「ノックス」での戦闘の後、混乱を避ける為に、北方の「アラマハン山脈」へと移動させて貰ったシンデレラガールズ。
夜中ではあったが、そこで改めて離陸の為の準備を、艦長である高垣楓を始め行っていた。
そんな中、高槻やよいは、一晩全く眠れていなかった。
外で座っている所に、喜多見柚と緒方智絵里が心配をしてくるが、バルバトスは柚達の世界を滅ぼしたから、絶対に従ってはいけないと彼女は告げる。
自分の心を壊さない為に、敢えて柚達の敵である事を強調するが、我慢出来ずに智絵里が抱き着き、我儘を言っていいと告げる。
その温かさから、事務所の皆の本来の温かさを思い出したやよいは、耐え切れずに泣き崩れるのであった。
やよいの様子を見ていた渋谷凛と島村卯月は、どうすればやよいの大切な人達を救えるのか考えるが、輿水幸子は、自分達にそこまでの実力が無い以上、討つしかないと言う。
敢えて憎まれ役を買って出た幸子の発言であったが、的を射ているだけに、決戦兵器ガンダムを託された凛は、自身の力の無さに項垂れるのであった。
キャリー・ベースの格納庫では、栗原ネネが吉岡沙紀や成宮由愛、古賀小春の話を聞き、ジーラインをスタンダードアーマーから癖のあるアサルトアーマーに換装する道を選ぶ。
全ては、少しでも落ち込むやよいの力になる為。
整備班の面々は気合を入れるが、沙紀はちゃっかりシンデレラガールズの一員として行動している叢雲劾に、思わず不信の目を向けるのであった。
劾がシンデレラガールズに同行する事を決めたのは、彼の言う通り、契約の都合による部分が大きい。
ストライカー・カスタムを運んできた代わりに、帰りのモビルスーツをチャーターする約束を藤原肇としていたが、彼女はその代替品として、お金になりそうなモビルスーツを次々と鹵獲してしまった。
ディアナ・カウンターの小型のウァッド15機に加え、大型のウォドム2機。
更に、スクラップも含めていいのならば、アメリアス勢力である柳瀬美由紀の連れて来た大量のザクタンクやヒルドルブ、ドム・ノーミーデスも当てはまるだろう。
ほとんどの機体は「ノックス」の復興資金として、グエン・サード・ラインフォードに引き渡してしまったが、彼はある程度の割引をしたとはいえ、親切に代価である大量の金塊を払ってくれた。
更に、肇がスクラップにせず、鹵獲に成功したザクタンクとヒルドルブを1機ずつ、それに「マウンテンサイクル」から発掘した謎の機械人形………何故か保存状態の良いモビルスーツも、1機だけだがシンデレラガールズに譲ってくれたのだ。
こうして契約の関係上、叢雲劾には肇の意見もあり、明らかに過払い金とも言えるような運搬料金を払うことになった。
しかし、傭兵の信用問題の都合や劾自身の信念もあり、オーバーした分はシンデレラガールズで働くと楓に言って、彼は船に乗り込みここに立っている。
「律儀っすねぇ………。でも本当は、何か別の目的があるんじゃないっすか?」
「先程の戦闘で、藤原肇を始めとしたシンデレラガールズに興味を持った。ロウも面白い面々を紹介してくれる。そうした部分も大きいな。」
「正直に言うっすね………。まあ、働いてくれるならば有り難いっすが………ここに来たからには、搭乗機体を選びに来たんすよね?どれにするんすか?」
当然、傭兵………パイロットであるのならば、何か機体に乗って戦って貰わないと困るだろう。
劾には事前にシミュレーターで色々と試して貰ったが、彼は1機の機体を迷いなく答えた。
「ジム・クゥエルを整備して貰いたい。」
「………装備、貧弱っすよ?」
ジム・クゥエルは、ビーム・サーベルとビーム・ライフル、後は60mmバルカン砲に、シールドが基本武装だ。
耐ビーム・コーティングが付けられる盾はまだしも、武装に関しては、正直、お世辞にも個性が無い。
しかし、劾が目を付けたのは、その汎用性であった。
「その気になれば、工藤忍が扱うロングレンジ・ビーム・ライフルを持てる。また、場合によっては、榴弾を飛ばせる「ハイパー・バズーカ」も装備出来るみたいだからな。状況に応じて装備を切り替えられるのは、有り難い。」
「普段は………素の状態で戦うんですか………?」
「余計な武装によってバランスが崩れていないのも、立派な長所だ。」
「カッコいいですね~。じゃあ、残り少しの時間になりますが、整備しましょうか~。」
「よろしく頼む。」
頭を下げられた由愛や小春は、早速ジム・クゥエルの整備に入る。
彼女達を子供扱いせず、あくまで整備員として対応する姿は、確かにプロに映った。
劾が只の配達員でない事は、肇が戦闘中にある程度は見抜いており、実際にシミュレーターを扱わせたら、力量はとんでもない物であったのだ。
男ではあるが、シンデレラガールズの面々に鼻の下を伸ばす事も無い為、彼女はかなりの優良助っ人を連れて来たと言えるだろう。
尤も劾に対し、戦闘中は肇の指揮下に入れと楓が言った時には、彼女は茫然としてしまったが。
「私は、バランスの良いガルバルディβか、元々扱っていた経験もあるというジンを使うと思っていましたけれど………。」
「優良な機体は、他の面々に優先して配備してやればいいだろう。俺はあくまで厄介者だからな。」
「セントウノプロ!セントウノプロ!」
「ハロ………さっきは不審者扱いしたよね?」
ネネとハロのコントのようなやり取りも気にすることなく、劾は沙紀に問う。
その視線の先………格納庫の隅には、新たに搬入された3機の機体があった。
「まあ、俺の事はそこまで気にしなくてもいい。………只、折角の機会だから、1つ聞いてもいいか?他の機体の割り振りはどうなる?」
「当たり前っすが、ザクタンクはあくまで保険っすね。ヒルドルブはあずきちゃんが乗ってみているっすが………モビルタンクであるだけに、使いこなせるかは………。」
「あの変わった機体は、どうなるんですか?」
ネネの言葉を聞いた沙紀は、頭をかきながら小型タブレットを取り出す。
そこにホログラムとして映し出されたのは、一番隅に置かれている白と水色のカラーを主体としたシャープな形状のツインアイの機体であった。
「そもそも、この機体………多分、ガンダムっす。」
「え!?」
沙紀の衝撃発言に、ネネが口に手を当てて声を上げて驚く。
確かに、ガンダムの特徴であるツインアイとアンテナはあるが、その顔はガンダムと言うには鋭すぎた。
しかし、識別能力を持つ綾瀬穂乃香が、この機体の特性を見極めた時、ガンダムであると分かったのだ。
「武装は「ビーム・サーベル」と「ビーム・ライフル」だけだから、ジム・クゥエルよりも貧弱なんだけれど、どうやら換装が可能みたいっす。専用の装備を作れば、強化に繋がると思うっすよ。」
追加武装に関しては皆で考察しないといけないが、伸びしろのあるモビルスーツであった。
この機体の特徴としては、全身にスラスターが取り付けられており、かなり機動力に優れているらしい。
その分、防御力が劣ってしまうが、当たらなければどうという事は無い………を地で行く機体であるのだ。
「後、その防御力を補うシールドが面白い作りでね。姿勢制御スラスターが内蔵されている他、角の4隅にカメラが設置されているんすよ。」
「じゃあ、索敵にも長けているんですね!」
「そういう事っす!「バイオセンサー」っていうサイコミュの技術を応用した技術もあるし、機動力だけでみれば、7号機やストライカー・カスタムよりも上っすね。」
フルアーマーによる増加武装により、破壊力に長けるガンダム7号機。
接近戦に完全特化した、ストライカー・カスタム。
そして、機動力に全振りをしているとも言える、この3体目のガンダム。
シンデレラガールズに、また新たな戦力が加わったと言えた。
「成程、だから搭乗者は………。」
「そう………一番早く敵機を発見して索敵しなければならない、穂乃香ちゃんっす。」
劾はサングラス越しに、格納庫の隅に着目する。
そこには、ヒルドルブの操縦系統を学んでいる桃井あずきと、新しいガンダムの内部を確認している綾瀬穂乃香が映っていた。
神谷奈緒も手伝っているらしいが、2人共かなり苦戦している様子だ。
「奈緒ちゃん、どうっすか!?2人の様子は!?」
「モビルタンクもガンダムも、癖があり過ぎる!何なんだ、この機体は!?」
「休憩にしましょう!サンドイッチを持っていきますから!!」
ネネがそう言うと、ぐったりとコックピットから顔を覗かせようとしているあずきと穂乃香に、夜食を持っていこうとして………最後に沙紀に問う。
「そういえば………そのガンダムって、何て名前なんですか?」
「「ル・シーニュ」。白鳥座を意味するモビルスーツっす。バレエ経験者である穂乃香ちゃんの機体になるのは、何の因果っすかね………。」
白鳥座のモビルスーツ、ル・シーニュ。
穂乃香にとっては、是が非でも愛機にしなければならない機体であった。
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キャリー・ベースから少し離れた渓谷では、肇がストライカー・カスタムに乗って、立っていた。
少し距離を離した場所に置いてあるのは、赤く塗られたウァッド。
ミリシャは鹵獲したこの機体を、「アルマジロ」と名付けて運用する事が決定された。
しかし、肇に鹵獲された際、運悪く操縦系統にダメージを負って動かなくなった機体もあった為、最後の役目として、こうして彼女の「とある実験」に付き合って貰う予定になったのだ。
その実験とは………。
「妖刀システム?」
「うん………何か劾さんがロウさんから聞いた話だと、かなりの負荷が掛かる危険なシステムなんだって。」
カプルを操るソシエ・ハイムに同乗させて貰っているのは、姫川友紀。
彼女は、ストライカー・カスタムに備わった未知なるシステムの威力などを、データに取る役目を担っていた。
「何か、凄く危なそうなニュアンスだけれど………。」
「だから、一度試してみたいんだって。………ちなみに詳細は劾さんも知らないらしいけれど………。」
メシェー・クンのカプルには、同じく記録員である小日向美穂が同乗している。
ロラン・セアックの∀ガンダムは、一応何か不測の事態が起きないように、手刀を作り身構えていた。
「準備はいいですか、肇?」
「はい………とりあえず、一瞬だけですが使ってみたいと思います。」
肇は息を吸うと、妖刀システムのスイッチを入れる。
その瞬間であった。
ストライカー・カスタムが軋みだし、ツインアイが緑から赤色に変わる。
周りから見ていた5人は、まるで機体の周りに、禍々しい紫のオーラが出て来たように思えた。
「な、何………これ、何なの!?」
「測定値がバグっている!?」
「ええ!?本当に不味いんじゃないの!?」
「肇ちゃん、スイッチを切って!」
「止まって下さい、肇!!」
皆がストップさせようとするが、肇はモニターを凝視していた。
そこには、赤字で5文字の漢字が並んでいたからだ。
空 合 掌 底 気
「何て………読む………わッ!?」
更に、肇は驚く。
急激なGが掛かったかと思いきや、ストライカー・カスタムが暴れ馬のように直進したのだ。
その右手には、青白く濃いオーラが纏いつき、真っすぐに突き出していく。
自然と抜き身の構えになり、その手がアルマジロを貫いた。
「手刀!?………って、え!?」
見つめるロランが驚く中、信じられない事態が起こった。
貫かれたアルマジロが、まるで砂塵のようにあっという間に粉になり、夜風に飛んで行ってしまったからだ。
「これ………は………。」
目の前の対象が消滅した事で、ようやくストライカー・カスタムの「暴走」は止まる。
あまりに常軌を逸脱した現象を前に、全員が無言になった。
「………友紀さん、今のは?」
「えっと………あのマニュピレーターが、超高速での振動を起こしていたみたいだね………。だから、内部から敵機を分解していったんだと思う。信じられないけれど………。」
ロウはとんでもない機体を作り出した物だと、肇は思った。
機体が暴れる事も有り、気軽に使えるシステムでは無い。
何より無茶をさせ過ぎると、機体が自壊してしまうだろう。
「しばらくは、封印でしょうね………。危険すぎますし………。」
「おーいッ!!ちょっといいかー!?」
戦慄していた肇に、突如マイクで掛かった明るい声が掛かり………見上げた彼女は、反射的に身構えてしまった。
何故ならば、空を浮遊するようにゆっくりとやって来たのは、クロスボーン・バンガードのデナン・ゾンであったからだ。
しかし、その機体のパイロットは、肇達の反応を見たのか、あらかじめ持っていた白旗をヒラヒラと掲げ、両手を上げながら降下して来る。
「貴女は………一体?」
「いやー、アンタ達だよな?「ノックス」を救った奴等って。」
肇の前に着地したデナン・ゾンのコックピットが開き、中からカジュアルな服装のパイロットが出てくる。
そして、彼女は手持ちのマイクで聞いて来た。
「ちょっと教えて欲しいんだけれどさ………アンタ達の連れに、「小日向美穂」っていないか?」
「その声は………!?」
皆が疑問を覚える中、名前を言われた美穂は思わずメシェー機のハッチを開けて顔を見せる。
笑顔であった。
何故なら、彼女に会いに来たパイロットは………。
ここで3体目のガンダムが、綾瀬穂乃香さん用として登場!
しかも、まだ換装されていないとはいえ、ル・シーニュであるのは驚きだった方も多いと思います。
このル・シーニュもまた、ストライカー・カスタムと同じくgジェネエターナルの初期URの1機として参戦しています。
勿論、エコール・デュ・シエルのアスナ・エルマリートさんもセットで付いてくるので、ファンの方はおススメですよ!
性能としては、テンションをスキルで上げて、長射程のデバフ効果のあるEX技で支援を行っていくのが基本でしょうか。
しかし、この2組…こう言ったら何ですが、かなりの出世ですよね。
ちなみにストライカー・カスタムの「空合掌底気」もEX技で…何て読むのかは、また後日。