U-NASAの基地にたどり着き俺たちはカウンターまで行った。
「火星探査の志願がしたい」
「お帰りください」
なぜか断られた。
「特別な事情がない限り未成年の志願は禁止しております」
「俺たちは人助けのために志願したいんだ!」
「それでも志願はできません」
「なら、俺が志願者より強いってことを証明すればいいだよな」
「そうですね、強いかどうかはともかく有能であると判断すればですが」
「あんたが選んでくれていいぜ。俺は負ける気はないからな」
「なら、ちょうどあそこにいる男の人が最も強いであろう人なので彼に勝てれば」
「よし」
俺はその男の前まで歩いていく。
「俺は火星探査にいきたい。だから力を示す。俺と試合をしてくれ」
「火星探査に行きたいってことは何か理由があるのかな?」
「育ての親がウイルスに侵されている。それを治すためだ」
「待つという選択肢はなかったのかい?」
「そんな悠長にしてられるほど気は長くない」
「そうか、そうだね、僕に一撃でも与えられたら考えてあげるよ」
「あまり、ガキだからってなめてもらったら困るぜ」
俺は荷物をシルヴィーに預け、構えをとる。
むこうは構えてないように見えるがすきが見当たらない。
「後悔すんなよ!」
隙が見えないなら自分で切り出せばいい。
一気に目の前まで詰め寄る。
そして一歩下がって、拳を放つ。
だがそのフェイントをよまれむこうも一歩下がることにより回避する。
「なら!」
さらに早く詰め寄り最速のパンチを繰り出す。
だが少しそれることにより回避された。
それを体を回し腕で薙ぎ払いをかける。
だがまた回避される。
「あんたもせめて来いよ」
「いいのかい?いまだ一発たりともあてれたないのに?」
「べつにいいさ」
「なら、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
次の瞬間、腹に衝撃が走る。
「早すぎだろ」
気を失いそうになったが口内の肉を噛んで痛みで意識を保つ。
「立ってるなんてすごいじゃないか、手加減したとはいえ相当なダメージのはずだよ」
「俺は恩返しのために助けるんだ」
「たとえ、本人が望んでなかったとしても?」
「当たり前だ。それぐらいの覚悟ぐらいしてきてるつーの」
また、認識できない一撃に襲われる。
「あー、もう!見てらんない!シオン!」
後方から飛んできたものを受け止める。
「なんで持ってきてるんだよ」
「私の勝手でしょう」
「一撃当てればいいだけだよな?」
「そうだよ。武器の有無は問わないよ」
「なら、勝たせてもらう」
俺は木刀を構える。
そして一歩踏み込む。
後は全力で振るうだけ。
何の変哲も無い一撃だからこそとてつもない速さと威力で振るわれる。
「おっと」
渾身の一撃は相手の薄皮に触れた程度だった。
「びっくりしたよ。君にそこまでの技量があるとは」
「技量?俺はただ振っただけだ」
「だが、やみくもに振るったわけではなく最善のルートで叩き付けに来た」
「あっそ、次は当てるぞ」
「まちなよ!もう当たったよ!」
「薄皮めっくった程度で当たった内に入るか」
「こら、シオン!」
後ろからシルヴィーに怒鳴られた。
「なんだよ?」
「私たちの目的はシスターを助けることよ。
せっかく合格って言ってるんだから素直に従いなさい!」
「えっ?御嬢さんは付き添いか何かだと?」
「言わなかったか?俺たちって」
「あっ、そう言うことなんだ」
「どうしますか?私も一撃当てた方がいいですか?」
「いやいや、もう、ハラハラは御免だよ」
「あっ、そういえば、あんた名前は?」
「僕の名前はジョセフ・G・ニュートン。気軽にジョーと呼んでくれ」
「俺の名前はシオンだ。ジョーさん、よろしく」
「私はシルヴィーです。ジョーさんよろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
俺たちは施設の中に歩いていく。
「君たち、志願するのはいいけど。もしかしたら火星に行く前に死んじゃうかもよ?」
「どういう意味ですか?」
シルヴィーがジョーさんに問いかける。
「火星で活動できるようになるために手術を受けてもらうことになる」
「それの結果次第で俺たちは火星に行けないと」
「そうだよ。成功率はおよそ30%、それでも志願するのかい?」
「「当たり前だ(です)!」」
「おぉ、少しはためらってくれるかなって思ったんだけどなー」
「言っただろ、覚悟はできてるって」
「なら、次、会うときは二人一緒に生きていることを願うよ」
俺たちはジョーさんと別れ、病室に入って行く。
そして、手術を受けた。