みんなのコロシアイ聖杯戦争 作:マリーを妹にし隊
…起きろよ。
……起きろって言ってんだろ。
…悪いこと言ったのは謝るから起きてよ。
…お兄ちゃん。
「!?」
目が覚めた時には知らない天井。材質とかはいつも見ているような学園の教室…でしょうか。あくまでそれくらいしかわかりませんね。とりあえず、自分の服装を確認しましょうか。
(ペンダントもありますし、貝殻のブレスレットもあります。となると、着の身着のままで誘拐された、ってところですかね…今のところ変に持ち物が増えた訳ではないので身の危険に差し迫るようなことはなさそうですね)
俺は座っている椅子から立ち上がり、周囲の探索を始めることにしました。
(目の前にあるのは黒板…に見えるホワイトボードっすね。プロジェクターもありますし、授業を行う為の場所と見てよさそうですね)
座ってた椅子もよく見ると高校の教室にあったやつと同じですね。教室に今いる、って考えてよさそうです。
(にしても、窓がないのは気になりますね…正確にはシャッターで見えないようにされている感じっすか。)
(机の中に何かありますね…学園のパンフレットですか。
『オマエラ、入学おめでとうございます!体育館の鍵を見つけて体育館に集合しましょう!』
パンフレットというよりは指示を書いた文章が正しいでしょうか。
入学と書いてありますし、ここが学園の中にある教室なのは確実っすね。他に誰かいる訳でもなさそうですし、移動しましょうか)
パンフレットの中身も含めて不明な点も多いんで、とりあえず教室から出ることにしました。学園なら他の場所もあるはずですしね。
ニカイ ロウカ
(ふむ…監視カメラが多いのと変なオブジェクトがあること以外は普通の廊下でしょうか。隣にも教室があるのは予想してましたが、もしかしたら誰かいるんすかね。横には下に降りる階段がありますし…さてどう動きましょうか)
そう考えていると音を立ててドアが開きます。本当にいましたね。
「………誰だ?」
現れたのはフードを被った人間でした。フードの大きさを考えたら顔が見えてもおかしくないんですけど…全然わからないんすよね。
ともかく、自己紹介しておきましょう。
「俺は『超高校級の冒険家』天海蘭太郎っていいます。君はどうなんすか?」
「…あま、み?」
「ええ。天の海に蘭太郎。天海蘭太郎です」
どう感じているのかはわからない…というより顔が見えない。
このロープ、そういう効果がある道具なんですかね?
「…『超高校級の門番』、エミヤ」
「エミヤさんっすか。よろしくお願いします」
差し出した手をがっしりと掴まれました。男、でしょうか。
「…よろしく頼む。天海」
「お互い様ですよ。状況確認しましょうか」
「…教室は特に何も。ホワイトボードと窓が見えないこと…それと監視カメラ。魚眼レンズの補正…と思うがそれにしては意味不明な位範囲が広い。前と後ろに2台、計4台もつけるのはどう考えても過剰としか言えないな。少なくとも1つ壊れても見える範囲は変わらない感じだ。少なくともカメラについては素人がつけたって言える」
…よくそんなことに気づけるんですね。でもパンフレットは持ってないような…?
「パンフレットは見つけましたか?」
「……いいや、全く。見せてほしい」
こっち側に顔を寄せますが、やっぱり顔は見えないですね。一しきり見ていることにはわかるので一応問題はなさそうっすけど…顔を覚えられないのは不便ですね。
「…ふぅん。ま、じゃあ体育館の鍵を探すって感じか。どこにあるか、ってヒントがないのは気になるがな」
「他にも人がいて、その人が持っていると考えるのが自然なんじゃないですか?」
「…まあこんなただっぴろい空間に2人はおかしな話だよな」
残念そうですけど、もしこの2人だけだとそれはそれで問題っすけどね。
「とりあえずそこの階段を降りましょうか。他の人のことも知りたいです」
「……すまん。会話は任せてもいいか?生憎、お前以外と話したくない」
笑っている…のでしょうか。全く判断ができませんが、そんな気がします。
「…そうですか」
「…ありがとうな。行こうぜ」
手を繋いでいますけど、やけに俺を守ろうとする動きっすねえ。
そりゃまあ、この状況ならそうするんでしょうけど…
…エミヤは俺をなんだと思ってるんすかねえ。
「…やっと、天海に会えた」
そんな聞いていないといけなかったエミヤの声を聞き逃して。
俺達は一階に降りました。
イチカイ ロウカ
「……さっきの場所とはまたかなり違うな。特に、この装飾が多い扉が」
こつこつとエミヤが叩くのは目の前の扉。横のプレートに才能研究室と書いてありますから、誰かの研究室なんでしょう。
「…開けるか」
蹴りで扉が開きます。薄い素材なので防音性はないですね。
「ちょっ!?なんでそんな乱暴な…!」
「どんなのだって構わないだろ。超高校級なら何があっても動じゃしねぇよ」
大分荒れてますね…そうした方が交渉にはいいんでしょうけど。
どかどかと踏み鳴らす足音を聞きつつ、俺は研究室に入りました。
ルーラー ノ ケンキュウシツ
入った研究室は天秤や各国の法典があり、裁判官の部屋であるのだろうと感じられました。後ろの窓から入る光もどこか厳かな雰囲気を感じさせるでしょう。しかもここ、白と黒だけでインテリアが構成されてますね。
目の前に座っている長髪の男の人がこの部屋の本人でしょうか?
「ずっと前から聞こえてた」
いきなり声をかけられましたがそりゃそうっすよね。この部屋、防音性能皆無ですもん。
「あはは…ごめんっす。ちょっと何があるかわからなかったもんで」
「いいだろう」
許してくれてるのはわかるんですけど…一体誰なんでしょうか。エミヤは完全に俺に任せてますし…
「名前はなんですか?俺は天海蘭太郎っす」
「ルーラー…
「…ちょっと切り倒すか」
小声で呟いたあと、槍を構えて切っ先を向け始めたエミヤ。身長より長いをどこに隠してたのかとか切るなら槍よりも剣の方がいいでしょうとか言いたいことは色々ありましたがとりあえず落ちついて。
「やめてくださいエミヤさん。いきなり槍取り出さないでください」
止める言葉と行動を真っ先にします。槍を持つエミヤの手に上から触れ、槍の切っ先を俺の方に向けます。
わかりやすく動揺したエミヤから槍を取ります。全く、妹よりも落ちつきがないっすね。
「気をつけてくださいよ…ほら、こんなもん持っていいのはお兄ちゃんだけっすよ?」
「……〜〜〜…」
理解してくれたみたいですが槍は離しません。
「度々すいませんね、エミヤさんは海外の地域にいたものなので日本とは色々と違うところが多いんですよ」
「中指立ててもしょうがないの」
「優しい人で助かりましたよ。今体育館に向かってるんですが、何か探すもののヒントとか知ってますかね?」
そういうと杯さんはポケットから宝石の鍵を取り出しました。
「アイオライトを掴んで離すな」
「…これが杯さんに渡されたヒントっすか」
アイオライト。光の入る角度によって色が変わる性質を持つ宝石です。この大きさになるぐらいまで精錬するのも一苦労なんすけど…。なんでそんなもんがあるんすかね。
「それと、窓から外を見せてもらってもいいですか?俺たちの目覚めた部屋だとシャッターで閉められていたんで」
「灰」
許可が取れたので後ろから確認します。そこには…
「摩天楼…?」
「窓から覗いた摩天楼からすりゃ塵のよう」
杯さんの言葉はさておき、摩天楼がそこにありました。よく見ればこの建物よりも小さいですから…電波塔の役割を果たしてるんでしょうか?
(それにしてもこの窓は開かないですねえ…外に出て確認は難しそうですね)
ここから見える景色も初めてみますね。不自然に青い空の色もそうなんですが…下に生えている草も知らないのはおかしな話っすね。
「…こりゃ、俺たちが思ってる以上に危険なことなのかもしれませんね。エミヤさん、行きましょう」
「…ん」
「杯さんも来ますか?」
首を横に振られました。
「さよなら」
「じゃあまた呼ぶので」
そういって静かに扉を閉めました。
「つーよか、超高校級って変な奴しかいないのかね?」
「それをエミヤさんが言いますか…」
そもそも超高校級の人間って幸運以外は過去がめちゃくちゃ重くて変人って言われますからね。どうだか知ったこっちゃなかった…んですけど、今のところ全員変、イコールで皆重い過去ですからね。あんまり過去に触れないよう注意しませんと。
(にしても、ルーラーってなんででしょう…単に裁判官じゃないのに意味があるんすかね?天秤やらで公平、公正をアピールしていましたけど…それなら法典よりも事件ファイルがあったほうがしっくりしますし。白と黒の2色で構成されてる部屋も法廷を表してるというよりは)
「…?天海、アイオライトが入りそうな鍵穴があるぞ」
「…本当っすね。ありがとうございます」
しかしちょっと気を取られていたせいか、妹にしていたみたいに頭を撫でちゃいました。
「……」
なんか頭を手にこすりつけてきましたけど、気にせずにやっちゃいましょう。
「…撫でないでくれよ!?ったく、天海が昔妹にしていたみたいにしてんじゃねぇよ…」
「あ、すいません。少し考えてたのでついやっちゃいました」
「…もういい。他の奴らを探しに行くぞ」
手元からアイオライトを取り、目の前の扉の上の部分に突っ込んで回します。
「…合わないな。大きさそのものはあっていそうだが、それ以外はてんで駄目だ」
「…持つ部分で回してみてください。それで入らないなら…そうですね、分解できるなら分解して鍵穴を埋めましょう。これで無理なら多分他の鍵になるんでしょうね…」
「よくそんなぱっと思いつくもんだな」
「…色んなところに行ったもんで」
言いながらも淡々と手が動いてやっています。素直に聞いてくれるのはいいことですね。
「おっ、開いたな」
「後ろでやれたんですね。鍵は持ってもらったままでもいいですか?」
「構わねぇよ。あ、槍返せ」
「いいっすよ。人に向けないようにしてくださいね?」
「…善処する」
そういうとエミヤさんは後ろに槍を背負いました。
「とはいえ、ここはなにがあるのだろうね?少なくとも体育館じゃあないだろう。流石にゲームとしても一回でおつかいクエストは終わらないもんな」
「そこで出てくるのはゲームなんすね…それならお約束として危険なのが現れるんじゃないんすかね?」
だからといって、この扉を開けない選択肢はなく。
俺は扉を開けました。
ソウコ
「…貴様達、か」
どうやら俺達のことを知っていそうな白髪の男の人がいました。
「名前を覚えてもらえている時点で光栄っすよ。そちらさんの名前は?」
「『超高校級のロード』、マリスビリー・アニムスフィア」
この時、彼の目にはどう映ってたんでしょうか?
これが、俺達のことを閉じ込めた黒幕との『はじめまして』でした。
あえて聞こう…どちらがいい?
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アーチャー
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バーサーカー