俺たち2人は、17年前に孤児院の前に捨てられていたらしい。
そこの孤児院を運営していたシスターに俺たちは、拾われた。
しかも2人、揃いも揃って、同じ年の同じ場所に捨てられていた。
とりあえずシスターは、俺たちの親を探してくれたらしいが見つからなかったそうだ。
それで俺たちが育てられることになった孤児院にはシスターを含め、
従業員が5人しかいない小さな孤児院だった。
俺たちは物心がつくとすぐに2人でつるみ始めた。
寝る時も遊ぶ時も喧嘩するときもずっと一緒だった。
小学校、中学校には通ってはいなかったが、
そのLEVELの授業はシスターとほかの従業員4人がすべて教えてくれた。
運動の時間は、特別楽しかった。
従業員は全員それぞれ一つの格闘技を制覇した、日本でいう強者というたぐいの人間だった。
合気道、空手、中国拳法、剣道、棒術と色々な格闘技を極めた人たちだった。
シスターや職員は1通り、技を見せると決まってこう言った。
「これはあくまで見世物として見せただけだ。
べつに無理やりやらせようとは思ってない、
だからやるか、やらないかは、自由だし、やるからには最後までやれとも言わない。
だから教えてほしいときはいつでもいいに来な」
多分、やることが違ってきたのはここぐらいからだろう。
この俺、シオンは、合気道と剣術を習うことにし、
そしてシルヴィーは、俺と同じく合気道と中国拳法を習うことにし、
次の日から俺たちはそれぞれ別の師範の下でそれぞれの武術を習い始めた。
週3回2時間の時間をフル活用し、自らを鍛え上げた。
動くのに無駄な筋肉をつけずに最善の体作りを行う。
同じ孤児院の子には、まるで軍人みたいだと言われたこともあった。
まさにそのとうりである。
師範たちは技や技術を教えてくれても基礎は教えて話くれなかった。
だから自分で見つけたのである技や技術の基盤を。
そして16になった、俺の体つきは無駄な筋肉がほとんどないしなやかな体になっていた。
俺もシルヴィー16になったが学校は通ってなかった。
特に通う理由がないからである。
俺の場合は、欲しい知識はほとんど調べ上げ覚えたし、
運動能力でもそこらの奴に負けるほど弱くはない。
シルヴィーの方はどうか知らないが、あいつも負けたりはしないだろう。
俺たち以外の孤児院の仲間たちも病気にも負けない元気な体に育っていった。
だが、シスターだけは違った。
ある日、シスターは何の前触れもなく倒れた。
少しの間、慌てふためいたがすぐに正気に戻った俺たちはすぐに病院に連絡した。
そして病院に運ばれたシスターに告げられたのは、
「あなたは、宇宙から飛来した未知のウイルス。
『エイリアン・エンジン・ウイルス』に感染してしまったようですね」
曰く、そのウイルスには、明確な治療法がないと、
曰く、かかれば最後、死を待つだけになってしまうと。
そんな絶望の言葉を聞いてもシスターはうろたえることはなかった。
それどころか即座に付き添いに来ていた、
俺とシルヴィーに「私のためにつらい思いまでして頑張るのやめて」なんて言ったんだ。
シスターは入院することになった。
そして、俺たちはシスターの眼を盗んで治療法を探し続けた。
俺たちは資料を読み漁り少しでも情報を集めた。
その時、U-NASAでエイリアン・エンジン・ウイルスの患者を受け入れを行っていることを知った。
そして、治療法を見つけるために火星に行くことを知った。
さらにその船員を募集中ときた。
こうなれば、一刻も早く治療法を見つけるために行こうと思い、
すぐに孤児院に帰り、荷支度をしていると。
自分の部屋の扉の向こうからノックが聞こえた。
扉を開けてみると、そこにはシルヴィーがキャリーバックに座っていた。
「まさか、自分ひとり犠牲になろうなんて考えてないよね?」
シルヴィーは俺が扉を閉めないように木材を扉の端に置き、俺に問だした。
「おまえ、どこまで知ってるんだ?」
俺は自分の情報の出所は教えない主義だ。
だからシルヴィーがどこまで知っているのか気になった。
「私はシオンと同じく、シスターを助けたいと思ってる。
だから、シスターの言葉を無視してでも助ける方法を探した。
そしたら見つけたんだよ。
U-NASAの計画を見つけたんだよ。
私が見つけれたんだよ?
あなたが見つけられないわけがない。
だからこそ思ったんだよ、
シオンなら絶対に誰にも言わずにU-NASAにいくって。
まぁ、ざっと推理はこんなものだけどあってた?」
どうやら、バレバレのようだ。
「で、止めるのかそれとも・・・」
「もちろん、ついていくに決まってんじゃん。
私は最愛の家族が一人で火星に行くのなんて黙ってられないし、
一人より二人の方が効率がいいでしょう?」
どうやら、俺だけではなかったらしい。
「俺たちは、シスターのいいつけを破っちまう悪い子だな」
「だけど、それでシスターが元気になるのなら」
俺たちは荷物をまとめた後、日没と同時にU-NASAへと足を進めた。