10歳になった。母はまだ少し病んでいる。
それで5年前、僕は森の中で同い年の転生者と出会った。
同い年と言っても、異世界基準でだけど。
で、その日以降5年間、そいつの目指す『陰の実力者』の相棒として、夜な夜な家を抜け出して盗賊狩りをしている。
ちなみに、そいつからは剣技とか瞑想と魔力を組み合わせたショートスリープってのを教わった。
剣技の方は前世同様に全然出来なかったけど、ショートスリープ化はできた。
おかげで家から抜け出して活動できる時間が増えた。
あと、そいつの名前はシド•カゲノーで、盗賊狩りする時は、スタイリッシュ盗賊スレイヤーと名乗っている。
そいつ曰く、まだ仮の名前らしいけど。
ちなみに、僕の名乗りは天才ハッカーXのままや。
まぁ、そうして、今日も盗賊狩りをやっている。
「ヒャッハーーー!」
早速、3人の盗賊がスライムによって切り刻まれる。
「景気が良いねぇ、盗賊さん。じゃあ有り金、全部出そうか。」
今回は、魔力伝導率99%という夢の素材、スライムを使った戦闘の検証をしている。
「なめんじゃねぇぞ、このチビ!」
お、ハンドガンサイズのマスケットを撃ってきた。
それを盗賊スレイヤーが、右に避けた。
ん?避けた?(※盗賊スレイヤーの後ろにはオリ主が立っています。)
え、それって僕に当たるくない?
まずい。急いで防御しないと!
しかし、安心するんや。天才のこの僕の思考速度なら、銃弾を見て、着弾地点に魔力を込めて防御することは容易い。
その思考速度の速さは前世で立証済み。つまり、公認。自他ともに認める天才なんや。(※認めたとは言っていない)
しかも、今回は魔力伝導率99%のスライムを持っている。
形状を自由に変化でき、耐久性も十分なスライムなら、傾斜装甲にすることも可能。
盗賊スレイヤーの命名では、スライムボディースーツとのこと。
そして、万全の構えで銃弾を受け、弾いた。
「こいつら...」
「ほらそこ、無駄口たたかない。金出せっつてんだろ。」
盗賊スレイヤーがスライムを伸ばして撃ってきた盗賊の首を斬りおとす。
「スライムソード、良いじゃないか。」
続々と盗賊を斬っていく、
「うん、想像以上に使えるね。」
「って、あれ?仕方ない。あとは、天才ハッカーに任せるとしようか。」
僕に後ろから盗賊が切りかかってくる。
よし、スライムパソコンの出番や。
ctrl(arm,foot)
手足の制御を奪って、盗賊の動きを止めたと。
「なにっ⁉︎なんで手が動かねぇんだ!」
うるさいし、口も制御奪うか。
ctrl(mouth)
「#$#&#%$#」
スライムで擬似的にパソコンを作って、1から関数を設定するのには苦労したけど、これでハッカーらしくなれた。
魔力ハッキング用のオリジナル関数も問題なく動いてるし、考えていることを読み取る練習でもしてみよう。
これは関数も何も作ってないから、完全に手動と。
・・・
頭の中って複雑なんや。
色々情報がありすぎて読み取れない。
その中でも、『ブシン流の皆伝』って情報は、主張が強かったおかげで読み取れた。
print(trans(‘そんなに『ブシン流の皆伝』が好きなの?’))
transで異世界語に翻訳して、printで盗賊の頭に表示されるはず。
あれ、予想では驚いた顔をすると思ったけど、なんか恐怖した顔してる。(※なぜ心が読めたんだ。化け物かと恐怖している。)
関数の点検しておかないと。
最後に、スライムに魔力を最低限込めて、形状だけ鋭利な刀にしたらどうなるか検証しておこう。
スライムで作った刀に、適当に拾った枝を落としてみる。
と、綺麗に斬れた。
なら、人ではどうかな?
刀を横に向けて、盗賊の手足を動かす。
「###%#%#%#%」
盗賊を刀の方へ進めて、刀の高さは首辺りでと。
首の骨は頭を支えるから、だいぶ頑丈と思うけど、歩いてくるだけで斬れるかな?
「#####%!」
刀が首の皮膚を斬って、、、
頭が落ちたって事は骨も斬れた。
[スライムボディスーツにスライムソード、良いね。]
「そっちの試したいことも終わった?」
[一通りは。スライムパソコンのチェックは必要そうだけど。]
「商隊のみんな、仇は討ったよ。形見はボクらが有効活用するから安心してほしい。」
物は使わないと勿体無いし。使わないとね。
「お金に美術品に食糧に…」
なんか向こうの荷車が動いた。
「ん?」
「檻、奴隷かな。」
荷台にかかっている布をめくってみると、腐った肉塊のような生物?が動いていた。
[何これ?]
「これは予想外。死体じゃないなぁ、腐りかけてるけどまだ生きてる。」
「てことは、悪魔憑きか。」
悪魔憑き。よく分からないけど、致死率100%の不治の病みたいな何かで、発症者を聖教へと連れて行くと浄化と一緒にお金がもらえるらしい。
「この波長、覚えがあるな。魔力暴走と同じ、」
魔力暴走。確かに不治の病かな。天才の僕でさえこれを治すのは難しい訳だから、一般人に治せる訳がない。
シャットダウンしなかったらこんなことになってたと考えると、意外に危険なことしてたのか。
今度から自分の身体は大事にしようかな。
盗賊スレイヤーが悪魔憑きに魔力を注ぎ込む。
すると、巨大化して檻を破壊した。
「使えるなぁ、この肉。自分の体じゃないから安全に好き勝手できる。」
[良いね。魔力暴走の治し方は気になるし。]
そして、悪魔憑きを近くの廃村へ運び、シドと一緒にあーでもないこーでもないをしてデータを取っていると、1ヶ月経ったある日、
これまでのデータから考えられる魔力暴走の治し方はこんな感じかな?
お、魔力暴走が収まって、ん?なんだか女の子らしき人の形に、、、
「腐り果ててたのに、元に戻るんだ。」
「ゲホッゲホッ」
ダメだ。エルフなんて、、、僕の耐性は2次元までなんや。
前世もずっとハッキングの為にパソコンの画面としか向き合ってないから、同じ次元の女の子には耐性がないんや。
って、まずいです。可愛いエルフが目を覚ましそう。
ここは、氾濫に教わった通り、戦略的撤退を、、、
「あ、良いこと思いついた。」
?
「刮目せよ。これぞ陰の実力者の初舞台ってね。」
シドがそう言って、木箱の上に登って座った。
陰の実力者の初舞台って、この美少女エルフとコンタクトを試みるん⁈
スーーーハーーー(※心の声深呼吸)
仕方ない。こういう時こそ嘘や。嘘で弱点を覆い隠すんや。よし、うん。
「目が覚めたか?」
シドが声色を変えて言った。
「え?!私の体、嘘、」
「キミを蝕んでいた呪いはもう解けた。もはやキミは自由だ。」
呪い?あー、陰の実力者っぽく脚色してるのかな?
「あなた達が、私を?呪いって?」
「あぁ、呪いというのは…」
シドが目を泳がせながら僕に視線を送ってくる。
[唐突に設定を考えろと言われても、、、]
「君たち英雄の子孫にかけられた忌まわしき呪いだ。」
やけに早口になりながらも、それらしい設定をシドが言った。
「・・・」
「驚くのも無理はない。だが、キミも知ってるだろう?」
シドが座っている木箱の中から、そこそこ分厚い本を取り出した。
「教典にある3人の英雄が、魔人ディアボロスを倒し、世界を救ったというおとぎ話を。あれは本当にあったことさ。」
「⁉」
なるほど。この世界にある話を基に設定を作ったのか。0から作るよりも楽に作れるし、悪くない考え方や。
「魔人は死の間際に呪いをかけた。それがキミを腐った肉塊へと変えたものの正体だ。」
「だが、何者かが歴史を捻じ曲げ、キミたちを悪魔憑きなどと蔑まれる存在にした。」
「⁉」
「その黒幕の正体は…この名を知れば君にも害が及ぶ。」
またネタ尽きたみたいだから考えておかないと。
「かまわないわ。いったい何者なの⁈」
「ならば、教えよう。その名はぁ、、、」
[ディアボロス教団]
こういう時は安直なものにしておいた方がいいでしょ。
「『ディアボロス教団』。魔人ディアボロスの復活を目論む者達だ。」
少女が歯を食いしばる
「奴らは決して表舞台には出てこない。」
「我らの使命は、その野望を陰ながら阻止すること(かな)。」
そこは自信を持って言い切ろうよ。
シドが青紫色の魔力を広げ、スライムスーツに姿を変えた。
「そう、我が名はスタイリッ…いや、我が名はシャドウ。」
「シャドウ...」
僕もスライムスーツに切り替えて、
シャドウも名前を明確なのに変えたし、名前は、、、
[じゃあ、僕の名前はエックス。]
「そして、君を実際に治した彼の名はエックス。」
「エックス…」
目合わせたら、速攻で逸らされた。
もしかして、、、僕嫌われてる?(※照れていると考えるのが妥当)
「我らは陰に潜み、陰を狩る者。」
シャドウが立ち上がって、少女に近づいた。
「困難な道のりになるだろう。だが、成し遂げなければならない。」
「英雄の子よ、我らと共に歩む覚悟はあるか?」
「病、いえ、呪いに侵されたあの日、私は全てを失いました。醜く腐り落ちるしかなかった私を救ってくれたのはあなた達です。だから、あなた達がそれを望むなら、私は全てを賭けましょう。そして、罪人には死の制裁を。」
シャドウが手を差し出しってよくそんなことできるな。
そして、少女が差し出された手を取り、シャドウがスライムスーツを少女に着させた。
「敵には強大な権力者もいる。真実を知らずに操られている人達もたくさんいる。」
「でも、立ちふさがる者に容赦はできない。」
「そうそう、そんな感じ。」
ん?結構ノリノリな感じかな?(※違う違う、そうじゃない)
「他の英雄の子孫を探し出して保護する必要もあるわね。」
「え?あ、うん。」
スタートダッシュから爆速じゃん(※違うだろぉー!)
「組織の拡張と並行して拠点を整備しないと、そのための資金集めも。」
「うん。ほどほどにね。」
シャドウが外に向かって行った、、、って待て待て置いてかれるのはまずいって。
急いでシャドウを追いかける。
「えっと、じゃあ、そうだな。我らは『シャドウガーデン』。」
「そして君はアルファと名乗れ。」
[こうして、人知れずシャドウガーデンという組織は生まれた。]
「彼らは、これからも人知れず陰に潜み、陰を狩っていくのであった。」
シャドウナライズ効果1、勘違い補正(自分自身)
深夜テンションの鮎さん、⭐︎6ありがとうございます。