この超人社会には速さが足りない!   作:トンボ最強厨

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プロローグ その2

 

 青嶺 龍。

 年齢15歳、乙女座、B型。

 個性『トンボ』を持つ至って普通の少年だ………その見た目が、余りにクリーチャーじみていることを除けば。

 

 しかし、彼の私生活は言ってしまえばそこまで厳しいものではない。その異形な見た目こそ特徴的だが、ある程度は隠すことができる。

 

 たとえば、大きめなトレンチコートでも羽織って、特注のマスクで顎を隠してしまえば、大抵は普通の人と変わらない、逆関節の足は無理やり折りたたんでしまえばそこまで目立たない。

 

 逆に言えば、これだけの小細工をしなければ、きっと道を歩けばヴィランと間違えられヒーローに攻撃されると言うことだろう。

 

 ……と言うか、実際にそんなことは何度もあった。ちょっとしたはずみでマスクが取れてしまったりすれば、町中大騒ぎ……何もしていないのに警察やヒーローがすっ飛んでくる。それで理不尽に殴られたり拘束されそうな事は何度もあった。

 

 まぁ、そのお陰で今の青嶺には、ヒーローへの多くのコネがある……例えば、鯱ヒーロー『ギャングオルカ』なんかは、見た目のせいで色々言われる仲間として時たまお世話になっている。

 

 最近だとラビットヒーローミルコに蹴飛ばされた事やシンリンカムイに拘束されたなんかがあるだろう。

 

 偶に紛らわしいことをするなと逆に怒られることもあるが、それもまたなれっ子だ。

 

 それに殆ど誤解だと知れば紳士に謝罪をしてくれる、そればっかりか身の上話を聞いてくれたり、色々気にかけてくれたりもしてもらっている。

 

 雨降って地固まるでは無いが、全部が全部悪い思い出ってわけでもない。いい思い出でもないが。

 

 ちなみに、青嶺の親はとっくには青嶺を施設に預けて縁を切っている、その為少し前までは施設で暮らしていた。今はとあるアパートで一人暮らしだ。

 

 ……何故捨てたのか?そんなのは決まっている。両親にとっては、自分達の間に生まれたのがこんなクリーチャーだと認めたくないのだろう。

 

 なまじっか青嶺の親は施設に青嶺宛に支援金や仕送りよこしている為恨むに恨みきれない。恐らくは青嶺の復讐を怖がってのものだろう。

 

 周りの人間はそんな中途半端な関わりようを見て怒るが、青嶺としては文句の一つもない。と言うか、興味がないと言ったほうが正しいだろう。そんな事に時間を使うよりも、もっと有意義な過ごし方を青嶺はしたいのだ。

 

 

 

 ……さて、青嶺は自宅のアパートで今とある封筒を手にしている。封筒を手にしたまま動かない……その封筒は雄英から届いた合否の知らせだ。青嶺は、また静かに言葉をつぶやく。

 

「何やってんだ俺は……緊張してるのか?いや……兎に角早く開けるんだ青嶺龍!速さは力だ!……ええい!ままよ!」

 

 そう叫んで青嶺はビリビリに封筒を破って、中身を見る……そこには、円盤状の謎の機械が一つ挿入されていた。

 

「…………?」

『私が投影された!』

「びっくしたぁ!?」

 

 円盤は投影機だったようで、そこに一人の筋骨隆々な男性が映し出される……それは、平和の象徴、ナチュラルボーンヒーロー、オールマイトであった。

 

 彼もまた雄英高校の卒業生……OBとしての特別出演かと思われたが?

 

『実はこの私、オールマイトは今年度から雄英高校で教鞭を振るう事になってね!その挨拶も含めてこうして私が来た!と言う訳さ!』

「雄英で教鞭……マジか。」

 

 流石の青嶺もこれは予想外中の予想外だ。青嶺もヒーローを目指す身、オールマイトはどれほど憧れた存在か分からない。すると、オールマイトは早速青嶺の合否について触れる。

 

『さて……キミを知るヒーローからはキミはとことん速さに拘ると聞いたので簡潔に言おう!君の得点だがヴィランポイントは計60P!しかし、我々が見ていたのはヴィランポイントだけにあらず!レスキューポイントと言う審査制のポイントがある!20Pプラスして80P!首席合格だ!おめでとう!』

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!やはりスピード!速さ!速さは全てを解決する!」

 

 受験合格とは別のベクトルで盛り上がる青嶺……そんな青嶺を知ってか知らずか、オールマイトは静かに語りかける。

 

『……君の事は色んなヒーローから聞いている。その異形故、多くのヒーローにヴィランとして攻撃されてしまった事実、改めて謝罪したい。そして、これは私の身勝手なお願いだ。世界には個性の異形故差別される人が多く居る。君にはその光になってほしい。異形でも、どんなに人と違ってもヒーローになれると!それを示してく欲しい!……来いよ!ここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

 その言葉の後に、投影機の電源が落ちる。その言葉を聞いて、青嶺は軽く頭を掻いてしまう。ナンバーワンヒーローからの頼み事、仮にリップサービスだったとしても、あんな事を言われては胸が熱くなってしまう。

 

「参ったなぁ……俺はそんな高貴な人間じゃないんだけどなぁ。まぁ、異形の差別を無くすか……それも悪くない。俺もいい加減マスクせずに外にも出れるようになりたいしな。」

 

 青嶺はそんな事を漏らしながら、嗤うように顎を打ち付けてカチカチにならす。その光景だけでどっかのヴィランにも見えるのは、気にしないでおこう。

 

 さぁ、次はこの合否をお世話になっている人々に知らせなければ……お世話になった施設の施設長や、ギャングオルカ、ミルコ、シンリンカムイ、治療でお世話になったリカバリーガール……知らせる人がいっぱいだ。

 

 少し忙しくなることを悔いながら、胸一般にひしめく喜びを胸に、また青嶺は顎をカチカチと鳴らすのだった。

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