!?」
「確かに不味い!?」
メシェーの警告を受け、ロランの∀が素早く、ジョンブルガンダムの置き捨てたロングビームライフルを構えて、空に向けて発射する。
しかし、幾ら射程のあるビームライフルとはいえ、夜空を高速で滑空する機体に即席の武装で命中させられるわけが無く、平然と回避されてしまう。
「無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
「忍ちゃん、狙撃して!」
「やってるけれど………速すぎて、狙いが!?」
桃井あずきに急かされた忍も、ロングレンジ・ビーム・ライフルで空中に狙いを定める。
高森藍子が自身のスナイパーとしての経験談から、忍にアドバイスを送るが、それだけで上手く行けば苦労はしない。
「とにかく、ゼーゴック本体………ズゴックを狙って!機体の爆発で兵装も誘爆させれば!!」
「ええい!当たれーーーッ!!」
頭上を通過するタイミングを見計らい、忍がゼーゴックを何とか狙撃する。
しかし………。
「俺の勝ちだああああああああ!!」
「ああッ!?」
事もあろうことか、ゼーゴックはビームが直撃する瞬間に、クーベルメをパージした。
ヴェルナー・ニューロの操るズゴック本体は爆発するが、クーベルメ自体は破壊しきれずに大型の破片が、街に落下していく。
「ダメだあああああああああ!!」
思わず忍が叫ぶが、次の瞬間信じられない事が起こった。
街の南側から砲弾が4発飛来し、クーベルメの稼働部分を正確に貫いて爆発させていく。
細かい破片は落下していったが、最悪の事態は免れた。
「一体誰が………?」
「やっぱり、おとこの汗と涙が詰まった兵器は、破壊力が違うねー。流石「30cm砲」!」
「この声って………?」
渋谷凛と島村卯月が、思わず反応して穂乃香を見る。
彼女は一瞬沈黙したが、意を決し呟く。
「街の南側から………コア・インパクトです。ですが、この反応は………!」
穂乃香の視線の先………城の南側の通りを見て、一同はギョッとする。
そこにはキャタピラの付いた大量のザク………「ザクタンク」が3つの大通りを北上してきていた。
また、その奥に3機並んでいる、緑の戦車のような機体はモビルタンクである「ヒルドルブ」。
更に一番後ろには、戦艦「ギャロップ」の推進部とヒルドルブの戦艦クラスの砲門を備え付けた、「ドム・トロピカルテストタイプ」を魔改造した「ドム・ノーミーデス」がいた。
砲戦に特化した機体が、これでもかというくらいに、「ノックス」の街に押し寄せて来ていたのだ。
そして、ドム・ノーミーデスから聞こえた声は、シンデレラガールズにとっては聞き覚えがあった。
特に、本田未央にとっては。
「まさか………。」
「バルバトスの思い通りに、好き勝手やられたくないからねー。………こんな体だと、こんな風に大量の機体を、ビットみたいに扱う事も出来るんだよ?未央ちゃん。」
「美由紀ちゃん………みゆみゆなの!?」
柳瀬美由紀………24歳の体でモビルスーツを操る、14歳の心のアメリアス勢力のパイロットが、単身でシンデレラガールズに挑んで来た。
「霧」の意味が違うだろ!…とツッコミたくなった方は多いかもしれませんが、その通りだと思います。
これでも動画版よりはマイルドにしているのですが、元が元だけに苛烈ですね…。
ここでのシークレット・ユニットはマイのヒルドルブから変更して、ヴェルナーのゼーゴックにして貰いました。
あの「エントリーーー!」という奇声は、一度聞いたら忘れられないでしょうね。
そして、現れてしまったアメリアス勢力…柳瀬美由紀さん。
本田未央さんにとっては、衝撃的な展開になりそうですが…。