貴族の息子は紳士でなくてはいけないらしいけど日々が辛い   作:鉄の掟

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第一章 貴族の息子は決闘をしなくてはいけないらしいけど日々が辛い
幼女と2人きりは辛い。


 

 

 

 

 

 

「痛だだだだ! マジでもげるってマジで!! 逆パカしちゃうって!」

 

「ほれほれ、男なら根性みせてみぃ?」

 

「あー! この時代に男とか女とかで決め付けるのは良くないと思いま、痛だだだ!!」

 

 やぁ、全国一億人の紳士淑女諸君。

 皆んなの代表のアワーズ・ミニッツメンだ。

 

 少し前、屋敷の皆んなと全米も顔の穴という穴から液体を撒き散らす様な別れを果たした俺は現在、空を飛ぶ様な速度で走る魔法の馬に引かれる馬車の中で、帽子とローブを脱いでラフなシャツとスカートの格好になった幼女に関節技を決められているぞ♡

 ……誰か助けて。

 

 正確に言うと学校とかで良くある長座体前屈の姿勢を取らされ、その上幼女に思いっきり足を横に広げさせられているのだ、マジで死ぬ程痛いっていうか死ぬ。

 

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! 死んじゃうぅ!」

 

「これぐらいで弱音を吐くとは情けないのう、全く嫌々やる身にもなってほしいのじゃ」

 

 やれやれといった感じでそう言う目の前の幼女は、しかし涙目で痛がる俺を何処か楽しそうに口角を上げ見つめている。

 この鬼畜幼女め……人の嫌がることはしてはいけないと義務教育で習わなかったのか、クソが。

 

「関節の柔軟さは何にも優先される物じゃ、魔術剣術弓術、他全ての戦いの為の技術は関節が支えていると言ってもいい」

 

 そこまで言うと幼女は更に俺の足を自分の子供サイズの足で広げて来た。

 幼女の黒い靴下を履いた足の裏が容赦無く俺の限界まで開脚した太腿を更に押し広げ、俺はその尋常では無い痛みに必死に耐える事だけに集中する。

 クソっ……幼女にこんな事されるなんて一部の人間にはご褒美かもしれないが、生憎俺は大のお姉さん好きなんだよ! 

 

「本来ならこんな初歩も初歩な訓練は省く筈じゃったが、お前の場合は元が酷すぎで赤子が歩く練習をする様に、戦う為の技術以前からやらねばならんのじゃ」

 

 幼女は遂に馴染み始めた呆れ顔でそう言った。

 くそぉ……のじゃロリ口調で馬鹿にしやがって、俺だって俺だってなぁ! 

 

「痛だだだ!」

 

「何か考え事をしとるな? 集中力もまるで足りとらんようじゃな」

 

 ちょっと! まだ俺が心情を語ってる途中でしょうが! 

 

 幼女はそんな俺の魂の叫びも俺の言葉も心情も全て無視して、少しずつ足を広げ続ける。

 そして余りの痛さに今さっき気付いたが、最初と比べて幼女は俺の方へと下半身を近づけており、それは恐らく幼女の足と俺の足の長さの違いから、そうしなければ俺の足を開く事が出来ないからなのだろう。

 

 しかし、だ。

 足を開いて向かい合う二人が徐々に接近した場合、最終的に何処と何処が触れ合うのか、勘の良い紳士淑女諸君が分からない筈は無いだろう。

 そしてとびきりの紳士である俺は今、その真実とも言うべき事に辿り着いた。

 

 ……これ、黙ってれば擬似S○Xになるんじゃね? 

 

「……」

 

 オーケー、落ち着け俺の息子、クールに行こう。

 まだ立ち上がらずに座って大人しくしていなさい。

 前提として紳士な俺はロリ体型より、お姉さん体型の方が圧倒的に好きだ。

 将来は誰もが羨む様なナイスバディのネグリジェお姉さんに囲まれて一夜を明かす事が、俺の人生設計では既に決まっている。

 

 しかし、何事も経験無くして語る事ほど愚かな事は無い、

 ならばここで一つその経験を積むのも悪くはないのではないか? 

 

「何じゃ、急に大人しくなりおって……」

 

 幼女の声がだんだんと先細りになり、その視線は俺と同じ場所に下がっていき、やがて言葉を失った様に口を閉ざす。

 

 ここで俺は一つ重大なミスを犯していた。

 いや、それはミスというより寧ろ必然と言える行動だったかもしれない。

 数年に渡る禁欲の日々、そして否応無しにベッドに潜り込んで来るサウザンドとタイムの誘惑に耐えた夜。

 他にも様々な耐え難い誘惑が俺を襲って来たが、そんな日々の中でも唯一屋敷では一度も見ることの無かった物がある。

 

 そう、それは……聖なる布、またの名を【パンツ】だ。

 

 目の前の幼女は今、股を180度に近い角度で開き切っている。

 そして身に纏う服は薄いシャツと短いスカートの様な物だけだ。

 そうすると必然的に太腿の存在により、スカートは上へと捲れ上がり、その端からは幼女が履くおパンツが露わになる。

 

 誰の意図も無く訪れたその光景に、俺の目は釘付けになっていた。

 理性では無く本能が幼女の開かれた股から覗くそれから目を離す事を許さない。

 しかも……黒パン、黒パンだとぉ? 見た目はこんなでも下着だけは大人っぽくしたいお年頃って事か。

 よし、それならそんなちまちま大人の階段を登るより、俺が今から身も心も立派な大人の女にしてやるぜ、ぐへへ。

 

「ふふ……ふふふっ、なるほどのう……」

 

 視界の端で幼女の不穏な笑い声が響いた様な気がした。

 ただそんな事は今の俺にとってはどうでも良い、何故なら文字通り俺の目と鼻の先には、布一枚に隔てられた楽園があるのだから。

 

 くそっ!! 何で俺は透視魔法的な何かを使えないんだ! 

 もしそれが使えたらこの金髪碧眼幼女を丸裸にしてとても口には出せない様な、ドが付くほどエロい事が出来たのに……! 

 そもそもそんな魔法があるのか知らないけど! 

 

「ミニッツメン家の子に不出来なし、とまで言われる一族の決闘稽古に何故私が呼ばれたのか疑問じゃったが……。 今、はっきりしたのぅ」

 

 幼女は不敵な笑みを溢しながら空いている両手を俺の太腿に置いた。

 おいおい、自分から攻めて来るなんてとんだおませさんだな。

 しょうがない、女の子に恥をかかす訳にも行かないし、ここはいっちょ大人の余裕を見せるとするか。

 

 俺は太腿に置かれた幼女の小さな両手を包み込む様に上から自分の両手を置く。

 そして幼女の両手を痛く無いくらいの強さで優しく握り込む。

 うひょー、柔らけー! 

 

 女の子というのは何でこんなに柔らかくて触り心地が良いんだ。

 こんな物を触ってしまったら自分の欲望を抑えられる訳ないだろ、毎晩毎晩何処かのメイド長のせいで俺がどれだけ血涙を流したと思ってるんだ、いい加減にしろ。

 

「は……? おいこら! 何をしているのじゃ!」

 

 まさか攻められている筈の俺から攻めて来るとは思わなかったのか、幼女は冷静な口調を崩し動揺した様子で言葉を漏らす。

 おいおい、ここまで誘っておいていざとなれば恥ずかしがっているのか? 全く……可愛い子猫ちゃんだぜ。

 

「ふっ……こうして触れ合っていると、まるで貴方と私の境界線が交わって行くかの様だ」

 

「何を言ってるんじゃ? お前」

 

「……」

 

 俺の超絶クールな言葉選びとキメ顔に、幼女は何故か真顔でそう言う。

 ふむ、成程、さてはこういう感じはあまり好きじゃないタイプだな? 出来る男というのは女性のタイプを決しては無碍にはしない物だろう、であれば最高の紳士である俺もそれに倣うとするか。

 

 ……悠長な導入や前戯なんて辞めだぁ! 今すぐに押し倒してめちゃくちゃにして二度と生意気な口を聞けない様に分からせてやる! 

 

「ふははは! 行儀の良いフリはもう辞めだ! 大人の怖さを思い知らせてやるぅ……!」

 

 握った幼女の手を上に持ち上げた俺は、そのまま前に姿勢を起こし幼女の小さな体に覆い被さる様な体勢を取る。

 意外にも幼女はその間抵抗する事は無く、今の俺と幼女は体勢だけで言えば完全におっ始める寸前である。

 

 そして当然の如く、俺がおっ始めようと片手を幼女の手から離し腰のベルトへ伸ばした時、幼女は鋭い目付きで俺を睨んだかと思うと、「はぁ」と短く息を吐き出し、俺が離した片手を俺の眼前へと翳した。

 

「いい加減にするのじゃ! 一族の面汚しめ!」

 

「いぎゃあああ!!」

 

 幼女の手が思わず目を瞑ってしまう程の強い光に包まれた瞬間、俺の意識は雷に打たれた様な途轍もない衝撃と痛みにより途切れた。

 そして消え入りそうな意識の中で辛うじて俺が覚えていたのは、後ろでは無く前に倒れれば良かったという後悔の念だけだった……。

 

「はぁ、こんなのがあやつの息子だなんて信じられんが……雷鳴魔法に耐えられる程頑丈なら遠慮は要らなそうじゃな……クヒッ」

 

 小刻みに揺れる馬車の中、床に敷かれた真っ赤な絨毯の上で、潰れたカエルの様に仰向けの体勢でビクビクと震えるアワーズの前で、少女は小さな口を大きく裂いて長い間笑った。

 可愛らしい体格と顔に隠されていた少女の本性は、しかし誰も知る事は叶わない。

 誰も知らないその少女の笑みは、まるで魔女が新しい実験体を見つけた時に見せる様な加虐的で暴力的な笑みだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ、そろそろ起きろ変態子鹿」

 

「はっ! ここは何処? 俺は紳士!」

 

「阿保」

 

 甲高い誰かの声に呼ばれ、微睡に落ちていた俺の意識は直ぐに覚醒する。

 いつの間にか気絶していたらしい俺の頭上を見ると、あの生意気な幼女が腰に両手を置き、短く溜息を漏らしていた。

 

「お前のせいで関節の稽古は台無しじゃ、屋敷に着いたら遅れを取り戻す為にビシバシ行くからの」

 

「お慈悲を下さい」

 

「嫌じゃ、私に何をしようとしたか忘れたとは言わせん」

 

 はっ! そういえば俺の息子は、たった1人の箱入り息子は晴れて一人前の男になれたのか!? 

 期待を胸に俺は白いズボンの上から自分の股間を触ったが、残念な事にそれらしき痕跡は確認出来なかった。

 

「き、気持ち悪いのじゃ……」

 

 結構マジで引いてそうな幼女が、仰向けで股間をいじる俺を目線で見下してくる。

 ん? そういえば気絶する前、俺はバレリーナ顔負けの大開脚をしながら幼女の黒パンを見ていた様な……。

 はっ! それなら今の体勢でスカートの中が覗ける筈! 

 

「……」

 

 またもや期待は虚しくも裏切られた。

 幼女は既に屋敷で初めて会った時と同じ紫色のローブと尖った魔女帽子を被っていて、大きなローブは幼女の足首まで覆っている為、仰向けだったとしてもローブの中を覗き込むのは不可能に近い。

 

 畜生! まぁ薄々勘付いていたけどさ! 

 せめてもう少し夢を見させるぐらいの丈は欲しかったよね、完全に見えない様にしやがってクソが! 

 

 俺の絶望の表情を無視して、幼女は仰向けの俺の横を通り過ぎると、足先にある椅子に腰掛け、ローブを絡ませながら器用に足を組んだ。

 

「やはりお前は筋金入りの変態の様じゃな、起きて直ぐに私の下着を覗こうとするとは」

 

 パンツじゃなくて下着って言うんだ。

 分かる、そっちの呼び方の方が大人っぽいもんね。

 

「変態じゃないよ、変態という名の紳士だよ」

 

「ふむ、よく分からんが……まぁよいよい」

 

「え? いいの? 油断してたら大変な事になっちゃうかもよ?」

 

「今向かってる屋敷にお前より弱い奴など1人も居らん。間違ってもお前の期待してる様な事は起きないからの」

 

 確固たる自信を含ませた声色で幼女はそう言った。

 ふっ、そうやって調子こいていられるのも今のうちだぜ。

 手始めに恐らく俺と幼女を迎えに来ている人が女性だったら舐める様に隅から隅までガン見してやる。

 

 不意に窓から見える景色の動きが緩やかになり、それに伴い馬車はゆっくりと減速していく。

 どうやら目的の屋敷とやらに近づいて来た様だ。

 

「そろそろ到着かの。 いつまで寝転がっている気じゃ、早よ立たんか」

 

 寝転がっているのは貴方が気絶させたからなんですけどね。

 もっと言えば何だか体全体が痺れてる感じがして上手く起き上がれないのも多分貴方のせいですよね。

 何とかしやがれ下さい。

 

「ちっ……手の掛かる奴じゃ」

 

 幼女はそう言うと椅子から立ち上がり、寝ている俺の方に向かってまた手を翳した。

 すると不思議な事に体がゆっくりと浮き上がっ……たかと思えば、俺の体は突風に飛ばされたかの様に凄い勢いで馬車の扉に叩き付けられた

 

「ぶべらっ!?」

 

 扉に叩き付けられた俺は勢いそのまま馬車の扉を体で開き、外に放り出される。

 ぐるぐると回る視界は直ぐに止まり、俺は体の痛みを気にせず起き上がると、流石に手荒過ぎる幼女の行動に文句言おうと睨みを効かせながら顔を上げた。

 

「こらぁ!! とうとう俺を怒らせたな、もう許さん! 

 今日の夜にはベッドに潜り込んで体の隅々まで俺色に染め上げて……」

 

 起き上がりながら大声で幼女に向かって話していた俺は目の前を向いた瞬間、思わず口を閉ざしてしまった。

 

 それもその筈……投げ出された俺の前に立っていたのは、あのサウザンドの双子の【弟】にして、かつてまだ幼かった俺に紳士の作法をこの世の所業とは思えない教育で叩き込んだ張本人。

 そして俺の苦手な人ランキングでは最上位に食い込む程の逸材。

 

 女にしか見えない見た目と顔付きで紳士服を着こなす執事、【ハンドレッド】だったからだ。

 

「ご到着お待ちしておりました……アワーズ様」

 

 相変わらず女にしか見えない顔立ちで俺をじっと睨むハンドレッドの視線が怖いです。

 

 

 

 




第一章の幕開けもやっぱり辛いです。
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